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【UFC】ライトヘビー級王者ペレイラvs.挑戦者ラウントリーJr、女子バンタム級王者ペニントンvs.挑戦者ペーニャ! バティスタがアルド下し7連勝、ハリソンが2連勝、バックリーが5連勝! エスパルザが涙の引退=速報中

2024/10/06 07:10

▼UFC世界女子バンタム級選手権試合 5分5R
ラケル・ペニントン(米国)16勝8敗(UFC13勝5敗)1KO/TKO 4SUB ※UFC6連勝中 135lbs/61.24kg
ジュリアナ・ペーニャ(米国)11勝5敗(UFC7勝3敗)3KO/TKO 5SUB 134.5lbs/61.01kg

 コメインでは「UFC世界女子バンタム級選手権試合」(5分5R)として、王者のラケル・ペニントン(米国)に、元王者で同級1位のジュリアナ・ペーニャ(米国)が挑戦する。

 ペニントンは、2024年1月に、アマンダ・ヌネスが返上したベルトの王座決定戦でマイラ・ブエノ・シウバに判定勝ちして王座獲得。MMA16勝8敗で6連勝中。

 対するペーニャは、王者ヌネスから唯一、一本勝ちで王座を奪取し「UFC史上最大の番狂わせの一つ」を成し遂げたバンタム級元王者。2022年7月のダイレクトリマッチではヌネスに判定負けで王座陥落。2年2カ月ぶりの再起戦となる。MMA11勝5敗。

 ペニントンが初防衛成功なるか、ペーニャが王座返り咲きなるか。

 1R、ともにオーソドックス構え。ペニントンは左ジャブから。ペーニャも左ジャブ。ジャブの刺し合いはペニントンが押し気味。左を深く当てるペニントン。ペーニャも右ストレートを届かせる。ペニントンの左のダブルを右手で払うペーニャ。スイッチしての入りのペニントン。3連打のジャブ。パーリングするペーニャ。ペニントンは右のショートアッパーも。ケージに詰まるも押し戻すとペニントンが右ロー。

 ペーニャはワンツースリーで前に。右を届かせる。ペニントンは左ミドル。そこにペーニャは右を突く。ペニントンのラウンドに。

 2R、ジャブ、スイッチしての入りのペニントン。右をかぶせるペーニャ。そこに左前蹴りを合わせるペニントン。ペーニャはケージにつまずくが、四つに組んでペニントンのヒザ蹴りに合わせてボディロックテイクダウン!

 サイドを奪うと押さえ込み。ヒジを突き、上四方に変えると、スクランブルするペニントンのバックに! 残り1分でボディトラアングルに組む。落ち着いて金網まで歩くペニントンは背後のペーニャにパンチ。ペーニャもパンチする。

 3R、スイッチしての入りのペニントン。そこに右を突くペーニャ! 左フックも。ワンツーで前に出るペーニャ。その組みを振り払うペニントン。左ハイも、前に出て潰すペニントン。左ジャブの刺し合い、四つの組み手から大外気味にテイクダウンはペーニャ。

 亀から立とうとするペニントンの立ち際にバックを奪い、足を差し入れることに成功し、4の字ロック。右腕をアゴ上から絞り、リアネイキドチョークへ! ここは外したペニントン。両脇にペーニャの腕を挟み、凌ぐ。ペーニャのラウンドに。

 4R、前に出るペニントンの左ハイがヒット! しかし下がるペーニャも右を返す。左ジャブダブルのペニントン。パーリングするペーニャも左ジャブ。ペニントンは右で前進。右ボディストレートと上下に散らし、ペーニャの右に右クロス!

 ダウンしたペーニャの立ち上がりにギロチンチョークを狙うが、ペーニャはディープハーフから立ち上がり。詰めるペニントンにワンツーで応戦するペーニャ。ホーン。これで2Rずつを取り合ったか?

