北海道のエース・山川(左)がランキング上位の宮崎を破った 記事/布施鋼治 撮影/長尾迪
ノースエリア格闘技イベントBOUT46
2023年3月5日(日)北海道・札幌ホテルエミシア3F パレスホール
▼RISEランキング戦 フェザー級 3分3R延長1R
×宮崎就斗(TARGET/RISEフェザー級5位・DEEP☆KICK57.5kg級チャンピオン)
判定0-3 ※27-30×2、26-30
〇山川賢誠(Kickboxing Academy Sapporo/RISEフェザー級7位)
ついに宮崎就斗vs.山川賢誠の一騎討ちが実現した。今回が初対決ながら、過去に両者のマッチメークは実に5回も組まれそうになっては流れていたというドラマがあったのだ。山川にとっては昨年10月に安本晴翔に1RKO負けして以来、5カ月ぶりの地元での再起戦だった。対する宮崎は保持するDEEP☆KICKフェザー級のベルトを昨年12月にKING龍蔵を挑戦者に迎えて王座防衛戦を1RTKOで下して以来の一戦となる。
1Rの出方はお互い慎重だった。山川が左ストレートを狙えば、それを宮崎は前蹴りでストップさせる。そうすると山川はミドルキックで追撃し、右ジャブでリズムを掴もうとする。2分過ぎになると、試合はさらにヒートアップし、ともに打ち合いを辞さない流れに。気がつけば、山川の右の太股は紫色に腫れ上がっていた。それだけ宮崎のローに威力があったのか。そんな宮崎も左のスネがパックリと割れ、出血を余儀なくされていた。
2R、ついに宮崎はスネの出血により、ドクターチェックを受ける。このとき山川は「自分の気持ちを切らさないように」と必死だったと打ち明ける。「(チェックの時間が長いと)身体が冷えてしまうので、そこから気持ちを上げていこうと気持ちを切り換えました」
この冷静な気持ちの切り換えが功を奏した。試合再開後、山川はワンツーからのロー、さらにはカウンターのヒザ蹴りで宮崎を追い込む。さらに左ローで追い打ちをかけると、宮崎がバランスを崩す場面も。そしてラウンド終了間際には右フックで先制のダウンを奪った。
3Rになると、もうあとがない宮崎は必死の形相で反撃を試みる。すると、山川は宮崎のアタックをかわして逆にカウンターを当てていく。結局、そのまま試合の流れは動かず、判定は30-27(二者)、30-26で山川が勝利を収めた。
試合後、北海道のキックボクサーの顔になりつつある山川は「めっちゃうれしいです」と相好を崩した。「宮崎選手を意識していたこともあるし、デビューしたときからずっとランキング的にも立ち位置的にも自分よりちょっと上にいたので、つねに意識する存在だった。だから絶対に負けたくない。絶対に越えないといけない存在だと思っていました」
自分よりランキングが上の宮崎を倒したことでランクアップは確実。この勝利を糧に山川はさらに上を目指す。「ひとりひとり倒してチャンピオンを狙っていきたい。負けた相手からリベンジしていって誰にも文句を言われない感じでタイトル挑戦したい。いまK-1との対抗戦も始まったけど、そこで闘っていけるような選手にもなりたい」
地元の試合で山川はいつも力強いファイトを見せてくれる。今回はベストバウトといえる試合内容だった。東京でも同じ調子で闘うことができれば、さらなる上位進出も決して夢ではない。