キックボクシング
レポート

【RISE】那須川天心が必殺の胴廻し回転蹴りでスアキムを切り裂きTKO勝ち、決勝はルンキット破った志朗との日本人対決

2019/07/21 13:07
RISE WORLD SERIES 2019 Semi Final Round in OSAKA2019年7月21日(日)エディオンアリーナ大阪・第1競技場 ▼メインイベント 第12試合 RISE WORLD SERIES 2019 -58kg Tournament(Aブロック)準決勝 3分3R延長1R〇那須川天心(日本/TARGET/Cygames/初代RISE世界フェザー級王者、ISKAオリエンタルルール世界バンタム級王者)TKO 3R1分13秒 ※レフェリーストップ×スアキム・PKセンチャイムエタイジム(タイ/PKセンチャイムエタイジム/ルンピニースタジアム認定スーパーフェザー級王者)※那須川が決勝戦へ進出。  両者は2018年2月に『KNOCK OUT』で対戦し、3分5Rフルに戦って那須川が判定勝ちしている。しかし、那須川にとってその時点でキャリア史上最強の敵と言われたスアキムは、試合後の那須川に「マジ強かった。試合でこんな思いをしたのは初めてです。本当に怖かった」と言わしめた。  那須川は3月に行われた1回戦ではフェデリコ・ローマ(アルゼンチン)を、片手で倒立しながら蹴るハイキック=天心キックで衝撃KO。スアキムはタリソン・ゴメス・フェレイラ(ブラジル)に、2度のダウンを奪われてKO負け寸前からの大逆転KOを収めている。  那須川は大阪仕様の虎柄ガウンと虎柄トランクスで入場。場内は今日一番の大歓声に包まれる。リングインすると鋭い目つきでスアキムを睨む。  1R、スアキムは右ローと右ミドルで距離を取る。那須川はワンツーで何度か仕掛けるが、スアキムはバックステップでかわす。パンチをかわし合ったところで那須川が左ハイを軽くヒット。那須川はスアキムの蹴り足をキャッチしての左フックを見舞う。スアキムがヒジ打ちを出してしまいイエローカード。前に出るスアキムに那須川は左ボディストレートと左ロー、さらに顔面前蹴り。  2R、スアキムの右ミドルに左ボディストレートを返す那須川。スアキムの蹴りにボディを返す展開が続く。ボディが入ると左ストレート。那須川は顔面とボディに左ストレートを打ち分け、至近距離からの左ハイも繰り出す。スアキムも右ストレートを放って打ち合いに出るが、那須川はかわして左ストレートと左ハイ、そしてボディへの左ストレート。  3R、スアキムがパンチと右ミドルで前へ出ると那須川も打ち合いに応じる。回り込んでスアキムの攻撃をかわす那須川。蹴り合いから那須川が左ボディストレートを突き刺し、胴廻し回転蹴り。この蹴りでスアキムは額をカットして流血する。ドクターチェック。那須川のカカトでスアキムの額はバックりと割れており、ここでストップ。那須川がTKO勝ちでスアキムを返り討ちにし、決勝戦進出を決めた。  那須川はマイクを持つと「大阪の皆さん、初めまして那須川天心です。スアキム選手は前回よりも凄い圧力があって凄い強かったです。いろいろ試してみようと思って打ち合っちゃって何発かパンチをもらったけれど、こういう経験もあってまだ強くなれます。一撃必殺の胴廻し回転蹴りでバックり切れてしまったので、もうちょっとやりたかったんですがTKOで倒したのでまた次の試合にも来てください。 今夜のトーナメントはなんと両方とも日本人対決をやることになりました。これは日本人を勝たせるためのトーナメントではなく、世界の強いヤツを集めての結果なので。ぜひ応援に来てください。これからもどんどん強いヤツと戦って、自分はこんなところで止まらないので、挑戦して行きます。