ペニントン「自らの努力によって、ここまで辿りついたことに誇りを持っている」(試合前インタビュー)

ペニントン02

──いよいよ念願の試合が実現したという心境かと思いますが、ジュリアナ・ペーニャ選手との一戦に向けての思いを聞かせてください。準備は万全といったところでしょうか。

「もちろん!まさしくこの試合はずっと待ち望んでいた試合で、11年前にしていたかもしれない試合をがやっとできるっていう意味で、いつものような、6〜8週間くらい前に対戦オファーを受けて意志を聞かれるのような類の試合とは全然違う。どうして今までジュリアナと戦えなかったかも分からないし、本当にずっと待ち望んできた試合です。それがユタ州で行われるっていう、つまりみんながここ数日話題にしているけれど高地での試合になった。自分はコロラドで生まれ育っているから標高としては下がっているし、慣れたものだし、高地トレーニングももちろんしてきました。とてもいいファイトキャンプを過ごせたと思っているから、準備はしっかり整っています」

──ご自身のファイトキャンプではどんなトレーニングパートナーがいましたか?

「コロラド州のスプリングのジムに通いながら、デンバーまで週2回通っていて、柔術、レスリング、キックボクシングに特化した5人のコーチがいるのだけれど、自分専用のキャンプのような感じで、トレーニングパートナーを都度連れてきて、家族や友達もずっと近くにいられる環境で取り組んでいます」

──ジュリアナ・ペーニャ対策を、言える範囲で教えていただけませんか?

「実際、試合でコントロールできることって、自分の側のことだけだって思うんですよね。ジュリアナとはTUFで一緒に過ごした経験があって、お互いを敵視したりもしたしで、よく知っている相手だから、いつものように自分がやるべきことをこなしてきたという感じですね。映像も色々見たけれど向こうの試合を見て実際に分析したりするのはコーチやチームメイトの仕事で、彼らがしっかり準備をしてくれているから、自分自身のことに集中していました。自分の映像もたくさん見たんです。というのは、どうやったら自分に勝てるのか。それが今回のキャンプのテーマでもあったから。自分自身についてをひとつずつ紐解いていって変える必要があるところは修正してきた。そういう取り組みによって、これまでなかった自分の引き出しを増やすことができたと思うから、本当にいいキャンプになったという実感があります」

 ──TUFの話題も出ましたが、当時を振り返ってあの経験はどのように今に活きていますか?

「UFCに入れるかもしれないという重要な機会としても本当にいい経験だった。この格闘技のパイオニアでもある二人の有名なコーチ(ロンダ・ラウジーとミーシャ・テイト)が立っていて、本当に唯一無二の経験だったと思っています。TUFのいいところは、やっぱりあくまでも『創られた世界』だということだと感じているんです、TVのリアリティショーだから、見せたいように編集しているし、逆にそのことで選手たちのアスリートであるという側面以外の部分も見せる事ができる。あと、自分自身がとても家族を大事にしているというのがひとつあって、そんな家族の元を離れるというのは、自分にとって快適な空間領域からは引き剥がされて、非日常の世界に飛び込み、閉じ込められるということ。それが自分の夢に集中することにつながっていて、食べることや眠ること、トレーニングしてリカバリをして、そうやって何人もの同じ夢を持った同じような選手たちと一緒に過ごすというのは本当にユニークな経験だし、二人のコーチと何人もの女子選手が集まり、始まりから進化を追って見ていくというのはすごいことだし、次へ向かうためのひとつの節目のようなものとして、いい経験になっています」

