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『ROAD TO UFC』で敗れた日本人選手が韓国で再起を果たし、再び「UFCへの道」を進んでいる。日本で実績のある選手を踏み台にしようとする韓国勢を相手に河名マストはZFNで、原口伸はROAD FCで勝ち名乗りを受けている。その2選手の試合を紹介したい。
2025年6月28日(土)、韓国・ソウルのチャンチュン体育館にて『ROAD FC 73』が開催され、日本の原口伸(BRAVE)がROAD FC 2連勝をマークした。
原口は、GRACHANライト級王者として『ROAD TO UFC』参戦。2023年はライト級で決勝進出もロン・チューに敗れ、MMA初黒星を喫した。2024年の『ROAD TO UFC』では適正階級であるフェザー級で参戦、ホン・ジュニョンに判定勝ちするも、ズー・カンジエにスプリット判定で惜敗。UFCとの契約はならなかった。同年12月の『GRACHAN HELIOS』でGRACHAN復帰。高橋孝徳に1R TKO勝ちで再起を遂げている。
25年3月の『ROAD FC 072』で、兄・央が出場しているROAD FCに初参戦し、フェザー級王者のパク・ヘジンと-68kg契約で対戦。レスリングでコントロールしながらも疲弊せず、テイクダウンごとに削っていった原口が判定3-0で勝利している。
ヒョングンは38歳で6勝5敗2分(1KO・2一本勝ち)。24年10月の前戦では、原口が所属するBRAVEの後輩の黒井海成に1R ギロチンチョークで一本勝ち。3月大会では、パク・ヘジンに勝利した原口に対戦をアピールしていた。
原口としては、UFC再挑戦のためにも、UFC Fight Passで配信されているZFNとも選手の行き来のあるROAD FCで勝利し、今後、ZFN参戦も視野に入れていきたいところだ。会場にはZFN代表“コリアンゾンビ”ジョン・チャンソンも来場した。
▼65.8kg契約 5分3R
〇原口 伸(日本/BRAVE)10勝2敗
[2R 2分53秒 キムラロック]
×パク・ヒョングン(韓国)11勝6敗
1R、ともにサウスポー構え。先に右ミドルを突くヒョングン。原口も前足で右ミドルハイ。ヒョングンは歩きながらスイッチして右前蹴りを腹に。原口はその蹴り終わりにダブルレッグからアンクルピックでテイクダウン!
フックガードをとったヒョングンは下から右ヒジを連打。体を離して中腰になった原口に、蹴り上げから立つとうとするヒョングンに、原口は首を抱えてがぶり、引き落とすと、アナコンダチョークのクラッチに。押し込むヒョングンにギロチンチョークに切り替えるがうまく組めず、すぐに頭を抱えたまま先に立ち上がる。
ヒョングンが頭を抜いて上体を立てた瞬間に、原口は低いダブルレッグテイクダウン! ケージ際で上体は立てて金網背に座るヒョングンの足をまとめ、手首をコントロールし、腰を引き出して背中を着けさえようとするが、ヒョングンは片手をマットについて立とうとするところに、原口は右手頭を抱え、左手で左足を持ち上げて横に崩そうとする。
金網背に座るヒョングンが首を上げようとすると上からノーアームでギロチンに抱えてネッククランク気味に首を横に絞る。さらにハイエルボーのギロチンチョーク! しかしヒョングンは右手で大丈夫と示すと、原口はそれに固執せず、右で首は抱えたまま左で脇差し崩し。戻して座るヒョングンに今度は左手で頭を抱えるが、左で差して立ち上がるヒョングンがついに離れる。
スタンド。右ジャブからワンツーを突くヒョングンは右前蹴り。その打ち終わりに右フックを振る原口は返しの左も、そこに右ヒザ、右フックはヒョングン。そのフックを潜ってダブルレッグテイクダウンの原口!
