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【RIZIN】元谷友貴、6年ぶりの再戦に「全部変わって全然違う」「この試合は集大成じゃなくて――」大晦日、扇久保博正とGP決勝&フライ級タイトルマッチ

2025/12/22 13:12
【RIZIN】元谷友貴、6年ぶりの再戦に「全部変わって全然違う」「この試合は集大成じゃなくて――」大晦日、扇久保博正とGP決勝&フライ級タイトルマッチ

(C)RIZIN FF

 2025年12月31日(水)さいたまスーパーアリーナで『Yogibo presents RIZIN 師走の超強者祭り』が開催される。

 メインイベントではフェザー級王者であるラジャブアリ・シェイドゥラエフ(キルギス)に朝倉未来(JTT)が挑戦する他、ライト級、女子スーパーアトム級、バンタム級でもタイトルマッチが行われ、フライ級では王者を決めるため7月から行われてきた10人トーナメント「RIZINフライ級ワールドグランプリ」の決勝戦で、扇久保博正と元谷友貴がタイトルをかけて激突する。

▼RIZINフライ級(57.0kg)選手権試合(フライ級GP決勝)5分3R
扇久保博正(THE BLACKBELT JAPAN)29勝8敗2分
元谷友貴(アメリカントップチーム)39勝12敗

 2006年プロデビューの扇久保と2011年デビューの元谷はそれぞれ修斗とDEEPで二階級制覇を達成し、RIZINでも長くトップで戦って来たベテラン。扇久保は2021年にRIZINバンタム級GPで優勝経験を持つが、両者ともRIZIN王者のベルトを巻いた経験はなく、どちらが優勝しても悲願の戴冠となる。

 2023年から、堀口恭司や、UFC前フライ級王者であるアレッシャンドリ・パントージャらが所属するアメリカン・トップチーム(ATT)へ移籍した元谷は52戦のキャリアを持ちながら今も進化を続けているという。今回の試合に向けても約3週間、ATTでの練習を敢行した元谷は「すごく学べたことが多かったんで。その内容を日本で意識して練習したりして、自分のものにできたかなと思ってます」と、その手ごたえを口にし、「堀口選手もそうですし、パントージャも、サバテロにしてもみんなも強い選手なんで、今の技術なんだろうと思ったら聞いたりしてます」と世界レベルのトップ選手と切磋琢磨していると語った。

 今回王座を懸けて戦う扇久保博正と元谷は2019年の『RIZIN.17』で対戦。扇久保が何度もタックルでテイクダウンすれば元谷も得意のバックテイクで反撃し、終盤は互いに気迫の打ち合いとなる激戦の末、判定2-1のスプリットで扇久保に軍配が上がった。

 当時の試合について元谷は「あれは自分がちょっと、作戦というか、すごく悪かったなと思います。自分が思った作戦が全然ハマらなくて、慣れないことをやって試合を運んじゃったのが、あれだけテイクダウンを取られて負ける原因になったのかなとは思います」と作戦ミスがあったことを明かした。

 普段オーソドックス構えの元谷がこの時はサウスポーに構えていたが、それが作戦だったのだという。

「サウスポーだったらテイクダウンを切れないということが分からなくて、練習中もめっちゃレスリングが強い相手がいるかっていったらそういうこともなかったので。だから試合中に柔軟に(構えを)変えればよかったんですけど、頭が固いんで変えることもせず……。変なことしなければよかったなって。普段あんまりしないのに、その試合だけしたんで、それはもったいないなとは思いました」と、扇久保の想定以上のテイクダウン能力のため、作戦が上手く機能しなかったことを話した。

 あれから6年、当時から進化した部分について元谷は「全部」と自信を持って回答。「メンタルも含め、技術も含め全部変わってますね。全然違うと思います」と語り、逆に扇久保を見て進化したと思う部分について聞くと「際の技術、その精度が上がっているなと。自分がポイント取るやり方というか、試合運びがものすごく上手い。勝ち方を知っている、ちゃんと印象の付け方とかを熟知してるというか」と、その技術がより磨かれていること、そしてゲームメイキングの巧みさを挙げた。

 共に長年に渡ってRIZINのトップ戦線を走り続けてきた両者。12月13日に行われた公開練習で意気込みを聞かれた扇久保は「まず元谷選手と決勝でベルトを懸けて戦えるってことが本当に僕は嬉しいです。決勝まで来てくれてありがとう。あと少し怪我なく、当日、お互いのため、家族のために全て出して戦いましょう」と元谷へ熱いメッセージを送った。

 そんな扇久保との間に、対戦相手ではあるがある種の絆のようなものを感じるかと聞かれると元谷は「お互い、苦しいじゃないですけど、結構勝ったり負けたりしながらっていうか、似てる部分はあるなと思ってる」とシンパシーを感じる部分はあるとしながらも「絆というか、試合あるから……。どうなんですかね(笑)」とこれから戦う相手を想い多くは語らなかった。

