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【GRACHAN】荒東、王座陥落。 ベ・ドンヒョンが残り1秒 TKO勝ちでヘビー級新王者に。階級上げた林RICE陽太が元練習仲間の青木忠秀に延長Rで競り勝つ、高橋孝徳が大搗汰晟に延長判定勝ち

2025/09/14 12:09

▼第13試合 ウェルター級 5分2R延長1R
×青木忠秀(総合格闘技道場コブラ会/ウェルター級1位):77.4kg
[延長判定0-3]

〇林RICE陽太(reversal gym Osaka/第4代ライト級王者):77.0kg

 セミファイナルでは、ウェルター級1位の青木忠秀(総合格闘技道場コブラ会)と、第4代ライト級王者林RICE陽太(reversal gym Osaka)が階級を上げて対戦。

 青木は、プロデビューから1分を挟み4戦負けなしも、24年3月に桜井隆多に判定負けで初黒星。8月に能登崇、25年2月に宇土冬真をいずれも2R ヴォンフルーチョークを極めている

 林は、2023年12月に岸本篤史とライト級暫定王座を争い、スプリット判定勝ちで戴冠。2024年2月に大道翔貴に判定勝ちすると、4月には『Road FC 68』に参戦。パク・シウォンに1R TKO負けで連勝が「5」でストップした。その後、正規王者の原口伸が王座返上したため、正規王者となった24年12月の『GRACHAN HELIOS』でライト級王座をかけて同級1位のロクク・ダリと対戦し、スプリット判定勝ち。王座防衛に成功。しかし、2025年5月『GRACHAN 74』で芳賀ビラル海に判定負けで王座陥落(※その後、芳賀は9月28日『RIZIN.51』で矢地祐介と対戦が決定)。林は、ウェルター級のベルト獲得を狙い、階級転向を決意した。

 強いフィジカルを軸に3KO&2SUBと立って良し寝て良しの青木を相手に、4KOの技巧派・林はウェルター級でどんな動きを見せるか。

 1R、サウスポー構えの林は左右からインロー。さばく青木も右インロー。圧力をかけてケージに詰めて左のフェイントからダブルレッグテイクダウンは林。立つ青木に四つから小外を狙うが、青木のヒザがローブローに。中断。

 再開。中央取り右インローの青木。左右にサークリングの林に右ハイをガード上に当てる。左ローを蹴り返す林は右で青木を押し倒すが、すぐに立つ青木。

 詰める青木に左ローの林。体を入れ替え首相撲ヒザでケージに押し込み四つ。左ヒザも体を入れ替えた青木が四つで小外で崩してテイクダウン、バック狙い。しかし足をかけさせず、シングルレッグで立つ林。スタンドで左足をかけるがそこに青木はキムラクラッチでバックに回らせずホーン。

 2R、中央に詰める青木。林は左で押し戻すとバックステップから再び圧力をかけた青木が右ハイ。ガードの林に、サウスポー構えになる青木。林は左オーバーハンドを首筋に当てて組み。四つで受け止めた青木がボディロックからテイクダウン! バックに、林はすぐに横に落としてシングルレッグから背中を見せて立つ青木のバッククリンチから崩してバック引き込みからともに立ち上がり。まだクラッチは林だが、正対した青木がボディロック!

 脇潜りバッククリンチからヒザを突き、テイクダウン!左足をかけるが、ここも横に落とした林。ケージに上体立てる青木は、背中を見せての立ちに。ケージに座りバックについた林だが、アポ気は背後の林に細かいパウンド。

 引き込む林の二重がらみに左で差して正対狙う青木に、林はツイスター狙いも不完全。ホーン。2R判定は1者林も、2者はドローで延長突入。

 延長R、先に中央を取る青木がサウスポー構えから右ハイ。さらに右ストレートで前に。林も右前手を首筋に突いて押し戻すと、左オーバーハンドで先に組みに。

 四つに組んだ青木。林が押し込み細かいヒザ。青木も体を入れ替え、右ヒザ3発。ボディロックの青木は小外がけテイクダウン! 立つ林は右小手で正対狙いも脇潜る青木。バッククリンチからヒザ。ここも胸を合わせた林が離れて左から右を突いて組み。左で差してバッククリンチ。

