2025年2月24日(月・祝)東京・有明アリーナ『Prime Video Boxing 11』にて、119ポンド契約3分10Rで元WBO世界バンタム級王者ジェーソン・モロニー(オーストラリア)と対戦し、判定3-0で勝利した那須川天心(帝拳ジム)が試合後インタビューに応じた。
まず「戦ってくれたモロニー選手、自分の今まで見えなかった可能性を引き出してくださり、本当にありがとうございました」と、モロニーにお礼を伝えた那須川。以下、記者との一問一答。
――改めてどのような気持ちでリングに上がった?
「モロニー選手に挑戦するという気持ちと、絶対に勝つという強い信念を持ってリングに上がりました」
――ダメージがあったのは何ラウンドで、どういうダメージだった?
「取られたラウンド、1Rと6か7R。“わっ”てなったラウンドのその一瞬って感じですね。連打を食らったんですけれど全然そこもしっかり覚えているし、相手がラッシュしてきたところもラッシュさせようみたいな感じも出来たし、案外自分って打たれ強いなって思いましたね」
――6Rにもう少しでダウンというシーンで、足腰のダメージはどうった?
「意識が抜けた感じでしたね。ここにきてメイウェザー戦が活きた。フラッシュバックというか、思い返してみればって感じですけれど、何が何でも倒れないと言うか、バランス力と言うか、固めてないのでそこで倒れる感じはなかったです。抜けた感じなので。あと左フックをめちゃくちゃ警戒していたんですけれど、ストレートだったので『効いてないよ』って。効いてはいるんですけれど効いてないよって。予想外だったことがあったので、こっちを警戒するというのはやめようじゃないけれど、もっと何が来ても大丈夫なようにしないといけないと改めて思わされましたね」
――インターバルで座ったのは初めて?
「流れですね。スパーの時も座る練習をしていたので、しっかりと座ることも意識しましたね。最後の方はずっと立っていたのでトレーナーに怒られたんですけれども座る練習しておいてよかったですね」
――戦っている最中のポイントはどのように感じていたか?
「1R目にああいうことがあったので、1Rは取られたなと思ったんですけれど、そこからしっかり立て直そうと思えて。そこから自分の中で、最初は真面目にやろうとしすぎて、そこまでいろいろなことを考えられずにいたんですけれど、そこからは自分の中で遊び心が出てきたのでポイントは取れているなと試合中に思うことも出来ましたね」
――コスチュームはどのようなテーマで?
「テーマは銀河。シルバーで固めて。入場からギラギラに輝くって意味でも。しっかり銀にしました。歌で『ギンギラギンにさりげなく』ってあると思うんですけど、さりげなくはないですね(笑)」
――試合前のポーズは何?
「ダンダダンのポーズです」
――武居選手がリングに上がった。武居選手と戦うのか、ベルトが欲しいのか、海外の選手と戦うのか、どの気持ちが一番強い?
「まずはベルトですかね。ベルトを獲らないといけないと思います。その後に武居選手と戦って両方のベルトを懸けられればいいなと思いますね」
――ということは、武居選手以外の日本人王者と対戦ということに?
「日本人だと思いますね。それがどういう流れになるか分からないので。今回の試合で何試合分もの経験をさせていただいたので、もっともっと強くなるだけかなと思います」
――会見でモロニーがジャッジに不平を口に。天心選手自身はどう受け取った?
「僕は全然取っているなって感じはありましたね。ボクシングってKOも大事ですけれど、倒すだけじゃないし、しっかり当てているのは僕ですし、相手の印象が良かったところは取られているのがあるので、そこでポイントを取られたなって焦りはそんなになかったです。どうですか、皆さん、逆にどう思いますか?」
――モロニーは98-92に不満があったようだ。
「いろいろな見方ですよね。ジャッジは3人いるので、そこによっては変わると思うので。一番はジャッジに委ねないっていうのが大事だと思うんですよ、お互いに。けれどそういう試合ではない時にはちょっとした差だったり、ポイントだったり、印象だったりというのが大事になると思うので。僕はポイントを獲るのが凄く上手いと思うので、そこで取っていたところは多いかなと思いますね」
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新しい自分の可能性も見せたいと思った
――モロニーがサウスポー対策をやってきてガードを固めてプレスをかけてきて、それに対して天心選手は動いてポイントという作戦、序盤いくつかあったと思うが、それは現場で対応したのか、元々の作戦だったのか?
「元々は、自分は距離を取って戦うという作戦でした。ジャブを突いて右に回ったり、左に動いたり、相手に追いつかせないっていうのが自分の中のボクシングのテーマではあったんですけれど、相手も打ち合いに来たので頭を合わせてあんなやることはないと思っていたんですけれどやっちゃいましたよね。あそこでもらって引くわけにはいかないっていうのが初めて出てきて。初めて打ち合いをしたんですけれど、そこで自分の中でも新しい可能性というか、そこで打ち負けることもなかったし、逆に最後押し返して効かせることも出来たので、なんか自分を一人の男にしてくれたって感じがしましたね」
――最終ラウンド打ち合いに行ったのも気持ち?
「気持ちですよ。僕の言葉に『関係ないっしょ、気持ちっしょ』っていうのがあるじゃないですか。それを言ってるやつがやらなくてどうすると。で、中に入ってもタイミングだったり対応できたので、そこは2人の戦いですけれど2人の戦いだけじゃないので、お客さんも見ているし、そこに乗せられちゃいますよね。見ている方にも勇気だったり、ハラハラすると思うんですけれど、新しい自分の可能性も見せたいと思ったので、最後は気持ちが勝っちゃいましたね」
――この試合、武居選手との比較があって、それについて自分自身の手応えは?
「どうなんですかね。僕的には印象悪い部分もあったんですけれど、そこを今後は改善しないといけないって部分もありつつ、自分の中のボクシングの型が完成しつつあるなっていうのが。やるべきこと、手段が分かったというのがある。モロニー選手を効かすことも出来たし、評価的には悪くないと思っています。でもノビシロはまだたくさんあるので、改めてボクシングおもしれーっていうのが凄い感じていますし、まだまだ成長できるなと思いましたね」
――世界がまだ早いなと思ったんじゃなくて、もう世界行けますよ、という感覚?
「感覚はありますね。でもそれを過信しすぎるのではなく、今日出た結果が全てなので、自分の中ではまだまだ可能性あるなと思えたので、全然通用すると思います」
――10R、天心選手が打ち合ったラウンドは粟生隆寛トレーナーからの指示?
粟生「あの打ち合いは支持ではなく、本人の感覚で行ったものだと思います。基本的な作戦というか、ボクシングとしては足を使って右でコントロールしてっていうのがあったので。ああいう面白い展開になって良かったのかなとは思いますけれど、まだ粗いところもあるのでそこはこれからも修正しつつ、もっとレベルを上げていきたいと思います。行くなとは伝えていません」
――2R以降、インターバルで座るようになって立ったり座ったりしていたが?
粟生「目の腫れもあったのでその処置もあったので、立ったままだとやりづらいのでセコンド3人で次の回は座らせようとみんなで決めて無理やり座らせました」
――天心選手は座らないぞって感じを出していたか?
粟生「最初は椅子に足を置いて、またこいつ座らないやと思っていたんですけれど、そこはこっち向かせて座らせて」
「癖ですよね。仕方ないですよね。ダメですよ、ちゃんと座る練習しないと(笑)」