そしてスアキム選手、もう一回やりましょう」とアピールした。  先に決勝進出を決めた志朗もリングに上がり、「天心君、おめでとうございます。ルンキットと戦いたかったと思いますが、9月は自分が天心君を倒すのでぜひ見に来てください」と、打倒・那須川を本人の前で宣言した。 ▼セミファイナル 第11試合 RISE WORLD SERIES 2019 -58kg Tournament(Bブロック)準決勝 3分3R延長1R ×ルンキット・ウォーサンプラパイ(タイ/ウォーサンプラパイジム/ラジャダムナンスタジアム認定スーパーフェザー級王者)延長R 判定1-2 ※9-10、10-9、9-10〇志朗(日本/BeWELLキックボクシングジム/ISKAムエタイ世界バンタム級王者)※本戦の判定は29-29、28-29、29-29。志朗が決勝戦へ進出。  昨年10月、あのロッタンを破って16歳でラジャダムナン王者となったルンキットは、1回戦でフレッド・コルデイロに勝利。今回の試合にも自信満々で臨む。対する志朗は3月の1回戦でウラジスラフ・ミキータスをローキックで3RにKOで葬った。  普段はムエタイを主戦場とする志朗にとって、タイでは試合が成立しないほど格に差があるルンキットだが、「RISEルールなら勝ち目がある」と志朗は戦前に語っていた。  1R、志朗はローを蹴りながら左右フックをヒットさせる。サウスポーのルンキットは前に出ながら左ミドルと左ハイキック。このハイキックで志朗はダウンではないがなぎ倒される。終盤には飛びヒザ蹴りも繰り出すルンキットに志朗は左右フックで応戦した。1Rが終了すると、ルンキットは両手を上げてアピールする。  2Rもルンキットは自分の距離を保っての左ミドルと左ハイ。志朗は右ストレートでボディを攻め、前へ出ていく。ルンキットは志朗のパンチを寸前のところでかわすが、前に出てくる志朗に組み付いてしまいイエローカード。ルンキットが左ミドルを蹴ると右ローを蹴る志朗。このラウンドもルンキットが上手さを発揮したか。  3R、志朗がルンキットの左ミドル直後にワンツーをヒットさせる。さらに蹴られながらも前へ出て、またもワンツーをヒット。下がるルンキットはヒザ蹴りで迎え撃つが、志朗に抱き着く。前へ出てパンチとローを打っていく志朗にルンキットはクリンチを繰り返す。ルンキットの右ローにボディを返す志朗。さらにボディを連打していくとルンキットは防戦一方に。左ハイと左ミドルを蹴るルンキットに志朗はボディで攻め続ける。そして本戦終了。  判定はジャッジ1名が志朗を支持したが判定はドロー。延長戦へ突入する。ルンキットは左ミドルを蹴って前へ出る。志朗も前蹴りとボディストレートで対抗。左ストレートには左ストレートを返す。ルンキットはジャブ、左ストレートで距離を取り、志朗が接近すると組み付いてしまいボディを打たせない。前へ出る志朗をヒザ蹴りと左ストレートで迎え撃ち、クリンチに持ち込むルンキット。両者決定打がなく延長戦も終了。  判定は2-1と割れ、志朗が勝利。ルンキットを破る大金星を得て決勝戦へコマを進めた。  志朗はマイクを持つと「大阪の皆さん、関東から来てくれたたくさんのファンの方々のおかげで勝つことが出来ました。自分は次に出る天心君のように派手には倒せませんが、自分には負けない気持ちがあります。9月は天心君との決勝戦になると思うので、自分が世界一になります」と、決勝で那須川にも勝つと宣言した。 [nextpage] ▼第10試合 RISE WORLD SERIES 2019 -61kg Tournament(Bブロック)準決勝 3分3R延長1R×チャンヒョン・リー(韓国/RAON/RISEスーパーフェザー級王者)判定0-3 ※28-29、28-29、28-30〇梅野源治(日本/PHOENIX/元ラジャダムナンスタジアム認定ライト級王者)※梅野が決勝戦へ進出。  