ヒョングンの左足の下にをいったん自身左ヒザを入れて横に崩すと、左で差してマットに背中を着けさせとハーフから右ヒジ、パウンド。そのスペースでヒョングンが身体を起そうとすると右でがぶり、ギロチンプレッシャー。ケージに押し込み極めようとするが、ヒョングンが首を抜いたところでマウントになり、ゴング。
2R、ともにサウスポー構えから右前蹴り、右ジャブで前に出るヒョングンに、原口は右バックフィストの動きを見せる。右三日月蹴りを腹に突いたヒョングンだが、ローブローに。中断。再開。
原口は遠間から右を振ってニータップからダブルレッグテイクダウン。左足を抱え、右手で頭を抱えて来たヒョングンを煽って脇を潜ると、バッククリンチに。すぐに座って上半身をケージにつけるヒョングン。右足をかけている原口は頭を抱えてハイエルボーギロチンチョーク。下になることで外したヒョングンのポジションを奪い、ハーフで上に。背中を着いたヒョングンに右で脇差し、左ヒジ、パウンドを落とす原口は上四方に移行し、右ヒザでヒョングンの右腕をピンして、頭をまたぎながら左手首を掴んでキムラロックへ。絞ると、ヒョングンがタップした。
勝利のバック宙を見せた原口は、試合後のケージ内のインタビューで「初一本(勝ち)なので、ちょっと今日は眠れなそうにありません」と笑顔。仏頂面で無言でマイクを向けるインタビュアーを気にせず、「今回、韓国に来てほんとうに温かい人が多くて。昨日のリカバリーもはスンドゥプでした。I Love Korea, Thank You」とマイク。
敗れたヒョングンは、「何をどう言ったらいいか、今、私は心があまりにも痛くて。少し距離を置いた会話をしてしまったこと、本当に申し訳ありません。完璧な実力で打ちのめされてしまいました。本当に自信があったゲームでした。私のために助けてくれたチームメンバーのイ・ユンジュン監督、そしてジョンヒョンに本当に申し訳なく、感謝しています。
私はROAD FCでプロデビューし、仕事をしてきた中で、7年間、本当に多くの愛も受けました。悪評も受けましたし、本当に多くのことを受けました。グローブを置いてケージを降りる時が来たのではないかと。こんな風に感情が揺れ動いています。まだMMAをあまりにも愛してきたからこそ、ここを実際は離れたくないのも事実です。厳しいトレーニングを続けたのも事実なので、本当に残念です。良い姿を見せられず、申し訳ありません。そして、私をずっと支えてくれたこと。イ・ソンムン代表、本当に感謝しています。ほかにも多くの方々が助けてくださっているのに、私の感情が揺れ動いてしまって。このROAD FCの最高の舞台に上げてくださったジョン・ムンホン会長にも、本当に感謝しているとお伝えしたいです。そして私の兄。私のTシャツまで作ってくださり、私たちがつらい時や幸せな時も常に一緒にいられるし、これからも一緒にいられることを、この大きな舞台で言えることが嬉しいです。
このROAD FCに本当に感謝しています。夜は下りますが、本当に素晴らしい選手たちがこのROAD FCにはいて、私もこの格闘技のために、これからはリングの外でも少しずつでも一歩ずつ進んでいけるように努力します。負けて本当に申し訳なかったし、愛を受けて感謝しています。ここまでにします」と引退を表明。グローブをマットに置いて、28歳から始めた11年のプロキャリアに幕を閉じた。
ヒョングンは対日本では、2015年に根津優太にTKO負け、2024年に黒井に一本勝ち、そして今回、原口に敗れ、引退となった。
原口は、4月の『ZFN ORIZIN』で勝利し、Double GFCフェザー級&ライト級二冠で中村大介に判定勝ち、岩倉優輝にも判定勝ちしているパク・チャンス(8勝2敗1分)からも指名されており、次戦はどうなるか。











