父ギルバートと息子エライジャのスミス親子。（C）U-NEXT/Zuffa LLC/UFC
2025年8月9日（日本時間10日朝5時～）米国ラスベガスのUFC APEXにて、『UFC Fight Night: Dolidze vs. Hernandez』（U-NEXT配信）が開催。バンタム級では、風間敏臣（日本）とエライジャ・スミス（米国）が対戦する。
▼バンタム級 5分3R
風間敏臣（日本/和術慧舟會HEARTS）11勝4敗（UFC1勝2敗）136lbs
エライジャ・スミス（米国）8勝1敗（UFC1勝0敗）136lbs
風間は、2021年の『ROAD TO UFC』で中村倫也と決勝を争い、準優勝でUFCと契約。23年8月のUFCデビュー戦は、ギャレット・アームフィールドに1R TKO負けも、24年8月のハラランボス・グリゴリオウに2R、逆転の三角絞めでオクタゴン初勝利を掴んでいる。28歳。
レスリングベースのスミスはMMA8勝1敗。2024年9月の『Contender Series 2024: Week 6』で欠場選手の代役として緊急出場。豪州XFC王者で当時無敗のアーロン・タウ（※RTU205でリオ・ティルトに1R KO勝ち）にアナコンダチョークを仕掛け、オーソからの右を当てるなどタフな試合を制して判定勝ち。
25年2月のUFC前戦では、RIZINで元谷友貴に判定勝ちしているヴィンス・モラレスと対戦し、モラレスのダースやペルヴィアン・ネクタイ、終了間際のRNCを凌ぎ、ジャブ＆ロー、右アッパーを効かせて判定勝ち。2012年、17年の『TUF』に出場した父・ギルバート・スミスが果たせなかったUFC初勝利を挙げている。MMA8勝のうち4KO・1一本勝ちをマークする22歳。
What a comeback ‼️@ToshiOMI_0515 pulls off the triangle after facing adversity in RD 2!#UFCVegas95 is LIVE on @ESPN & @ESPNPlus pic.twitter.com/AjmLmu5iMH
— UFC (@ufc) August 10, 2024
風間は、前戦序盤は相手にスタンドの間合いを作らせず、組みでコントロール。しかし、後半でスタンドで頭の位置が同じところを狙われ、3Rに左フックでダウン。ボトムでヒジを被弾しながらも三角絞めでタップを奪ったが、今回のスミスは身長・リーチともに風間より5cm長く、その打撃の回転力は『Fury FC 92』でのジョシュ・ウォルカー戦でも証明済み。さらにグラップラーのモラレスの首狙いを防ぐなど、これまで一本負けはない。
同時にレスリングベースの強いダブルレッグの組みのプレッシャーを軸にすることで、その際でモラレスに切り返され、リアネイキドチョークを狙われるなど、寝技で危うさも残る。風間は前回は立ち技の間合いを作らせず戦ったが、今回はスタンドで被弾せずに、自身も打撃を入れて組むことができるか。ラスベガス入りした風間敏臣に続き、エライジャ・スミスに、U-NEXTが聞いた。
ダブルレッグはマジで大好き。誰かを持ち上げてスラムするのが快感なんだ
──エライジャ選手、今回のファイトキャンプはご自身のビクトリーMMAで行ってきたのでしょうか。
「そうだよ。今はラスベガスのUFCパフォーマンス・インスティチュートにいるけど、キャンプのほとんどは地元のコロラドスプリングスにあるホームジム『ビクトリーMMA』でやったんだ。実は親父のジムなんだ。それから、デンバーにある『ファクトリーX』でもちょっとクロストレーニングしたよ。クリス・グティエレス（UFC2連勝中）とか、あっちの選手たちとね」
──『ファクトリーX』にも行かれるのですね。コロラドの選手たちはブランドン・ロイバルを中心に、ジムの垣根を越えて交流しているとか。
「以前の『エレベーション・ファイトチーム』で、知ってる選手もけっこういるよ。コロラドのMMAシーンってわりと狭いから、みんな顔見知りって感じ。でも、俺はHAMMAではトレーニングしてない。主にファクトリーXのメンツとやってるね」
──ところであなたのバックグラウンドについて、レスリングや柔術の経験とともに、主にサッカーとフットボールという両表記があって……。
「ハハハ、実際はアメリカンフットボールだよ」
──そのアメフトを続けるつもりだったのが、コロナの影響でMMAを始めたということでしょうか。
「そう、最初はカリフォルニアのジュニアカレッジに行って、“タックルフットボール”をしながらいろいろ考えようと思っていたんだけど、あんなことになっちゃったんで全部止まっちゃっただろ？ それで閉められたジムで、親父と2人で一緒にMMAトレーニングを始めて、数カ月経ったときに、『もし俺が試合に出たらどうだろう？ 試合に出てみたいな』って頼んだんだ。21年にアマチュアで初めて試合して、15秒で相手をノックアウトした。それが始まりで、そこからはもうずっと来てる感じ」
──お父様のギルバート・スミスさんは、RFAウェルター級王者でしたね。エライジャ選手がそう言ったとき、すんなり進んだのでしょうか。
「父から『MMAをやれ』と言われたことはないんだ。最初は俺のことも真剣に見てなかった。でも、ある日、ガチスパーリングの日があるんだけど、そこに俺がジムに顔を出したら、“あ、こいつ本気だな”ってなったんだと思う。そのスパーリングでMMAの凄さを知ったし、自分の身体能力を生かすのに向いていると思った。そっからはもう、すぐに本格的なトレーニングに入ったよ」
──お父様は嬉しかったんでしょうか。
「絶対嬉しかったと思うよ。俺が子どもの頃から“レスリングをやって欲しい”ってずっと思ってたそうだからね。高校のときに1度、レスリングから離れちゃったけど、MMAを通してまた戻ってこられた。そういう意味でも嬉しかったんじゃないかな。父が自分のジムのビクトリーMMAを設立し、このジムの最初のUFC選手になった。彼を誇りに思わせたことを知っているよ」
──お父様のジムでは、あなたが初のUFCファイターで、トレーニングパートナーには今では他のプロ選手もいるのですよね。
「ああ、いっぱいいるよ。今週セコンドについてくれるディラン・キング、ジャスティン・カンポスもそう。カルロス・リベラはテキサスの試合（8.17 Fury FC 107）に向けて準備中だし。いまは俺だけがUFCファイターだけど、才能ある選手はたくさんいるよ」
──あのダブルレッグのタックルはギルバートさんもTUFで見せていました。お父さん譲りでしょうか。
「いや、ダブルレッグは俺自身の得意技だよ。相手を持ち上げてぶん投げる、あの感じが大好きなんだ。観客も盛り上がるし、俺はそのエネルギーを受けてファイトするタイプだからね。ダブルレッグはマジで大好き。誰かを持ち上げてスラムするのが快感なんだ」