──そのTUFで、ラケル選手のチームメイトに日本と馴染みの深いロクサン・モダフェリ選手の姿もありました。

「ロキシーは本当にいい子。TUFのトライアウトに行ったときのことを思い出すけど、ロキシーはいつものままというか、無垢で陽気な、ちょっとおどけた様子でストレッチをしていて。自分としては、まだ他の女子選手のことはよく知らないまま、言われるがままトライアウトに飛び込んだ感じだったから、これ全然意地悪な意味じゃないんだけど、ロキシーのその姿を見て、『あそこにいるのは、学校の先生か何か?』って聞いたの(笑)。オチとして彼女は実際先生やってるから結果当たってたんだけど(笑)。でも当時、彼女が他団体でチャンピオンになったこともそうだし、築いていたキャリアを何も知らなかった。他の選手たちともそういう環境で出会えたのは嬉しかったし、その中にロキシーがいたことっていうのは、彼女は本当に陽キャだしポジティブで、彼女のニックネームの『ハッピー・ウォリアー』と呼ぶにふさわしい人柄だから、あのシーズンのTUFに色んなミックスした要素が加えられたんじゃないかと思っています」

──今も女子格闘技界で活躍を続けているキャット・ジンガーノであったり、レズリー・スミスなどとキャリア初期に戦ってきましたね。その当時を振り返って、10年以上経って女子格闘技が今のように注目されるとは考えられましたか?

「やり続けていることで“あ、これはいつか注目されるかもしれない”って思えたタイミングはあったかなと。このスポーツはどうしたって男性のほうが注目されがちだし、女性の選手の中に全てをかけてトレーニングして頑張れる人がどれくらいいるのかと疑問符をつけられがちなのだと思うけれど、そういうなかにあって女子格闘技も成長を遂げてデイナ・ホワイトがようやく機会をくれるようになって……、本当にクレイジーだと思う。14年間この競技をやっているけど、14年前は対戦相手を見つけることすら大変だった。今でも覚えているけど、昔『UFC初の女子ファイターになりたい!』って言ったら笑われたんです。でもその後、UFCが最初に契約をした女子選手10人の1人に自分が入っていたっていうのは、最高なこと。今、UFCの全ての階級がどんどん大きなものになって、UFCだけではなく他の団体も成長していっているのは、本当にすごいと思っています。今まさに成長の過程にある次の世代の女子選手たちなんて、もう“ワオ!”としか言えないくらい。だって、小さい頃から(MMAの)練習を始めているんだから。恐怖でしかない!」

──女子格闘技を引っ張ってきた世代として、今王者であるということはどのような意味を持っていますか。ベルトを獲ったことはラケル選手の人生にどのような影響を与えたのでしょうか。


「この競技をやっているのはきっと世界の人口の1%くらいの数ですよね。その中で世界チャンピオンになるのはもっと数が少ないでしょう?他のスポーツもそうだけれど、世界チャンピオンになりたいと思っても、大多数の人はなれないまま終わる、それが現実。自分のこれまでのキャリアや歩んできた道のりを振り返ると、自分は別に恵まれていたわけではなくて。本当に自らの努力によって、今のポジションまで這いあがってきた自負があります。その点では自分を誇れる。そんな自分が目標を叶えて今UFC女子バンタム級の王者であるという事実を誰も変えることはできません。それで、何を得られたかといえば、家族の人生を変える事ができたと思う。コロラドで育って、いつか自分の土地や山が欲しい、そこで冒険したり大きな小屋を建てたりと夢見てきたことが実現できました。それを叶えられたのは自分が頑張ったからこそだと思っています。自分の情熱を諦めず追いかけることで、自分の才能を発揮し、夢を叶えることができたと思っています」

──そうやって手にしたベルトを防衛する大切な試合を迎えますが、パートナーのテシア選手が同じイベントで戦うのは、やはり心強いですか?当日は、家族が一堂に会することになるのでしょうか。

「今回はコロラドからもフロリダからも、家族全員が来ます。テシアの家族も全員来るし親友たちとかも揃うからもうてんやわんやですね(笑)。テシアと同じ日に戦うことにはすごくワクワクしています。『一緒の日に戦おう』って自分が提案したんです。テシアは前回の試合から少し自信を失っているところもあって「どうしたい?戦いたい?」って。そうしたら彼女が『戦う』って決めたから、同じ日に戦えるようリクエストしました。それで、少しでも早くストレスから解放されたいから早めのカードに入れてってテシアは頼んでた(笑)」

──二人で同時に育児もしながらトレーニングキャンプを過ごすのは相当大変だったのではありませんか?

