MMA
インタビュー

【UFC】七人のサムライ(1)松嶋こよみ「『世界最強』の場があって『そこを目指す』と言って僕は格闘技を始めた。それが僕の格闘技をやる意味」

2022/06/01 13:06

日本でしかできないこともある

――なるほど。あらためてうかがいます。ONEを経て、UFCで戦うということにこだわり続けたのはなぜですか?

「もちろんみんなが分かっている通り、ここに『世界最強』という場があって、それがUFCなので、『そこを目指す』と言って、僕は格闘技を始めて、チャンスが少しでもあるんだったらそこを目指していきたいという部分はずっと変わりなかったので、それが僕の格闘技をやる意味かなと思ってやっています」

――だから、その間にいくつかの選択肢があっても、UFCを目指すということはブレなかったんですね。

「そうですね。もちろん試合をしたい気持ちもありますし、30(歳)手前、この時間って、たぶん格闘家にとってはすごく大事な時間だとは思うんですけど、でもやっぱりそこに、UFCにつながる部分でないとやってもな……というふうに思って断ってきたオファーもありました。いろいろあったおかげで、こういうチャンスが巡ってきたので、本当よくできているなという感じです」


(C)ABEMA

――現在の練習環境はどのような感じでしょうか。所属のパンクラスイズム横浜では、河名マスト選手との練習姿も拝見しましたし、一時はCAVEで斎藤裕選手と、さらにT-GRIPでは平本蓮選手と練習する姿もありました。

「試合前に関してはわりと近場の関係性が強いところで練習しています。パンクラスイズム横浜、ロータス、T-GRIP。あとは、ボクシングだったり、キックボクシングは、元々K-1の選手だった左右田(泰臣)選手のジムで練習させていただいたりしています。スパーリングとかをすごいいっぱいやらせてもらってるんですけど、めちゃくちゃ上手なので、いろいろアドバイスをいただいたりとかしながら、いい練習ができているかなと思います」

――それを岩崎達也さんの空手の教えとも合わせて、融合させているのですね。

「そうですね。いろいろなところでやってきたのを、横浜だったり、T-GRIPとかで合わせて、すり合わせています」

――あとは、MMAのトレンド自体が変化もする。松嶋選手がそう感じる部分はありますか。

「以前より蹴りの種類が増えてきたような気がしますね。それこそ今までボクシングだけでも全然通用した選手が、蹴りの距離で勝てなくなってきた試合もあると思うので、それは僕の先生は、極真で学んできたことを僕に教えてくれているので、そういう部分では一つ、アドバンテージがあるんじゃないかと思っています。

 距離が離れた分、蹴りの距離になったりもあると思うので、だからといって全部が全部当たるという感覚はないですけど、前よりは、僕の長い──そんな長くないか──いい距離で戦えるんじゃないかなとは思っています。打撃の手応えもありますし、これで倒せるという技が何個か自分で準備できているので、楽しみにしていてください」

――この1年半で新しい松嶋選手の姿が見られそうですね。

「そうですね。まあ試合になってみなければ分からないというのもありますけど、そういう部分を出せたらと思っています」

――マラット・ガフロフ、クォン・ウォンイル、マーティン・ニューイェン、キム・ジェウォン、ゲイリー・トノンと、ONEの中でもトップどころと戦う試合が多かった。ONEの国際戦で、トップどころと鎬を削ってきたことは、他の選手に比べてアドバンテージになっているのではないでしょうか。

「それこそ海外で試合をしていない選手も多い中、海外での試合経験もあるというのはすごいアドバンテージだと思います。あとは、それなりに──と言ったら変ですけど、ちゃんと強い相手と戦ってこれたと思うので、そこも自信を持って戦えるんじゃないかと思っています」

――今回、アジア代表を決めるような戦いであって、中国、韓国の選手もいるわけですが、ウォンイルとも対戦した松嶋選手にとって、アジア勢の印象をどうとらえていますか。

「やっぱり韓国の選手たちはそれなりにちゃんと強い選手だなと、試合映像を見て思っています。もちろんチャンピオンレベルの選手が多いですから。中国人選手はちょっとよく分からないですね。試合映像とかも全然無くて、結局中国人選手同士での試合をいっぱい積んできた選手が多いので、どの程度なのか全然分からないです」

――気になるのはルールが、今回はユニファイドルールになり、ONEとは異なります。その部分のアジャストはいかがですか。

「ONEのルール、グラウンドでのヒザ蹴りありだったりとか、そういう部分は全然なんの心配もなく、今回で変えることは出来ます。普通の練習してたらあんまり気にならない部分ではあるんです。それよりも、今回は水抜きがある北米の計量ですね。そこを……何年ぶりだろう。かなり65.8(kg)まで落としてないので、そこがちょっと心配なところではありますけど、ちゃんと準備はできているので、大丈夫かと」

――PANCRASEでISAO選手と対戦(2018年4月)したとき以来ですかね?

「そうですね、4年ぶりくらいです」

――1回、体重を落としてみたりもしていますか。

「していないです。けっこうONEの計量に慣れてしまって、体重もすごい増えて、普段けっこう重かったりしてたので、そこはトレーナーと話し合いながら、ちゃんと身体の作りなどを戻してこれたので、いい状態にはなっています」

――世界レベルで戦っていくにあたって、日本人選手でもアメリカに拠点を移したりする選手もいます。松嶋選手はこれまでに、アメリカに練習に行くとか、拠点を移してみようなどと考えたりしたこともありますか。

「一応今回試合が決まる前まではサンフォードMMAに練習に行かせてもらう予定ではあったんですけど、決まって、向こうでいきなり調整というわけにもいかないので、行くのをやめて、今回は日本で準備したという形です。

 でも、日本でやれることはもっといっぱいあると思うので、別に向こうでの練習にそんなにこだわりは感じていないです。もちろん練習に行きたいという気持ちもありますけど、向こうを拠点にしようとか、そういうのは今はとりあえず考えてなく、何とか自分の出せるものを出していければと思っています」

――日本の練習環境でも強くて格闘技を考え続けている人たちが集まっている。逆に世界的に見ても、ここはいいんじゃないかと思えるようなところもありますか。

「僕の教えてくれてる方たちはここにしかいませんし、アメリカに行って、じゃあそういう人たちが教えてくれるのかといったら、正直分からない。スパーリング相手はいるかもしれないけど、スパーリングするだけだったら、別に向こうを拠点にする必要はないとは思うので、それは僕に先生がいっぱいいるということだし、日本でしかできないことだなと思っています」

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