 今回の試合について何度も「楽しみ」という言葉を口にした元谷。「ここ最近というか格闘技を始めて、毎日がこれだけワクワクするのは本当に久しぶりというか、楽しい毎日を過ごしてます。扇久保選手って強いじゃないですか。で、ベルトも懸かっていて、すごい自分の気持ちも上がりますし、勝てるんだろうなっていう思いが出てるから、多分楽しみなんだろうなって」と、強敵との対戦、ベルト、そして何よりゆるぎない自信が、楽しみな気持ちにつながっていると語った。

 互いに悲願のベルト。扇久保は会見で「この戦いは本当に僕の中で集大成だと思っている」と話したが元谷にとってこの戦いはどのような意味を持つのか、そう質問すると意外な答えが返ってきた。

「自分にとっては『集大成』じゃないんですよね。僕は全然まだまだ成長しているし。何だろう、集大成じゃないし……。途中ですね、成長途中」

 53戦目にして、まだまだ成長を続ける元谷友貴。扇久保博正と6年ぶりとなる邂逅は、どのような結果となるだろうか。

◆元谷友貴 Yuki Motoya
1989年9月14日、石川県出身
身長:170cm リーチ:173.5cm(68inc)体重:61.0kg
アメリカン・トップチーム所属

 2011年プロデビュー。15年末の旗揚げからRIZINに参戦し、国内外の名だたる強豪と名勝負を繰り広げてきた歴戦の勇士。18年10月、DEEP二階級制覇を達成するとその大晦日ジャスティン・スコッギンスに一本勝ちで5連勝。19年7月、扇久保博正との死闘に僅差で敗れると、大晦日にはBellatorとの対抗戦でパッチー・ミックスのフロントチョークに沈んだ。21年のバンタム級GPは、2回戦で瀧澤謙太にTKO負けで敗退。22年は大晦日にホジェリオ・ボントリンにTKO勝利を収めるなど5連勝をマーク。しかし23年5月、朝倉海との待望の一戦で無念のKO負けを喫すると、大晦日にはヴィンス・モラレスと激闘の末に判定負け。24年5月、再起戦のDEEPで、負傷欠場の福田龍彌の代打で参戦した平松翔に一本勝利で復活した。大晦日の次期挑戦者決定戦で躍進中の秋元強真に完勝を挙げると、25年3月に井上直樹のベルトに挑戦。フルラウンド拮抗した試合を展開し、打撃で押されるも自身はグラウンドで上回ったがスプリット判定負けを喫しベルト獲得ならず、4年3ヶ月越しの井上直樹へのリベンジも果たせなかった。満を持してフライ級に落として臨んだ7月のGP1回戦では自ら指名したヒロヤに組ませずスタンドも制し、判定勝利。8月の総選挙では、スピーチで指名した神龍との対戦が2回目の投票で選ばれ、新旧DEEP対決が実現、9月28日の準決勝でスクランブル合戦を制した。19年にスプリット判定で敗北して以来の再戦となる扇久保を相手に、ATTで研ぎ澄まされた技術を駆使してねじ伏せ、フライ級最強の座に就く。

◆扇久保博正
Hiromasa Ougikubo
1987年4月1日、岩手県出身
身長:162cm リーチ:163cm (64.2inc)体重:57.0kg
THE BLACKBELT JAPAN所属

 2006年プロデビュー。史上2人目の修斗世界王座2階級制覇を達成。RIZINバンタム級戦線を牽引し、21年のGPでは準決勝で優勝候補の井上直樹に総合力の高さを見せつけると、決勝では一度王座決定戦で敗れた朝倉海に根性でリベンジし優勝。その後22年9月にキム・スーチョルに判定で敗れてからは適正階級のフライ級に転向。現RIZINフライ級王者堀口恭司とは13年に一本負けによる修斗王座陥落以来、RIZIN初参戦の 18年7月、5年越しの再戦で判定負けを喫し、トリロジーとなった22年大晦日の対抗戦でもカーフキックを効かされ苦杯を舐めた。23年7月の超RIZIN.2では朝倉海の欠場に伴い急遽アーチュレッタと対戦。フルラウンド闘い抜くも判定負けでバンタム級王座の国外流出を許した。大晦日にはUFCフライ級王座挑戦を経験したジョン・ドッドソンを完封して連敗を脱出した。24年7月、神龍の指名に応じ因縁の師弟対決が実現すると、接戦を制し己の矜持を示した。1年ぶりの試合でもあったGP初戦は自ら「一番強いから」とホセ・トーレスを指名し、接戦を制した。準決勝進出者を決める総選挙では再び最強の外国人選手アリベク・ガジャマトフを指名しトップ当選を果たすと、9月28日、3R完封の判定3-0勝利で決勝進出を決めた。ここまでも存分に発揮してきた打投極+根性を信条とする自身のMMAを貫いて圧倒的にGPを優勝し、堀口恭司の抜けたRIZINフライ級の絶対王者にとなるつもりだ。

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