MMA
コラム

【RIZIN-BELLATOR】“箱庭”から“開国”へ──日本対海外・1勝4敗から見えてきたもの

2022/04/19 16:04

パトリッキー「サトシを尊敬している。対抗戦に出られたら光栄だ」

 榊原CEOは、対世界の最右翼として、ジョニー・ケースとのリヴェンジマッチで一本勝ちし、RIZINライト級王座の2度目の防衛に成功したホベルト・サトシ・ソウザの名前を挙げる。

「日本と海外選手の差はある。でも、サトシだったら、ピットブル(パトリッキー・フレイレ)に勝てるんじゃないかな、という風に、今日の試合を見ると楽勝で勝てそうな気がしたけど……まあ、でも見てみたいじゃないですか」と、堀口恭司に続く、ダブルチャンピオンの夢を、MMA14勝1敗のサトシに託すつもりだ。

 東京2デイズのメインを勝利で締めた王者サトシは、試合後、Bellatorライト級王者のパトリッキー・フレイレとの対戦を問われ、「まだすぐはできない。私は彼の打撃のレベル、いろいろな長い経験を持っていることも知っているし、レベルも分かる。自分はもっと練習したいし、もっとポイントを直したり、自信を上げたい」と、王者が甘い相手ではないことを理解している。

 その上で、「そのことについて私はよく考えるのだけど、もちろんいつも向上したいと思っていて、後ろには戻りたくないのもたしか。彼(パトリッキー)を目標にしている。なぜなら、彼は世界のチャンピオンだから」と、キャリアのハイライトに向かう構えがあることも語っている。

 その言葉に、パトリッキーも呼応。SNSで、「まずタイトル防衛戦をやりたい。その後、BellatorとRIZINの対抗戦があるなら、その試合に出られたら光栄だ。サトシをとても尊敬している。きっと素晴らしい試合になるだろう。それから日本でピットブルブラザーズの生徒たちがRIZINで戦う姿も見たい」と、ライト級王座防衛後に、対抗戦でサトシとダブル王座戦に臨む用意があるとした。

 また、榊原CEOは、かねがね対抗戦の日本勢の候補として、バンタム級GP王者の扇久保博正、朝倉兄弟、そしてRIZIN5戦無敗5連続一本勝ちのクレベル・コイケ(5月5日に萩原京平と対戦)らの名前を挙げている。現在Bellatorに参戦中の渡辺華奈(5月13日にデニス・キールホルツと対戦)、前Invicta王者アリーシャ・ザペテラに勝利している浅倉カンナらも候補に挙がってくるだろう。

 Bellatorからの評価も高い扇久保は、さっそくSNSで「おい、ダンタスよ、12年前にやられてるけど、俺はあの時とは比べ物にならないくらい強くなってるからな。あの時も3R途中まで勝ってたしな。闘えることになったらブラジルまでぶっ飛ばしてやる」と、2010年5月の修斗で逆転負けしたエドゥアルド・ダンタスとの雪辱戦をアピールしている。また、現在渡米中でマネル・ケイプとラスベガスで合流中の朝倉海も、ハワイ大会を注視している。

 ハワイ2デイズの初日となる4月22日(日本時間23日)の『Bellator 278』には、2019年ライト級GP優勝のトフィック・ムサエフが地元のザック・ゼインを相手にサークルケージデビュー戦に臨む。さらに翌日4月23日(日本時間24日)の『Bellator 279』には、いよいよ堀口恭司が再起戦。Bellatorバンタム級ワールドGP1回戦として、強豪パッチー・ミックスと対戦する(いずれも日本ではU-NEXTで生配信)。

『Bellator 279』4月23日(日本時間24日)

▼Bellator世界バンタム級選手権試合&ワールドGP1回戦 5分5R
フアン・アーチュレッタ(米国)25勝3敗
ラフェオン・ストッツ(米国)17勝1敗

▼Bellatorバンタム級ワールドGP1回戦 5分5R
堀口恭司(日本)29勝4敗
パッチー・ミックス(米国)15勝1敗

『Bellator 278』4月22日(日本時間23日)

▼ライト級 5分3R
トフィック・ムサエフ(アゼルバイジャン)18勝4敗
ザック・ゼイン(米国)15勝11敗

▼Bellatorバンタム級ワールドGPワイルドカード 5分3R
ジョシュ・ヒル(カナダ)21勝4敗
エンリケ・バルゾラ(ペルー)17勝5敗2分

▼Bellatorバンタム級ワールドGPワイルドカード 5分3R
ジョネル・ルゴ(米国)8勝0敗
ダニー・サバテーロ(米国)11勝1敗

 ほかにも、バンタム級では、アーチュレッタvs.ストッツのGP1回戦にして王座戦の5R、さらに元UFCで1月にダリオン・コールドウェルにTKO勝ちしたバルゾラ(写真上)、堀口と同門のATTで、UFCで勝ち越していたブレット・ジョンズに5月に判定勝ちしたサバテーロ(写真下)と、強豪が出場する。

 現地で2大会を視察する榊原CEOは、「理想的なのは、日本人のチャンピオンがいて、外国勢を迎え撃つ──ほんとうにPRIDEのような形で、世界のトップアスリートを日本に招聘するというのは、いますぐは無理だけど、我々がフェデレーションという形をとっているのは、世界の各団体と交渉できるということ。UFCとはなかなか交渉がうまくいかないけど、少しずつ交渉の距離は縮まっていると思うし、ONE Championshipとだって、向こうがどう思うかは別として、僕は会って話をして、青木真也でも秋山成勲でも、ぜひ引っ張ってきたいなと思っていますから、僕のアクションとしては世界のトッププロモーションと交渉して、交わっていけたらなと思っています」と、全方位外交を掲げた。

 対世界を望むなら、彼らの戦いを日本のファイターもファンもチェックしておく必要がある。“箱庭”から“開国”は、まだ始まったばかりだ。

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