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2025年12月6日(日本時間7日)米国ネヴァダ州ラスベガスのT-モバイルアリーナで開催される『UFC 323: Dvalishvili vs. Yan 2』(U-NEXT配信)。フライ級5位の平良達郎(日本/THE BLACKBELT JAPAN)が、元同級王者で現2位のブランドン・モレノ(メキシコ)と対戦する同大会のコメインにて、「UFC世界フライ級選手権試合」(5分5R)として、王者アレシャンドレ・ パントージャ(ブラジル)と、UFC5連勝中の24歳の挑戦者ジョシュア・ヴァン(ミャンマー)が対戦する。
▼UFC世界フライ級選手権試合 5分5R
アレシャンドレ・ パントージャ(ブラジル)王者 30勝5敗(UFC14勝3敗)※UFC8連勝中 125lbs/56.70kg
ジョシュア・ヴァン(ミャンマー)挑戦者 15勝2敗(UFC8勝1敗)※UFC5連勝中 124.5lbs/56.47kg
前日計量はともにクリア。会見にUFCのアンチ・ドーピングプログラムで50回のドーピング検査をクリアした証のジャケットを着用してきたパントージャ。2000年代生まれでタイトルマッチに挑む最初のファイターとなるヴァンは王者に敬意を示しつつも「リスペクトしすぎない」と語っている。U-NEXTより届いた両者の試合前インタビューを紹介したい。
アレシャンドレ・ パントージャ(フライ級王者)「試合を感じて流れをつかむ。そして仕留めにいく」
──まずはいま着用しているジャケットについて聞かせてください。UFCのアンチ・ドーピングプログラムで50回のドーピング検査をクリアし、あなたはUFC史上85人目の受賞者になりました。どれだけ誇りに感じていますか?
「すごく誇らしいよ。だってドーピングの話になると、俺たちは生身の人間を相手にする格闘家ってことを考えなきゃいけない。危険なスポーツなんだ。もし誰かがステロイドなんかを使ってパフォーマンスを上げていたら……それは本当に危ない。だからこそ、このスポーツがクリーンであることは非常に重要だと思ってる。ケージの中では、人の人生を終わらせる可能性だってある。みんながお互いをリスペクトして、クリーンな状態で戦わないといけない」
──これまで“最も変な場所にドーピング検査官が来た”という経験はありますか?
「あるよ。俺の町、ハオ・ドカボに来た時だ。リオデジャネイロから3時間も離れてるのに、まさか本当に検査官がそこまで来るとは思わなかった。ドアをノックされて本当に驚いたよ」
──今回の相手、ジョシュア・ヴァン(フライ級1位)についてどう感じていますか? すでにフェイスオフも済んでいて、彼は今年最高の試合のひとつだったブランドン・ロイバル(フライ級3位)戦の勝者です。リマッチではない新たな挑戦者と戦う気持ちは?
「彼は本当に素晴らしいよ。2025年は彼にとって最高の年だと思う。若い世代をすごく勇気づけてる。努力すればUFCのベルトは遠くないっていうことを示した選手だ。特に2000年代生まれの選手たちにとって、大きなインスピレーションになってると思う。若くてハングリーな相手と戦えるのは嬉しいよ」
──ジョシュアは“あなたの過去の相手はあなたをリスペクトしすぎている。自分はそうはならないと言っていました。どんな試合になると予想していますか?
「最高の試合になると思うよ。俺は防衛するためじゃなく、もう一つベルトを勝ち取るつもりで試合に臨むんだ。ベルトを懸けて戦う時は、常に自分の全盛期をぶつけに行く気持ちで挑んでる。俺はキャリアの中で多くの相手をフィニッシュして、この立場にたどり着いた。だから、ジョシュアとはベスト同士の戦いになる。
彼がロイバルと戦った時、2週間のショートノーティスだった。でも今回はフルキャンプでしっかり準備している。間違いなく前回より強い彼と戦うことになる。ただ、俺にとってもカイ・カラ・フランスと戦った直後に、次の相手が誰かを把握できたのは良かった。カイ・カラ・フランスとの試合後に、彼がオクタゴンに来た瞬間、次の挑戦者はこいつだと分かってたからね。だからこそ、すごく集中して準備ができた。
ジョシュアのことは本当にリスペクトしているよ。だから、誰よりもジムに残って練習してきた。俺はパウンド・フォー・パウンドになりたいんだ。でも今は強い王者が多すぎる。イスラム・マハチェフ(ウェルター級王者)、メラブ・ドバリシビリ(バンタム級王者)、イリア・トプリア(ライト級王者)、ハムザト・チマエフ(ミドル級王者)、アレックス・ペレイラ(ライトヘビー級王者)、アレクサンダー・ヴォルカノフスキー(フェザー級王者)……みんな怪物ばかりだ。今はUFC史上最高レベルの王者が揃っている時代だと思う。その中でNo.1になるのは本当に難しい。でも俺はそこを目指してる」
──では、あなたはパウンド・フォー・パウンドのランキングで過小評価されていると思いますか?
「いや、みんな素晴らしいからね。誰もが強みを持ってる。チマエフの強さ、トプリアやマハチェフの無敵感、メラブの安定感、みんな本当にすごい。その中に自分がいることがまず嬉しいし、この試合で証明したいのは、その中でも俺が一番だってこと。それが俺の目標だ」(※パウンド・フォー・パウンドランキングの1位はイスラム・マハチェフ。パントージャは5位にランクされている)
──ジョシュア・ヴァンはあなたを「史上最高のフライ級ファイター」だと言っていました。彼がMMAを始めた頃にはDJ(元UFCフライ級王者デメトリウス・ジョンソン)はすでにUFCを離れていて、彼はあなたの試合を見ていた、と。彼がデメトリウスよりあなたを上に評価していることをどう感じますか?
