山本美憂がコントロールも、大島沙緒里がアグレッシブネスで競り勝つ
また、セミファイナルの第12試合、女子スーパーアトム級も判定が割れた。
階級下から挑戦の大島は、RIZINで浅倉カンナを撃破したように、サウスポー構えのレスラーに対して、強みを持つ。オーソからの右の蹴り、中央を取っての右ストレート。相手のテイクダウン狙いにはキムラやギロチンを合わせてのスイープが勝ちパターンだ。
一方で、山本は大島を研究し、右の打撃は受けたものの、自身の左ストレートを返して、大島の足技を際で潰して上になりコントロール。しかし大島のボトムからの仕掛けもあり、トップから大きなダメージを与えることは出来なかった。
ジャッジはダメージは両者無し、アグレッシブネス(ポイント30%)で2者が手数を出した大島を支持。一方、リングジェネラルシップ(ポイント20%)では、3者が山本がコントロールし上回っていたと判断した。
結果、下記の通り、判定は1-2で大島が接戦を制している。ダメージがつかない試合は差がつけにくく、どちらが勝っていてもおかしくない試合では、このRIZINのジャッジ基準の優先順位を考慮して戦うことが勝利へとつながる。大島はグラウンドで下になったことで失点し、山本は手数が必要だったといえる。
もし“空砲”のアグレッシブネスと、背中を着かせるテイクダウンがあった場合、どう評価するかなど、今後も注視したいところだ。
▼第12試合 RIZIN MMAルール 女子スーパーアトム級(49.00kg) 5分3R
×山本美憂(KRAZY BEE/SPIKE22/49.00kg)
判定1-2
〇大島沙緒里(AACC/47.90kg)
レフェリー:福田正人
ジャッジ:
松宮智生/青・大島 [D 0-0/ A 0-30/ G 20-0]
豊島孝尚/青・大島 [D 0-0/ A 0-30/ G 20-0]
片岡誠人/赤・山本 [D 0-0/ A 0-0/ G 20-0]
山本美憂「正直勝ってたと思っていた。自分に何か足りなくてこういう結果になったのか……」
──大島沙緒里選手との試合を終えた率直な感想をお聞かせいただけますか?
「うーん、まあ正直勝ってたと思っていたので、自分に何か足りなくてこういう結果になったのかなと思いますけど……うん、自分の中ではこう、試合全体を見ると勝っていたような気がするんですけど、自分の中ではもっとできたかなというのはあります」
──対戦を終えて、相手の印象は戦う前と違うところはありましたか。
「やっぱり寝技に持ち込んでくる選手だったっていうのは、あとまあ蹴りは来ていたんですが、そういうところは、蹴りとか打撃は全く自分のペースが崩れるところはなかったんですけど……まあよく分からないです」
──試合前、「今回は勝って沖縄に恩返しをしたい」という思いを語っていました。
「もうね、何て言ったらいいか。結果を見たら『またすみません』みたいな感じなんですけど、皆さん内容も見てくれたと思うので。『はいさい』と」
──試合を終えたばかりですが今後の展望を教えていただけますか。
「今後ですか? うちのKRAZY BEEがまた色々とこれからリニューアルして変わって、チームをどんどん強く、下も育てなきゃいけないので、あとはそうですね、チームメイトも試合を控えていますし、とりあえず自分の試合というよりはうちのチームの選手を勝たせることに今は集中したいかなって思いますね」