両者は過去2度対戦し、2012年12月の初対決はチャンヒョンがパンチでダウンを奪っての判定勝ち。2013年3月の再戦では梅野がミドルを蹴りまくって判定勝ちしており、今回が1勝1敗で迎える決着戦。  1R、パンチで前へ出るチャンヒョンを左ミドルで迎え撃つ梅野。ローからパンチで前へ出るチャンヒョンにブロックを固める梅野だが、離れると前蹴りと左ミドル。しかし、左フックを浴びてグラつき、チャンヒョンの顔面とボディの連打に防戦一方に。チャンヒョンの強烈な右ローも決まる。  2R、梅野は左ミドルを蹴りつつ右ストレートを狙う。1Rよりも左ミドルを多く蹴る梅野。組み付くとヒザも蹴る。梅野は左ミドルを蹴りながら前へ出る。チャンヒョンも左右フックとアッパーの連打で応戦。チャンヒョンは梅野の左ミドルに左フックを合わせにいく。サウスポーに構える梅野が左ストレートと左ミドル。組み付くとヒザ蹴り。チャンヒョンは手数が減る。  3Rもサウスポーの梅野は左ストレートと左ミドル、チャンヒョンは前に出ようとするが梅野は左ミドルを連射して止める。チャンヒョンも右ローを蹴ってパンチへつなげようとし、梅野はリズミカルに左ミドルを蹴り続ける。前へ出るところ、パンチを出そうとするところに左ミドルを合わせる梅野。  梅野の左スネが割れて出血し、ドクターチェックとなる。再開後も左ミドルを連射していく梅野。血まみれの左ミドルでチャンヒョンの前進を止める。そして試合終了。梅野が判定3-0で勝利、白鳥に続いての決勝進出を決めた。  梅野はマイクを持つと「RISEの強豪選手との試合、どうでしたか? 判定でテクニックが多い試合でつまらなかったとか、テクニックが見れて面白かったとか、いろいろな意見があると思いますが、僕は仲間たちといろいろな人の支えがあってこのリングに立てて勝てました。お礼を言わせてください。ありがとうございました。決勝ではセクサンと試合をしたかったんですが、白鳥選手が勝ち上がってやることに決まりました。セクサンとは僕がムエタイルールで再戦できるような位置に上り詰めてもう一度戦いたいと思います。白鳥選手、9月、日本人対決で一緒に盛り上げましょう」と、白鳥にメッセージ。  すると白鳥もリングに上がってマイクを握り、「今、言っていましたけど梅野選手はセクサンとやりたかった見たいですが、僕の希望は梅野選手だったのでめちゃくちゃ嬉しいですよ。こういうのは煽り合った方がいいかもしれないけれど、僕は一度キックを辞めた時に梅野選手はすでにムエタイ一流の選手だったので、やることになると思わなかったのでめちゃくちゃ気持ちが上がっています。9月、盛り上げて世界一を決めましょう」と、梅野と戦うことを望んでいたと語った。 ▼第9試合 RISE WORLD SERIES 2019 -61kg Tournament(Aブロック)準決勝 3分3R延長1R×セクサン・オー・クワンムアン(タイ/ソーソムマイジム/ラジャダムナンスタジアム認定ライト級王者、2015年ラジャダムナンスタジアムMVP)判定0-3 ※26-30、25-30、25-30〇白鳥大珠(日本/TEAM TEPPEN/第5代RISEライト級王者)※白鳥が決勝戦へ進出。  3月に行われた1回戦ではヘクター・サンチアゴ(ブラジル)に延長戦の末に勝利を収めた白鳥。準決勝では優勝候補であり、1回戦で大雅を破ったラジャダムナンスタジアム認定ライト級王者セクサンと対戦する。  1R、サウスポーの白鳥は左ローとボディへのワンツー、パンチで崩しての左ローが決まる。長いリーチを活かして顔面へワンツー、そしてボディへの連打。セクサンは右の強打を放つが、白鳥は長い距離をとる。