最後は両者ガムシャラな打ち合いとなり、皇治が辛くも勝利を収めた 撮影/佐藤 毅
「K-1 WORLD GP 2019 JAPAN~日本vs世界・5対5&スペシャル・スーパーファイト in 大阪~」
2019年8月24日(土)エディオンアリーナ大阪(大阪府立体育会館第1競技場)
2019年8月24日(土)エディオンアリーナ大阪にて、『K-1 WORLD GP 2019 JAPAN~日本vs世界・5対5&スペシャル・スーパーファイト in 大阪~』が開催された。
今大会は本戦第1試合から第6試合までは、いずれも赤コーナーの格上選手にまだキャリアや実績のない青コーナーの選手が挑む「下克上マッチ」のスーパーファイト。第7試合から第11試合までが、3月の『K'FESTA.2』に続いて「日本vs世界・5対5」(3月は7対7)。そして第12試合メインイベントでは「スペシャル・スーパーファイト」と銘打たれて、皇治vs大岩龍矢の“三本柱”で行われた。
下克上マッチでは第2試合の蒼士がK-1甲子園2017 -55kg王者・椿原龍矢を破って早くも下克上を起こし、近藤魁成も格上の松岡力を初回KO。山崎秀晃、大和哲也、篠原悠人、KANAは下克上を許さなかった。
日本vs世界・5対5マッチは、愛鷹亮がK-1 WORLD GPクルーザー級王者シナ・カリミアン(イラン/WSRフェアテックス・イラン)をKOする大波乱から幕開け。城戸康裕がハイキックで華麗にKOし、世界側として出場した木村“フィリップ”ミノルは2014年プロボクシング西日本新人王・大泉翔から予告通りパンチで3度のダウンを奪ってKO勝ち。野杁正明がKO勝ち、林健太もダウンを奪われながら逆転KOを飾り、日本が4勝1敗と大差の勝利を収めた。
そしてメインイベントでは、皇治が地元・大阪で武尊の盟友・大岩龍矢を迎え撃った。大岩の強打に手を焼いた皇治は本戦ドロー、延長戦ではガムシャラに打ち合って判定2-1の辛勝で地元のファンの声援に応えた。
また、メインイベント前には元シュートボクシング日本女子ミニマム級王者MIOがリングに上がり、K-1 JAPAN GROUPへの参戦を表明した。(このニュースはこちら→)
▼第12試合 スペシャル・スーパーファイトin大阪 K-1スーパー・フェザー級 3分3R・延長1R
〇皇治(TEAM ONE/K-1 WORLD GP第4代スーパー・フェザー級王座決定トーナメント第3位)
延長R 判定2-1 ※10-9、9-10、10-9
×大岩龍矢(K-1 GYM SAGAMI-ONO KREST)
※本戦の判定は29-28、29-29、29-29。
皇治の対戦相手には様々な選手が名乗りをあげていたが、6月大会で芦澤竜誠から2度のダウンを奪って勝利した大岩が選ばれた。大岩は幼少期に空手を学び、中学・高校時代はラグビーで活躍。愛知県代表にも選ばれたことがある。大学在学中にキックボクシングを始め、KRUSHでは2016年8月と2018年12月にタイトル挑戦もしている。戦績は17勝(6KO)5敗。セコンドには盟友・武尊が就いた。
場内は試合開始ゴング前から皇治コールに包まれる。1R、右ローを蹴る皇治に大岩はワンツー、左ボディブロー。右ローを蹴る皇治に大岩は前へ出てパンチを当てていく。皇治はロープを背にして右を返していくが、大岩はショートフックを浴びせる。皇治がガードを固めると大岩はボディを打つ。
2R、皇治のジャブに大岩は左フックを返し、皇治にロープを背負わせる。手数の多い大岩は細かくパンチを当てていき、皇治がパンチを打ち返すと大岩は右ヒザを突き上げた。これに下がる皇治。大岩はまたも皇治をロープに詰めてボディを攻める。皇治はパンチを打ち返してのヒザ蹴り、右ロー。しかし、大岩の右をもらう。皇治は左ミドルから右フックを返す。
3R、右ローを蹴ってパンチ連打からの右ハイを放つ皇治。大岩は前へ出て右アッパーを突き上げるが、このラウンドは皇治が手数を出す。左ローを蹴ってフック&アッパーを繰り出す皇治に大岩は左右フック。すぐに皇治が連打を返す。両者足を止めての打ち合いとなり、接近戦でパンチを交錯させる。大歓声に包まれる中、本戦終了のゴング。
