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インタビュー

【RIZIN】ヒロヤと対戦する新井丈「まだ満たされてない。9連敗から11連勝しても──」=大晦日連続インタビュー(1)後篇

2023/12/23 11:12

大沢ケンジ代表「丈は試合を諦めない。戦いのなかでも言葉と行動がリンクする」

「丈の強さは、まずは気持ちの強さ。覚悟。みんないろいろ言うんですよ。『怖がらずに前に出ます』とか、『今回は死ぬ気で行きます』とか、でもそういう言葉と行動のリンクって、実際は数パーセントというところだったりするじゃないですか。でも丈に関しては、言葉と行動のリンク率がだいぶ高いな、と思うので、そこじゃないですかね。『気持ちの強さ』って、本人が生まれ育ってきた環境からなのか、常々の意識なのか、生まれ持ったものなのか、何で作られるのか、分からないですね。でもその気持ちの強さは、玉砕じゃない。丈は試合を諦めないので。

 あと、思うのは、やっぱりしっかり自分の拳を当てたら倒せるというものがあるから、そのゴール地点を信じているから、我慢できるというのもあると思うんですよ。判定で終わりそうだとなったときに、逆転まで持っていくって、相当、気持ちが強くなくちゃいけないけど、“当たれば倒せる”と思えていれば我慢できる。普通は、思い通りに行かないときに、試合中に自分のことを信じれなくなったりするものだけど、丈は、ちょっと比較にならないくらい自分を信じているなって。

(ヒロヤは厄介な相手になってきているのでは?)そうですね。厄介ですね。すごく根性あるし。たぶん(朝倉)未来とかに、けっこう無理難題を吹っかけられて、断れない状況でこなしていくうちに、その覚悟がついていったのかなと。他の人がやってないことをやらされたり、本当にやっぱり未来のそばにいて、あれだけの知名度があるという、それなりのしんどいことはやってきてるな、という風に思います。戦績はそんなについてきてないんですけど、戦績ほどの弱さじゃないし、これから必ず上にくる、いい選手だなと思います。

(積み上げた連勝を持っていかれる?)積み上げてきたという感じは僕も無くて。いまは修斗、DEEP、PANCRASEとそれぞれの山が三つで分散しているし。その中から、またさらにメジャーリーグに行っている人もいる。丈の今回の試合も過程でしかなくて、結局この先、ゴールだけがはっきりしていて、それはUFCなのか、RIZINなのか、メジャーでしっかり成績を残すこと。

 だからまだスタートもしてないし。ここからメジャーで名を残してしっかり稼ぐというところまで行ったら、やっとその道の入り口に立てたということ。今まではその下積みみたいなイメージです。全然、稼げていない。僕の中では“ベルトを取れた”ということが輝かしいけど、でもスタート地点は一緒で、結局ここから先どうあるかのほうが重要。

 勝たせるというよりも、選手がやることに対して僕が手伝うみたいな感覚で、それがぬるくならないように尻を叩く、ジョッキーみたいな感じなんです。馬の力が絶対大事じゃないですか。本来の力はお前次第だから、結局は俺じゃないよって。

 元々連敗中にウチに練習に来たときに“打撃が滅茶苦茶いいな”と思ったんです。これは丈にも言ったんですけど、『この打撃を持ってて負けるってことは、お前絶対、練習をやってねえぞ』って。ウチに『移籍したい』って言ってきたときも、『俺は別に構わないけど、ウチのプロ練は練習キツいよ』って。『この打撃でこの戦績ということは、たぶんお前は練習をやりこんでいない。ウチの名前で試合するんだったら、練習来てもらわないと困る』と言いました。

 でも、『ウチで練習するのは構わないし、プロ練でやるのも全然構わない。“ウチの名前で出なければ”。普通の一般のクラスとかも出るんだったら会費をもらう。だからそれは選んでいいよ』って。そうしたら丈は『在籍でやりたい』と。

 実際に来てるのを見たら、結構すごく練習する。『練習するのになんで負けてたの?』と聞くと『ここに来る前はやってなかった』と。勝ち始めて気持ちが変わったんだなと思いました。だけど、僕はけっこう疑い深いので、どこかで練習しなくなるのかなと思ってたら、練習は今のところは続いてる。その結果が現れていますよね。

 今回は緊急参戦でワンマッチを決めた。やっとメジャーの入り口に立てたので、ここから、ですね」

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