「感謝してるよ。多分彼は、最高のファイターを倒したいって気持ちからそう言ってるんだろう。彼が話す内容からも分かるけど、まだ若いのに素晴らしいメンタリティを持ってる。俺と似た考え方だよ。でもDJにはDJのレガシーがある。俺たちフライ級がここまで来れたのは、間違いなく彼が道を切り開いたからだ。彼がいたから今の俺がある。俺はいつかDJと戦いたいと思ってたけど、それはもう叶わない。だから今は自分にできることに集中してる。この階級でまだやりたいことが山ほどある。ベルトを守ることもそのひとつだ。そして今はジョシュア・ヴァンが倒すべき相手だよ」
──堀口恭司(フライ級8位)については以前も聞かれていましたが、先ほど平良達郎(フライ級5位)も“もしモレノをフィニッシュできたら俺が次の挑戦者にふさわしい”と言っていました。フライ級全体をどう見ていますか? 新しい顔ぶれがどんどん出てきています。
「本当に素晴らしい時代だよ。フライ級はみんなが努力してきたおかげで、今ではUFCの中でも最高の階級のひとつになってる。トップ15まで、全員が強い。この年末でも多くのビッグファイトが組まれた。堀口とタギル・ウランベコフ(フライ級12位)の一戦や、モレノ(フライ級2位)と平良(フライ級5位)の試合……次のイベントではロイバル(フライ級3位)とマネル・ケイプ(フライ級6位)も戦う。フライ級は活性化されているし、ランキングも一気に変わり得る。こんな激動の時代にベルトを持って戦えるのは誇りだよ」
──あなたの息子さんが “成功を恐れないで” と励ます映像が流れました。彼らがあなたの仕事を理解できる年齢になり、言葉で背中を押してくれるのはどんな気持ちですか?
「映像を見るたびに涙が出そうになる。2人の子どもの父親でいられることが、俺の人生で最高のタイトルだよ。息子が言った“成功を恐れないで”という言葉は、すごく深い意味がある。人は何かを成し遂げようと頑張る時、自分の心がブレーキをかけることがある。でも成功のために全てを注いだなら、恐れる必要はないってことだ。それは格闘技だけじゃなく人生全部に通じる。これは俺にとって、本当に大切な言葉だ。父親であることが、俺にとって一番のタイトルなんだ」
──先週あなたは、「自分はオールドスクール(旧世代)で、ジョシュアはニュースクール(新世代)」と言いましたが、ジョシュアはその言い方をあまり気に入っていません。それだとパントージャが衰えているように聞こえて、自分の勝ちに価値がなくなると。これについてどう思いますか?
「彼は賢いよ。若いが、子供じゃない。すごく強いメンタリティを持ってるし、言葉の選び方もうまい。世代の差なんて関係ない、ただ俺が強いから勝つんだって言いたいんだろう。もし彼が勝った時、パントージャが衰えてたからだって言われたくないんだ。それは理解できるし、俺もその姿勢は尊重するよ。でも俺はまだベルトを手放す気なんてない。改めて世界最強のフライ級ファイターと証明するんだ」
──ジョシュアは“2000年代生まれ初のUFC王者になるチャンス”がありますが、あなたにとっては“新世代の挑戦者を止める”という意味もありますよね? この構図についてどう感じていますか?
「いいことだと思うよ。俺とジョシュアには似たメンタリティがある。こういう状況になると“相手は本当に強い”って理解するようになるんだ。だからこそ、ジムであれだけ必死に練習する。もし俺が“いや、こいつは大したことない”なんて思っていたら、ここまで追い込みはしなかっただろう。彼は若くてハングリーで、俺ほど消耗した試合をしていない。だからフレッシュだし、それは彼にとってプラスになる。でも俺は、いつも相手を自分より強く見積もるんだ。そしてオクタゴンで、その強敵を倒す。それが俺のスタイルだ」
──ジョシュア・ヴァンは非常に正確で、速いパンチを持っています。どんな対策を立てていますか?
「対策は秘密だよ。でも俺がいつもやるのは同じだ。試合が始まったら、相手を完全に支配する。それをデビュー戦からずっとやってきた。そして今回は“世界最高レベルの相手の一人”と戦える。それが嬉しい」
──ジョシュア戦に向けて特別な準備はしていますか?
「もちろんだ。彼の強みはみんな知ってる。優れたボクシング、強いテイクダウンディフェンス。すごく良い組み合わせだ。でも俺にも考えがある。ジョシュアは“ゲームプランなんてない。オクタゴンに入ればその場で戦うだけだ”と言っていた。俺も同じ考えだよ。マイク・タイソンが言ったように、“顔にパンチをもらった瞬間、全部変わる”。だから俺は頭で考えすぎず、試合を“感じて”流れをつかむ。そして仕留めにいく」
──将来的にバンタム級へ上げて彼に挑む可能性はありますか?
「メラブが引退したら考えるよ。メラブは強すぎる。彼にはすごいリスペクトを持ってるんだ。俺のチームともバンタム級転向の話をしたことはある。でも本当に時間が必要なんだ。身体を慣らして、筋量も変えていかないといけない。フライ級からバンタム級への10ポンド(4.54キロ)差は、本当に大きい。だから今は時が来るまで待つつもりだ」






