キックボクシング
レポート

【NJKF】アグレッシブに攻撃し続けた波賀宙也が日本人4人目のIBFムエタイ世界王者に

2019/09/23 23:09
【NJKF】アグレッシブに攻撃し続けた波賀宙也が日本人4人目のIBFムエタイ世界王者に

波賀(右)が終始アグレッシブな攻撃を見せ、トンサヤームのスタミナを削っていった

ニュージャパンキックボクシング連盟「NJKF 2019 3rd」
2019年9月23日(月・祝)東京・後楽園ホール

▼メインイベント IBFムエタイ世界ジュニアフェザー級王座決定戦 3分5R
〇波賀宙也 (立川KBA/IBFムエタイ世界ジュニアフェザー級1位、WBCムエタイ日本統一スーパーバンタム級王者)
判定2-1 ※48-49、49-48、49-48
×トンサヤーム・ゲッソンリット (タイ/IBFムエタイ世界ジュニアフェザー級2位)
※波賀が新王座に就く。


 2018年9月に知花デビットを退けWBC国内王座を防衛した波賀。その後もペットワット・ヤバチョウベース、ラットとムエタイ戦士を降し、今回の世界タイトル戦を迎える。波賀が獲得すれば日本人4人目のIBFムエタイ世界王者。


 対するトンサヤームはゲッソンリットジムの関係者が「テクニックとIQが高く、センマニー(近代ムエタイの最高傑作とも称される天才テクニシャン)の再来」と期待を掛ける18歳の新鋭選手。5月の厚木大会に来日すると、鋭い前蹴りとミドル・ハイで対戦した梅井泰成を寄せつけず、接近戦でもヒジで鼻血を出させ、組んではコカしといったオールラウンドな戦いで逸材ぶりを見せつけた。


 1R、サウスポー同士。トンサヤームは前へ出ていきなり首相撲に持ち込み、波賀もこれに応じてヒザ蹴り合戦。波賀が突き放すとトンサヤームは早くもヒジを打ち、左ストレートで芳賀を仰け反らせる。さらに首相撲と足払いで波賀をコカす。波賀は左ローを蹴り、ヒザ蹴りにヒザで対抗する。


 2Rもヒザ蹴り合戦。離れるとトンサヤームは波賀の左ミドルに左ストレートを合わせに来る。波賀は左ローを集中的に蹴り、積極的に首相撲を仕掛けてボディをヒザで狙う。前へ出る波賀が右ミドルからの左ストレート、波賀の積極的な攻めが目立った。


 3R、波賀が左ローで攻勢を仕掛けるがトンサヤームも襲い掛かるようにして右ミドルから首相撲に持ち込む。波賀も左ミドルから組み付くとヒザ蹴りを連打。トンサヤームのスタミナを奪いにいくが、コカされてしまう。波賀のボディへのヒザ蹴りで明らかに失速するトンサヤーム。口を大きく開け、疲労の色が濃い。


 4Rも左ローを蹴り、自ら首相撲を仕掛ける波賀がヒザ蹴りで攻勢。トンサヤームはヒジと左ミドルで応戦するが、波賀の右ヒジをもらって大きく下がる。波賀は左ストレートでトンサヤームを2度仰け反らせるが、トンサヤームも波賀の入り際に左ミドルを合わせる。これがどう評価されるか。

 5R、波賀が左右ミドルからの左ストレートをヒット。さらに首相撲でのヒザで攻勢。トンサヤームは下がりながらも左ミドルを蹴る。左ストレートからの首ヒザで攻めまくる波賀。最後まで波賀が前へ出て攻めた。


 判定はタイ人ジャッジ1名がトンサヤーム、日本人ジャッジ2名が波賀の判定2-1で芳賀が勝利。日本人4人目のIBFムエタイ世界王者が誕生した。

 波賀は「今回世界タイトルマッチが決まって練習が本当にきつくて会長のことを嫌いになりそうだったんですけれど、ついてきてよかったです。(今後は)これを目標にしてきたところがあったので、ちょっと休憩させてください」と喜びいっぱいに勝利者インタビューに答えた。

▼セミファイナル 第10試合 S1ジャパントーナメント一回戦 65kg 3分3R
○畠山隼人(E.S.G/NJKFスーパーライト級王者)
判定3-0 ※30-26、30-26、29-26
×栄基(エイワスポーツジム/WMC日本スーパーライト級王者)
※畠山がトーナメント決勝へ進出。


 S1はムエタイの大物プロモーターであるソンチャイ・ラタナスパン氏が主催する大会で、今回、NJKFと同氏との提携関係が結ばれたことにより、日本人による「S1ジャパントーナメント」が55kgと65kgの二階級で実施されることになった。優勝者にはS1ジャパンのタイトルの他、タイでS1のタイトルマッチやIBFの世界ランキング入りといったチャンスが与えられる。

 今大会では65kgの一回戦が1試合行われ、NJKFスーパーライト級王者・畠山隼人とWMC日本スーパーライト級王者・栄基が拳を交えた。


 畠山は2006年5月プロデビューで戦績は10勝(4KO)8敗2分。2018年6月にNJKFスーパーライト級王座を獲得し、パンチを得意とする。

 対する栄基は2006年11月プロデビューで戦績は26勝11敗1分1無効試合。2011年2月にNKBウェルター級王座を奪取すると、その後もJ-NETWORKウェルター級王座、WMC日本スーパーライト級王座、同ウェルター級王座、APKFウェルター級王座と合計5本ものベルトを獲得している。持ち味は左ミドル。


 1R、リーチで勝る栄基は悠然と左ハイを蹴ると、畠山はすかさず距離を潰して左右のパンチ連打。栄基はガードを固めて被弾をまぬがれるが、やや面食らった様子だ。その後も畠山は同様の仕掛けを見せ、強烈な左ボディをヒット。栄基も左右ハイ・ミドルで応戦し、接近戦からの離れ際も左フックで狙う。終盤にかけて、栄基の左ジャブもたびたび畠山の鼻っ柱をとらえた。


 2R、なおもパンチで迫る畠山に対し、栄基は蹴りと左ジャブで対抗。さらに栄基は左右ミドル・ハイを散らしながら左右ボディストレートも届かせる。接近戦でも畠山の前進とパンチに対し、栄基がヒザ蹴りと左右ミドルをねじ込むように合わせていく。畠山はやや腹に効かされた様子だ。


 3R、盛り返してきた栄基に対し、手数が落ち気味となる畠山であったが、接近戦からの離れ際、ついに左フックをクリーンヒット。栄基がダウンする。栄基が立ち上がるとすぐに追撃に入る畠山。栄基は突き放そうとしたところで、再び畠山の左フックをもらって2度目のダウンを喫する。畠山がそのまま押し切るかたちで試合終了となった。

 中盤にやや劣勢となる場面もあった畠山だが、最終回に2度のダウンを奪い、しっかりと差をつけての判定勝ちで決勝進出を決めた。

 なお、決勝の相手は、前日に大阪・旭区民センターで開催された『NJKF 2019 WEST 4th』にて、韓国のチョ・ギョンジェを下した、NJKFウェルター級王者・中野椋太(誠至会)となる。

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