落としたものは、この格闘技で勝ってまた記憶を塗り替えていくしかない(扇久保)
周囲の応援に感謝の言葉を述べた扇久保は、今後については、「何とも言えないですけど……どうですかね。いま負けた直後なんで、こうするとは言えないですけど、悔しいんで。辞めはしないと思います。またここから這い上がっていく姿を見せるのも、僕かなと思うので、ちょっと休んでダメージを抜いてから、前向きに考えて行こうかなと思います。これが僕の仕事で、人生の一部なので。落ちたものは、この格闘技で勝ってまた記憶を塗り替えていくしかない。頑張ります」と前を向いた。
一方、RIZINバンタム級GP優勝者を下した、ROAD FC二階級王者は、試合後の会見で、「本当はもうちょっとスカッと気持ち良く終えたいところでしたが、なかなか試合が空回りしてしまったと思っています。今回は急激に減量して消化器の調子がちょっと悪く、試合の途中でボディブローをもらったときにそれ自体はあまりダメージはないと思ったのですが、もともとの消化不良のところにそれが効いてしまった」と、勝利にも課題が残ったとした。
フィニッシュ出来そうでさせなかった扇久保のタフさについても、「ひとつの家庭の家長、そして父親というものがどれほど大きな責任感を持っているか、どれほど強いのかということは自分もよく分かるつもりです。自分も(扇久保と同じように)妻が子供を身籠っていて、いま10週目です。ですから、扇久保選手にせよ自分にせよ、どちらが勝っても、どちらがパンチをもらっても、双方ともにできるところまで耐えていたと思います」と、父になる身として、互いに負けられない試合だった思いを語った。
2015年大晦日のマイケ・リニャーレス戦以来のRIZINマットでの勝利。スーチョルは、「自分が中高生の頃はPRIDEが夢の舞台でしたから、今回も出られてとても良かったと思います。まずは今日、第一歩がいい形で締めくくれたかなと。ただ今日のような試合運びではダメだなとも思いました。もし2RでKOできたなら、『堀口恭司選手とやりたい』とコメントしようと思っていました。いつかは堀口選手と対戦したいと思っていますので、機会さえ与えていただけたら頑張りたいと思います」と、日本バンタム級の頂点への挑戦を語っている。
新型コロナウイルスの渡航禁止から「開国」した日本格闘技界。世界の軽量級の強豪たちが来日を果たせる状況が戻って来た。
アジアの雄がRIZINマットで存在感を示し、堀口恭司がフライ級転向を表明したいま、日本のバンタム級ファイターたちはどう動くか。朝倉海は「出来るならキム・スーチョル選手と戦いたい」と対戦に名乗りを挙げた。年末に向けて、注目のバンタム級戦線だ。