試合前に本誌『ゴング格闘技』2022年5月号で対談している武尊と松倉の同期生。(C)ゴング格闘技/(C)THE MATCH 2022
2022年6月19日(日)東京ドーム『THE MATCH 2022』のメインイベントで、那須川天心(TARGET/Cygames/RISE世界フェザー級王者)vs.武尊(K-1 GYM SAGAMI-ONO KREST/K-1 WORLD GPスーパー・フェザー級王者)の“世紀の一戦”が行われた。
5万6千399人の観衆によるチケット売り上げ20億円、50万件(25億円)以上のPPV購入があった同大会のトリを飾る最後の試合は、那須川が判定5-0で勝利。7年間実現が期待されてきた一戦にピリオドを打った。
試合後、現WBA世界ライトフライ級スーパー王者の京口紘人をはじめ、多くのファイターがこの一戦について語っているが、本誌『ゴング格闘技』2022年5月号で、武尊と同級生対談を行った松倉信太郎が、交流のある秋山成勲のYouTubeチャンネルに出演。武尊がいかに那須川との試合に臨んでいたかを明かした。両者の証言と本誌の取材を交えて、試合で何が起きていたのかを考察したい。
武尊は勝ち方にすごくこだわっていた
今日はまっつんと一緒に
— 武尊 takeru (@takerusegawa) March 7, 2022
ゴング格闘技の取材🔥@bbseeksm
まさか同じジムになるとは。
ここからまた更に頑張ろう!! pic.twitter.com/q3fGniadYD
武尊とKrush時代からの盟友である松倉は、武尊の練習会「teamVASILEUS」の第一号選手でもある。今回の試合に向かう姿をつぶさに見て来た。
試合前の本誌の取材で、武尊の苦悩を近くで見ていて、どんな思いだったかと問われ、「難しいですね、どこまで言っていいのか……。僕だったら、武尊みたいに我慢は出来ないし、いろいろ言っちゃうし暴れてるでしょうね。僕から言えるのはすべて耐えて、我慢して、受け入れて進んで行ってるんで。だけど、武尊は何を言われてもずっと『やる』と言い続けてきたんですよ。武尊の凄さは、勝ってきた数や勝ってきた相手とかいろいろありますけど、僕は『ワンデートーナメントに3回出て、3回とも優勝した』っていうことが一番凄いことだと思ってます。実力もあるんですけど、強い覚悟と意志が無いと出来ないことだと思うし。もちろん格闘技の神様に愛される部分もないと達成できないと思うし。だから天心戦のことも、僕はすべて知っているわけじゃないし、いろんな面があるとは思いますけど、俺は“武尊が作っていったもの”だと思ってます。いろんな人の協力があって実現したことですけど、その舞台を一番欲して、一番作っていったのは武尊だと思うんで」と、武尊の葛藤について語っている。
そんな松倉は、武尊と那須川の試合をどう見たか。
秋山との対談で、松倉は那須川戦について、「フラットな目線で見れていないですけど」と前置きしながら、武尊と那須川の“戦いの哲学”の違いについて、語り始めた。
「天心君のように技術・スピードがある選手を相手に、武尊は勝つことも大事だけど、勝ち方にもすごくこだわっていて、ほんとに“倒すこと”を一番に考えていた。だから、3Rでも最後は倒すんだろうなと思っていました」という。
一方の秋山は、「天心選手が判定で勝つだろうなと思っていました。ルールは天心君寄り。そこで『中立の舞台を作ってくれてありがとう』と言った武尊君はかっこいいなって」と試合前の予想を語る。