プレッシャーをかけるセクサンに白鳥は左アッパーと左フックも叩き込む。  2R、白鳥はパンチからロー、パンチからミドルへつなぎ、ボディからワンツー、さらにヒザ蹴り。セクサンは右フックを放つが、バッティングとなり白鳥は眉間をカットして流血。セクサンにはイエローカード(警告)が提示される。前に出てパンチを放つセクサンに白鳥はカウンターの右ストレート。  ガムシャラに前へ出るセクサンに白鳥が連打からの右フックでダウンを奪う。左右フックとボディで畳みかける白鳥にセクサンも必死の抵抗。白鳥は左アッパーを突き上げる。そして白鳥は顔面、ボディ、ローと攻撃を散らし、セクサンを圧倒。右ストレート、左顔面ヒザでセクサンはフラフラに。  3R始まってすぐ、白鳥は左アッパーでダウンを追加。フラフラのセクサンだが右ローを蹴り、ボディを連打する。白鳥はヒザ蹴り、ロー、左右ボディで対抗。白鳥の右ローでセクサンの動きは止まる。セクサンも左フックで反撃。前に出てパンチを出し続けるセクサンに白鳥は後退するが、左ストレートと左ローを返す。  逆転を狙って最後まで猛攻を仕掛けたセクサンだったが、白鳥も応戦して試合終了。白鳥が大差の判定勝ちでセクサンを破る大金星を得た。  白鳥はマイクを持つと「いろいろ事前のインタビューを見ていた人は分かると思いますが、今回は吹っ切れて倒すことだけを意識していました。負けてもいいと思って、その代わり絶対に倒してやろうと思っていました。それにしてもセクサン選手タフすぎやしませんか。これで少しは僕に期待してくれたんじゃないですか。大阪から帰ったらすぐに練習して世界一を獲るために毎日練習します」と、笑顔で世界を獲ると宣言。場内からは大きな拍手が沸き起こった。 [nextpage] ▼第8試合 SuperFight! -55kg契約 3分3R延長1R〇鈴木真彦(日本/山口道場/第7代RISEバンタム級王者)KO 2R1分28秒 ※3ノックダウン×エマヌエル・テッティ・メニチェッリ(イタリア/PKT/WKN世界フライ級王者、WAKOイタリア54.5kg級王者) 22歳の鈴木は昨年トーナメントを制してRISEバンタム級王者となり、3月にはユン・ドクジェをKOして破竹の13連勝中。2015年8月、那須川天心に敗れて以降、4年間黒星はない。  対するイタリアのテッティはWKNの推薦選手で世界フライ級(53.5kg)を獲得したばかり。戦績は44戦31勝11敗2分(4KO)の24歳。  1R、テッティは右フックを振り回して左ローと左ミドル。バックスピンキック、バックハンドブローも繰り出す。鈴木はよく見て右のパンチを合わせに行く。スピードのある攻撃を繰り出すテッティだが、鈴木はかわす。左ロー、ワンツーで入っていく鈴木は左フックとヒザ蹴りにつなぐ。  2R、ワンツーで前に出る鈴木はヒザ蹴りへつなぎ、テッティは左右フックで迎え撃つ。鈴木の右ボディでテッティが体を丸め、鈴木は一気にラッシュ。右ストレートから顔面への左ヒザ蹴りでダウンを奪う。ラッシュをかける鈴木が右フックでダウンを追加し、再びのラッシュで左ボディブローを叩き込み、3度目のダウンを奪って圧勝した。 ▼第7試合 RISE WORLD SERIES -61kg契約 3分3R延長1R×裕樹(日本/ANCHOR GYM/RISE三階級王者)判定0-3 ※28-29、27-30、27-30〇ヘクター・サンチアゴ(ブラジル/SANTIAGO TEAM/WAKOサウスアメリカ王者、WGPライト級王者) “ミスターRISE”こと36歳の裕樹が大阪大会に出場。3月の-61kg世界トーナメント1回戦ではチャンヒョン・リーに敗れたが、最後まで逆転を狙っての魂のファイトで観客をしびれさせた。対するは“ダイナマイト”の異名を持つサンチアゴ。