急成長を続ける伊澤もパク・シウも「MMAで勝つ」
それは伊澤も同じ考えだ。
DEEPでの初戦では、試合前に右ヒザを傷めていた伊澤は練習が十分ではなく、試合でも蹴ることが出来ず、グラウンドでもヒザを着いての動きが制限されるなかで、1Rはパンチでパク・シウを上回っている。
伊澤はパク・シウについて、「打撃の強い選手なので、打撃の展開も多くなるし、そこから組んで寝技の展開も作っていきたい。このトーナメントで寝技の強い2選手と戦って、久しぶりにストライカーと戦うけど、自分のなかでこのトーナメントに向けてオーソドックス構えの相手との練習をめっちゃ増やしてきたから、前回やった打撃も結構良かったけど、それよりも上がっていて、打撃でも自信があるから、打撃も組みも寝技も含め、『MMAで勝つ』」と、奇しくもパク・シウと同じ言葉を発した。
その上で、決着させる武器があることが、MMAでは大きく作用する。テイクダウンプレッシャー、寝技の極めの強さがあることで、相手の打撃を制し、自身の打撃も当てることが出来るのが、MMAだ。
「やっぱりテイクダウンがカギになると思う。テイクダウンディフェンスが強い選手だと思うので、それに対しての対処をこれからしっかりやっていって、寝技の展開に持っていけるようにコントロールしていきたいなと思います」
試合後は、スヴェッキスカとウクライナの旗をリング上で掲げた。
「寝技の攻防で自分がやりたいことと、アナスタシア選手がやりたいことの駆け引きであったり、攻めどきとかの見極めで、“あっ、同じようなことを考えているな”とか、戦う気持ちの面で通じ合えたのかなって思います。
母国が大変な状況のなかで来ていただいて──総合格闘技ってやっていることは、戦っているということなんですけど、そのなかでも今回の自分の試合のように、相手の気持ちを考えたり、相手の気持ちに寄り添ったり、今回は駆け引きという形でしたが──試合の中で相手の気持ちを考えることができると思っていて、そのなかでアナスタシア選手と“何かで繋がれた”という感覚があったので、一緒に国旗を掲げました」と、戦火のなかで練習し、母国を離れて試合を行ったスヴェッキスカに敬意を表した。