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コラム

【MMA】「朝倉未来vs.平本蓮」の5分5Rのラウンドマストをどう見るか? 物議を醸した「判定問題」から考えるジャパニーズMMAの未来

2024/07/24 16:07
 2024年7月21日、東京・後楽園ホールにて開催された『プロフェッショナル修斗公式戦 2024 Vol.5』のメインイベントの5Rの王座戦の判定が選手・関係者の間で、議論となっている。  北米ユニファイドルールによる傾向も踏まえた現在の判定基準はどうなっているのか。団体によって異なる部分はあるものの、その考え方を知ることで、今週末に注目となっている「朝倉未来vs.平本蓮」などの見方も変わるため、下記に紹介したい。 割れた判定──  21日の後楽園のメインイベントは、「世界バンタム級チャンピオン決定戦」。安藤達也が、5月8日付けで返上したベルトを巡り、環太平洋王者で世界1位の藤井伸樹(ALLIANCE)と、3位の齋藤奨司(FIGHT FARM)が世界王座を争った。  高校・大学時代にボクシング部に在籍し、RISEでもキックを3試合戦っているストライカーの齋藤と、“最も戦いたくない”と称される我武者羅グラップラーの藤井による、打撃vs.組みの構図の5Rの王座戦。  試合は、序盤からスタンド打撃を当てる齋藤とテイクダウンからコントロールを狙う藤井の熱闘に。1、2Rはスタンド打撃で攻勢の齋藤に、テイクダウンを奪うのは藤井だが、齋藤もマットに完全に背中をつかされることなく、金網背に座りながら細かい打撃。藤井も立ち際にクリンチボクシングをまとめている。有効打では齋藤だが、テイクダウン&コントロールは藤井、ダメージは僅差で齋藤のラウンドとも取れる。  3Rはジャブ。右フックを突く齋藤に、藤井が組みのフェイントから右を突く。金網を背にさせる藤井がシングルレッグテイクダウン! 齋藤を寝かせることに成功するが、齋藤も金網背に上体を立てる。藤井が支配したラウンドか。  4Rはャブから右ボディを突く齋藤に、シングル&ダブルレッグで寝かせる藤井。齋藤はシッティングまで体勢を戻すと肩甲骨にヒジ。藤井は両足を束ねたまま頭を上げて左右を顔面、腹にまとめる。コントロールと細かい打撃では藤井のラウンドに。  5R、上下に散らす打撃の齋藤に、シングルレッグ、ボディロックテイクダウンの藤井が齋藤を寝かせるも、厳しい膠着ブレイクにより、スタンドに戻され打撃戦に。右を突く齋藤に藤井も打ち合いに応じ、互いに決定打が無いまま判定へ。 ▼メインイベント 第11試合 世界バンタム級チャンピオン決定戦 5分5R×藤井伸樹(同級1位・ALLIANCE)60.8kg[判定1-2] ※49-46, 45-50, 47-48〇齋藤奨司(同級2位・FIGHT FARM)60.9kg※齋藤が第13代世界バンタム級王者に [レフェリー]片岡誠人[サブレフェリー]福田正人  45-50(1R 9-10/2R 9-10/3R 9-10/4R 9-10/5R 9-10)田澤康宏  49-46(1R 10-9/2R 10-9/3R 9-10/4R 10-9/5R 10-9)鍋久保雄太 47-48(1R 9-10/2R 10-9/3R 9-10/4R 10-9/5R 9-10)  判定は2-1のスプリットに割れ、1者が49-46で藤井を支持も、2者が齋藤を支持。そのうち1者は47-48の1ポイント差で齋藤支持、もう1者は45-50のフルマークで齋藤を支持していた。  ベルトを巻いた新王者は、「FIGHT FARMの齋藤奨司です。大好きな格闘技が怪我で1年ぐらいできなくて、そこから藤井選手と頭の中で1年間戦ってきました。下馬評は不利だったと思うんですけど、自分を信じて、仲間たちを信じて一つのことを頑張り続けたらチャンピオンになることができました」と、今回の試合が1年間、シミュレーションしてきた結果だと語った。  続けて、「特別才能があったわけじゃないですけど、一生懸命頑張れる性格に産んでくれたのは両親に感謝します。何より僕を強くしてくれたのは藤井選手なので藤井選手に大きな拍手をお願いします。そして、総合格闘技を始めるきっかけを作ってくれた高谷さんありがとうございます。これからも自分を信じて仲間を信じて上に行くんで応援お願いします」と、“津田沼の特攻隊長”高谷裕之に感謝の言葉を述べた。  