▼UFC世界女子バンタム級選手権試合 5分5R
×ラケル・ペニントン(米国)16勝9敗(UFC13勝6敗)1KO/TKO 4SUB 135lbs/61.24kg
[判定1-2](44-48×2, 48-47)
〇ジュリアナ・ペーニャ(米国)11勝5敗(UFC7勝3敗)3KO/TKO 5SUB 134.5lbs/61.01kg
コメインでは「UFC世界女子バンタム級選手権試合」(5分5R)として、王者のラケル・ペニントン(米国)に、元王者で同級1位のジュリアナ・ペーニャ(米国)が挑戦する。
ペニントンは、2024年1月に、アマンダ・ヌネスが返上したベルトの王座決定戦でマイラ・ブエノ・シウバに判定勝ちして王座獲得。MMA16勝8敗で6連勝中。
対するペーニャは、王者ヌネスから唯一、一本勝ちで王座を奪取し「UFC史上最大の番狂わせの一つ」を成し遂げたバンタム級元王者。2022年7月のダイレクトリマッチではヌネスに判定負けで王座陥落。2年2カ月ぶりの再起戦となる。MMA11勝5敗。
ペニントンが初防衛成功なるか、ペーニャが王座返り咲きなるか。
1R、ともにオーソドックス構え。ペニントンは左ジャブから。ペーニャも左ジャブ。ジャブの刺し合いはペニントンが押し気味。左を深く当てるペニントン。ペーニャも右ストレートを届かせる。ペニントンの左のダブルを右手で払うペーニャ。スイッチしての入りのペニントン。3連打のジャブ。パーリングするペーニャ。ペニントンは右のショートアッパーも。ケージに詰まるも押し戻すとペニントンが右ロー。
ペーニャはワンツースリーで前に。右を届かせる。ペニントンは左ミドル。そこにペーニャは右を突く。ペニントンのラウンドに。
2R、ジャブ、スイッチしての入りのペニントン。右をかぶせるペーニャ。そこに左前蹴りを合わせるペニントン。ペーニャはケージにつまずくが、四つに組んでペニントンのヒザ蹴りに合わせてボディロックテイクダウン!
サイドを奪うと押さえ込み。ヒジを突き、上四方に変えると、スクランブルするペニントンのバックに! 残り1分でボディトラアングルに組む。落ち着いて金網まで歩くペニントンは背後のペーニャにパンチ。ペーニャもパンチする。
3R、スイッチしての入りのペニントン。そこに右を突くペーニャ! 左フックも。ワンツーで前に出るペーニャ。その組みを振り払うペニントン。左ハイも、前に出て潰すペニントン。左ジャブの刺し合い、四つの組み手から大外気味にテイクダウンはペーニャ。
亀から立とうとするペニントンの立ち際にバックを奪い、足を差し入れることに成功し、4の字ロック。右腕をアゴ上から絞り、リアネイキドチョークへ! ここは外したペニントン。両脇にペーニャの腕を挟み、凌ぐ。ペーニャのラウンドに。
4R、前に出るペニントンの左ハイがヒット! しかし下がるペーニャも右を返す。左ジャブダブルのペニントン。パーリングするペーニャも左ジャブ。ペニントンは右で前進。右ボディストレートと上下に散らし、ペーニャの右に右クロス!
ダウンしたペーニャの立ち上がりにギロチンチョークを狙うが、ペーニャはディープハーフから立ち上がり。詰めるペニントンにワンツーで応戦するペーニャ。ホーン。これで2Rずつを取り合ったか?
最終5R、スイッチして右を突くペニントン。ペーニャも押し戻すが、互いにジャブのダブル。そのジャブに右をかぶせにいくペーニャ。ワンツーに右を合わせたペーニャ。右オーバーハンドから組むが、逆に両脇差しで組んだペニントンが離れ際に右。かわしたペーニャだが、ペニントンの体力が残っているか。押し込む。
ワンツーの右の打ち合いで下がるペーニャ。右を返すが、前に出るのはペニントン。近づくが刺せず。ワンツーの右を突くペーニャ。ペニントンが圧力。最後にスーパーマンパンチでペーニャを金網に詰めてホーン。
判定2-1(48-47×2, 47-48)でペーニャが勝利。王座に返り咲いた。
ベルトを巻いたペーニャは「僅差だった。(ダウンは)集中力が切れていた。(判定勝利と思ったか?)確信はなかった。(今日、ケイラ・ハリソンも勝ったが?)アマンダ・ヌネスに戻ってきてほしい。もう一度試合をしたい」とコメント。
UFC6連勝でストップの敗者ペニントンは、娘を抱きながら「自分が勝ったと思った。有効打があったのは自分。5R目は獲ったと思ったけど、判定に持ち込まれた自分が悪かった。ペーニャ、おめでとう」と勝者を称えた。
ペニントン「自らの努力によって、ここまで辿りついたことに誇りを持っている」(試合前インタビュー)
──いよいよ念願の試合が実現したという心境かと思いますが、ジュリアナ・ペーニャ選手との一戦に向けての思いを聞かせてください。準備は万全といったところでしょうか。
「もちろん!まさしくこの試合はずっと待ち望んでいた試合で、11年前にしていたかもしれない試合をがやっとできるっていう意味で、いつものような、6〜8週間くらい前に対戦オファーを受けて意志を聞かれるのような類の試合とは全然違う。どうして今までジュリアナと戦えなかったかも分からないし、本当にずっと待ち望んできた試合です。それがユタ州で行われるっていう、つまりみんながここ数日話題にしているけれど高地での試合になった。自分はコロラドで生まれ育っているから標高としては下がっているし、慣れたものだし、高地トレーニングももちろんしてきました。とてもいいファイトキャンプを過ごせたと思っているから、準備はしっかり整っています」
──ご自身のファイトキャンプではどんなトレーニングパートナーがいましたか?
