グラップリング
インタビュー

【グラップリング】高橋サブミッションが見た「世界のグラップリングが強い3つの理由」とは?

2022/07/27 22:07
【グラップリング】高橋サブミッションが見た「世界のグラップリングが強い3つの理由」とは?

『IRE』のプロデューサーとしてABEMAと連携、5月上旬に米国へ渡り、NAGAニューオリンズ大会でノーギ・エキスパートクラスのフライ級とフェザー級で優勝。6月25日には、ウェールズで『Polaris 20』に参戦し判定勝ちと、精力的に世界のグラップリングのいまを探求する高橋“SUBMISSION”雄己(和術慧舟會HEARTS)が、その言語化能力を活かし、海外遠征の模様を報告している。

 そこで高橋が気付いた「世界のグラップリングが強い3つの理由」とは何か。本誌の追加取材と併せて紹介したい。

 名古屋出身で、高校時代に静岡学園柔道部に所属した高橋は、青木真也の後輩にあたる。当時を「結構、寝技の時間が長かった。粘り強い柔道をやる部で、試合も長く見る傾向にあった」と振り返る高橋は、現在は道衣を脱ぎ、日本で数少ないグラップリングの専門職として活動。グラップリングの探求のためにMMAにも挑戦し、プロ修斗で2勝1敗の戦績をあげている。


【写真】10th PLANETのエデー・ブラボー総帥と。

「日本では岩本健汰選手のように『グラップリングの選手だよ』という人は少ない。『柔術家』だったり、『MMAファイター』だったりすることが多いですが、米国では、10th PLANETだったり、様々なジムで当たり前にノーギ(道衣無し)の専門家がいる」と日米の違いを語る高橋。

 米国西海岸の「10th PLANET OCEANSIDE」を訪れた高橋は「QUINTET」でも活躍したジオ・マルティネスらの指導を受けた。

 スパーリングでは、ジオがパスからキムラ、後ろ三角絞めへ。腕をクラッチして防ぐ高橋に、ジオはゆっくりと三角に入れていない腕のヒジを両手で引き寄せて絞めてタップを奪う姿が映し出されている。

「根本的に(日本とは)地力がちょっと離れている気がします。もう一段階上げないとついていけない」という高橋は、米国でのグラップリングの状況を以下の3点にまとめて分かりやすく説明する。

①平日の昼間に多くの生徒が集まる。グラップリングブームが定着している

 ニューヨークのヘンゾ・グレイシーアカデミーでは、朝7時半にも関わらず、50人のビジネスマンやセレブたちがクラスに参加。ノートにテクニックのディテールを記すなど、熱心にグラップリングに取り組んでいる姿が映し出されている。それは、一般会員にそれだけのグラップリングの需要があり、ビジネスとしても成立していることを物語っている。

「バギーチョークも柔術歴の浅い白帯選手が発案したとされるほど、いまのグラップリングは日進月歩で動いている」という高橋。競技人口が増えることで斬新な技術が生まれ、そのレベルが急速に加速する可能性を秘めているジャンルだ。

②技術を隠さず、オープンに伝え合うことで、新たな技術が日々生まれている


【写真】ヘンゾ・グレイシー道場では高橋が朝クラスを代行指導した。

 ニューヨークのブルックリンには、ヘンゾ道場の別支部ヘンゾ・グレイシーファイトアカデミーがあり、そこではインストラクターとして、かつて今成正和に「KASAI Pro6」で勝利し、「EBI15」で優勝していいるジョン・カレスティンがインストラクターを務めている。

 そのカラテスティンとスパーリングする高橋。下になるカレスティンはニーシールドから、高橋の下足をハーフガードに挟み、うつ伏せになってスイープしてみせた。そして内ヒール。このスイープについて、本誌で追加取材すると、高橋は「温故知新」の動きだと語る。


(C)ABEMA

「僕に限らず、ノーギでボトムを取る際にニーシールドをメインに使う選手は多いと思います。その理由としてはサドルロック系の足関節技との噛み合せが良い事が大きいかと。

 あのスイープについては柔術歴の長い練習仲間の方によると、実は以前ギで流行った動きらしいのですが、人知れず下火になっていったと。この話を聞いて、あのスイープはその足関節技との噛み合せの良さが最近になって発見され、ノーギでその価値を見直されているものだと認識しました。


(C)ABEMA

 内ヒールも、この仕組みを分からずにスイープから入らせてしまったもので、僕も目下研究中ではありますが、仕掛ける際に重要な点は、スネで足の付け根を抑えて挟んだ足を外旋させる事。その時に自分の足首同士を組んで離さない事、だと思います。

 海外の最近の試合をよく観ると、あの形で相手を崩す動きは多くの選手が多用しています。やっぱり知らないと色んな仕掛けを許してしまうので、使う人が多いなら知っていないといけない技術でした。教えてもらってからは多少対処出来ていたので。

 グラップリングはすごい勢いで進化している。誰もが新しい情報にアクセスできるのでレベルアップする。時間はかかっても次第に世界中に浸透すると思います」

 技術は回り、さらにアップデートされる。高橋は「レッグロックはまだ終わっていない」という。サドルロックからの内ヒール、Kガードを作って50/50からヒール、そして、50/50とサドルロックを併用してヒールを極める時代が来ると予想し、それを「レッグロック4.0」と命名した。

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