相手がダウンしたからといって、無闇に入って行くことはしなかった(パク・シウ)
もうひとつのGP準決勝で勝ち上がったのは、前王者の浜崎朱加に判定勝ちしたパク・シウだ。
ベースであるキックボクシングの強さに加え、さらなるフィジカルの強化と、KRAZY BEEでの山本美憂とのレスリング練習が結実し、一気に成長を進めている。
試合は“ゴジータブルー”の青をイメージしたパク・シウが、サウスポー構えの浜崎に対して、内側に踏み込んでの右ストレートを当て、浜崎のニータップにも蹴り上げありのルールを活かしてすぐに立ちがることに成功。
右ミドルハイで浜崎の左前腕を赤く腫れ上がらせると、3Rには一転、左の外足を取って真ん中に右ストレート一閃、浜崎からビッグダウンを奪った。パウンドラッシュでフィニッシュも考えられた場面だが、パク・シウは1発だけを落として身体を離して追い打ちはせず、浜崎の立ち上がりを待てるほど冷静に、堅実に戦える強さがあった。
試合後の会見でパク・シウは、この場面について、「浜崎選手は、MMAの面で完成された選手。本当に色々な意味でうまいですし、キャリアも豊富です。今日はとにかく落ち着いて臨もうと思っていましたので、相手がダウンしたからといって、無闇に入って行かないというのが自分の今日の戦い方でした」と、浜崎の得意な局面で勝機を与えずに戦うつもりであったことを語る。
また、直前に扇久保博正と激闘を繰り広げたキム・スーチョルの勝利に、「スーチョル選手がいい試合をしていたので『私も頑張らなくてはいけない』と思いましたが、同時に『ちゃんと落ち着いていこう』とセルフコントロールしました」と、刺激を受けながらも、熱くなり過ぎず冷静さを失わずに戦ったことを明かしている。
大晦日の決勝は、伊澤との再戦に決まった。
「1年くらい前に一度試合をして負けましたが、現在はその時よりも伊澤選手も自分も、2人とも成長しています。決勝戦で当たれば、面白い試合になるんじゃないかと思います。伊澤選手はグラップリング、自分は打撃が得意なので、その2人が当たればまたその面白さが出るんじゃないかな、と思います」と、互いに別人として、決勝に臨むことになる、とパク・シウは言う。
前戦から自身が伊澤より上回っている部分を問われ、「伊澤選手は子供の頃から柔道をやっていたそうで、柔道式のテイクダウンが得意だと理解しています。あとはグラップリング、サブミッションに秀でている。ただMMA的には自分のほうが一歩抜きん出ているのではないかと思っています」と、トータルファイターとしての完成度で自身に分があるとした。