(C)ROAD FC/Kaisei Kuroi
2025年12月7日(日)韓国・ソウルのチャンチュン体育館にて『ROAD FC75』が開催され、「ROAD FCフェザー級王座決定戦」に日本の原口伸(BRAVE)が出場。キルギスの12戦無敗エルデュカルディ・ドゥイシェフと5分3Rで対戦し、判定3-0でドゥイシェフが勝利。原口の戴冠はならなかった。
▼Road FCフェザー級王座決定戦 5分3R
〇エルデュカルディ・ドゥイシェフ(キルギス)13勝0敗 65.4kg
[判定3-0]
×原口 伸(日本)11勝3敗 65.9kg
原口は、GRACHANライト級王者として『ROAD TO UFC』参戦。2023年はライト級で決勝進出もロン・チューに敗れ、MMA初黒星を喫した。2024年の『ROAD TO UFC』では適正階級であるフェザー級で参戦、ホン・ジュニョンに判定勝ちするも、ズー・カンジエにスプリット判定で惜敗。UFCとの契約はならなかった。同年12月の『GRACHAN HELIOS』でGRACHAN復帰。高橋孝徳に1R TKO勝ちで再起を遂げると、25年3月の『ROAD FC 072』で、兄・央も出場しているROAD FCに初参戦。
フェザー級王者のパク・ヘジンと-68kg契約で対戦し、レスリングでコントロールしながらも疲弊せず、テイクダウンごとに削っていき、判定3-0で勝利。25年7月にはパク・ヒョングンもテイクダウンからギロチンプレッシャーでコントロール、最後はキムラで極めている。『ROAD TO UFC』後、3連勝で、ベルトを賭けた戦いに臨むこととなった。27歳。
対戦相手のドゥイシェフは12戦無敗。3KO・TKOに加え、8つの一本勝ちを誇るフィニッシャーで、24年8月のバンタム級トーナメント1回戦では伸の兄・央を1R ネッククランクで極めているほか、リアネイキドチョーク、腕十字、ツイスター、ノースサウスチョークと首系のサブミッションを武器としている。
見るからに強いフィジカルをもとに、右オーバーハンドの強打からケージに詰めてのパワフルなテイクダウン、パスガード、そして積極的にバックポジションにも移行するスタイルは、RIZIN参戦中のラジャブアリ・シェイドゥラエフと似た強みを持つ逸材だ。
キルギスのフェザー級では、シェイドゥラエフを筆頭に、ONE無敗のアクバル・アブデュラエフ、PANCRASEのカリベク・アルジクル・ウール。DWCSからUFCと契約を果たしたムルタザリ・マゴメドフらと並び、「キルギス・フェザー級五将」と呼ばれる強豪の1人と、原口は戦うことになる。
RTUで、強いレスリング一本鎗となっていた自身のスタイルを、野村駿太や南友之輔、木村柊也ら日本拳法、伝統派空手出身BRAVE勢との練習で、緩急をつけた精緻な組みと打撃を織り交ぜて上回る試合運びに進化。さらにBrawで拳を交えたキム・サンウォンとの交流からKTT合宿も経て、ストライカーとして立ち合えるマインドで取り組んできたという。
DWCSのワンマッチ、ZFN、RTUなどからUFCに進むためにも、無敗のドゥイシェフに勝利し、ベルトを巻けるか。
1R、原口はサウスポー構え。オーソのドゥイシェフは右を振ってダブルレッグに。がぶる原口は足を触らせず。立ち上がるドゥイシェフは左、原口も右を振る。
最初のテイクダウンを切った原口。ドゥイシェフのワンツーをかわすとドゥイシェフは右を振って踏み込み組みに。そこに右で差してシングルレッグの原口。差し上げ片足立ちのドゥイシェフに左を差し返してシングルレッグテイクダウン! 立つドゥイシェフのバックにつく。中腰になるドゥイシェフの脇の下からパンチを突く原口。
ドゥイシェフは前転しながら原口の足を獲りにいきつつグランビーロール。それを回させない原口は胴をクラッチしたままま側転してバックについていく。続くドゥイシェフの前転でクラッチを切ってがぶりに変えた原口。両ヒザ着きで右手を足に伸ばすドゥイシェフは、ドライブ。
