(C)Zuffa LLC/UFC
UFCフライ級が覚醒した日──世界のメディアは、一時は消滅の危機にあったフライ級が、この日の「パントージャvs.カラフランス」「ロイヴァルvs.ヴァン」の2試合により、一気に爆発したと報じた。同級の日本の平良達郎、堀口恭司、朝倉海、鶴屋怜の試合も控えるなか、『UFC 317』のフライ級2試合の試合後のコメントを紹介していきたい。
2025年6月28日(日本時間29日朝8時~)米国ネヴァダ州ラスベガスのT-モバイル・アリーナにて『UFC 317: Topuria vs. Oliveira』(U-NEXT配信)が開催された。
コメインでは「UFC世界フライ級選手権試合」で、王者アレッシャンドレ・パントージャ(ブラジル)に、4位のカイ・カラ・フランス(ニュージーランド)が挑戦。
▼UFC世界フライ級選手権試合 5分5R
〇アレッシャンドレ・パントージャ(ブラジル)王者 30勝5敗(UFC14勝3敗)
[3R 1分55秒 リアネイキドチョーク]
×カイ・カラ・フランス(ニュージーランド)挑戦者・4位 25勝12敗(UFC8勝5敗)
※パントージャが4度目の王座防衛
フライ級キング👑アレシャンドレ・パントージャ💪
— UFC Japan (@ufc_jp) June 29, 2025
カイ・カラ・フランスからタップを引き出し、王座防衛👏
👊 #UFC317
📺 @UNEXT_fight & #UFCFightPass pic.twitter.com/vqrkDUtQkW
試合は、1Rから王者パントージャが回転の速いパンチで距離を詰めて、早々にカラ・フランスのバックを奪取し、ボディトライアングル(4の字ロック)に捕らえる展開。2Rはペースを落ち着かせて力を温存したパントージャだが、3R、連打からバック奪取。粘るカラフランスの防御に、再三のトライでグリップを成功させてリアネイキドチョークを極めた。
4度目のフライ級王座防衛を果たした“絶対王者”は、試合後、U-NEXTの取材に「申し訳ないけどカイ・アサクラとカイ・カラフランスと2人の“カイ”を連続チョークで極めた。次のジョシュア・ヴァンの名前にもカイが入っていたらよかったのに」と笑顔。
\🏆UFCフライ級世界王者🏆/
— U-NEXT 格闘技 公式 (@UNEXT_fight) June 29, 2025
👑アレシャンドレ・パントージャ👑
.
一本勝利で防衛した直後、余韻なく次戦へと切り替わるパントージャ🤯週明けからはただちに若きタイトルコンテンダー:ジョシュア・ヴァンを迎え撃つ戦支度へ🔥
.
💬|ありがとジャパニーズ!… pic.twitter.com/PtwTs1cnhJ
続く会見では、ヴァンについて「23歳の時、僕はレストランで皿を洗っていた。あの男は、23歳でUFC世界王座のベルトをかけて戦うんだ。僕の厳しい挑戦者になるだろう」とミャンマーから来た新世代のプロスペクトについて語り、その後のインタビューでも「『ロッキー6』のようになる。ロッキーがヤングキッドを迎え撃ったように」と早くも死闘を予告している(※ジョシュア・ヴァン試合後インタビュー)。
なぜヴァンにチャンスを与えた? それがUFCだからだ。これがアメリカン・ドリームだよ
──12月に朝倉海を相手に大きなパフォーマンスを披露し、今夜はさらに一段階上のレベルに到達したように見えました。その感覚はどのようなものでしたか?
「ラスベガスでの戦いは素晴らしい。ほぼ公平で、T-Mobileアリーナにはグラディエーターの世代がいて、戦うための最高のアリーナだ。T-Mobileアリーナにいる新しい仲間たちを見て、同じチームで同じ目標を持つ。昨日も今日もアリーナは満員だ。ここでの戦いはまさにそんな感じだ。
試合のためにたくさんトレーニングした。僕はアメリカントップチーム=世界一のチームの一員だ。そこには素晴らしいプロのファイターたちがいて、僕は常にベストを尽くしている。今、僕はパウンド・フォー・パウンドでもより良いポジションに値すると思う」
──ATTのダン・ランバートは先日、「あなたとケイラ・ハリソンだけがすべてのクラス、すべてのドリル、すべてのことをやり、ジムで最もハードに働く人だ」と述べた。この支配力は、長い間待っていたものだと感じますか? ブランドン・モレノとデイブソン・フィゲイレードがチャンピオンだった頃、あなたは混雑した空間にいました。でも、この連勝は予想していた?
