16歳で世界準優勝、20歳で優勝を遂げた新極真会ジャパンの女子エース・南原
2019年11月9日・10日の2日間にわたり東京・武蔵野の森総合スポーツプラザで開催された新極真会主催『第12回オープントーナメント全世界空手道選手権大会』は、男子が島本雄二(日本/広島支部)の2連覇、女子が南原朱里(日本/福岡支部)の初優勝で幕を閉じた。
優勝が決まった瞬間、涙があふれ出した
南原は16歳で出場した前回4年前の第11回全世界選手権大会(2015年)で、いきなりの準優勝。女子空手家の超新星として一躍注目を集めたが、翌2016年はどの大会でも結果を残すことができずスランプに陥った。しかし、2017年の第6回全世界ウエイト制女子中量級で優勝して復活、同年の第49回全日本選手権大会でも優勝を果たして、名実ともに新極真会女子のエースに君臨。2018年開催の第1回JFKO(全日本フルコンタクト空手道連盟)主催国際大会の女子中量級でも優勝を果たした。
全世界選手権、全世界ウエイト制選手権、全日本選手権の新極真会3大大会を制することを“グランドスラム”と呼ぶ。加えて南原は2015年JFKO全日本女子中量級優勝、2018年JFKO国際女子中量級優勝も達成しており、5冠に輝く女王となった。
大会後、南原は「4年前は準優勝でこの日のために頑張って来たので優勝できて嬉しい気持ちと、周りの方々の応援や緑師範、福岡支部の仲間、家族の支えがあってここまで来れたので感謝の気持ちでいっぱいです。今はまだそんなに優勝した実感はありませんが、練習を信じて勝つことができました」と、優勝した喜びと感謝の気持ちを話す。
師匠でもある緑健児・新極真会代表からは、大会初日にふくらはぎを痛め、歩行することもできなくなっていたとの事実が明かされ「強い精神の持ち主」と評価された。
激闘を物語る、試合後の真っ赤になった拳とあざだらけの手と腕
そのことを南原に確認すると「初日の2戦目(1回戦シードのため3回戦)が終わった時に歩けませんでした。重心をかけるだけでも痛くて。(島本)雄二先輩の身体をケアしている方が夜もケアしてくれて何とか歩けるようにはなりました。不安もあったんですが、ケアもしてくれてテーピングもしていただき、だいぶ足も良くなっていたので自分を信じて頑張ろうと思いました。ここまで王座奪還のテーマで日本女子も頑張ってきたので、絶対に世界チャンピオンになるという気持ちでした。ずっと強い気持ちで臨んでいました」と打ち明けた。
「初日は自分の動きが出来ていなくて納得できなかったんですが、次の日から気持ちを切り替えていこうと思いました。1試合1試合勝つことで自信もついてきましたし、右のふくらはぎの怪我のことはあまり気にしないようにしていました。ケアをしてもらえたので戦える、痛くないと自分に言い聞かせました」
決勝戦の相手インガ・ミクスタイテ(リトアニア)とは4年前の全世界選手権でも対戦していた。「インガ選手も強いですし、気も抜けないですし、本戦から力を全部出し切ろうと思って試合に臨みました。最初から出し切れ、とお父さんからも言われていたので出し切れました。突きが得意なのでそれを活かすために最後も突きのラッシュで行きました。自分の距離で戦うように、突きが伸びた距離は自分の一番いい距離なので、相手の距離に合わせないようにしていました」
16歳での準優勝から4年、どのような気持ちで今大会に臨んでいたのか、との質問には次のように答えた。
「4年前の決勝で外国人選手に敗れて、王座奪還のテーマで頑張ってきたので絶対に勝つ気持ちでいました。4年前は若さと勢いがありましたが、今回は気持ちの面でも全然違う部分がありましたし、自分のためですが家族の夢でもあったので絶対に優勝しようというのがありました。父からはおめでとう、よかったと言われましたね。準優勝で終わって次の1年は負け続けて…そこで気持ちの面でも成長できたと思います。負けたことに意味があると思っているので、その負けで優勝もできたのかなって今は思います」
まだ20歳。その気になれば年齢的には2連覇(24歳)、3連覇(28歳)、4連覇(32歳)も狙える年齢だが、「まだ終わったばかりなので、そこまで考えてないです」と南原は笑った。
『第12回オープントーナメント全世界空手道選手権大会』初日の大会レポートはこちら
『第12回オープントーナメント全世界空手道選手権大会』決勝日の大会レポートはこちら
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