「そうですね。だから完全に分業していました。まず私が早朝のトレーニングに行って、その後から彼女がトレーニングに入る。『ひとりの子どもを育てるには村全体の協力が必要だ』ということわざがあるでしょう?その意味が本当に理解できた気がしています。ファイトキャンプ中、母や友人たちがすごくサポートをしてくれた。テシアが朝食を子どもにあげた後、リモートワークをしている友人の家に子供を預けに行く。それから平日の夜は2回くらい母が子どもを預かってくれて、そのまま友人に預けに行ったり。私のトレーニングはテシアより早く終わるから友人の家に私が迎えに行って、子どもの世話をしている間にテシアが帰ってくる、そういう感じでやっていました。今までは私がキャンプの間はテシアが家を守る、彼女がキャンプの間はその逆というふうにやってきたけれど、今回は二人が同時にキャンプに入るということで、あらゆる面で新しいチャレンジになりました」

──さらにラケル選手はベルトを持つ王者でもあります。母としての自分と王者でありファイターとしての自分、そのバランスをどのように保っているのでしょうか。

「この競技の選手でいるということは、感情の振り幅が大きくなることを意味してるんです。全てを懸けて戦うから。特にMMAは良い時と悪い時のギャップが大きい。だからうまくいっていないと本当にどん底まで落ちるし、ファイターであることが自己存在証明そのものなわけだから、すごく辛いこともあります。母になってからは、娘の存在が戦う意味になりました。戦うことそれ自体は自分自身の情熱に基づくけれど、戦う目的は娘のためであるという風にバランスをとれるようになったんです。娘がいることで人生での勝利を得られるというか、勇敢であること、強くあること、努力すること、そういったものをこの子に教える存在は自分なのだと教えられるのですよね。まだ15カ月でほとんどのことは分からないけれど、そんな娘の存在が、新たな情熱や、新しいモチベーションであったりと私に火を着つけてくれる。それから、家族にもすごく感謝しています。お互いそれぞれに試合のために役割を分担してきたけれど、今回に関しては二人でファイトキャンプに入ったので、家族や友人とともに全員で育児をしているような感覚でした。そういう環境で夢を追えることに本当に感謝しているし、とてもワクワクするから、そこでバランスが取れているんだと思います」

──最後に日本のU-NEXTを通して応援しているファンの皆さんにメッセージをいただけますか。

「私を応援してくれている日本のファンの皆さんへ愛を伝えたいです。また日本に行ける日が待ち遠しいです。今まで行った国の中で大好きな国のひとつです。試合を見てもらえると嬉しいです。ワクワクする夜になると思います! レッツゴー! チーム・ロッキーファン!※ロッキーはラケル選手のニックネーム」(U-NEXT SQUAREより)

ペーニャ「相手が何をできるかじゃなく、自分が何をするか」(試合前インタビュー)

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──前戦は2022年7月、アマンダ・ヌネスとのタイトルマッチでした。あれから2年以上の長期離脱となりましたが、久しぶりの再起戦に向けて、現在のコンディションはいかがですか?

「コンディションは最高です、ハッピーだしワクワクしていてやる気もあるし。復帰戦に向けてしっかり準備してきました。怪我が長引いて随分と試合が開いてしまって。前回タイトルマッチをオファーされたタイミングにまだ怪我が治りきっていなかったから、ラケルは別の相手と戦うことになったのだけれど、その後、私と戦いたいからということで、私が準備できる10月まで次の防衛戦を待ってくれていたのです。だから怪我も完治して、完璧な状態でこの試合に臨めます」

──練習環境としては、現UFCウェルター級チャンピオンのベラル・ムハンマド選手とトレーニングしていますよね。欠場している間にベラル選手がベルトを獲ったことは刺激になりましたか?

