MMA
インタビュー

【UFC】七人のサムライ(4)中村倫也「覚悟の決め方が、他のバンタム級の選手とは違う」「日本MMAを世界に繋げる選手になりたい」=6.9-10『ROAD TO UFC』

2022/06/08 14:06

「見えないトーナメント」はずっとあった

――トーナメントで優勝すればUFCとの契約が確約される。勝ち上がるキーは何になると考えていますか。

「トーナメントということで3試合、大きな怪我をせずにやり抜く力が必要だし、3試合、ちゃんと1試合1試合相手に勝つ力も必要だしと、格闘家としていろいろな面での力が必要になってくる、試される場だと思うので、すごい楽しみです。その意味で、UFCに行く前の力をつける段階としてふさわしい舞台なのかなとは思います。対戦相手というよりは、自分のベースをしっかり12月に向けて上げていく、それをまず一番に考えていて、そこをしっかり12月まで取り組んでいければ、全然問題なくいけるのかなと思います」

――対戦相手うんぬんではない、ということですが、初戦のググン・グスマン(インドネシア)については、どのくらいまで研究をされていますか。

「研究は、相手のストロングポイントだけ押さえているというくらいですね。荒い打撃、奥手と奥足を当てたい選手なんだなという。奥足のハイキックがすごい出てくるので、それを被弾しないということくらいですかね。そんなパターンも多くないですし、組み立てはしやすい選手だなとは思います」

――主にマレーシア、インドネシアで戦い、8勝3敗。ワンツーの右、そこから右ハイに繋いでラッシュから組んでもくる。デビュー初期の2敗を除けば、ここ7年は1敗という選手です。

「正直インドネシアの選手って、インドネシアの国自体がレスリングの土壌も全然発展していない国なので、触って、身体の力がどの程度あるのかとか、まったく分からないので、高めにすごい見積もってはいきますけど。経験上そんなに、サプライズを起こされるような気はしてないですね」

――MMAとは競技が異なりますが、この6月、9月、12月という「トーナメント」は、レスリングでも代表戦に向かう、ふるい落としの長期戦に近い感覚もあったりもしますか?

「まったく一緒ですね。やっぱり社会人で優勝して、6月に全日本優勝して、夏の世界選手権で優勝するという、そういう見えないトーナメントがずっとあって、世界の頂点に立つという感じなので、同じだなという感じですね」

――という意味では、中村選手にとっては、ここまでずっと次々と課題が与えられてクリアしてきているという……。

「そうですね。LDHの『Fighter Battle Audition』がずっと終わっていない感じもありますね」

――1試合、1試合が勝負でありながら、最後に勝たなくてはいけない。それがさっき言った「12月までに上げていく」という意味なんですね。

「はい。その経験はレスリングのときを同じように作っていければいいかなと思います、経験はあるので」

――先ほどインドネシアのレスリングの土壌について話された。つまり、レスリングで組み合った肌感覚が、中村選手のなかで身体の強さとかのひとつの基準としてあるわけですね。そして、各国の土壌が、MMAで武器になっていると。

「もちろんそこはあると思います。今は強い選手が移住して、アメリカとかタイに固まったりして練習しているので、一概には言えないんですけど、でもやっぱりその国の土地の色というのは選手を見たら残っているものはありますし、そもそも骨格とか筋力とか、特徴があるので、その国の色というのは出ると思います」

――瞬発力に強い、持久力に強い……さまざまな特色がある。日本の軽量級に関していえば、例えばレスリングや柔道の結果を考えるなら、日本も可能性のある国と考えていますか。

「成功例もありますし、日本の軽量級はもちろんMMAでも通用すると思います。ただ、どうしてもロシアとか韓国とかに比べて、骨とか腱が強い国ではないと思うので、生き物単体としてのぶつかり合いとしては劣っちゃうところがあると思います。そのあたりは日本人特有の『3本の矢』になったり、束になって頭使って戦えば強いんだぞというところを、個人競技ですけど、いろいろな面から見せたいなと思います」

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