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2022年9月25日(日)さいたまスーパーアリーナで開催された『RIZIN.38』で、MMAとして最もハイレベルな攻防が繰り広げられたバンタム級(61.0kg)戦で、キム・スーチョル(韓国)に判定負けを喫した扇久保博正(パラエストラ松戸)が27日、SNSで二箇所の顔面骨折があったことを公表した。
試合は、扇久保から先に打撃で先手を取ろうと動かすが、フェザー級でも戦うスーチョルの圧力に押し戻される展開。
2Rには接近戦でのスーチョルの左ボディ、左フック、左ヒザにコーナーに詰まり、左右フックで扇久保が腰を落とすと、そこにスーチョルはがぶりからヒザの連打。大きなダメージを負わせた。
3R、序盤にスーチョルのダブルレッグに扇久保がギロチンチョークに極めるも、クローズドガードの中で深く入っていた首をスーチョルは抜き、扇久保の乾坤一擲の絞めから脱出。最後にはビッグテイクダウンを決めて、GP覇者に判定勝利。バンタム級で大きな存在感を示した。
ともにオーソドックス構えからの前手、そして左の打撃とテイクダウンと同じ武器を持ちながら、互いに手足を出し、削り合う消耗戦のなか、タフファイトを制したのはスーチョルだった。
試合後、会見で「負けました。すごい殴られました。強かったです。悔しいです。どんどん前に出てこられて僕の方が最終的に削られてしまった」と語っていた扇久保は、あらためて、自身のYouTubeを更新。1Rからスーチョルの打撃で視界が阻まれていたことを明かしている。
「1R、終盤にもらった打撃で完全に二重に見えて、初めての経験だったので“ヤベーな、折れたな”と思って。2R以降もずっと二重に見えているなかで、パンチか(左)ミドルを(レバーに)もらって、ダウンして。危なかったです、あそこは」と、相手をまともにとらえることが出来ないまま、ヒザ蹴りを効かされながらもフィニッシュされずに生還した場面を振り返る。
作戦は「いつも通り、戦いながら」相手の劣った部分を突くつもりだったが、「でも今回は一本かKOを取りたいなと思っていました。ちょっと大振りになり過ぎたところはあったかもしれないです。テイクダウン、取れなかったですね」と、序盤からよりアグレッシブに出るも押し返され、得意のテイクダウンも防がれたことで「削られた」ことが敗因とした。
3R序盤にスーチョルのダブルレッグに起死回生のカウンターのギロチンチョークをセット。しっかりクローズドガードの中に入れて絞めた。
「フロントチョークは極まっていて、途中、フッとスーチョル選手の力が抜けて、“これ落ちたな”と思って、レフェリーに『落ちた、落ちた』ってアピールしたんですけど落ちてなくて、自分のちょっと甘いところが出たなと思います。ちゃんと取り切ってから力を抜かないとダメだなと思ってます。あれはほんとうに自分のミスです。『落ちた』なんて言ってる間に絞めろよと。かなり、悔しいですね」と、レフェリーストップを期待し、「一瞬、緩めました。でも極まってなくて、そのまま逃げられた」ことを、自身の甘さと悔やんだ。
この瞬間を勝者のスーチョルは「扇久保選手にはちょっと申し訳ないことなのですが、自分はギロチンを耐えられると思っていました。というのも首だけがかかっていたのではなく腕も入っていたから(アームインギロチン)。ただレフェリーの見方によってはチョークが極まっていると捉えるかもしれないと思い、レフェリーに入っていない、大丈夫だとアピールしていました」と、「耐えられる」と感じていたことを明かす。
2Rのラッシュを受けて、大きく左目を腫らした扇久保。「二重に見えていた」相手は、正確に距離を測ることが出来なくなっていた。
「完全に眼球に食らってます。スーチョル選手はすごい荒いというか、映像だとそんなにスピードがあるように見えなかったけど、実際やってみたら、すごい(打撃の)出所が分からなかったですね、前に出ながら(打って)くるので。ボディをすごい打ってきて……強かったな」と、嵐のようなスーチョルのラッシュに骨折を確信したという。
2箇所折れてました
— 扇久保博正 Hiromasa Ougikubo (@Hiromasa0401) September 27, 2022
スーチョル選手のパンチ硬かったあ。
しっかり治そ pic.twitter.com/kVRpNh8sLb
27日には病院での検査の結果、顔面を2箇所、骨折していたことを公表した。左眼窩の下壁と鼻の内壁の骨折と見られるレントゲン写真をアップし、「2箇所折れてました。スーチョル選手のパンチ硬かったあ。しっかり治そ」とつぶやいた。