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2020年代に入り、RIZINの存在、UFCアジア戦線の活発化、東京五輪関連のアスリートの転向、格闘技オーディション番組の影響などもあり、“ゴールデンエイジ”ともいえるMMAの新鋭が眩い光を放っている。
その注目の選手の試合を紹介する第2回は、2022年5月15日(日)、東京・品川インターシティホールにて開催された『GRACHAN 54』で「GRACHANライト級暫定王者」についた原口伸(BRAVE)。
同大会のメインイベントで植田豊(リバーサルジム新宿Me,We)と王座を争った原口は、2019年のレスリング全日本選手権でフリースタイル70kg級覇者。
プロデビュー前の『EX FIGHT』で漆間將生をテイクダウンで圧倒し、地力の強さを見せ、今回でプロMMAは4戦目とまだ戦績は少ないものの、2021年11月の『VTJ』での岡澤弘太戦のバッティングによるノーコンテスト以外は2勝を挙げ、負け無しだ。
2022年3月12日の『GRACHAN53×BRAVE FIGHT26』での大宮優(ALIVE)戦の大激闘が評判となり、「前回の試合内容をみての大抜擢」(岩崎ヒロユキ代表)となっている。セコンドにつく実兄の原口央は現Gladiatorフェザー級王者でRIZINにも参戦中だ。
MMA10勝8敗1分の植田は、GRACHANのベテラン。2019年12月のライト級王座戦で現在RIZIN参戦中の山本琢也にTKO負けでベルトを逃したが、岸本篤史に一本勝ちで再起。小谷直之に判定負け後、藤村健悟に判定勝ち。2021年は2月の『GLADIATOR 13』で佐々木信治にTKO負けも、8月に林rice陽太に判定勝ちが評価され、タイトルマッチとなった。
▼第8試合 メインイベント GRACHANライト級暫定王者決定戦 5分3R
○原口 伸(BRAVE)
[判定3-0] ※30-27×3
×植田 豊(リバーサルジム新宿Me,We)
※原口が暫定王者に
1R、ともにサウスポー構え。前手の右ジャブを伸ばす原口に、上田は右ロー。原口も右インローを当てる。すぐに右ミドルを蹴り返す植田。
組みに行く原口にカウンターの右ヒザを当てる植田だが、その蹴り足を掴む原口は金網までドライブし、両足をクラッチしてテイクダウン。尻を着かせる。
その頭を抱えニンジャチョークを狙う植田。首を立てた原口にディープハーフを狙う。剥がして右ヒジを当てる原口。右で差す植田はさらに腹下にもぐると、原口は右手をマットに着いて、左で小手に巻いてバランスを保つ。
右手をマットから離して時折鉄槌を脳天に当てる原口。ディープハーフで煽る植田は、前方に煽るが、右手を着く原口。頭をマットに着いて、右手で腹下の植田にパウンドを打つ。体勢は前のめりなものの、こつこつ25連打する原口。ついにディープハーフからガードに戻した植田に原口は中腰から蹴り上げをさばいてサイド。
上四方から首を抱えて左手を踏みつけてパウンド狙いから、植田の左腕をアームロック狙い。下からセンタク挟みの植田だが、首を抜く原口。植田は片足を戻し、ハーフから右で脇差し、原口の左足を右足でフックしながら立ち上がる。
小手に巻く原口を金網まで押し込む植田。互いにおっつけあい、見右ヒザを突く原口。肩パンチも連打しゴング。1Rはジャッジ3名とも原口を支持のアナウンス。
2R、右ミドルで詰める植田。原口は右インロー。植田の右ミドルを掴んで組んでボディロックからリフトしてテイクダウンは原口! 鉄槌を連打すると、再びディープハーフから右で脇差し右足をかけての起き上がりを狙う植田。小手に巻く原口に、一回押し込んでから再度ディープハーフに潜ってスイープしかかるが、上の原口はバランスを戻し上のままに。
ハーフで下になる植田に右のパウンドを連打する。頭の位置を殴られいように腹に潜らせようとする植田だが、剥がしてヒジは原口! 植田は左で差そうとするが、右のパウンドで剥がして左手で植田の首を押さえつけて固定して殴る原口。
下から蹴り上げの植田にいったん体を離して、足を効かせる植田だが下のままでブレーク。
みたび詰めての右ヒザは植田もそれを掴んだ原口がテイクダウン。パウンドの連打に右腕を腕十字につかむ植田。しかしヒジを抜く原口はなおもパウンド。疲れも見えるが、再び腕十字を狙う植田に上体を立てて切ると、インサイドガードに入り、ヒジを打ち込む! ゴングになかなか植田が立ち上がれず。このラウンドも原口のラウンド。
インターバルで宮田和幸代表から「仕留めに行け」の声。
3R、左フック、右ミドルハイで前に出る植田。右回りで右を振ってからボディロックし、2R同様に持ち上げてテイクダウンを奪う原口。足をからませないように上四方に回る原口。鉄槌に植田は亀から足を手繰りに。それをがぶる原口はパウンドを入れながらクオーターネルソンで引き落としてパウンド。
亀のまま動けない植田。ガードに戻してレッスルアップから立ち上がり。右で小手に巻いて左ヒザ! しかし左で差して金網まで押し込む原口。右差しに変えて右ヒザ、山崎剛代表の「入れ替えろ」の声だが、動けない植田に、ダブルレッグに切り替える原口は尻を着かせる。両足を束ねて右で脇腹にパウンドする原口。
右に倒すとヒザを胸に当ててくる植田の足をさばき、半身の植田を金網に押し付けてパウンド。右で差してなおもディープハーフからの返しを狙う植田だが、その先は金網で原口は返らず。右で差して起き上がろうとする植田を原口は右でパウンド連打しゴング。しばらく植田は立ち上がれず。
判定は3-0(30-27×3)で原口がフルマークの勝利。 GRACHANライト級暫定王者についた。
試合後、原口は「ご来場の皆さんこんにちは。暫定王者になった原口です。今回勝てたのは、間違いなく宮田先生や兄弟子や弟弟子の一緒に練習してくださった皆さんだったり、スポンサーの方々だったり皆さんの応援で勝つことが出来ました。これからは、暫定王者に恥じないようにどんどん勝っていって世界を目指していきたいと思います。ありがとうございました」と、挨拶した。