スアキムの顔面へ渾身の左ストレートを叩き込む那須川
RISE WORLD SERIES 2019 Semi Final Round in OSAKA
2019年7月21日(日)エディオンアリーナ大阪・第1競技場
▼メインイベント 第12試合 RISE WORLD SERIES 2019 -58kg Tournament(Aブロック)準決勝 3分3R延長1R
〇那須川天心(日本/TARGET/Cygames/初代RISE世界フェザー級王者、ISKAオリエンタルルール世界バンタム級王者)
TKO 3R1分13秒 ※レフェリーストップ
×スアキム・PKセンチャイムエタイジム(タイ/PKセンチャイムエタイジム/ルンピニースタジアム認定スーパーフェザー級王者)
※那須川が決勝戦へ進出。
両者は2018年2月に『KNOCK OUT』で対戦し、3分5Rフルに戦って那須川が判定勝ちしている。しかし、那須川にとってその時点でキャリア史上最強の敵と言われたスアキムは、試合後の那須川に「マジ強かった。試合でこんな思いをしたのは初めてです。本当に怖かった」と言わしめた。
那須川は3月に行われた1回戦ではフェデリコ・ローマ(アルゼンチン)を、片手で倒立しながら蹴るハイキック=天心キックで衝撃KO。スアキムはタリソン・ゴメス・フェレイラ(ブラジル)に、2度のダウンを奪われてKO負け寸前からの大逆転KOを収めている。
那須川は大阪仕様の虎柄ガウンと虎柄トランクスで入場。場内は今日一番の大歓声に包まれる。リングインすると鋭い目つきでスアキムを睨む。
1R、スアキムは右ローと右ミドルで距離を取る。那須川はワンツーで何度か仕掛けるが、スアキムはバックステップでかわす。パンチをかわし合ったところで那須川が左ハイを軽くヒット。那須川はスアキムの蹴り足をキャッチしての左フックを見舞う。スアキムがヒジ打ちを出してしまいイエローカード。前に出るスアキムに那須川は左ボディストレートと左ロー、さらに顔面前蹴り。
2R、スアキムの右ミドルに左ボディストレートを返す那須川。スアキムの蹴りにボディを返す展開が続く。ボディが入ると左ストレート。那須川は顔面とボディに左ストレートを打ち分け、至近距離からの左ハイも繰り出す。スアキムも右ストレートを放って打ち合いに出るが、那須川はかわして左ストレートと左ハイ、そしてボディへの左ストレート。
3R、スアキムがパンチと右ミドルで前へ出ると那須川も打ち合いに応じる。回り込んでスアキムの攻撃をかわす那須川。蹴り合いから那須川が左ボディストレートを突き刺し、胴廻し回転蹴り。この蹴りでスアキムは額をカットして流血する。ドクターチェック。那須川のカカトでスアキムの額はバックりと割れており、ここでストップ。那須川がTKO勝ちでスアキムを返り討ちにし、決勝戦進出を決めた。
那須川はマイクを持つと「大阪の皆さん、初めまして那須川天心です。スアキム選手は前回よりも凄い圧力があって凄い強かったです。いろいろ試してみようと思って打ち合っちゃって何発かパンチをもらったけれど、こういう経験もあってまだ強くなれます。一撃必殺の胴廻し回転蹴りでバックり切れてしまったので、もうちょっとやりたかったんですがTKOで倒したのでまた次の試合にも来てください。
今夜のトーナメントはなんと両方とも日本人対決をやることになりました。これは日本人を勝たせるためのトーナメントではなく、世界の強いヤツを集めての結果なので。ぜひ応援に来てください。これからもどんどん強いヤツと戦って、自分はこんなところで止まらないので、挑戦して行きます。そしてスアキム選手、もう一回やりましょう」とアピールした。
先に決勝進出を決めた志朗もリングに上がり、「天心君、おめでとうございます。ルンキットと戦いたかったと思いますが、9月は自分が天心君を倒すのでぜひ見に来てください」と、打倒・那須川を本人の前で宣言した。
▼セミファイナル 第11試合 RISE WORLD SERIES 2019 -58kg Tournament(Bブロック)準決勝 3分3R延長1R
×ルンキット・ウォーサンプラパイ(タイ/ウォーサンプラパイジム/ラジャダムナンスタジアム認定スーパーフェザー級王者)
延長R 判定1-2 ※9-10、10-9、9-10
〇志朗(日本/BeWELLキックボクシングジム/ISKAムエタイ世界バンタム級王者)
※本戦の判定は29-29、28-29、29-29。志朗が決勝戦へ進出。
昨年10月、あのロッタンを破って16歳でラジャダムナン王者となったルンキットは、1回戦でフレッド・コルデイロに勝利。今回の試合にも自信満々で臨む。対する志朗は3月の1回戦でウラジスラフ・ミキータスをローキックで3RにKOで葬った。
普段はムエタイを主戦場とする志朗にとって、タイでは試合が成立しないほど格に差があるルンキットだが、「RISEルールなら勝ち目がある」と志朗は戦前に語っていた。
1R、志朗はローを蹴りながら左右フックをヒットさせる。サウスポーのルンキットは前に出ながら左ミドルと左ハイキック。このハイキックで志朗はダウンではないがなぎ倒される。終盤には飛びヒザ蹴りも繰り出すルンキットに志朗は左右フックで応戦した。1Rが終了すると、ルンキットは両手を上げてアピールする。
2Rもルンキットは自分の距離を保っての左ミドルと左ハイ。志朗は右ストレートでボディを攻め、前へ出ていく。ルンキットは志朗のパンチを寸前のところでかわすが、前に出てくる志朗に組み付いてしまいイエローカード。ルンキットが左ミドルを蹴ると右ローを蹴る志朗。このラウンドもルンキットが上手さを発揮したか。
3R、志朗がルンキットの左ミドル直後にワンツーをヒットさせる。さらに蹴られながらも前へ出て、またもワンツーをヒット。下がるルンキットはヒザ蹴りで迎え撃つが、志朗に抱き着く。前へ出てパンチとローを打っていく志朗にルンキットはクリンチを繰り返す。ルンキットの右ローにボディを返す志朗。さらにボディを連打していくとルンキットは防戦一方に。左ハイと左ミドルを蹴るルンキットに志朗はボディで攻め続ける。そして本戦終了。
判定はジャッジ1名が志朗を支持したが判定はドロー。延長戦へ突入する。ルンキットは左ミドルを蹴って前へ出る。志朗も前蹴りとボディストレートで対抗。左ストレートには左ストレートを返す。ルンキットはジャブ、左ストレートで距離を取り、志朗が接近すると組み付いてしまいボディを打たせない。前へ出る志朗をヒザ蹴りと左ストレートで迎え撃ち、クリンチに持ち込むルンキット。両者決定打がなく延長戦も終了。
判定は2-1と割れ、志朗が勝利。ルンキットを破る大金星を得て決勝戦へコマを進めた。
志朗はマイクを持つと「大阪の皆さん、関東から来てくれたたくさんのファンの方々のおかげで勝つことが出来ました。自分は次に出る天心君のように派手には倒せませんが、自分には負けない気持ちがあります。9月は天心君との決勝戦になると思うので、自分が世界一になります」と、決勝で那須川にも勝つと宣言した。