3月の-61kg世界トーナメント1回戦では白鳥大珠に敗れるも延長戦まで戦った。  1R、裕樹はサンチアゴのパンチにブロックを固め、必殺の右ローを蹴っていく。パンチを顔面とボディに打ち分け、どんどん前へ出るサンチアゴ。裕樹はパンチをもらってバランスを崩す場面も見られるが、右ローをしっかり蹴る。サンチアゴの右フック、右ストレートに押される裕樹。アゴをしっかり引いて額でパンチを受けてはいるが、パンチを浴びる場面が目立った。  2R、サンチアゴの右ストレートに大きくバランスを崩す裕樹。サンチアゴはパンチの回転を上げて連打する。裕樹は左右ローで対抗するが、サンチアゴの左右フックで身体が揺らぐ。裕樹はしつこく左右ローを蹴っていき、サンチアゴの出足が鈍くなり始める。  3R、パンチを連打して前へ出るサンチアゴにローを蹴り返す裕樹。サンチアゴの右ストレートには尻もちをついてしまう。サンチアゴはローの蹴り足をつかみにくる。前へ出てパンチを回転させるサンチアゴ。裕樹は顔面にもらってのけ反る。  最後までローにこだわった裕樹だったが、パンチを浴びる場面が多く、サンチアゴの判定勝ちとなった。 ▼第6試合 RISE WORLD SERIES -61kg契約 3分3R延長1R×ル・ジュン(中国/盛力人和/2017年EM LEGEND-65kg王者)TKO 1分07秒 ※右フック〇原口健飛(日本/Kick Lab/聖武会館/Road to RIZIN KICK Tournament優勝、スーパーフェザー級9位)  3月10日大田区大会で梅野源治とWORLD SERIES一回戦で対戦した中国のル・ジュンが大阪大会に登場。試合巧者の梅野に敗れたものの威力のある攻撃は中国トップファイターであることを証明した。  そのル・ジュンに挑むのは現在実力が注目される空手家・原口。WORLD SERIES本戦出場は逃したもののリザーブマッチで、スペインのミゲール・マルティネスを三日月蹴りで秒殺KOしインパクトを残した。5月大会ではRISEライト級2位の北井智大をも下している。  ジュンは前日計量をオーバーし、本日の再計量でも800グラムオーバー。契約体重をクリアーすることができず減点1、グローブハンディが与えられた。  1R、サウスポーの原口は序盤から左ハイと左ミドルを連発し、三日月蹴りでダメージを与えての左ストレート。左ハイでグラつかせると右フックでダウンを奪う。右フックからの三日月蹴り、そしてヒザ蹴りからの右フックでダウンさせるとレフェリーがストップ。原口は勝利のバック宙。鮮やかなTKO勝ちを収めた。  原口はマイクを持つと、「試合があるか分からなかったんですが、ル・ジュン選手も試合をしてくれるとのことで試合が決まったので、ル・ジュン選手ありがとうございました。やっと関西にRISEが来たので、僕はもっともっと関西の大きい会場でRISEをやりたいと思っているので、皆さんまた来てください」と、関西でさらにRISEを広めていきたいと話した。 [nextpage]▼第5試合 RISE WORLD SERIES -58kg契約 3分3R延長1R〇工藤政英(日本/新宿レフティージム/第3代フェザー級王者)判定2-0 ※29-28、28-28、29-28×タリソン・ゴメス・フェレイラ(ブラジル/Champions Factory/SAIKYO GP優勝)  工藤は昨年6月に王者となったが、その後はワールドクラスの相手に3連敗。復活をかけて臨んだ5月19日の『RISE 132』でタリック・トッツ(イタリア)をKOで破り、連敗を脱出してWORLD SEIRES-58kgトーナメントのリザーブ権を獲得した。  フェレイラは3月のWORLD SEIRES-58kgトーナメント1回戦でスピードのあるオーバーハンドフックでスアキムから2度ダウンを奪って追い詰めたが逆転KO負け。