2025年5月11日(日)東京・アリーナ立川立飛にて、中国のプロキックボクシング大会『SPACE ONE 宇宙榮耀』と日本のムエタイ大会『BOM』が『SPACE ONE×BOM』(U-NEXT配信)としてコラボ大会を開催。4月14日(月)横浜市内にて記者会見が行われた。
ラジャダムナンスタジアム3階級制覇の名高・エイワスポーツジム(=吉成名高/エイワスポーツジム)がオープンフィンガーグローブ着用のムエタイルール、スーパーフライ級3分3Rでチョークディー・ペッセーントーン(タイ)と対戦することが決定。
名高は2023年7月にラジャダムナンスタジアム認定フライ級王座を獲得し、外国人として史上初のラジャダムナン2階級制覇王者に。その後も快進撃を続け、8月にはタイ『RWS』のメインイベントでフライ級タイトル初防衛戦を行い4RでKO勝ち、12月のRWSではラジャダムナンスタジアム認定スーパーフライ級暫定王座決定戦で勝利し3階級制覇。
2024年2月には正規王者プレーオプラーオとの統一戦にも勝利し、正規王者に。7月のジョムホートとのタイトルマッチでも圧倒的な差を付けて勝利、2度目の防衛に成功した。9月のWBCムエタイ ダイヤモンド スーパーフライ級王者決定戦では、プレーオプラーオに勝利しているペットアヌワットを2RKOで葬り、10月にはクンクメールとの対抗戦で3RKO勝ち。12月1日のRWSではペットヌンに大差判定勝ちして3度目の防衛に成功。
12月、シュートボクシングの大会でオープンフィンガーグローブムエタイに初挑戦して初回TKO勝ちを収めると、2025年3月のONE日本大会に初参戦してOFGムエタイでラック・エラワンを左ストレートで3RにKOした。現在驚異の36連勝を誇る。戦績は62勝(40KO)6敗1分。
チョークディーはまだ16歳ながら48勝10敗2分の戦績を持ち、元ヤソートーン県アマチュアムエタイ王者、東北地方青少年アマチュアムエタイ大会王者。中川夏生BOM代表は「名高の相手はオーストラリア、香港、カンボジアなど全てにあたり、グローブでもOFGでもどちらでもいいと提示したんですが両方やりたくないということが凄く多くてかなり困りました。チョークディーはOFGなら名高とやりたい、ということで決まりました」と、唯一試合を受けた選手だと説明。
会見に出席した名高は「3月のONEから2カ月経ってSPACE ONEとのコラボで大会出場することになりました。今回BOMで初めてOFGで試合をやらせてもらいますけれど、前回3月の試合でOFGに本格的に参戦してからどんどん自分の感覚が研ぎ澄まされているのを感じています。OFGに変えてからより自分の動きが速くなったとか、殺傷能力が上がったとか、成長を感じることが凄く多くなって。
今回の試合も前回の試合で得た感覚が残っているので、前回以上の動きが見せられると思いますし、相手選手は映像を見たんですけれどパンチに自信があるからこそOFGで試合を望んだと思うので、打ち合いになったとしても僕は自分の攻撃だけを当てるスタイルを貫こうと思います。必ずKOで勝ちます」との意気込み。
対戦するチョークディーに関しては「名前の通りで、チョークディーは“いいファイト”という意味で一発一発攻撃が重いし、身体が大きい。OFGでパンチを振ってくると思いますが、僕には当たらないってところを見せ付けたい」とした。
OFGでの練習はONE以降も続けており、「感覚的な話ですが、より相手の全体が見える、相手の動きが見やすくなりました。自分の出入りのスピード、オフェンスもディフェンスもスピードがより上がったなという感覚です」と、さらに進化しているという。
中川代表によれば「名高はONEに出場したことによって、OFGで試合をすることになっています。今後どの道に進んでいいか、ONEに進むか、ラジャダムナンに進むのか、そういったものは2人で話している部分でまだ決まっていません。ただ、この先ONEに行った時には強い選手が多いです。ソンチャイノーイ選手を始めタイ人がこの階級に多いので、そういった時に向こうはONEルンピニー(ONE Friday Fights)に定期的に参戦できるので試合経験数が多いんですね。OFGのムエタイとグローブのムエタイは似て非なるもの。経験数を上げていかないと怖い部分が出るので、その経験の場としてBOMでOFGの経験を積んでいきます」と、まだ方向性は定まっていないが、ONEに出ることになった時のためにOFGムエタイルールの経験を積ませたいとする。
「ONEムエタイが出来たことによって、選手の夢がある舞台が出来た。目指すものが出来た。いい点・悪い点はどんな競技にもついてくるものだと思っています。選手が進みたい道を作ってあげるのもプロモーターの仕事なので、名高がやりたい方をやらせます。グローブとOFGを交互にやっていくのはかなり難しく、選手が戸惑ってしまう、トレーナーもそうです。他にもやりたい人がいたら、そっちにも行けるものを作っていきたい」と、今は名高にOFGに専念させるとの方針だとした。
それは今後ONEで試合をしたいということなのか、と聞かれた名高は「ONEのアトム級だとベルトがないので、その階級でベルトが新設されるなら、初代王者なら語り継がれる称号だと思うし、日本人でONEのムエタイ王座を獲った人はまだ一人もいないので自分が達成したい気持ちが強いです。自分は普通のムエタイも好きなので、OFGとグローブは違いますが、純ムエタイで培った強さをOFGでも通じるところを見せたいです」とのことで、ONEにアトム級タイトルが出来るならそれを獲りに行きたいとの考えのようだ。
「ONEのベルトが新設されれば、そこへ向かって突き進みたい。そのルートは中川会長が導いてくださるので自分は一試合一試合をクリアすることで自分の道を切り開けると思っています。だから、そこは自分は考えてないです」と、今後のことは中川会長に任せるとした。
また、中川会長は「ムエタイトップのラムナムムーンやチョーファーがONEに出ていい結果が余りだせていません。OFGの戦い方が難しいからです。普通なら組まれない試合がONEでは組まれて、無名の選手がトップ選手に勝っているんですよ。本当のムエタイはどちらでも強いことを名高が体現してくれないかとの期待があります。2人で話し合って今後の道は、しっかり名高がやってきた、BOMがやってきたムエタイが世界でも通用することを証明したいのが今やりたいことです」と語った。