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レポート

【UFC】ヴォルカノフスキーがロドリゲスをTKOで5度目の王座防衛、パントージャがモレノ下し新王者に。平良達郎がヒヤリもUFC4連勝! 6連勝デュ・プレシがウィテカーTKOで王座挑戦へ前進。ローラーが有終の美を飾るKO勝ちで引退

2023/07/09 09:07

▼130ポンド(58.96kg)契約 5分3R
〇平良達郎(日本)14勝0敗(UFC4勝0敗)※UFC4連勝 130lbs/58.97kg
[判定3-0] ※29-27×3

×エドガー・チャイレス(メキシコ)MMA10勝5敗(UFC0勝1敗)129lbs/58.51kg

 UFC3連勝中の平良は、6月24日のUFCフロリダ大会でクレジソン・ホドリゲス(ブラジル)と対戦予定も、ホドリゲスが3ポンド(1.3kg)の体重超過。陣営はホドリゲスが2試合連続の体重超過のうえ、前戦で白星を掴んでいることも鑑み、試合を受けないことを決めた。そこから、ラスベガス大会に急転直下の参戦。

 新たな対戦相手は、メキシコのエドガー・チャイレス。MMA10勝4敗で、今回がUFCデビュー戦となる。試合はフライ級(125ポンド・56.7kg)ではなく、緊急参戦のチャイレス側の希望により、5ポンド重い130ポンド(58.96kg)契約で行われる。

 平良にとって2週間、体調を保って試合に臨むのは昨年5月のUFC第1戦以来となる。そのときは4月30日にカルロス・カンデラリオが大会直前に食中毒で欠場。5月14日大会で仕切り直しの同一カードが組まれたため、平良は2週間後に再び水抜きを経験している。試合は、平良が判定勝ちも3試合連続の一本勝ちが途絶えていた。

 さまざまなリスクもあるなか、平良はそれでも一度は試合に向かった身体をある程度キープし、今回も2週間後の試合に向かうことを望んだ。会場は、これまで練習拠点としてきたラスベガス。エクストリーム・クートゥアーやUFC PIで再度、追い込みを行ってきた。

 ホドリゲスの代替選手のチャイレスは『Combate Global』フライ級王者で、戦績は10勝4敗。6つの一本勝ちと4つのTKO勝利を記録しており、すなわち白星のすべてでフィニッシュ決着で勝利していることになる。メキシコでは王者ブランドン・モレノのトレーニングパートナーを務めていた。

“ピットブル”の異名を持つ通り、立っても寝てもアグレッシブなファイターで、スタンドでは基本はオーソもサウスポーにも構え、スイッチしての左の鋭い蹴りも武器とする。また勝負どころのラッシュも脅威で、組んでのヒジ・ヒザなど近距離の際の打撃に加え、身長は170cmながら、183cmのリーチを活かした打撃は左前手のジャブ、フック、さらに遠間からのカーフキック、ボディキック、そして下がりながらの跳びヒザにも注意が必要だ。

 2022年8月に『コンテンダーシリーズ』で現在7勝無敗のクレイトン・カーペンターに判定負けも、右アッパーでの飛び込み、カーペンターの右ストレートにカウンターの垂直の“その場跳び”の跳びヒザ蹴りをかすらせ、その直後のカーペンターの左に、シャープな左フックを内側に振りぬきカーペンターの腰を落とさせている。

 一方でCombate時代から腰が並外れて重いわけではなく、カーペンターにはダブルレッグテイクダウンで背中を着けさせられて敗北しており、平良としては、立ち合いで強打をもらわないこと、下からのヒジ等の打撃や、たびたび仕掛けてくる三角絞め・腕十字のコンビネーションに注意して組み技で上回りたい。

 チャイレスは2020年9月の「UWC 23」で、平良が2023年2月のUFC前戦で1R 腕ひしぎ三角固めで一本勝ちしているヘスス・アギラーにUWC王座戦でギロチンチョークで一本負けしていることもあり、精緻な寝技では平良に分があると思われるが、試合は130ポンド(58.96kg)契約だ。

 チャイレスは2022年1月の「Naciones MMA 3」で130ポンド試合を経験しており、そのときは1R パンチでTKO勝ちしているため、今回も力強いパフォーマンスを見せるだろう。対する平良にとっては、オクタゴン2戦目のCJ・ベルガラ戦が、ベルガラの3ポンド(約1.36kg)体重超過で129ポンド契約で戦い、2Rに腕十字を極めているため、2週間かけての130ポンドでの体重調整は可能と判断しての出場となる。