しかし4月のRIZIN横浜大会では大雅を2RでKOしている。荒々しいハードパンチが武器だ。  1R、フェレイラは勢いよく右ローを蹴り、組み付くとヒザ蹴り。工藤は組み付いてくるところに必殺の左ボディブロー。フェレイラはホールディングが多くイエローカード。工藤はミドルでもボディを狙っていく。  2R、フェレイラは左右フックを時折放つが、なぜか蹴り主体の攻撃。工藤は前へ出てボディへのヒザ蹴り、さらにボディブロー。工藤のボディにフェレイラは身体を丸める。徹底した左ボディ、左ミドルにフェレイラは消耗した表情。フェレイラはクリンチを多用する。  3R、フェレイラは左右フックを叩きつけるが、工藤の前進に後退気味。工藤はフックとボディの波状攻撃。クリンチを多用するフェレイラについにレッドカード(減点1)が提示された。前に出てパンチとヒザでボディを攻めまくる工藤。 しかし残り30秒近く、フェレイラの右アッパーが直撃。工藤は危うくダウン寸前に。それでも工藤は耐えて最後は打ち合いに臨み、判定3-0で勝利。王者の意地を見せつけた。 ▼第4試合 第4代RISEスーパーライト級王座決定トーナメント準決勝 3分3R延長1R×タップロン・ハーデスワークアウト(タイ/ハーデスワークアウトジム/同級1位、元WMC世界フェザー級王者)判定0-2 ※28-29、29-29、28-29〇山田洸誓(正道会館KCIEL/同級2位)※正道会館高知より所属変更※山田が決勝戦へ進出。  現在空位となっているRISEスーパーライト級(-65kg)の王座決定トーナメントが今大会から開幕。タップロンvs山田洸誓の好カードが決定した。  タップロンは長きに渡り日本のリングで活躍しているムエタイ戦士で、3月10日のRISE大田区大会では無敗のRISEウェルター級王者“ブラックパンサー”ベイノアをパンチ1発でKOして初黒星を付けた。  一方、プロデビュー以来無敗記録を誇っているのが正道会館の空手家・山田。現在8戦8勝6KOと“高知のKO仕掛け人”ぶりを発揮した脅威の戦績で高橋幸光、森本一陽などの強豪選手も下している。  1R、タップロンは軸足払いで山田を転倒させるが、山田が二段蹴りを放って転倒したところで顔面を蹴ってしまい、イエローカード。ローの蹴り合いも。  2R、山田は右フックを打ちに行く。タップロンは組み付いてヒザ蹴り。山田はフックでのアタックを繰り返し、右フックを何度もヒットさせる。タップロンはクリンチが多い。山田は左の三日月蹴りも突き刺していく。前に出て圧力をかけるタップロンだが、山田が三日月とフックを当てる展開に。  3R、タップロンは右ミドルを蹴ってパンチで近付き、ヒザ蹴りへつなぐ。この圧力に山田は疲労の色が濃い。パンチで追い回すタップロンに山田は組み付きを多用し、タップロンに何度もコカされる。最後に山田が左フック、前蹴りを放ったところで試合終了。  3Rは追い上げられた山田だったが、1Rと2Rのリードを守り切って判定勝ち。デビュー以来の無敗記録を「9」に伸ばし、決勝戦へ進出した。 ▼第3試合 ライト級(-63kg)3分3R延長1R×麻原将平(パウンドフォーパウンド/同級3位、前HOOST CUP日本スーパーライト級王者)判定0-3 ※28-29×3〇高橋一眞(真門ジム/第15代NKBライト級王者)  両者は5月26日に開催された『ホーストカップ』名古屋大会でそろってKO勝利を収め、勢いをつけての参戦となる。  高橋は日本キックボクシング連盟の看板・髙橋三兄弟の長兄で、その異名通り常にド突き合いのファイトを展開。16勝のうち13勝がKOという倒し屋だ。近年は『KNOCK OUT』にも参戦していたが、今回はヒジ打ちなしのルールに初挑戦する。  