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インタビュー

【INOKI BOM-BA-YE×巌流島】藤原喜明がイゴールとシビサイを特別指導「猪木さんが言った“ボーン・トゥ・ボーン”は──」

2022/12/23 21:12
【INOKI BOM-BA-YE×巌流島】藤原喜明がイゴールとシビサイを特別指導「猪木さんが言った“ボーン・トゥ・ボーン”は──」

御年73歳の藤原の技に、イゴールとシビサイもこの表情。(C)ゴング格闘技

 2022年12月28日(水)『INOKI BOM-BA-YE×巌流島 in 両国』(U-NEXT生配信)にて、「大将戦」のMMAルールでメルヴィン・マヌーフ(オランダ)と対戦するイゴール・タナベ(ブラジル)と、「中堅戦」の巌流島特別ルールでジョシュ・バーネット(米国)と対戦するシビサイ頌真(日本)が23日、公開練習で“関節技の鬼”藤原喜明の特別指導を受けた。

 かつてアントニオ猪木のスパーリングパートナーを務め、カール・ゴッチからキャッチレスリングを学び、ルタ・リーブリのイワン・ゴメスらとも練習して、独自に落とし込んだテクニックを持つ藤原組長は、イゴールとシビサイにその極意を伝授。

「2人とも骨が大きいのは財産だ。上からプレッシャーを与えて疲れさせて、相手が首や腕や足を差し出してきたところを極めればいい」とコントロールの重要性を伝えた。

 また、テクニックについて「自己流に考えて自分なりにやりゃあいいんだ。“もっといい方法はないだろうか”と、常に考えること。バカは強くなれない」と説いた。

 ゴッチ、猪木、藤原、佐山聡に連なる日本格闘技の源流のひとつはいかに生まれ、引き継がれたか。公開練習でのテクニック、その後のインタビューの一問一答全文は以下の通りだ。

力の強いやつとは「省エネ」で戦う

藤原 最近のやつはいいモン食ってるからか大きいな(笑)。

シビサイ・イゴール いえいえ(笑)。

藤原 でもこの大きいのってすごい武器だからね。せっかくご両親からもらったんだ。有効に使わないと……あれ、ヒザをやったの?

シビサイ 十字靭帯をやって手術しました。

藤原 ああ……みんなな、最後はみんな車椅子だ(苦笑)。でもね、いいと思うよ。一生懸命、何かに没頭して、最後は車椅子でも。そうじゃない方がいいけど、でも何かを成し遂げたならそれでもいい。

──2人を指導して、どのように感じましたか。

藤原 骨が大きいというのは財産で、なかなか壊れにくいということなんだ。関節も大きいだろうし、財産だから大事に使って、できるだけ長く戦って、車椅子になるまでな(笑)。でも、これはしょうがないんだよ。俺は首もヒジも足首もボロボロで、ヒザも曲がって、脊柱管狭窄症だし、でもな、ひとつのことをずっと一生懸命やってきたという誇りというかね(床をドンドンと踏んで)あっ、これはホコリじゃねえな(笑)。

──今日もシビサイ選手とイゴール選手にフェイスロックやアキレス腱固めの藤原さんならではのやり方を伝授されましたが、以前、藤原さんと猪木さんがリング上で、アキレス腱固めのテクニック体験をされたときに、猪木さんの口から「ボーン・トゥ・ボーンだ」という言葉が出て、その技が受け継がれていると感じました。

藤原 うん、もともと猪木さんが言ったんじゃないよ。(カール)ゴッチさんが言ったんだ。『ボーン・トゥ・ボーン』ってな。骨と骨、ほんのちょっとしたことなんだけどね。ここが当たるか、ここが当たるか、それで違う」

──その極意は、ゴッチさんから藤原さん、そして猪木さんと共有されてきたと。

藤原 猪木さんはスーパースターだったから、忙しくてそう動けない。だから俺を送り込んだんだ。給料をいただきながら半年間、ゴッチさんのところに行かせてね。ずっと毎日、教わる。アパートに戻ると詳しく覚えていない。それでダメだと思って、次の日からノートに書きこんでいくようにした。『どうだ、分かったか?』ってゴッチさんから言われて『イエッサー』って言って。戻ってすぐに記入する。それをずっとやってた。

 日本に帰ってから、佐山(聡)とか前田(日明)とかを実験台にしてね。でもって相手があまり弱いとつまんないんで、『これどうしたらいいですか?』と聞かれたら、『こうするんだよ』って言って、だんだん上達していく。そうすると自分も工夫する。そうして作っていったよ。

──では、猪木さんは藤原さんを研究員としてフロリダに送り込んだわけですね。その観点からも今日は、この新世代の2人の動きをご覧になって、どのように感じましたか。

藤原 私らのときはまず乗っかることだった。乗っかって押さえ込んで相手を疲れさせると必ずチャンスが来る。どういいうときでも乗っかっている。でも、お客さん的にはつまんないよね。でも本当に勝ちたいならまず乗っかること。相手がうつ伏せだろうが、四つん這いだろうが、いつでも乗っかって体重を使う。

 疲れてくると苦し紛れに相手が手を出してくる。そうしたら……“いただき”だよな。研究して、相手が亀でも乗っかって加重する。船木(誠勝)とも話したんだけど『私たちの頃は1時間くらいやってました』と振り返っていたよ。いまの練習だと10分くらいかな。私らの頃は、1時間乗ってコントロールして、相手を動かして動かして、ヤバいとなって手や足を出してきたらもらう。だから……何のことはない。“省エネ”でやってた(笑)。

 ジョシュ・バーネットみたいに力の強いやつとやると、こっちの方が疲れて“早くウチに帰りてぇな”って頭をよぎるよな。“早くウチに帰ってビール飲みたいな”って思っちゃうだろ(笑)。そこでしっかりプレッシャーを与えると、“こいつ待ってんな”と分かっていても“もうどうでもいいや”と思わせられるんだ。

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