 正対した青木が左フック。そこに押し込む林。小外がけから崩しテイクダウン! バックから細かいパウンドのままホーン。両者手を上げる。

 延長判定は3-0で林が勝利。第4代ライト級王者がウェルター級転向で青木に勝利した。

 試合後、マイクを持った林は「ギリギリの内容やったんですけど、しっかりウェルター級の身体作ってベルトをいただいて、僕もRIZIN出たいので応援、よろしくお願いします」と語った。

青木忠秀「なめんなよ、試合をすれば分かる」(試合前インタビュー)

「前回の試合以降、対戦相手に関係なく準備は積み上げてきました。あとは当日、勝ちを取りに行くだけです。

(元練習仲間の林RICE陽太が階級を上げて挑戦してくることについて)最初は正直驚きました。僕が階級を落とすなら対戦はあるかもと思っていましたが、まさか林選手から階級を上げてくるとは想像していませんでした。ただ、元チャンピオンとの試合を断る理由はありません。

 正直“なめられているのかな”と思いました。しかも名指しで自分を指名されたと聞いたので、“勝てると思っているんだろうな”と。もちろん、それは本人の自由ですが、試合をすれば分かることです。(周囲は)驚きの声が多かったですね。“まさか練習仲間だった二人が試合するとは”という反応がほとんどでした。特に近しい仲間たちは本当に驚いていました。普段はそんなにプライベートで話すことはありませんでしたが、スパーリングなどを一緒にやっていました。本番で強さを発揮する選手だという印象です。

(試合は)打撃の殴り合いというより、全局面を使ったMMAの戦いになると思います。大阪大会は過去最多の試合数になる見込みで、非常にボリュームのある大会になります。その中でも林選手とのカードは、大阪の格闘技ファンにとって特に楽しめる一戦になると思います。

(林へのメッセージは)僕がウェルター級ランキング1位で、多くの相手を倒してきました。その壁の厚さを実感することになるでしょう。心置きなく全力で来てほしいです。試合で“なめんなよ”と伝えたいですね。林選手とは練習仲間だったというストーリーもありますし、階級を上げてきたという背景もあります。そうした物語が試合に表れるはずです。ぜひ会場で楽しんでいただきたいです。応援よろしくお願いします」

林RICE陽太「全力で倒すことがリスペクト」

「(階級を上げて青木と戦うきっかけは)前回の試合で負けてライト級のベルトを失いました。次はすぐにでも試合をしたいと思っていたのですが、ライト級のランカーとは多く戦ってきたので、新しい挑戦を考えました。その中で青木選手とはいつか必ずやると思っていた相手でした。ならばキャッチウェイトではなく、ウェルター級で堂々と戦おうと決めました。
(フェザー級に落とす選択肢は?)周囲からは『フェザー級でもいけるんじゃないか』と言われたこともありました。ただ自分自身は70kg以下に落とした経験がなく、想像するだけでかなりしんどいと感じました。ですのでフェザー級は現実的ではありませんでした。
(練習仲間の青木との対戦決定に周囲の反応は?)お互いに知り合いが多いので、あまり触れないようにしている人もいましたが、『複雑ですね』と言われることも多かったです。ジムの代表からは『悔いのないようにやれ』と言葉をもらい、キャリアの終盤に差しかかっている自分にとっても響きました。

(階級を上げて変化は?)試合決定後はしっかり体重を増やし、筋力も強化しました。練習でも力が出る実感があります。パワーアップできたと感じています。青木選手とは練習を重ねてきて、お互いのスタイルをよく理解していると思います。そのうえで、相手の得意に自分の強みをぶつける準備をしてきました。僕としては、激しく組みにいく展開を作れれば勝機があると考えており、その形に持ち込めるよう強化してきました。
(青木の)人柄も好きで尊敬していますが、ファイター同士ですから全力で倒しに行くことが最大のリスペクトだと思っています。だからこそ、青木選手にも全力で来てほしいです。そして、大阪で試合するのは1年ぶりくらいになります。判定決着もありましたが、常にフィニッシュを狙ってきました。今回もフィニッシュを目指し、しっかり勝ち切る試合を見せたいと思っています。

 青木選手とは練習を重ねてきた仲間でもありますが、今回はお互い全力でぶつかります。僕は全力で倒しに行きますし、彼も全力で来てくれるはずです。必ず熱い試合になりますので、ぜひ会場でご期待ください」

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