対する麻原は正道会館空手出身で、RISEライト級のトップランカーとしてタイトル挑戦経験もある。『K-1 WORLD MAX』にも出場した2008年プロデビューの34歳ベテラン選手だ。ローキックと飛びヒザ蹴りを得意とし、近年はK-1ヘビー級で活躍した武蔵の指導を受けてさらなる成長を遂げている。  1R、高橋は右ローと左インローを連発、麻原はジャブでボディを打つ。麻原はさっそく得意の飛びヒザ蹴りを発射するが不発。高橋はロングリーチのジャブを突いて麻原をけん制する。  2Rも高橋は右ローの集中砲火。麻原はパンチを放つ。高橋は徹底したジャブ&右ローで、時折ヒザも出す。麻原はなかなか入れない展開。残り1分、麻原が連打からの右ローを決めるが、高橋は距離を取って強い右ローを蹴り続ける。  3R、麻原は強引に詰めて左右フックを振り回す。これが高橋を捉える。高橋はヒザで反撃するが、麻原はそこへ右フックを合わせる。麻原の右フックにバランスを崩す高橋。さらに左フックも麻原はヒットさせる。高橋はヒザとハイキックで反撃するが、麻原は間合いを詰めて左右フックの連打で攻め切った。  判定は3-0で高橋。1Rと2Rのリードを守り切った。 ▼第2試合 ウェルター級(-67.5kg)3分3R延長1R×憂也(魁塾/DEEP☆KICK-65kg王者、RISEスーパーライト級4位)TKO 1R1分27秒 ※左フック〇中野椋太 (誠至会/NJKFウェルター級王者)  6月の『RIZIN.16』にキックボクシングルールで参戦している憂也はRISEに定期参戦しているDEEP☆KICKの65kg王者で、今回からウェルター級でチャレンジ。対する中野椋太はRISE初参戦となる現NJKFウェルター級王者。元蹴拳スーパーライト級のタイトルも獲得した経験もあり、ジュノン・スーパーボーイ・コンテストでもベスト100に残ったこともある容姿の持ち主だ。  1R、ムエタイスタイルでどっしりと構える中野。憂也が左ボディを打った直後に中野が左フックでダウンを奪う。立ち上がった憂也だが、再び左フックで中野がダウンを奪い、レフェリーがストップ。中野が鮮やかなKO勝ちでRISE初陣を飾った。 ▼第1試合 -61kg契約 3分3R〇Ryuki(RKS顕修塾/英雄伝説2017年-60kg級アジア王者)判定3-0 ※30-28、30-28、30-27×中村 寛(BKジム/DEEP☆KICK-60kg王者)  Ryukiはアマチュア時代に約130試合を経験。2015年にプロデビューを果たすと、2018年8月には『RIZIN』にキックボクシングルールで参戦して勝利し、なんとデビュー以来18戦無敗の記録を打ち立てた。連勝記録は2月の『RISE』で篠塚辰樹に判定で敗れて途切れたが、3Rには逆転KOするかと思われるほどの反撃を見せている。  対する中村は極真空手と日本拳法をバックボーンに持ち、6月の『RIZIN.16』にキックボクシングルールで参戦すると現HOOST CUP日本フェザー級王者・元RISEフェザー級王者の一刀(モンスタージャパン)を2R18秒でKO。1Rに右フックでダウンを奪い、2Rに左ハイキックで仕留めるインパクト大のKO劇で無敗記録を8戦全勝8KOに伸ばした。22歳でニックネームは“人獣”。  1R、両者サウスポー。左ローを蹴り合う中、中村は左フックを振り回す。Ryukiは前に出てくる中村に左のパンチを巧みに当てる。Ryukiのヒザ蹴りが鋭く決まり、左フックで中村の動きが止まる場面も。  2Rも荒々しく攻める中村だが、Ryukiはショートのパンチを的確にヒットさせていく。Ryukiの左フック、右ストレートを浴びながら前へ出る中村。