がぶりで足を掴ませない原口に立つドゥイシェフ。原口は右ヒザ。離れるドゥイシェフはすぐに再びアタック。右足にシングルレッグでつかんで持ち上げると軸足を刈ってテイクダウン! 半身でケージまで動き座る原口。立ち際に右足をかけながら、再度後方に崩すドゥイシェフ。原口はここはあえて力を使い過ぎず。すくっと立ち上がると右腕を差し入れて正対。
金網になおもシングルレッグで押し込むドゥイシェフ。奥の足首も掴んで引き寄せると原口は座る。左足を掴んだまま右で細かいパンチのドゥイシェフ。両足を束ねようとするが、足を抜き立つ原口のバック狙い。バッククリンチから崩しも戻る原口。クラッチをはがしに行く原口にバックから回して手を着かせて足をかけようとするドゥイシェフだが、原口は左足をかけさせずに正対。すぐにドゥイシェフはシングルレッグに移行。頭を叩く原口にドゥイシェフはアンクルピックで崩してテイクダウン。
腰を抱くドゥイシェフはまだ上半身は押さえ込めない。立ち上がりケージまで歩く原口。後方から足をかけて崩すドゥイシェフはその際で右足をかけてシングルバックで背中に乗るが、解除して着地。原口はスイッチ狙いから金網づたいに走って抜ける。
スタンドに。ドゥイシェフの左に原口は左を合わせに行くとドゥイシェフは右前蹴り。原口は左ボディストレート。さらにシングルレッグでドライブ。左オーバーフックでスプロールするドゥイシェフは左回りでケージに足を詰めさせず。
両足を後方に飛ばして腹で原口の頭を押さえて左で細かいパンチを脇下から突く。レスリングで煽って頭を抜いた原口に、すぐさまケージに押し込むドゥイシェフ。ダブルレッグでクラッチして尻を着かせると、細かいヒザ。座ったままの原口。頭をアゴ下につけて足を束ねるドゥイシェフは頭ごしに左のパウンドでゴング。
決定打は被弾しないものの、受けに回った原口。ドゥイシェフのラウンド。攻め続けたドゥイシェフのスタミナは?
2R、ドゥイシェフの右アッパーに左前足にシングルレッグに入る原口。左小手巻き、左足を外に出して片足立ちのドゥイシェフは右手で原口の右ヒザ裏を掴んで前転。足にからんでヒザ十字狙いも、ヒザを抜いて曲げている原口は回って足を抜いてバックに!
サイドバックになると1R同様に中腰になってグランビーロールで前転するドゥイシェフ。原口は巻き込まれずに解除してがぶりで抑え込みたいが、すぐにシングルレッグのドゥイシェフは股に頭を入れてダブルレッグに移行しテイクダウン。
劣勢から優勢に。腰を抱くドゥイシェフの股間に右手を差し込むスイッチで右足を掴みに行く原口。しかし左回りで切るドゥイシェフに、原口はバタフライガードから左足を外に出してハーフから左差しで起き上がりに。そこで右で小手巻き潜らせないドゥイシェフの左足首に左足をフック。いったん左で差し上げてから引き寄せ潜りスイープ狙いの原口だが、ひっくり返らないドゥイシェフを跳ね上げ原口は立ち上がりも、そこでバッククリンチのドゥイシェフ。
スタンドバックからヒザをコツコツ突き、背後から足払いで崩して原口に手を着かせた瞬間に背中に飛び乗ろうとするが、ここも原口は足をかけさせず。すぐに立ち上がる原口を振り回して細かいヒザ。原口も後ろのドゥイシェフにヒジを突く。膠着ブレイク。
スタンド再開。右フックをガード上に突くドゥイシェフ。続く右ストレートをヒット。さらに右を刺す。被弾した原口は左を振って組みに。しかし深追いせずに前進し、スプロールするドゥイシェフが上体を上げたところに左から右のワンツー。今度はドゥイシェフがシングルレッグに。
その足を抜く原口になおも左足を手繰るドゥイシェフはヒザ着きで亀に。原口は片足を持たれながらもがぶりで上から左のパンチ。レッスルアップでダブルレッグで押し込むドゥイシェフを俵返しで後方に投げるが、足を持ったままのドゥイシェフは返り切らずに戻って上に。
ついに背中を着かされた原口。ドゥイシェフはサイドから横四方で抑えてヒザ、右手枕で肩口をアゴに押し付けてから持ち替えてノースサウスチョークに移行。すぐにうつ伏せになる原口は亀に。バックに回るドゥイシェフととともに立ち上がり。