判定はジャッジ1名が29-28で皇治につけたが、2名が29-29でドロー。延長戦へ突入する。
皇治はジャブとロー、大岩はヒザ蹴り。接近戦でパンチを出し合う両者。前に出る大岩だが皇治もヒザ蹴りで反撃。両者とも手数を多く出し、皇治は当たらないがハイキック、大岩は左右フック。皇治が前へ押すようにして大岩を下がらせ、ガムシャラにパンチを出す。大岩も頭を下げて左右フックをガムシャラに繰り出す。
乱戦の中、試合は終了。判定は2-1と割れ、皇治が辛くも勝利を収めた。
皇治は力ない笑顔でマイクを持つと、「戦う前に煽りで相手のことを一丁前ぬかしていましたが強かったです。大岩選手ありがとうございました。まだまだ鼻クソなものでいい試合できなかったです。KO勝ちして一丁前のこと語ろうと思っていたんですが、世の中難しいですね。でも、俺はみんなに笑われて恥かいてここまで来ました。俺は挑戦したいです。もう一回武尊に挑戦するか、俺はK-1を愛しているので他団体に挑戦したい。俺の愛するK-1、俺の残り少ない格闘技人生にチャンスをください。次はしっかり倒せるように頑張ります。今日は亀田史郎さんが来てるので、最高をやらせてください。K-1最高」と、武尊との再戦か他団体への挑戦かをK-1にアピールした。
▼第11試合 日本vs世界・5対5 K-1ライト級 3分3R・延長1R
〇林 健太(K-1 GYM SAGAMI-ONO KREST/FSG/K-1 WORLD GPライト級王者)
KO 2R 3分03秒 ※右ストレート
×デニス・デミルカプ(トルコ/IFMA欧州ライト級王者)
林はK-1参戦経験のある空手家の父を持ち、2013年にKrushでプロデビュー。強打を武器に2018年12月のK-1ライト級世界最強決定トーナメントで優勝すると、今年3月にK-1 WORLD GPライト級王者・卜部功也に挑戦。下馬評を覆す勝利で第3代K-1ライト級王座に就いた。今回が王者としての第1戦となる。戦績は16勝(11KO)5敗2分。
対するデミルカプはベルギー生まれのトルコ人ファイターで、まだ18歳ながらプロ・アマ含めて70戦以上のキャリアを誇る(プロ戦績は6勝5KO)2敗)。試合開始直後から相手に襲い掛かり、パンチ、蹴り、ヒザ蹴りと技の引き出しも多いという。中村拓己K-1プロデューサーは「とにかく試合がアグレッシブで攻撃的。見ていて面白い選手。パンチ、蹴り、トリッキーな回転技、いろいろな技を出す。K-1の中で面白い技を出してくれるのでは。絶対にかみ合う試合になると思う。ライト級のトップ戦線に食い込む可能性があるくらいのファイター」と評する。
1R、デミルカプはサウスポー。スピードのある至近距離からの左ハイキックとパンチを繰り出す。林はワンツーを繰り出すが、デミルカプは左ハイを狙い撃ち。デミルカプの左ハイ、右フックからの左ストレートで林はグラつき、顔面へのヒザ蹴りでダウンを奪われる。デミルカプは左ハイと左ストレートの波状攻撃。林はコーナーを背に右ストレートを返すが、スピードのあるデミルカプの攻撃をもらう。
2R、林は左へ回り込みながらジャブを出す。スピードのあるワンツーと左ハイで林を脅かすデミルカプ。林が右ローを連打していくとデミルカプは棒立ちに。林は右ボディストレートも打っていき、左ローからダウンを奪う。立ち上がったデミルカプは連打を繰り出すが、林も右の連打と左ボディでデミルカプをコーナーへくぎ付け。林の左ボディと右ストレートを浴び続けるデミルカプ。左フックを打ち返すが、林の右ストレートで力尽きるようにダウン。
そのまま立ち上がることはできず、林が逆転KO勝ちを飾った。林はマイクを持つと「凄い日本vs世界でめっちゃいい流れだったけどぶち壊して申し訳ない。僕は世界チャンピオンにしてくれたフンファー会長が43歳の若さで肝臓癌で亡くなってしまって心細かったんですが、チーム一丸となって勝って、上から笑っているところを見てもらえてよかったです」と、亡くなったFLY SKY GYMのフンファー会長に勝利を捧げた。