MMAストライカーだった高谷裕之仕込みの“倒される前に倒して勝つ”津田沼魂を継承し、“倒されても殴る・倒されても立ち上がる”スタイルでチャンピオンシップを制した齋藤。対して、打撃での立ち合いからタフなテイクダウン&コントロール、ドミネートを狙った藤井の熱闘の判定に、ファイター・関係者から大きな反響が起きている。 [nextpage] テイクダウン、ポジション奪取の「その先」に──  7月5日のONE Championshipでシェ・ウェイに判定勝ちしたばかりの和田竜光は、「試合した2人はもちろん素晴らしい」と前置きしつつ、「そのブレイクはマジでいらない」「これで(藤井が)負けにさせられるのは厳しいって」「ONEにだいぶ慣れて来た自分がこんなにも腹立ってるんだよ。ONE判定とか言われてるけど、それ追い越してるから」とファイター目線でXに投稿。  同日の昼のPANCRASEで解説を行っていた大沢ケンジ和術慧舟會HEARTS代表は、修斗の動画も確認した上で「今日のパンクラスや修斗、最近のMMAの判定基準はポジションニングが悪くても肘やパンチを小さくても当ててる選手の方が抑えてる選手よりポイントがつく」 「修斗のメイン見ました! 展開や判定の基準も今日のパンクラスの1試合目と3試合目に近いのかなと思います。パンクラスはオープンスコアなので石渡と傾向や評価される所を擦り合わせながら解説してるのですごくいいと思います。そして修斗もパンクラスも基準は一緒だと思います」 「最近はしっかり打撃優先で、特に今日はそれがはっきりわかる展開の試合が多かったのと、僕が見てる最近の試合も今日の修斗やパンクラスと同じようなかんじで判定がおかしいとは思う事はなく、そういう流れになってきてるなと思いました」「今の判定基準だと、ポジションは自分が取りたいから取るぐらいの意識の方がいいかもしれないですね。ポイントをポジション取ったからつくとはあまり考えない方がいいかもしれないです」 「これからのMMAの判定基準を大袈裟に言うと、基本は相手をより傷めつけたものの勝ちだけど、失神させたりレフェリーが止めたり関節技で参ったさせれば早く終わらせる事もできる、という競技だと思っておいた方がいいかもしれないのかなと思おうとしています」と、“打高組低”の傾向にあること。それは「痛めつけた者が勝つ」考えから来ていることなどを語った。  さらに、「MMAの判定基準はよく動くので選手や関係者はその時の判定基準の流れはよく理解しておいた方がいいと思う。また今のダメージを取る流れがまた組みも取るようになる流れになる事もあるので、そこも皆さんは意識した方がいい。常にUFCの判定基準と自分の出る団体の試合を見て、判定基準を意識した方がいい」と、傾向が変わることも指摘している。  各団体は現在、どんな判定基準で採点しているのか。 [nextpage] 「効果的な攻撃」とは何か?  今回の修斗の場合は、下記判定基準によってジャッジされている。 ◆インターナショナル修斗コミッション認定一般社団法人日本修斗協会制定プロフェッショナル修斗 公式ルール 第54条【採点基準】採点は次の順で優先的に評価される。(1)決着に至る影響を与えた攻撃。(効果のある攻撃)(2)決着に至る影響は与えられないものの積極的で明確な攻撃。(明確な攻撃)(3)対戦者の攻撃を無効にするような巧みな試合運び。(ペース支配)  ここでは、最優先に評価されるのは、フィニュシュに近づく効果的な攻撃が与えられたかどうかとしている。  PANCRASEの場合も、「効果的な打撃/グラップリングを、各ラウンドにおける評価の第一優先順位とする」と明記する。  そしてその「効果的」の意味について、「試合の決着に向かって影響力を有するかインパクトを評価」とし、さらに「累積的なインパクトよりも試合の決着に向かう重いインパクトが重視される」と、重い衝撃を与える効果的な攻撃が評価されることが記されている。 ◆パンクラス オフィシャル ルール(2024年改訂版) (2) 判定基準10ポイント・マスト・システムが採点の標準システムである。10ポイント・マスト・システムの下では、そのラウンドの勝者に10点が与えられ、敗者には9点あるいはそれ以下の点数が与えられる(まれに10-10となるイーブンのラウンドを除く)。 ①判定においては、①効果的な打撃/グラップリング(プランA)、効果的な積極性(プランB)、ファイティングエリアコントロール(プランC)の3点からなるMMA技術を評価する。プランBとプランCはプランAが同等であると評価されない限り考慮しないものとする。 ②効果的な打撃/グラップリングを、各ラウンドにおける評価の第一優先順位とする。効果的な積極性は、効果的な打撃/グラップリングが同等な場合の評価に用いられ、ファイティング・エリア・コントロールは、他の基準が同等である場合に限り考慮される。 ③効果的な打撃:試合の決着に向かって影響力を有するインパクト(impact)が評価される。打撃の数による累積的なインパクトよりも試合の決着に向かう重いインパクトが重視される。 ④効果的なグラップリング:試合の決着に向かって影響力を有するインパクトが評価される(インパクトを作り出すテイクダウン、サブミッションの仕掛け、リバーサル、有利なポジションの獲得など)。累積的なインパクトよりも試合の決着に向かう重いインパクトが重視される。例えば、トップポジションとボトムポジションの競技者間の攻防の場合、ポジションよりも、それらの行為のインパクトの大きさ/効果的な結果が重視される。 ⑤効果的な積極性(aggressiveness):試合の決着を積極的にねらうことを意味する。両競技者の効果的な打撃/グラップリングが同等であった場合に考慮される。効果的な結果やインパクトが見込めず、ただ相手を追うような行為は効果的な積極性として評価に加味されるべきではない。 ⑥ファイティング・エリア・コントロール:どちらの競技者が試合のペース、場所、ポジションを支配していたかを判断することによって評価される。ファイティング・エリア・コントロールは、両競技者の効果的な打撃/グラップリングと効果的積極性が同等であった場合にのみ考慮される。 [nextpage] 評価の低い「コントロール」を取りにいくと判定で負ける可能性が高い (C)JMOC  この日の大会後、昨年のABC(アソシエーション・オブ・ボクシング・コミッション&コンバティブスポーツ)総会にも出席したRIZINの柏木信吾氏は、近年のMMAジャッジについて下記のような見解を投稿した。柏木氏の許可を得て、全文を紹介したい。 ◆最近のMMA解釈(柏木信吾) 「ゴールに向けた動きしてくださいねー。あなたはどうやってフィニッシュしたいのか我々にその姿勢を見せてくださいねー。えっ、ゴールする気がない? それはちょっと評価し辛いですねー」  MMAはゴール目指すスポーツ。判定狙いは求められていない流れになってきているイメージ。  ジャッジも①効果的な打撃/グラップリング②効果的な積極性③ファイティングエリアコントロール※JMOC引用  ①の前に「フィニッシュに向けた」と考えると分かりやすく、そしてABCのジャッジは大体この①で差を見出すという共通認識があります。  即ち「コントロール」に行き着く前に結論を出せ。  この解釈で見ていると試合の経過と共にブレイクのタイミングが徐々に速くなっていくのも納得ができます。  試合中同じ態勢になった時「それさっき3分やらせたけど全然ゴールに向かわなかったよね。このポジションまたやらせてあげるけど何か違うもの見せてね」──レフェリーもゴールを目指しています。 (C)Bellaotor  などと偉そうに語っていますが、先日行われたBELLATORバンタム級タイトルマッチのミックスvsマゴメドフの自己採点は46-49でマゴメドフ勝利(予想)にも関わらず、結果はミックス2-1勝利で実際あまり分かっていなかった事が露呈されました。  この理論/解釈は興行主が競技の公平性と安全のために依頼する第三者機関自らが掲げている解釈です。  故に選手はその解釈を理解した上で「判定でもなんでも良いからとにかく勝つ事」をすれば良いのです。ただし1番評価の低いコントロールの分野を取りにいくと判定で負ける可能性が高いという事です(柏木)。  と、23日までに投稿。さらに24日には、これまでユニファイドルールで反則だった垂直縦ヒジの解禁や、グラウンド状態の新定義についても言及。 ◆今まで反則だった12-6エルボーが解禁。グラウンドの定義も「手と足以外の身体の部位が地面についた状態」が新定義。つまり金網際でTDD(※テイクダウンディフェンス)をしながらグラウンド状態の恩恵を受けられなくなる。「グラウンドの恩恵受けたいならしっかり身体をマットにつけてください」。