「もちろん! ベラルは今回私のコーナーに付いてくれます」

──ジムのVFCアカデミーは選手層が厚いと思いますが、どんなトレーニングパートナーたちと練習してきたのですか?

 「ヒザの手術をして戻ってきたあとだから1年半くらい前ですかね、(2015年にUFCで対戦しペーニャがTKO勝利を挙げている)ミラナ・ドゥディエバがロシアから来てチームに加わりました。だから、おもなトレーニングパートナーとしてはミラナ。それから、メキシコから同じUFCバンタム級ファイターのモンツェラート・レンドンにも来てもらったし、ボクシングのスパーリングパートナーとしては今年のオリンピック予選に出ていたタリア・ハルボーセンとか国内でナンバーワンになったキラ・テニーだったりと、若手の有望株を含めて、今すごく強い女子選手達が揃っていて、ここまで毎日みんなが背中を押してくれていました。そんなトレーニングパートナーのみんなにとても感謝しています。本当に素晴らしいファイトキャンプを過ごせました」

──対戦相手である現王者のペニントン選手は2020年のホリー・ホルム戦で判定負けを喫して以降は6連勝中ですが、ファイターとしての進化をどのように見ていますか?また、ボクシングスキルがとても高いですが、対策を練ってきているのでしょうか。

「ラケルが何をできるか、という部分は重視していなくて、自分が何をできるかということに集中しています。ケージに入ってから、きちんと自分のやるべきことを遂行したいから」

 ──久しぶりの試合で見せたいと思っていること、技術的な意味でもパフォーマンスという面でも、なにかサプライズは用意されているのでしょうか?

「見せたいものはもちろんあるけれど、それはここでは言えないですね(笑)」

 ──今回、2013年の『The Ultimate Fighter 18』(TUF)でチーム・テイトの仲間として寝食を共にしたペニントン選手と、10年以上の時を経てタイトルマッチという形で対戦が実現しました。そのTUFでの経験を振り返ってみて、ファイターとしての現在に活きていますか?

 「(TUFハウス=合宿所で)ラケルは二段ベッドの上段、自分がその下で寝ていました。TUFで優勝はしたものの、これまでラケルとの対戦機会なかったのは本当に不思議だなと思っているし、それが巡り巡って今こうして戦うことになりました。当時を振り返って、ということだけれど、ああいうリアリティショーのなかで生活したのはいい経験でしたよ。自分が食べたいものを紙に書いておくと、それを何でも用意してくれて……、本当に、何を書いてあっても翌朝テーブルに並んでいるの!6週間の間、最高のコーチたちとトレーニングできるのはもちろんだし、ケータイもなし、テレビも雑誌も本もなしという外の世界からは完全に隔離された生活になることで、余計な情報を遮断して自分がファイターであるということだけにあんなにも集中していられる機会というのは他にないですからね。生活費や、家族とのいざこざも一切忘れて、食べること、眠ること、必要なサプリを獲って世界最強クラスの選手たちと毎日2度のトレーニングをすることに専念できる、そんな経験は二度とないと思います。それを最大限活用できたし、本当にいい経験になりました。あまり仲良くない人たちと生活を共にするってことを除いては(笑)」

 ──みんな自分のことだけで精一杯というひとたちが集った共同生活ですからね。やはり一番しんどいのは人間関係でしたか。

「完全にそう。自分のことに集中をしていたし、TUFハウスの中では人気者ではなかったしで、友達といえる関係にはなれなかったですね」

 ──先ほど、「ファイターでいることだけに専念できる」とおっしゃっていましたが、そういう “究極の” 環境にまた身を投じてみたいと思うことはありますか?

「今は娘がいるから、それはないですね。ただ、もし娘がいなかったら、望んでいたと思います。無料で最高の環境を得られるし、自分のことだけに集中して最高のトレーニングができるというのはファイターとしては本当にいい時間だったから」

 ──ところで、もともとMMAを始めたきっかけは?

