ヘンリー・フーフトコーチから試合後、「『駆け引きがなさすぎる』と言われて──」
──シンガポールは初めてですか?
「はい、初めて来ました」
──米国フロリダのキルクリフFCから長旅だったようですね。
「めちゃくちゃ長かったです。超しんどかったですね(苦笑)。でも、もう時差ぼけは解消できてます」
──早めにシンガポール入りしたのですよね?
「はい。普段アメリカにいて時差が10数時間あるんで、それを慣らすためにちょっと早く入ろうってなって前週の木曜からシンガポール入りしています」
──早く到着して、どんな毎日を過ごしてきましたか?
「そうですね。軽く朝走って、夕方動いて。散歩しながらちょっと観光したり……みたいな感じですかね」
──走ったり歩いたりしたシンガポールはいかがですか。
「やっぱりアジアなので、道なりとか結構日本と似てるなあって感じで、ホッとしましたね。安心感があります」
──アメリカに初めて行った時よりもその点では落ち着いていられる感じですね。
「そうですね。もう全然違いますね」
──UFC2戦目に向け、試合3日前となりましたが、現在の心境は?
「いつもだと結構ソワソワし出す時期で、“体重大丈夫かな”とか、“試合どうなるかな”みたいになるのですけど、今回は結構落ち着いてるというか。体重も全然気にならないですし、試合に対しても、緊張感あって、めちゃくちゃ集中出来てるなと実感しますね」
──「体重も気にならない」ということですが、減量も順調ですか。
「はい、ばっちりですね、今朝起きて、あと5kgぐらい。で、水抜きするぐらいですね」
──ペースとしては、いつも通り?
「今回は“若干、早いな”ぐらいですかね。いつも、計量オーバーする夢見るんで、今回それがないのでいい感じですね。あとは、動きを落とさへんようにしっかり動いて、それ以外はまあ、ダラダラしてるって感じですね」
アブレディ😤 pic.twitter.com/XzESRPxxe3
— 木下 憂朔 【YUSAKU KINOSHITA】 (@yusakukinoshita) August 23, 2023
──キルクリフから佐藤天選手と一緒にシンガポール入りしたのですよね。
「そうですね。体動かしたりする時も付き合ってもらうというか、あともう一人チームメイトがいてるんで、その選手とも組んだり、あとはコーチにミットを持ってもらったりしています」
──今回、佐藤選手とチームメイト以外はどのようなセコンド陣なのですか?
「打撃のコーチに来てもらっています」
──前回はヘンリー・フーフトコーチがセコンドについていましたが、今回は帯同されず?
「今回はちょっと色々忙しいなか、遠いということもあり、ほかのコーチに来てもらいました」
──今回の試合に向けて、ヘンリーコーチからはどんなアドバイスをもらいましたか?
「やっぱこう前回がちょっと焦りとか、試合の作りがよくなかったので、落ち着いてしっかり戦うことと、自分の力が出せれば全然問題ない相手、と言ってもらっているので、それを実行するだけかなと思っています」
──前回の敗戦後はどのような言葉をかけられましたか。
「試合直後のご飯食べてる時に、『駆け引きがなさすぎる』と。自分でも思ってたんですけど、『もっともっとできるのにしなかった』から『もっとやっていこう』と話しました」
──対アダム・フューギット戦の問題というより、木下選手自身の課題ということですね。
「はい、僕自身のことですね。普段の練習から、自分のテーマを持っていこうと。“今日はそれをクリアする”、それをステップアップさせていってスパーリングの時に、誰が相手でも、その自分のやることを実行する──という。よく堀口(恭司)選手が『ロボットみたいな奴が強い』というようなことを言ってたじゃないですか。それがちょっと分かった気がするかな」って感じです。
──では逆にそれまでの自分を今振り返ってどう思いますか?
「やっぱこう、気持ちのままに前に出て“KOしてやる!”みたいな感じだったんですけど、負けてちょっと考えなあかんよなって思ったんですよね」
──前戦の敗因として「緊張しなすぎた」とも言っていましたね。
「はい。緊張しなかった。それだけですね。“よし、よーし! いいよ、いいよ!”みたいにはいつもならないんですけど、そんなに。なんか楽しもうとしたら、それがちょっと良くない方に行ったかなっていう感じです」
──「気持ちが上がることは悪いことじゃない」と感じたからこそ、自分自身その高揚感を受け入れてしまった、ということなのでしょうか。
「そうですね。はい、やっぱこう程よい緊張感は大事やなって思いましたね」
──今回は意識的に自分を緊張状態に持っていく感じですか。
「はい、ファイトウィークに入ってからずっと緊張感を持つことができています」
──メンタル面の改善には専門のコーチについてもらうなどしたのですか?
「特に誰かから何ってというわけでもなく、自分で取り組みました。僕は昔から“これする!”って決めたら“これできる!”というところがあるので、自分の中で、“もうこれはやめて、こうやってやる!”って決めたんで」
──そうやって気持ちを切り替えて取り組んで、今、自分が自信をつけていることは?
「もともと打撃はやっぱり自信があったんですけど、さらに自分のメンタルコントロールして戦っていこうとやって、スパーリングして“あっ、全然大丈夫やな”っていうのが自信になりました」