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インタビュー

【UFC】七人のサムライ(4)中村倫也「覚悟の決め方が、他のバンタム級の選手とは違う」「日本MMAを世界に繋げる選手になりたい」=6.9-10『ROAD TO UFC』

2022/06/08 14:06
【UFC】七人のサムライ(4)中村倫也「覚悟の決め方が、他のバンタム級の選手とは違う」「日本MMAを世界に繋げる選手になりたい」=6.9-10『ROAD TO UFC』

(C)SUSUMU NAGAO

 2022年6月9日(木)と6月10日(金)の2日間にわたりシンガポールで1回戦が開催される『ROAD TO UFC』。

 ABEMAでの完全無料生中継も決定した同トーナメント(※1回戦が6月、準決勝は9月、年末に決勝戦。優勝者がUFCと契約)には、フライ級、バンタム級、フェザー級、ライト級の4階級に“七人の侍”が出場する。

 本誌では、トーナメント出場7選手にインタビューを行った。初回の松嶋こよみ2回目のSASUKE3回目の堀内佑馬に続く、4人目は、バンタム級トーナメントに出場する“生まれながらの総合格闘家”中村倫也(LDH martial arts / EXFIGHT)だ。

カエタノ戦は試合1カ月前に練習を1回ストップして解き放たれた。「こっち側」にも強くなる方法があった

――いよいよ「Road to UFC ASIA」(※中村は6月10日に出場)です。常々語っていた目標の入り口に立てたという感じがするのですが、出場が決まったときの率直な心境はいかがでしたか。

4月24日にアリアンドロ・カエタノ戦があって、正直タイミング的にはひと息つこうと思っていたところに来た感じだったので、“やっぱUFCチャンピオンになるって簡単じゃないな、ここに来たか”みたいな感じでした。でも舞台が舞台なので、1回見送りとか一切よぎらず、すぐに決めて、もう何がなんでもつかんでやろうと思っています」

――中村選手としては、例えばラスベガスでのコンテンダーシリーズを待って一発勝負で上がっていくということも考えたりはしなかったですか。

「カエタノに勝てば、その枠を取れるのかなという気はしてたんで、一瞬“あっ、マジか”とは思いました(笑)。でも“あっ”というときは経験上チャンスなので。レスリングからMMAの転向のタイミングもそうで、MMAキャリアのスタートが遅ければこのトーナメントに間に合わなかった。このトーナメントで何が得られるかなと考えたときに、やっぱりすごいいろいろたくさんのものがあるなと感じられました。安定したコンディション作りとか、単なる強さを求める以上に大事なことがいっぱいあるので、UFCに行く前の最後の大きな試練として、すぐにめちゃくちゃ燃えましたね」

――あの大流血戦からひと月半。どう調整してきましたか。

「一旦ちょっと足首の骨折とか、鼻の骨折とか、治したいところもあったので、ゆっくりリフレッシュさせることに注力して、慌てる気持ちとは1回付き合わずに、しっかりリフレッシュしきってから、1カ月くらいでしっかりまたもとに戻していくというイメージで作ってきました。現在はめちゃくちゃいいコンディションで、しっかり臨めそうです」

――怪我の間は、しばらく練習がしばらくできなかったと。

「まあでも分かりやすい練習はできないですけど、呼吸も意識すれば練習になるし、歩くことだって意識すれば練習になるしというところで、常に、日常のなかでも試合は意識しつつ生きてましたね」

――見取り稽古的にジムにも行ったりしていたんですか?

「いや、そういうことはせず、けっこうしっかり1回切ってました」

──不安になりそうなところでしっかり切れる。その代わりに意識面での練習は途切れていない。そのあたりも中村選手の強さですね。タイミング的には厳しい連戦になった。でも4月に修斗ブラジル王者にカットされながらもしっかり勝ち切れた、あの試合ができたことは良かったんでしょうか。

「そうですね。あの試合は、やっぱり試合前の作り方とか、いろいろ含めて、UFCに行く前の経験として、とてもいい勉強になりました」

――『POUND STORM』では、厳しいマッチアップばかりで「格闘DREAMERS」勢が厳しい結果が続くなか、メインイベントでいろいろなものを背負って戦っていたと思います。改めてあの試合をどんな思いで戦ったか。それが今回のこの「ROAD TO UFC」にどう生きてくると考えていますか。

「前回の試合は……、正直に言うと、試合前に内臓を壊して、なぜか食べても吐くとか、無理やり飲み込んだら腹を下すので、通常、体重が68kgくらいなんですけど、試合1カ月前に、朝起きて64kgぴったりくらいまで落ちちゃって、“なんだろうな、これ”と。けっこう心の中で抱えているいろいろなものが、内臓で浮き彫りになってきて、1回すごい落ちちゃったんです。そこで練習を1回ストップしてやっと解き放たれたんです。毎日練習して、うーっと頑張るだけが練習じゃなくて、1回引いた分、そこから無理やり遠ざかった分、こっち側にも強くなる方法があったりした。

 日本人が世界で戦って勝つには何が必要かとい考えたときに、特に僕はMMAに転向した時点で、足首も2カ所骨折してて、ヒザも靭帯を3本やってて、肩を2回脱臼して、ヘルニアを抱えてという状態で来ているので、やっぱり、本当にここからトップになっていくのには何が必要かというものを見直す機会を得たので、すごいいい経験になりましたね。それを乗り越えて、あの試合に向かえれたので、何があっても動じなかった。そういうものを手に入れることができた気はします。

 その厳しい経験があったおかげで得ることができた勝利だとも思いますし、余計自信がついた。正直すごく良いコンディションではなかったんですけど、この集中力で、この仕上がりで出来るんだ、と思ったときに、もともと僕はそんなビッグマウスを言うタイプじゃないですけど、口からぽろっと『これ、UFCチャンピオンになれるわ』って言っちゃって。でも、本当にそれくらいの自信が、心の底から湧き上がってきた試合の一つではありました。だから、カットしたときも何も動じなかったし、MMAでのゾーンの入り方も分かった。本当にいろいろなものを得られたので、出た言葉でした」

――カエタノの左でカットした。あの経験を踏まえて、改善したこともあったでしょうか。

「完全にボクシングテクニックですね。パンチの当てる角度の作り方と、あとはもうちょい散らしをたくさん使うという点が課題としては残りました」

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