バックにつくドゥイシェフとともに金網際まで歩く原口。ボディロックからの崩しに、今度は原口が前転。クラッチして前に突っ込むドゥイシェフを送り出してフォークレスリング的に足を持って起き上がり。ドゥイシェフをがぶりダースを狙うが、作る前にドゥイシェフはヒザを立ててシングルレッグでケージまでドライブ。
残り10秒でダブルレッグテイクダウン。腰にしがみつくドゥイシェフに座ったままの原口は右で細かいパンチもゴング。2Rもダメージは互いに少ないがドミネートしたドゥイシェフのラウンドに。
1、2Rを取られた原口は最終回をビッグラウンドとする必要がある。
3R、大きく踏み込んで右を振るドゥイシェフをかわす原口。ドゥイシェフはさらに低いダブルレッグもスプロールして切った原口。お腹の下にドゥイシェフを置いて細かいパンチ。立ち上がったドゥイシェフはひと呼吸置くとなおもローシングルへ。
後方に足を飛ばして防御の原口。しかし、シングルレッグからダブルレッグに移行し脇潜るドゥイシェフは押し込み。その右腕を原口はキムラグリップでキャッチ。右足を手繰り寄せようとするドゥイシェフを後方に回そうとすることでクラッチを切って立ち上がり。
右ストレートを2度突いてからダブルレッグのドゥイシェフ。スプロールする原口の右脇を手繰り、左手を大きく原口の腰に回してバッククリンチ。後方からこつこつヒザを突く。頭をケージにつけて後方のドゥイシェフにヒジを突く原口は正対狙い、そこにドゥイシェフ右足を抱えたまま左足首を掴み崩しに。原口は左足を抜いて正面に向き直し。
正対して左ストレートで前に出る原口。ドゥイシェフは右フックを肩口に届かせる。さらに右に原口は左ヒザを合わせる! 左前蹴りからそのままダブルレッグのドゥイシェフはシングルレッグに移行し、片足立ちの原口のバック狙い。ここは原口が後ろにつかせず左フック。さらにシングルレッグのドゥイシェフをがぶり。
そして右腕でノーアームのギロチンチョークをセット! 左足で蓋をして絞ると、嫌ったドゥイシェフは前方して仰向けになり原口の腰を押して防御。首を外す。原口はトップの取り合いからがぶりバック狙いも腕を伸ばして阻止するドゥイシェフはなおも右足首を掴むが、回転して足首を抜く原口は正対してがぶり。
左回りでバックにつこうとするが、右手を伸ばして阻止したドゥイシェフは原口の奥足を掴んで尻を着かせると、その立ち際にバッククリンチに。右手を差し入れて正対する原口にシングルレッグテイクダウン! 座った原口はなおも右腕でノーアームギロチンチョークもドゥイシェフは首を外してそのまま抑え込めず、細かいパンチを見せた。
ゴングに原口は頭を抱えてケージ背に座り込み。ドゥイシェフが差し出した拳に拳を重ね、先にドゥイシェフが立ち上がり。両手を挙げた。
激しいMMAレスリングを軸にともに決定打はないなか、切れないスタミナで要所で上回ったドゥイシェフ。
判定は3-0でキルギスのエルデュカルディ・ドゥイシェフが勝利。「こんにちは、韓国の皆さん、韓国の様々な場所から来た仲間たち、まず私は家族に心から感謝します。そして私を応援してくれる友達に、そして私を応援してくれる仲間たちにも本当に本当に感謝しています。そして私たちのキルギスのように小さなMMAをベルトを獲得するまでに上がれて本当に嬉しかったです。両親にも心から感謝しています。
そして私たちの政府には、私たちにもっと多くの機会を与えてほしいと思います。そして私が知っていた以上に本当に素晴らしいシーズンでしたし、原口選手のスタイルもすごく良くて、思った以上に大変でした。そしてこれからもこうしてMMAをもっと高いレベルに上げてきたので、これからも本当に本当に一生懸命頑張ります」とコメント。
敗れた原口にもマイクが渡され、「全力出したんですけど。ただ相手がもう自分を上回って完敗です。今回、素晴らしい選手と戦えて、キルギスの国々の方々もすごくこの試合を盛り上げてくれて、本当に自分も気合いが入りました。今日までサポートしていただいたチームの皆さん、家族、ありがとうございました」と勝者を称えた。





