11/1から導入予定(柏木)。  と、新たなルールを紹介している。  これまでユニファイドルールでは、頭が下がったときにマットに手を着けることで頭部へのキックを防ぐことができたが、11月以降は、このルールの盲点を活かしたディフェンスは使えない。手足裏以外のヒジ・ヒザ、尻や背中などをマットにつけることで「グラウンド状態」とみなされて頭部へのヒザ蹴りなどをもらわずに済むが、それはこれまでの手足をマットに着けた状態よりは、リカバリーが難しくなる。トップを取った選手にとっては押さえ込んで極める・削るチャンスにもなる。 [nextpage] 柔道やレスリングのように「擬制されたもの」ではなく、「リアルなアウト(ノックアウト、タップアウト)」が求められる (C)JMOC  繰り返しになるが、日本では各団体によってルールや判定基準は異なるものの、近年は、この「効果的な攻撃」重視は顕著で「コントロール」の“その先”が求められる。打撃においてもエリアコントロールから、インパクトのある打突に繋げること。  組み技においては、テイクダウンするだけでなく、背中を着かせて極めに向かったり打撃を入れることでインパクトを与えなくてはならないことは明白だ。ケージに押し込み、相手が金網やロープを背に上体を立てて座った場合、座りながら小さな打撃を打つことが出来るため、その打たれた状態は完全に「コントロール」しているとは言い難い。  試合会場のマットサイドで様々な角度から最も近くで試合を確認しているジャッジが「有効」と判断する攻撃が採点に反映されるが、それが各ジャッジ、各試合・大会毎にゆらぎがあると選手は混乱する。 『ゴング格闘技』本誌NO.328では、昨年のABC総会に出席したJMOCの松宮智生、豊永稔、福田正人の3氏に「MMA競技運営最前線」として鼎談を行っている。下記にその一部を紹介したい。 (~中略)松宮 ABCではルール、レフェリング、ジャッジング、メディカルに関わることなどの報告が行われました。レフェリングについては、たとえばブレイク、スタンドアップのタイミングについて、こういう方針で行こうという話がありました。かつては、どちらかというとレフェリーはあまり試合に関与しないという方針があったかったかと思います。ただ、「ネガティブな勝利」に向かう姿勢──勝利には向かうけれども、ゴールに向かわないものであれば、それはスタンドアップを躊躇しない、というような話がありました。MMAはやはりノックアウト、サブミッションを目標とするもので、その目標に向かわない攻防については、レフェリーの介入はありだという姿勢ですね。 ――たしかにレフェリーによるブレイクは多くなっているように感じていました。 福田 日米のABCに近い現場レベルでは、その方向で各レフェリーが実践していたと思います。それが正式に言語化された。いきなりここにきてブレイクが早くなったのではなく、徐々に試されていったんじゃないかなと思います。 松宮 判定にあたっては「3D」=ダメージ、ドミナンス(優位性)、デュレーション(支配時間)が考慮されます。ただ、ドミナンスとデュレーションだけでは試合のゴールには向かっていない。 ――さきほどのブレイクの件にもつながりますが、ジャッジの採点としても、たとえばテイクダウンして抑え込んで、それがフィニッシュに向かっていないものだったら、評価は低くなると。 松宮 そうですね。テイクダウンを評価しないわけではなく、ポジショニング自体も評価されますが、ただ単にポジションを取っているだけではなくて、そこから何をするかということが重視される。ゴールはここだと。その目標に向かう姿勢を評価していこうということですね。 ――たとえば背中を何秒くらい着かせないとポイントになりにくいとか、そういう評価は? 豊永 無いですね。組技格闘技の柔道やレスリングは背中を着ければ勝つ。でもMMAはそこに重きを置いてるんじゃなく、“その後”のことが重要ですから。グラップリングが得意だとして極めに行く。だけど、極めることが出来なかったら他の手段を講じてフィニッシュに向かいなさいというのが、今のジャッジだと思います。 松宮 タックル、投げ技、抑え込みのポイントでいうと、たとえば柔道の一本とか、レスリングのフォールというのは、落ち方にもよりますが、実際にダメージを与えるというよりは、ダメージを「擬制」しているわけですよね。これだけの勢いで背中から落ちたら勝負があったと言っていいだろうと。