MMA
インタビュー

【PANCRASE】3試合連続1Rフィニッシュ勝利の鶴屋怜「海外でも修行を積んで、タイトルマッチに挑みたい」&浅倉カンナ「GPに備えて、気を抜かず格闘技に向きあう」

2022/05/19 19:05
 2020年代に入り、RIZINの存在、UFCアジア戦線の活発化、東京五輪関連のアスリートの転向、格闘技オーディション番組の影響などもあり、“ゴールデンエイジ”ともいえるMMAの新鋭が眩い光を放っている。  その注目の選手の試合を紹介する第1回は、2022年4月29日の『PANCRASE 327』で、フライ級ランキング3位の秋葉太樹をリアネイキドチョークで一本に極めた鶴屋怜(パラエストラ松戸)だ。  鶴屋は、第3代修斗フェザー級王者・松根良太をはじめ、内藤のび太、扇久保博正、岡田遼、浅倉カンナら数々の名選手を育成した元修斗ウェルター級ランカーの鶴屋浩を父に持つ“サラブレッド”。  レスリングで小学4年、6年で全国優勝。高校ではインターハイ常連校の日本体育大学柏高等学校レスリング部に所属し、高校2年ジュニアオリンピック2位、世界大会出場。高3で2020年全国高校選抜大会フリースタイル60kg級で準優勝に輝いた逸材だ。  ボクシングでも中学で全国ベスト8、柔術でも小学4年時にアブダビワールドプロ柔術2013(ジュニア・-34.5kg オレンジ・黄色帯)で優勝、ドゥマウジャパンカップ優勝など、全国大会で6度の優勝を誇るなど、MMAに向けて、スキルを磨いてきた。  2021年2月にDEEPでプロデビューし、竜己を2R TKO、岡崎鷹士郎に不戦勝後、荒木凌にギロチンチョークで一本勝ち、2021年10月には久保健太に1R TKO勝ちと、全試合をフィニッシュしている。  今回のPANCRASEデビュー戦では強打を持つ秋葉太樹を相手に初のランカーとの対戦に挑み、1R 3分42秒 リアネイキドチョークで一本勝ちしている。  これでアマチュアMMA6勝無敗、プロMMA4戦無敗となった鶴屋怜は、米国大手スポーツエージェントの「イリディウム・スポーツ・エージェンシー」とも契約を交わしており、平良達郎(Theパラエストラ沖縄)に続き、日本人として2人目の同エージェンシーと契約したファイターとなっている。  千葉での出稽古で鶴屋と練習した平良は、怜の今回の一本勝ちについて、「練習でももともと強いなと感じていたので、試合でもああなるだろうなと感じていました。腕十字も大丈夫でしたし、そこ以外は危なげないなと思いました」と、完勝だったという。  また、同門の浅倉カンナも「ちょっと安心してみていられる強さです。自分が始めた頃からずっと怜と練習していて、その時から強くて、近くでずっと成長を見てきました。感慨深いし、逆に怜からアドバイスをくれることもたくさんあるので、可愛い弟みたいだけど、尊敬できる後輩でもあります」と、平良同様に練習時から強さが際立つっていると語る。  ゴールデンエイジにトップMMAファイターになるために英才教育を受け、輝ける世代となった鶴屋怜の試合後の一問一答は以下の通りだ。 試合中にお父さんと目が合って、冷静になれた(怜) ──終わってみれば、1Rでの一本勝ち。これで3試合連続の1Rフィニッシュです。まずは試合を終えた率直な感想からお願いします。 「自分のなかで課題が見つかったなと思いました(苦笑)」 ──グローブタッチからすぐに組みに行ったのは? 「いろいろ作戦を練っていて、お父さんと『1R目は組みに徹してみよう』と。秋葉選手は1発があるので、1発入っちゃったら、どっちが勝ってもおかしくないので」 ──テイクダウン際での秋葉選手の下からの腕十字は、一瞬ヒジが伸びかけたように見えました。 「腕は伸びかけたのですが、極まっている感じがしなかったんで、止められることはなかったんで大丈夫でした。ただ、見ている側としては、あとで判定になったとしたら良くないなと思いましたね」 鶴屋浩 想定外のことも行われるかなとも思っていましたが、“ああ、(腕)十字来たな”と思って、なかなか(リスキーな)十字をかけられることはないから……でもまあ大丈夫かなと思ってました。でも“こういう形にもなるんだ”とびっくりしましたね。 ──腕十字はヒジを抜き、またいで防いで、立ち際にバックについてチョーク狙いも、引き込み際に正対を許し、ギロチンスイープ狙いを金網にひっかかかり下になりました。いったん亀で背中を譲って前に落として上に。  秋葉選手の蹴り上げについていって、シングルレッグからボディロック、バックテイク。背後から崩して手をマットに着かせてリアネイキドチョークで極めました。最初のバックで下になったのは……。 「バックコントロールは自信があったんですけど、そこで下になったのはちょっと焦りました。極めよう、極めようと先走りし過ぎました」 鶴屋浩 あそこからの展開はいろいろあって、足を持って〇〇などもあったんですけど、「それは今回はリスキーだからやるなよ」って言ってあったんですけど、そういうのも狙っていたら落とされて(苦笑)。“ああ、下になるのか”と思いましたね。 ──しかし、今度は秋葉選手のチョーク狙いを落としシングルレッグからボディロック、スタンドバック、崩して足をかけた。 「途中でバックを取ったときに、お父さんの声が聞こえて、お父さんと目が合って、『冷静にやれ』と言われて、そこで一回、冷静になってバックチョーク取れたかなと思います」 鶴屋浩 いい経験になりましたね。取られたわけではないので、あの経験が今後に生きる。今度ピンチになったときに対処できるので。 ──終わってみれば、4試合連続フィニッシュ勝利。打撃を見せていないとはいえ、フライ級3位の秋葉選手に1R 一本勝ちとなると、その上は現王者が猿飛流選手、1位は上田将竜選手、2位に小川徹選手と、一筋縄ではいかない相手ばかりです。もう次で王座に手をかけたいですか。 「そうですね……今日4戦目で試合慣れも大事だなと感じました。もっと磨けるところがいっぱいあるので、海外でも修行を積んで磨いて、もしやれるならタイトルマッチに挑みたいです」 ──平良達郎選手と同じイリディウム・スポーツ・エージェンシーと契約も交わしました。米国修行も行うと。 鶴屋浩 イリディウムと相談しながら、夏前にアメリカのラスベガスで練習してこようと思っています。 ──なるほど。パラエストラ千葉ネットワークでの練習に加え、米国武者修行も楽しみですね。試合後にありがとうございました。 浅倉カンナが語る鶴屋怜「キッズの頃から練習で強さを知っている」 「こんな(背丈が自分より下の)子供の頃から知っているので、最初は緊張しましたけど、練習での強さも知っているので、そんな怖さはなかったです。まあ、いつもの感じかなと。十字のときだけ少し冷やっとしたんですけど(笑)、でも練習でもあれで極められることはないので、ちょっと安心してみていられる強さですね。まあ行けるだろうなと。自分が始めた頃からずっと怜と練習していて、その時から強くて、近くでずっと成長を見てきました。感慨深いし、逆に怜からアドバイスをくれることもたくさんあるので、可愛い弟みたいだけど、尊敬できる後輩でもあります。  私自身は4月に勝って(修斗王者のSARAMIに判定勝ち)、今年(女子スーパーアトム級)トーナメントに備えて、気を抜かず今年1年も格闘技に向きあって頑張ります」
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