フライ級で出力が落ちてる(金原)
1R目に得意の形でテイクダウンでサイドを奪ったエリオットは、本誌の質問に「1Rの最初のテイクダウン後、彼は背中を下にして落ち着いた。彼が背中を下にすると、本当に自信がついた。“この試合は勝てる”と思ったよ」と答えている。
そして2Rに2回のテイクダウン。1度目はニータップで倒したが、すぐに立ち上がる朝倉の背中に乗ったエリオットは、両足はかからず。着地したエリオットに朝倉は、練習を重ねた動きで正対して離れることに成功している。
そして2回目はダブルレッグテイクダウン。朝倉はジャブを刺すが、スイッチを繰り返すエリオットはそれをあえて半身になって“誘い込むように”避けて後退している。
朝倉は右から左フックの強打で前に。腰が浮き、前足荷重になっている朝倉。それを潜ったエリオットはマット中央でダブルレッグでテイクダウンを決めた。エリオットが朝倉の打撃の姿勢を見切っていることがわかるカウンターのテイクダウンだった。
前戦で、パントージャにバッククリンチから胴にボディトライアングルを巻かれてリアネイキドチョークで敗れた後、朝倉は「純粋なタックルは多分取られないなっていうのはあったから、あそこは警戒してなかった」と、背後からの崩しを語っていた。
つまり、正面からのテイクダウンには、ほぼカットする自信を持っていた腰の強い朝倉だが、腰が浮くタイミングを取られて懐に入られた、この瞬間を、U-NEXT解説の金原正徳は違和感を持って伝えている。
「前回負けても本人はフライ級が適正だって言ってたんですけど、減量も上手くいって1Rの動きもいいんだけど、出力的な部分で結構落ちてるなって感じたし、今までもう1回踏ん張れた部分を、あんな簡単にテイクダウンされるのを見たことない。腰の重さ・軽さが、減量が少なからず影響してんだなっていうのを凄く思った。自分もバンタムに落として減量の減力っていうのを味わっているんで気持ちは分かる。バンタムで朝倉海を見てみたい」と、本来の「出力」がフライ級で出ていないと指摘する。
マット中央で倒され、ケージを使えない朝倉は、クローズドガードで背中をマットに着けた。
1Rゴング間際は、サイドポジションから朝倉は、エリオットの振りかぶった大きなエルボーを打ち降ろすスペースに、上体を上げて立ち上がった。
エリオットはこのムーブの残像が残っていただろう。
What a performance 💪@TElliott125 gets the submission victory in round two! #UFC319 pic.twitter.com/VGlV60OKPX
— UFC (@ufc) August 17, 2025
朝倉はいったんクローズドガードに相手を入れながらも、足を解いて右ヒザを胸に当てて相手を突き放す。1R同様に振りかぶって右ヒジを落とすエリオット。そこで立ち上がるために、体を起こした朝倉は左手をマットに着いてエリオットの右足を取りにレッスルアップへ。
その動きを待っていたエリオットは、がぶりから右手で朝倉の首を抱えて左手で朝倉の右腕をオーバーフックしてクラッチしてアームインギロチンチョークで後方に回す。その際でパスしたい朝倉に左足をかけて越えさせず。そのままマウントに。
エリオットは抱えていた朝倉の右腕を解除し、右のワンハンドで首を抱えて右半身で絞る。さらに朝倉の右肩を押してマットにつけて、そのスペースで左腕を差し込み、得意のノーアームのギロチンをセットした。
朝倉は左手でクラッチを剥がそうとするがエリオットの腕はタイトに喉下に入っており、朝倉は一度は右側にブリッジを試みたが動けず。右手で、タップした。
このフィニッシュをDJは、エリオットを称賛しながらも、朝倉の寝技の動きを「アマチュア的」と評した。



