スーチョル「家では100パーセント、泣くと思います」
──井上直樹選手との試合を終えた、率直な感想をお聞かせください。
「感想としては“井上選手は強かったな”というのが率直な想いです。家族に申し訳ないというのと、チームのメンバーに申し訳ない、そういう気持ちでいっぱいです。ただ、人生というのは、先がどうなるか分からないものだと思っています。こういう辛い日もあればそうではない日も、いろいろな日があるのではないかと思っています」
──辛い状況を乗り越えてきた話も伺いましたが、敗戦のこの場でにこやかでいるのはどのような気持ちから出ているのでしょうか。
「皆さんの前ではこのように笑顔でいますけれども、家では100パーセント、泣くと思います。自分のことは自分が一番よく分かっています。そのかわり辛いことは一人で必ず乗り越えて打ち勝つ、というのが自分だと思っています」
──実際に対戦してみて、井上選手の印象を教えてください。
「とてもスピードのある、速い選手だと思いました。ジャブをチェックしようと思ったけれど、なかなかそれができませんでした。井上選手のスピードを潰して戦おうと思っていたのですが、自分が思うような試合運びになりませんでした」
──試合を終えたばかりですが、今後の目標や、どうしていきたいというものがあったら教えてください。
「常に抱いている夢と言いますか、目標がありまして。それは第一に、家族を守ること。第二に健康を守ること、そして第三にお金をたくさん稼ぐことです。だからこれからの展望や目標というのも、同じように家族を守り、健康でいて、お金を稼ぎたいと思います」
──このあと、10月27日に『ROAD FC 70』で63kgトーナメント準決勝(vs.キム・ヒョンウ)がありますが、そのあとにまたRIZINに戻ってきてチャレンジを続けるでしょうか。
「『はい』とお答えしたいと思います。まだまだ、諦めたり、もう投げ出したりするという時期ではないと思っていますので、ここから気合いを入れなおして頑張りたいと思います。自分のことを想ってくださる方、応援してくださる方がたくさんいらっしゃるので、その人たちのためにも、踏ん張りたいと思います」
──ご自身が日本で、人間味もそうですが、Nintendo Switchの話題でも人気が出るようなことは想像していたことでしょうか。そのSwitchのストーリーがまだ続いてしまうかもしれないなかで、後継機のSwitch2が出てしまうようですが……。
「もちろんこのような状況になることは全く予想もしていませんでした。本当にこれほど関心を持っていただけるということは予想もしていなかったので、とてもみなさんに感謝をしています。『Switch2』、後続機が出ることは、ゲームを愛するものとしてもちろん知っていました。ただし、それが手に入るかどうかは妻次第ということになります」
──井上選手のスピードを潰して戦うということでしたが、具体的にはどういうことによって、それをしようとしていたのかを教えてください。
「まず、左右に動くルートを遮断して、井上選手との間隔をせばめて、クリンチ、グラウンドに持ち込んで攻撃を仕掛けるという戦略を立てていたのですけれども、逆に井上選手のほうが、それに対して自分が出るであろうという備えがしっかりできていたと思いましたので、今回は井上選手に学ぶ点が多かったと思っています」
──その備えができていたと感じたのはどのような点からでしょうか?
「自分がインファイトで臨もうとすると、ジャブでワンツーを打ってきて、また自分との距離を保つことや、距離を開けることが上手くできていて、彼に死角地帯がなかったというのでしょうか。自分の攻撃パターンをとてもよく読んでいる気がしました」
──フィニッシュの時、体がロープから出てしまってストップがかかりました。あれをどう思いますか?
「我ながら、情けないというか、セコいというか(苦笑)。なんとかして生き延びようと、思わず頭が外に出てしまったのだと思います。試合をやる前のインタビューでは『命懸けで、命を懸けて戦う』と言っていたけれども、実際にはあのシーンでは“助かりたい”という気持ちが、頭が外に出ることに繋がったと思います。そういう点からも今回学ぶべき点が多かったと思います」
──ということは無意識に出ていたのですか?
「何とか生き延びようと、負けまいとした悪あがきといったものでしょうか。そのせいだと思います」
──10月のROAD FCが待つなか、負傷の状況はいかがでしょうか、10月に試合に出ても無理がないでしょうか?
「まず結構強烈なパンチを食らったので少しクラクラした状況ですが、特に大きな負傷も無いので問題はないと思います。チームで相談して、自分はすぐできると思っていますが、すこしクラクラしているので、数日間はしっかりと寝て、体を回復させたいと思います」