 チャイレスは8月にいったんコンテンダーシリーズ再挑戦が決まっていたが、今回の平良の試合消滅を受け、UFC本戦に抜擢されたことで、高いモチベーションを持って試合に臨んでくるだろう。

 平良にとっては、8月26日のシンガポール大会出場も候補に挙がるなか、コメインで「UFC世界フライ級選手権試合」の王者ブランドン・モレノ(メキシコ)vs.挑戦者アレッシャンドリ・パントージャ(ブラジル)が行われるナンバーシリーズの『UFC 290』で戦うことは、同階級のランカーたちに存在感を示す試合になるだろう。

 同日のフライ級戦では、モレノvs.パントージャに加え、チャイレスを下したヘスス・アギラーvs.ホドリゲスに敗れたシャノン・ロスの試合も組まれ、アギラーが秒殺勝利を挙げており、ランキング入りを目指す平良としては、ノーランカーのなかで頭角を現す試合が望まれる。

 コメインに出場するモレノのスパーリングパートナーも務めたメキシコのチャイレスは大歓声を受ける。続けて平良が登場。コーナーマンは松根良太代表と岡田遼らがつく。

 1R、ともにオーソドックス構え。中央を取るチャイレス。先に左ロー。平良も右カーフを返す。メヒココールのなか、上下にレベルチェンジの平良。チャイレスの右ローをかわして、右カーフを当てる。

 さらに左ミドルハイ。右ロー、左ロー。前手の左フックを振るチャイレス。さらに右カーフに平良がバランスを崩す。

 体勢を戻した平良に得意の前手の左フックを当てたチャイレス! 腰を落とした平良の起き際にチャイレスはギロチンチョーク!

 片足は抜けている平良は左で枕に押さえ込み。チャイレスは足でケージを掴み、ハーブ・ディーンレフェリーに注意を受ける。右脇を差して押さえ込み、左でヒジを突く平良! 残り10秒で縦ヒジを落とす平良。後頭部付近へのヒジに、レフェリーから注意を受け、打ち方を「これでいいか」と示す平良に、ハーブ・ディーンは横から打てと示す。

 インターバル中に「あんまり効いてないです」と答える平良。

 2R、ステップして右ローは互いに打ち合い。平良のダブルレッグにギロチンチョークを狙うチャイレス。残り4分で上になる平良はハーフも、足を利かせるチャイレス。そこにまずは右でヒザを越え、次に左足も越えた平良はマウント、バックマウント狙いも、正対したチャイレス。平良はチャイレスの右腕を左足で踏んで縛り付けて右で脇差し、左パウンド、ヒジ!

 左腕も狙いながらマウントを奪う平良。上体を上げてパウンド! さらに強烈な右ヒジ! たまらず横を向くチャイレスにバック、肩固めも狙いつつ、脇を開けて残り10秒で三角絞めへ。頭を引き寄せるがホーン。

 3R、サウスポー構えから入るチャイレスはオーソに戻して右ボディから左。左フックを振るチャイレスは右カーフ。平良も右ストレートを振る。メヒココールとともに前進するチャイレスは平良の右カーフに左を狙う。

 左右にステップする平良。右を突いて金網を背負わせるが、左に回るチャイレス。平良のローに左パンチを狙う。平良はダブルレッグで金網まで押し込んで持ち上げ、長い足で小外がけテイクダウン! 残り2分、ハーフから左で枕に抱き、肩で押さえ込む平良。

 ブーイングのなか、平良は両手を挙げて観客を煽り、チャイレスの立ち際に首を抱えるが、そこで首を挙げたチャイレスがギロチンチョーク! クローズドガードの中に平良を入れて絞め上げ、首を抱えたまま上になり、ホーン。

 立ち上がった平良は、右足でマウスピースを蹴り上げ、悔しさをあらわに。初回に左フックで腰を落とし、最後にギロチンチョークのクローズドガードのなかに入った平良だが、テイクダウンからのグラウンドコントロール、ヒジ打ちの時間を制している。

 判定は3-0(29-27×3)で平良が勝利。練習仲間のパッチー・ミックスも見守るなか、勝ち名乗りを受けた。スコアカードではジャッジ3者がギロチンチョークをセットした3Rをチャイレスにつけている。

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