「僕は精一杯頑張った。たしかにジムで最もトレーニングしている一人だ。アメリカン・トップ・チームには100%の100人のファイターたちがいる。そして、世界最高のファイターたちの中でとジムで最もトレーニングしている一人になりたいと感じている。それは素晴らしいことだ。ジムに行く。ジムにはたくさんのインスピレーションがある。ケイラ・ハリソンは僕たちにとって大きなインスピレーションだ。しかし同じジムには、僕のトレーニングパートナーであるパオロ・マセド(セルジオ・サントス・9勝2敗)がいる。彼は僕とトレーニングし、仕事に行ってからまたジムに戻ってくる。彼と非常にハードにトレーニングしているから、彼に対してベストを尽くそうと努力している。
だから、みんなに知ってほしい。僕は常に一生懸命トレーニングしている。謙虚でいること、良いチャンピオンになること、みんなの良い手本になることを心がけている。特に僕のジムでは、ジムに行くたびに“チャンピオン、チャンピオン”と声をかけられるけど、僕はジムでスーパースターになりたいわけではなく、みんなにチャンピオンになる正しい方法を示したい。みんなに敬意を持ってトレーニングし、助け合いたいんだ。自分のトレーニングパートナーを尊重し、ジムのコーチに対して良い人間である方法を示してほしい」(パントージャ「いまのATTには犠牲と勝利の匂いがする」)
Pantoja (@PantojaMMA) passes Johnson and Deiveson Figueiredo for most finishes in flyweight history with 8.
— UFC News (@UFCNews) June 29, 2025
Complete #UFC317 Main Card Results ➡️ https://t.co/5qTrHJMzHj
──ジョシュア・ヴァンもまたそのように敬意を持たれるファイターですよね。オクタゴンであなたたちはハグをかわした。彼のなかに“若いパントージャ”を思い出させるものもありますか。
「23歳の時、僕は働いていた。レストランで皿を洗っていた。あの男は、23歳でUFC世界選手権のベルトをかけて戦うんだ。僕の厳しい挑戦者になるだろう。彼は若く、貪欲で、過去のファイターのように口喧嘩を仕掛けない。僕は今夜35歳のプロフェッショナルな試合を戦った。それは多くの素晴らしいファイターたちと多くの戦争を経験したから出来たことだ。UFCが僕にこの新しい男をくれた。みんなが僕にとっての新しい試合を見たいと思っている。僕も戦いたいし、新しい血、新しい若者、非常に飢えた挑戦者との戦いを望んでいる。そして、このベルトを再び手に入れたいと思っている」
──前回ここに来た時、あなたはデメトリアス・ジョンソンと戦いたいと言いました。それは彼が「史上最高のフライ級選手」として尊敬されているからだと思います。ジョシュア・ヴァンは、あなたがどれだけ素晴らしいかを人々に認識させるのに十分な相手だと思いますか?
「絶対的にジョシュア・ヴァンは素晴らしい。これが間違っていると誰が言える?」
──カイ・カラフランスとは再戦でしたが、圧倒的なパフォーマンスでした。何か驚きはありましたか? 彼は別のファイターになっていたと感じましたか?
「カラフランスが僕と戦うとき、彼は自分の過ちをさらけ出すことはないと思っていたし、僕も同じことを感じていた。彼は素晴らしいファイターだ、わかるだろ。でもオクタゴンに入ると、僕は常に挑戦者で、このベルトを手に入れる機会があるんだ。だから驚きはないよ」
──その挑戦者の精神ですが、ジョシュア・ヴァンについては、彼はUFCで比較的新しく若い選手ですが、あなたは彼と戦うことに実際興奮しているように聞こえます。あなたは長い間努力を重ねてここに来たのに、彼はキャリア4年で王座戦の機会を得ている。あなたの中に「まだあの男と戦いたくない」という部分はありませんか? それとも新しい相手に興奮している?
「もちろん、それがUFCだからだ。これがアメリカン・ドリームだよ、ブラザー。断るわけがない。この少年がこんな機会を得たのは素晴らしいことだ。なぜなら、彼は人生を変えることができるからさ。僕はUFCが大好きだ。試合をするたびにチャンスが生まれるから。
僕にとって、これはオキュパイの側に立つ機会でもある。何百万人もの人が僕の行動を見守っている。インスタグラムには多くのデタラメが流れている。“フォロワーが百万必要だ”とか、全てがそうなんだ。僕が戦うのはフォロワーを得るためじゃない。戦うのが好きだからだ。オクタゴンにいる時は、僕はファイターだ。これが仕事で、ここに来てカメラの前に行くと、カメラを見るのが好きだ。でも月曜日に子供たちと妻と家に帰ると、メディアに僕の生活を見せたくない。わかるだろう? それが僕の生活で、良い手本になろうとしているんだ。子供たちが良い人間に育つこと、自分も良い夫になるために努力している。いったん僕が自宅に戻ると、僕はアレクサンダー・パントージャ・パシドモ(Alexandre Pantoja Passidomo)だ。夫として、父親として僕は自宅で自分の用事をこなさなければならない。食器を洗って、犬を散歩させて……それが僕の生活だ」