「コロラド州のスプリングのジムに通いながら、デンバーまで週2回通っていて、柔術、レスリング、キックボクシングに特化した5人のコーチがいるのだけれど、自分専用のキャンプのような感じで、トレーニングパートナーを都度連れてきて、家族や友達もずっと近くにいられる環境で取り組んでいます」
──ジュリアナ・ペーニャ対策を、言える範囲で教えていただけませんか?
「実際、試合でコントロールできることって、自分の側のことだけだって思うんですよね。ジュリアナとはTUFで一緒に過ごした経験があって、お互いを敵視したりもしたしで、よく知っている相手だから、いつものように自分がやるべきことをこなしてきたという感じですね。映像も色々見たけれど向こうの試合を見て実際に分析したりするのはコーチやチームメイトの仕事で、彼らがしっかり準備をしてくれているから、自分自身のことに集中していました。自分の映像もたくさん見たんです。というのは、どうやったら自分に勝てるのか。それが今回のキャンプのテーマでもあったから。自分自身についてをひとつずつ紐解いていって変える必要があるところは修正してきた。そういう取り組みによって、これまでなかった自分の引き出しを増やすことができたと思うから、本当にいいキャンプになったという実感があります」
──TUFの話題も出ましたが、当時を振り返ってあの経験はどのように今に活きていますか?
「UFCに入れるかもしれないという重要な機会としても本当にいい経験だった。この格闘技のパイオニアでもある二人の有名なコーチ(ロンダ・ラウジーとミーシャ・テイト)が立っていて、本当に唯一無二の経験だったと思っています。TUFのいいところは、やっぱりあくまでも『創られた世界』だということだと感じているんです、TVのリアリティショーだから、見せたいように編集しているし、逆にそのことで選手たちのアスリートであるという側面以外の部分も見せる事ができる。あと、自分自身がとても家族を大事にしているというのがひとつあって、そんな家族の元を離れるというのは、自分にとって快適な空間領域からは引き剥がされて、非日常の世界に飛び込み、閉じ込められるということ。それが自分の夢に集中することにつながっていて、食べることや眠ること、トレーニングしてリカバリをして、そうやって何人もの同じ夢を持った同じような選手たちと一緒に過ごすというのは本当にユニークな経験だし、二人のコーチと何人もの女子選手が集まり、始まりから進化を追って見ていくというのはすごいことだし、次へ向かうためのひとつの節目のようなものとして、いい経験になっています」
──そのTUFで、ラケル選手のチームメイトに日本と馴染みの深いロクサン・モダフェリ選手の姿もありました。
「ロキシーは本当にいい子。TUFのトライアウトに行ったときのことを思い出すけど、ロキシーはいつものままというか、無垢で陽気な、ちょっとおどけた様子でストレッチをしていて。自分としては、まだ他の女子選手のことはよく知らないまま、言われるがままトライアウトに飛び込んだ感じだったから、これ全然意地悪な意味じゃないんだけど、ロキシーのその姿を見て、『あそこにいるのは、学校の先生か何か?』って聞いたの(笑)。オチとして彼女は実際先生やってるから結果当たってたんだけど(笑)。でも当時、彼女が他団体でチャンピオンになったこともそうだし、築いていたキャリアを何も知らなかった。他の選手たちともそういう環境で出会えたのは嬉しかったし、その中にロキシーがいたことっていうのは、彼女は本当に陽キャだしポジティブで、彼女のニックネームの『ハッピー・ウォリアー』と呼ぶにふさわしい人柄だから、あのシーズンのTUFに色んなミックスした要素が加えられたんじゃないかと思っています」
──今も女子格闘技界で活躍を続けているキャット・ジンガーノであったり、レズリー・スミスなどとキャリア初期に戦ってきましたね。その当時を振り返って、10年以上経って女子格闘技が今のように注目されるとは考えられましたか?
「やり続けていることで“あ、これはいつか注目されるかもしれない”って思えたタイミングはあったかなと。このスポーツはどうしたって男性のほうが注目されがちだし、女性の選手の中に全てをかけてトレーニングして頑張れる人がどれくらいいるのかと疑問符をつけられがちなのだと思うけれど、そういうなかにあって女子格闘技も成長を遂げてデイナ・ホワイトがようやく機会をくれるようになって……、本当にクレイジーだと思う。14年間この競技をやっているけど、14年前は対戦相手を見つけることすら大変だった。今でも覚えているけど、昔『UFC初の女子ファイターになりたい!』って言ったら笑われたんです。でもその後、UFCが最初に契約をした女子選手10人の1人に自分が入っていたっていうのは、最高なこと。今、UFCの全ての階級がどんどん大きなものになって、UFCだけではなく他の団体も成長していっているのは、本当にすごいと思っています。今まさに成長の過程にある次の世代の女子選手たちなんて、もう“ワオ!”としか言えないくらい。だって、小さい頃から(MMAの)練習を始めているんだから。恐怖でしかない!」