レスリングも両肩をつけたらそれで勝負あったと見ていいだろうと。あるいはこのポジションをキープしたら勝負ありと擬制する。  でも、“MMAのゴール”というのは実際のノックアウトやサブミッションであって、それらはもうリアルなものですよね。だから、向かう方向は、私は「リアリティ」だと思っています。擬制されたものではなくて、リアルな「アウト」(ノックアウト、タップアウト)であること。 ――それは実際にダメージを与えてフィニュシュすることであると。 松宮 そこがMMAの独自性なんじゃないかなと感じています。 [nextpage] 「世界と戦うため」の環境設定で「世界で勝つため」に必要なことは?  ユニファイドルールは、日本の各団体のルールと異なる部分も多い。それでも最新の傾向を反映させることは、日本の選手が海外で戦うときのためにも、必要だという。 福田 ABCのユニファイドルールは、ホームページを見れば簡単に入手できて、文面と同じルールを採用することはいくらでもできるんですけど、やっぱり解釈とか現場の運用の中身がズレてしまうと、それは日本独自のものになっておかしなことになってしまう。また、選手もそのような環境で長く試合を続けると日本から海外に出たときに、試合に集中できないような要素が増えてしまう。日本国内で世界の主要団体で行われている最新のものを競技面に反映できるようにして、選手がこれから海外に羽ばたくときに、違和感なく海外に行けるような環境を提供できるように努力していければいいなと思っています。  競技運営が「世界と戦うため」に必要な環境を整えていくなかで、ファイターたちはどんな選択をするのか。 「打高組低」と言われるなか、コストパフォーマンスの低い組み技をディフェンスに徹底して、スタンド勝負する日本人選手が増えた場合、その打撃は、そのテイクダウンディフェンスは、そのケージレスリングは、海外勢と戦えるものなのか。テイクダウンする方も同様に、それは海外勢を相手に極めに至る、ダメージを与えるものなのかが問われてくるだろう。  世界のMMA最前線では、いまや“出来ないこと”があるのは致命的だ。全てが高いレベルで強くなくては戦えないし、そのうえで際立ったフィニュシュの武器があることが、最高峰に向かうための必須条件になっている。  強くなるための最短ルートはあってもチートはない。自身の強みを活かし、弱みを減らし、いかにフィニュシュに向かうか。 [nextpage] 「朝倉未来vs.平本蓮」のラウンドマストをどう見るか?  今回のジャッジ問題は、今後の試合を見る上で、MMAのひとつの楽しみ方にもなるだろう。  7月28日には『超RIZIN.3』(さいたまスーパーアリーナ)で、朝倉未来(ジャパントップチーム)vs.平本蓮(剛毅會)の試合が、5分5Rで行われる。  通常5分3Rのトータルマストの判定のRIZINだが、この試合は、各ラウンド10点方式による採点で優劣をつけ、3Rまでに決着がつかなければそこまでのスコアをオープン。そして5R終了時にスコアが同点だった場合、トータルで優劣をつけ、どちらか一方を支持するマスト方式で勝者を決める。  明らかにゲームプランに影響するルール変更のなか、朝倉vs.平本は、どちらが攻めてどちらがカウンターを狙うか。ラウンドマストにおいていかにポイントメイクするか。テイクダウン&コントロールは評価されるのか。殴りに行けば、立つスペースが生まれるなか、倒されてもいかに立つか。  本誌では、今回の5分5Rの特別ルールについて、どちらかから声が挙がったのか、と榊原CEOに訊いたところ、「主催者判断」という回答だった。 「主催者として、やっぱりこの決着は自ら2人の選手に決着をつけてもらいたいなと。第三者のジャッジに委ねるんじゃなくてね。ただまあ競技なんで、それを考えた時に5分5Rっていうところが今回最大公約数として落とし所になるかなというところで、色々両陣営とも調整してこのルールになりました」(榊原CEO)  今回の決定に、5分5Rで戦う準備は両者、いつから心づもりが出来て、どんな準備をしてきたのか。  朝倉は「5分5Rでも無制限でもなんでもいいですよ、俺は。最初から1Rから思い切りいきます」と語り、平本は「5Rの方が得意だと思います」とだけ答えている。
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