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コラム

【RIZIN】ジャッジペーパーからひも解く平本蓮、大島沙緒里、山本空良の勝利のポイントとは?

2022/07/05 13:07
【RIZIN】ジャッジペーパーからひも解く平本蓮、大島沙緒里、山本空良の勝利のポイントとは?

(C)RIZIN FF

 2022年7月2日、沖縄アリーナで『RIZIN.36』が開催され、そのジャッジペーパーが「一般社団法人日本MMA審判機構(JMOC)」から公開された。

 全13試合中、2つのスプリット判定、そしてユニファイドとは異なるRIZINジャッジの傾向が如実に表れた1試合について、下記で選手のコメントとともに紹介したい。

▼第13試合 フェザー級(66.0kg)5分3R
×鈴木博昭(BELLWOOD FIGHT TEAM)
[判定1-2]
〇平本 蓮(ルーファスポーツ)

▼第12試合 女子スーパーアトム級(49.0kg)5分3R
×山本美憂(KRAZY BEE/SPIKE22)
[判定1-2]
〇大島沙緒里(AACC)

▼第10試合 フェザー級(66.0kg)5分3R
×カイル・アグォン(SPIKE22)
[判定0-3]
〇山本空良(パワーオブドリーム)

 まず、前提として、RIZINのジャッジ・競技運営は、外部団体である「一般社団法人日本MMA審判機構(JMOC)」が行っている。基本的に、各試合の担当レフェリー・ジャッジのシフトはJMOCが決め、直前まで明かされない。

 RIZINのジャッジはラウンド毎の10点法(ラウンドマスト)ではなく、「15分間の試合全体で評価」するトータルジャッジ。その評価基準は下記の通り。

◆RIZINの判定基準の優先順位

1. 相手に与えたダメージ(50%)D

2. アグレッシブネス(30%)A

3. ジェネラルシップ(20%)G

※イエローカード(減点)はマイナス20%。口頭による「注意」「警告」は判定に影響しない。

 今回、公開されたジャッジペーパーを確認すると、まずメインイベントの平本蓮(ルーファスポーツ)vs.鈴木博昭(BELLWOOD FIGHT TEAM)の判定2-1での平本の勝利は、ダメージ(50%)、アグレッシブネス(30%)は両者ともに無し。ジェネラルシップ(20%)を2者が平本が支持、1者が鈴木を支持している。

 序盤は平本の打撃が攻勢で、そこに鈴木がテイクダウンにトライもいい形で崩せず。平本のテイクダウンディフェンスが奏功する展開に。中盤から平本の手数が減り、鈴木の左オーバーハンドが目立つようになるが、互いに決定打はなく、判定は2-1に割れて、平本がMMA初勝利を掴んだ。

 ジャッジは打撃でのダメージ、テイクダウンや手数などのアグレッシブネスでも甲乙つかず、リングジェネラルシップで平本がコントロールし上回っていたと判断した。

 今後について、平本は「レスラー相手とも戦いたい」とよりテイクダウンプレッシャーの強い選手を相手にも自信を見せている。

▼第13試合 RIZIN MMAルール フェザー級(66.00kg) 5分3R
×鈴木博昭(BELLWOOD FIGHT TEAM/65.90kg)
判定1-2
〇平本 蓮(ルーファスポーツ/65.85kg)
レフェリー:豊永 稔
ジャッジ:
松宮智生/青・平本 [D 0-0/ A 0-0/ G 0-20]
豊島孝尚/赤・鈴木 [D 0-0/ A 0-0/ G 20-0]
片岡誠人/青・平本 [D 0-0/ A 0-0/ G 0-20]

鈴木博昭「(平本は)テイクダウンディフェンスが思ったより強かった」

──平本選手の試合を終えた率直な感想からお聞かせください。

「うーん。これ、まあどっちが勝ったって、正直、自分でも分からなかったような内容だったので“どっちだろう”ってなかなか決め手がない試合だったって感じですね」

──判定は割れました。聞いた時のご自身の印象は?

「“どっちが勝ったんだろう”って。一本向こうに入って、一本こっちに入って、“どっちだ? どっちだ?”っていう。でも、本当にギリギリでどんな形でも、やっぱ星は落としちゃ行けなかったというのはあります」

──対戦を終えて、平本選手の印象は戦う前と違うところはありましたか。

「そうですね、テイクダウンディフェンスが思ったより強かったっていうのはありますね。今回、何だろう、MMAファイターとしてどうしても試したかったところはそれだったので。そうですね、“あっ、思ったより倒れないな”というのが率直な印象です」

──MMAファイターとしてテイクダウンを試したかった、と。今回のテーマは「仕留める」ということでした。仕留められなかったことはご自身で要因はどう考えますか?

