お客さんは上手いだけを見たいわけではない
(C)ONE Championship
引退を懸けるとはいえ「体力は意外とあるんですね。そういったものはビックリするほど衰えることはなくて」と、肉体や年齢的な理由で限界を感じたわけではないという。
「終わりを決めないでダラダラやるのは好きじゃないと思って。長く続ける選手もいらっしゃいますけれど、それは個人の自由。自分としては期間を決めてチャレンジしていく方が自分を引き上げられると思いますね」と、最高の自分を引き出すために引退を懸けるのだと説明した。
いつから引退のことを考え始めたのかと聞かれると「ハッキリいつかは覚えてないけれど、ずっと海外でやっていた時期が長くて。いい想いもあれば苦しかったこともあり、そういったことを乗り越えながら戦っていたけれども、きついことの方がはるかに多くて。そういったことを続けるよりも有終の美を飾ってパッと辞めた方が自分を大事に出来ると思ったからですね」とする。
ちょうど前日には、『RIZIN』でプロ3戦目の万智(67ジム)とプロ4戦目の渡辺彩華(AACC)がレベルの高い試合をした。そういう勢いのある若い選手たちにどんなものを見せられるかとの質問には、次のように答えた。
(C)RIZIN FF
「いまD.J Meiとして…遠い親戚の設定ですけれど(笑)。リングアナとしていろいろな大会を特等席で、目の前で激闘を繰り広げられているのを毎週のように見させてもらっているんですけれど、若い選手がどんどん上手くなっているんですね。でも、お客さんは上手いだけを見たいわけではない。粗くてもヘタクソでもガムシャラになって行くのを見たいんだよってことを伝えたい。何でフィニッシュ出来るのに行かないんだろうって試合もたくさんあるんですよ。
そういうことに何で行かないのって言っても、自分がそういう試合を見せていないと言えないと思いまして、引退してもいつの時代でも若手の子を励ませられる、もっとガムシャラに行っていいんだよって、経験が付いてきたらもっと技術で行っていいんじゃないって自信を持って言えるように、ちゃんとそれを自分でも精一杯やり切って終わりたいと思って。
あとは、若手の選手って練習だけしている子とかたくさんいるんですよ。私とか同じ時代を過ごしてきた選手は、格闘技が好きだから働きながら練習していました。環境だけ考えたら私たちをあっという間に抜かないといけない。それは当たり前。いいパフォーマンスをしていて凄いねじゃなくて、それを当たり前にしないといけない。40のおばさんが出ていても仕方がないんですよ。あっという間に超えていかないと日本の格闘技は凄いものにはならない。でも、そこで踏ん張って自分より頑張っている先輩たちは見ていて刺激になるし、感動します。自分は最後にいいものを残して精一杯尽くすって感じですね」
今回のトーナメントでVが見せたいもの。それは「やっぱり若い頃のガムシャラな気持ちとか、その当時の何が何でも勝つとか、そういう気持ちをもう1回思い出してやりたい。試合運びとか大事にすることもありますが、技術の面でフィニッシュを狙いに行く姿勢、途中でスタミナが切れてもいいと思って全てを出し切って、そういったものが見ている人たちの心を動かすと思うので、ガムシャラにフィニッシュを狙いに行くのを見せたいですね」とした。
そして最後に「こういった歴史のある団体で最後を迎えられるのは感慨深いですし、それしかないですね。もちろん様々な団体でベルトを獲るのは素晴らしいことですが、歴史の一番長いところで、そういう団体のベルトの方が重みがあると思うので、現役が終わってからも大事に出来ると思っています。とにかくベルトを獲って終わりたい。ガムシャラに全てを出し切ってベルトを獲りに行くので見てください」と意気込みを語った。
トーナメントは2024年3月に決勝=王者決定戦が行われる。トーナメント組み合わせは来週にも発表される予定だ。