「痩せたかったから。体重を落としたくて女性用のカーディオ・キックボクシングのクラスに参加してみたんだけど、インストラクターが『どこでボクシング習ったの?』って聞いてきて、初めてだから『習ったことはありません』って答えるでしょう(笑)?なのにまたインストラクターが『どこでそのパンチを習ったの?』って聞くものだから、『今、あなたが私に教えてくれた』って(笑)。それが、19歳で初めてパンチを学んだ経験です(笑)。そこからは振り返ることなく、今に至っていますね」

 ──初手からセンスが迸っていたのですね(笑)。もともと運動神経がよかったのだと思いますが、その前は何かスポーツをやっていたのですか?

 「学校でシーズン中だったスポーツをやっていた感じですね。サッカーシーズンはサッカーチームに入って、バスケのシーズンにはバスケチームに入って。バレーボールのシーズンはバレーボールチーム、というような。ただ、大のWWEファンの兄に姉も二人いる大家族の末っ子でいつもやられてたから、タフなのは育った環境のおかげだと思います(笑)」

 ──WWEの話題が出ましたが、ペーニャ選手ご自身、ハルク・ホーガンの大ファンだそうですね。

「そうです。私、リアル・アメリカン・ビール(ハルクホーガンが共同設立者のビールブランド)の最初のアスリートスポンサーなんですよ(笑)。“ハルクが受けた手術と私が受けた手術が同じだ!”って比較したこともあったし、ハルクに会うことが実現したのは、ちょうどTVで彼のハイライトが放送されている時期だったから、それを通して彼のプロレス人生を見たうえで、つまり彼が日本にいた頃も含めて、アンドレ・ザ・ジャイアントや、アイアン・シークはもちろん、ザ・ロックの話だとか、リック・フレアーの顔を蹴り飛ばしたとか、彼の時代の話を踏まえて会話することができたのは、本当に特別な時間でしたね」

 ──先ほど、娘がいるからTUFのような生活はもうできないという話がありましたが、母であることと、ファイターであることを両立するのは大変だと思います。どのようにバランスを取っていますか?

「とても難しいですね。娘は週に2回柔術を習っているのですが、ちょっとこれは口に出すと悲しい事情で、要するに体操だとかダンスだとか、他の習いごとをさせてあげられないから、自分と同じ環境に身を置かせるしかない、娘にはほかの選択肢がなかっただけなんです。他の家族はみんなワシントン州に住んでいて私はシカゴ在住なので頼ることもできないし。だから娘にほかのことをするための時間をとってあげることができません。そういう意味でバランスをとるのは難しいと感じているけれど、今のこの状況は、より良い人生にするための犠牲でもあり、自分たちの将来のためなんだって信じるようにしています。すくなくとも私は彼女にファイターにはなってほしくないし、娘自身もファイターになりたいとは思っていないとは思う。でも、自分で自分を護る術は学ばなくてはいけないのは確かだから、格闘技を教えるのはそのために良いことだとは思っていますし。自信もつくから、いじめられて下を向いてしまうことなく、しっかり毎日顔を上げて堂々と過ごせるようにもしてあげられると思いますし。父が黒帯、母も黒帯になろうとしている、そういう最強ファミリーの娘だってことも含めて(笑)」

 ──それでは最後に、U-NEXTを通してUFCを見ている日本のファンの皆さんにメッセージをいただけますか?

「まずはこれから始めないと。えっと(日本語で)コンニチハ! 私の名前はジュリーです」

 ──流暢な日本語はどこかで習ったのですか?

「ロクサン・モダフェリ(元UFC女子フライ級。TUFではペーニャ、ペニントンと同じチーム・テイトに所属)が教えてくれました。メッセージの続きだけれど、皆さん、私の試合を是非見てください。応援してくれている日本のファンの皆さんには感謝を伝えたいです。数年前に東京に行く事ができたのだけれど、本当に素晴らしい街でとても楽しかったので、またいずれ行きたいと思っています!」(U-NEXT SQUAREより)

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