国家プロジェクトとしてのスポーツ投資
「先日のタイソン・フューリーとフランシス・ガヌーのPPVも全然売れていない。サウジアラビアで金を出した人は、ボブ・アラム(プロモーター)に『二度と来るな』という状況だったようで、大損ですよ。今回のPFLもサウジの金なので、サウジはほんとうに“ホット”なんですけど、そういう人たちを納得させる結果が出るかどうか。6大タイトルマッチの結果次第で僕らとの向き合いも変わると思う」(榊原CEO)
アメリカに次ぐ産油国であるサウジアラビアは、戦時下のロシアの原油供給問題のなかで、貿易黒字額を伸ばしている。そんななか、国家プロジェクトとして政府主導で対外ビジネスへの巨額投資を開始しており、そこにスポーツが含まれている。サッカー、ゴルフ、テニス、競馬、そして格闘技。オイルマネーをスポーツ投資することでより良いイメージにする効果も期待されている。その状況はRIZINが大会を開催したアゼルバイジャンにおいても同様だ。
そのサウジアラビアで、GAE(General Authority for Entertainment)=総合エンターテインメント局で議長を務めているのがトゥルキ・アラルシクだ。スペインのサッカークラブ、UDアルメリアのオーナーで、サウジ王室顧問でもある彼は、フューリーvs.ガヌーのブッキングを務め、2024年2月17日にサウジアラビアの首都リヤドで行われるフューリーとオレクサンドル・ウシクの4団体統一戦の仲介も務めている。
しかし、米国でESPN+、英国のTNTスポーツで放送されたフューリーvs.ガヌーのPPVは、79.99ドル(約1万2千円)と高額な上に、通常のPPVの時間帯から外れていたこともあり、購入件数は10万件に満たない「低い」数字にとどまったことが報じられている。
そのガヌーと5月に契約を結んでいるPFLにも、サウジマネーは投資されており、今回のPFL2023ファイナルがどのように評価されたか。
デイヴィス会長は、ガヌーと元WBC世界王者のデオンテイ・ワイルダーとのミックスルールも示唆しており、それは、PFLのPPVの「スーパーファイト部門」での試合になるのか。
いずれにしても、株式交換の取引とはいえ、PFLにとってBellatorが“高い買い物”にならないように、回収の方法は練られることになる。そしてBellatorがBellatorとしてポテンシャルを発揮するためには、その旗振りが必要だ。