フランシス・ガヌーの次戦がミックスルールになる可能性をPFLのオーナー、ドン・デイヴィス会長が『The MMA Hour』で語った。
Bellatorを買収し、2024年からPFLとBellatorの2ブランドをBellatorの大会数を縮小して運営していくとの海外報道もあるなど、注目のPFL。
そのオーナーであるドン・デイヴィスはPFLの創設者にして会長。29歳でシカゴ・カブスのチーフ・カウンセルとなり、メジャーリーグ最年少の球団弁護士となると、ベンチャーキャピタリスト起業家として活動。2017年にPFLを起ち上げている。
元UFC世界ヘビー級王者フランシス・ガヌー(カメルーン)と2023年5月に契約をかわしたPFLは、ガヌーが2024年に「PFL PPV SUPER FIGHT」で戦うことを発表していたが、ガヌーが2023年10月にWBC世界ヘビー級王者タイソン・フューリー(英国)とボクシングルールで接戦を繰り広げたことで、事態は変化しているようだ。
(C)@FrancisThePredatorNgannou
ガヌーは次戦について「MMAとボクシングの両方をやっていきたい」と希望しているが、デイヴィス会長は「第3の選択肢」も用意していることを明かした。
デイヴィスは、ガヌーと元WBC世界王者のデオンテイ・ワイルダー(米国)とのミックスルールでの対戦のプランを語っている。
「それは素晴らしいことだと思う。なぜなら、ガヌーはタイソン・フューリーに対して、現時点で証明しなければならないことをすでに証明していると思うから。
フランシスがデオンテイ・ワイルダーと対戦すると、ワイルドな戦いになると思う。実現にむけて話し合っている最中だ。ワイルダー自身も2、3カ月前からMMAのトレーニングを行なっているし、MMAに対して真剣に取り組んでいると聞いている。ワイルダーとガヌーのボクシング戦もあると思うし、ミックスファイトの道もあると思う」
ワイルダーのMMAトレーニングについては、同番組に出演したガヌーも触れており、ワイルダーとのミックスルールについて、すでに「議論されている」と認めている。
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ワイルダー「MMAの選手たちは常にクロスオーバーしているが、ボクサーたちがクロスオーバーするのは見たことがないから、ファンにとって面白い」
(C)PFL
ガヌーvs.ワイルダーについては、2023年6月の『PFL 4: Regular Season』にワイルダーが出演し言及した。
ガヌー戦について、「何度も考えたよ。ガヌーとも一緒にやろうと話していた。MMAの選手たちは常にクロスオーバーしているが、ボクサーたちがクロスオーバーするのは見たことがないから、ファンにとってもっと面白いものにしたかった。だから、物事はまだ宙に浮いている。『最初は俺の庭でやって、その後、そっちの方に行ってクロスオーバーしてやる』と提案したんだ」と、ボクシングとMMA、互いのルールで1戦ずつ戦いたいと話していることを明かしている。
さらに、「競技は違うかもしれないけど、コンバットスポーツであることは一緒だ。僕たちはコンバットスポーツのファミリーだ。すべてリスペクトしないといけない。エンターテインメントのために命を賭けて戦っているのは全員一緒だ。頭を殴られ、ボディも痛めつけられるけど、そのために作られたものじゃない。それをやるファイターは戦場がどこであろうと尊敬に値する」と、MMAファイターもボクサーもコンバットスポーツ界の一員だとした。
一方で、デイヴィス会長はガヌーのMMAでの対戦相手が非常に限られているとも語っている。
(C)Zuffa LLC/UFC
ガヌーにとってMMAでの最大の試合はUFCヘビー級チャンピオンのジョン・ジョーンズとの試合になるが、ジョーンズはUFCと長期契約中で、11月の試合も胸の負傷でキャンセルし、8カ月間ケージから離れることが発表されたばかり。
そのジョーンズはガヌーのフューリー戦について、「彼は素晴らしいパフォーマンスをしたと思うし、競争力のある戦いだったことを嬉しく思う。将来、すべての人にたくさんの扉が開かれる」と祝福している。
デイヴィス会長は、「純粋なMMAの対戦相手は今のところそれほど面白くないと思う。誰が彼のために良い試合をすることができるか言いたくない。フランシスのために競争力のある戦いをすることができる選手は、他に3人か4人いる。ただ、私は“競争力のある戦い”について話しているのではなく、“説得力がある戦い”と言っている」と、ガヌーの対戦相手として、ファンに説得力のある相手をどういう形で用意するかが重要とした。
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WBC会長「ガヌーはトップ10に値する」
ワイルダーのみならず、元WBAスーパー・IBF・WBO世界ヘビー級統一王者のアンソニー・ジョシュア(英国)陣営からもガヌーとの対戦を望む声が上がっており、いまのところ、ガヌー主導で物事は進んでいるが、デイヴィス会長は、その決断を支持するという。
「当初から、フランシスとPFLが2日間で契約を成立させたのは、フランシス・ガヌーのためにベストを尽くしたかったからだ。ビジネスでは、パートナーのためにベストを尽くせば、それがビジネスにとってもベストになる傾向がある。ジェリー・マクガイア(※トム・クルーズ主演の『ザ・エージェント』主人公)の『助けてくれ』は、うまくいく傾向がある。10回に1回は、パートナーが悪いパートナーで、あなたにとって悪い結果になる。私の35年間では、10回中9回は、あなたが良いパートナーであれば、パートナーもあなたにとって良いパートナーだ。フランシスは……(私たちは)彼のためにベストを尽くしたいと思っているし、それをサポートしている」
一方のガヌーは、今後について「“コンビネーションさ”。(ボクシングもMMAも)両方できる。両方やることを止めるものは何もない。僕には両方のスキルがある。今はPFLと契約しているし、またMMAを戦うつもりだ。MMAは好きだよ。より快適になった。今でも好きなんだ。MMAの試合もやるかもしれないけど、ボクシングをやることに変わりはない。跨がって1試合だけ(ボクシングを)やって、そのまま出て行くつもりはなかった。そんなつもりはまったくなかった。プランは変わらないよ」と語る。
果たして、両者の思惑は一致するか。フューリー戦で1000万ドル(約14億円)の報酬が約束されているというガヌーについて、WBCのマウリシオ・スライマン会長は「トップ10に値する」とガヌーの世界ランキング入りを示唆している。ガヌーの次戦が、いつどこで誰とどんなルールで戦うのか、注目だ。