Ryukiの左アッパーが連続ヒットしても、左右フックをフルスイングする中村。ラウンド終了間際、Ryukiの左アッパーからの左右フックが連続ヒットし、中村の身体がグラグラと揺れる。  3Rも強引に前へ出る中村。Ryukiは足を使って回り込み、中に入ってくる中村に細かくパンチを当ててヒザを突き刺し、さらに顔面へパンチ。ダメージの色が濃い中村。ノーガードになって挑発する中村だが、そこへRyukiの左アッパーと左フックが連続ヒット。中村も左右フックで反撃するがRyukiは冷静に打ち返す。  判定は3-0でRyukiが勝利。中村の連勝をストップさせた。 ▼オープニングファイト第3試合 フェザー級(-57.5kg)3分3R延長1R〇門口佳佑(EX ARES×GROWTH/フェザー級9位、那須川天心挑戦者決定トーナメント優勝)判定3-0 ※30-29×3×山田直樹(KSS健生館/バンタム級12位、2018年RISING ROOKIES CUPバンタム級優勝)  門口はAbemaTVの番組『VS那須川天心』のトーナメントを勝ち上がり、那須川に挑戦したこともある空手出身の選手。  1R、サウスポーの門口に身長で優る山田は前蹴りで突き放しながらワンツーを狙い、ヒザを突き上げる。門口は左ローを的確に決めていく。終盤になると門口が前へ出てストレートを決めた。  2Rになると門口がボディを連打。左ロー、左ミドル、左ヒザ蹴りと左の攻撃を繰り出していき、特に左ローがまともに決まる。パンチから左ローにつなぐ門口が攻勢に。  3R、山田は前へ出てパンチからのヒザ蹴り。門口は距離を詰めて右フックと左ロー。右アッパーからの左ローが強烈に決まる。山田も右ストレートで応戦。残り30秒、前に出る門口がパンチと左ローの猛攻、山田もパンチで打ち合う。判定3-0で門口が今年3連勝を飾った。 ▼オープニングファイト第2試合 スーパーフェザー級(-60kg)3分3R〇佐藤 亮(健心塾/NJKFスーパーフェザー級4位)2R負傷判定2-1 ※19-20、20-19、20-19×利川和希(TRY HARD GYM)  NJKFランカーの佐藤と4戦4勝の利川。2Rに利川がパンチで前に出始めると佐藤は左ミドルで迎え撃つ。両者ホールディングが多く警告。バッティングで利川が右目上から流血し、ドクターチェック。ここでストップがかかり、この時点までの採点で勝敗がつけられることになり、佐藤が勝利した。 ▼オープニングファイト第1試合 スーパーフライ級(-53kg)3分3R×濱田祐生(山口道場)判定0-3 ※28-30、28-30、27-30〇有井渚海 (及川道場/第30回全日本新空手道選手権大会 K-2GRAND PRIX 2019軽軽量級優勝)  デビュー戦同士。有井が左ボディを交えたパンチのコンビネーションで攻めれば、濱田は右ローを蹴っていく。有井はワンキャッチワンアタック(つかんでの攻撃が一度だけ認められる)ルールを利して、ヒザ蹴りからのパンチを効果的に決めていく。2R終盤、有井が左フックをクリーンヒット。3Rラスト1分、有井がパンチでラッシュを仕掛け、右ストレートと左フックをヒットさせて試合終了。有井が判定でデビュー戦勝利を飾った。<関連記事>那須川天心が計量パス「過去最高のコンディション。今まで溜めてきたものを全部スアキム選手にぶつける」志朗が決勝は那須川天心vsルンキットとの予想を「覆したい」、梅野源治はチャンヒョン・リーと「テクニック差はさらに開いている」那須川天心との再戦に臨むスアキム来日「この試合に集中するため、1カ月家族と会っていません」那須川天心がプロデビュー満5周年を迎え「誰も届かぬとこまで突き抜けます」
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