「ひっ倒して上になってボコボコにする、っていうのが今回の仕留める作戦だったんですけど、なかなかそれが上手くいかなかったという感じですね。“立ちでやりたい”って言っててそのまま立ちでやったらキックボクシングと変わらんやないかいっていうのがあったので。ただ思った以上に倒れなかったから結局キックボクシングみたいな内容になっちゃったかなというのはあります」

──試合を終えたばかりですが今後の展望を教えていただけますか。

「またイチから練習のし直しです。よく言うのですけど、本当に正直ヘコんでいるのはあるんですけど、ヘコんでるヒマがないって、みんないつも、『戦うんだったら、前を向いてやるだけ、下向いてるんだったら辞めとけや』ってよく言っちゃうんで、それを自分が体現しないといけないというのはあります。なのですぐ練習です。強くなるための練習をしたいと思います。まあ怪我もないので、すぐ練習します、はい」

──相手の印象として、懐を深くして待ちになっている感じがしましたか?

「思ったよりガンガン(来る)というよりかは、ちゃんと見ているなというのはありましたね」

──そういう意味では、スタンドだけど打ち合って無理やりにでも倒してやるという感覚は向こうにはなかったような感じですか?

「でも打ってくるっていうのは……、まあでも打撃はイメージ通りで威力もこんな感じだよね、という想定の範囲内ではあったっていう感じですね」

──たとえば2R以降とか、打撃で自分も全振りしてテイクダウンとか考えずに行ってやろうかなというような感じではなかったですか。

「全部混ぜてこそのMMAというのがあるので、そこで一方的な展開に持って行きたかったっていうのがあるので、うーん。なかなかそれがうまくいかなかったというのが今回の印象ですね」

──オープニングの時に感極まっているような表情でした。

「本当にこの格闘技に賭けているのはもちろんなんですけど、日常ずっと過ごしてきて、“ああ、俺いまこのために日常を捧げてるんだな”と思った時に、オープニングの音楽を聞いて、入る時に何か、日常を賭けてきたものが込み上げてきたというのはありますね。何かこう、このために生きてんだなと思いました」

──平本選手から計量で挑発的な態度を取られ、試合コール時も中指を立てるジェスチャーがありました。どんな感情でしたか。

「“おう、いいよ、かかって来いよ”というだけですね。別に、いいですねっていうのはありましたね。別に喧嘩売られることは今までも何度もあったのでそのうちのひとつという感覚でしたね」

──すぐに練習再開したいとのことですが、平本選手へのリベンジは?

「もちろん巡り合わせが来たらすぐにでもやりたいですね。何かこう、悔しいですね。悔しいですね、とにかく。巡り合わせが来たらいつでもOKです。それが何年越しだろうが、割と近い将来であろうが。負けたまんまで終わっていられるほど優しくないのかなというのはあります」

──先ほどご自身がおっしゃったように「キックボクシングになってしまった」という中で、平本選手が左回りでジャブや三日月蹴りやレバー打ちをして、有効打を当てていたのだとしたら、どんなところが上手かったと感じましたか。

「有効打? うーん。僕的には1回左ジャブみたいなのを食らったかなっていうので、あとは全部クリーンヒットもらってないっていう印象があったんで、三日月とか食らっても、ひとつも僕の、何だろう、腹の攻撃はひとつたりとも効いていなかったから。まあそれがいけなかったというのもありますね。

 だから、プレスかけて下がって行ったから、当てさせずにいて、たまに、有効打を撲が当ててっていう感じだったのかな? まあでもダメージを与えてないからね。何だろう、審判にどっちが勝っただろうっていうのを言うのもまあ、僕=ファイターが言うのは野暮なんで、審判が言うことが絶対だから、勝負決められなかった、ちゃんとしたダメージ与えられなかった僕が悪いかなと思ってます。ただ効いてはいないです」

──中盤から鈴木選手の左が当たり始めた、あの距離が変わってきたのはどのような要因が?

「(平本の)パンチが見えたんで。腹は効かないなっていうのがあったから、打撃はそんな怖さはないなっていう。1Rはうまく行かなかったかなというのはあったんですけど、うーんまあ、普段の練習と似たような感じがあったので、2R以降は。“まあ、これは自分がやられることはねーな”とは思いました」

──1者入ったのは、鈴木選手のテイクダウン・アテンプトによるジェネラルシップが評価されたと。

「なのかな? まあまあ、しょうがないです。判定になった時点で僕が言うことはないです」

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