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インタビュー

【UFC】1年4カ月振りの再起、グンナー・ネルソンと対戦する佐藤天「毎日試合のことを想像して、あとは勝つだけ」

2022/03/19 18:03
【UFC】1年4カ月振りの再起、グンナー・ネルソンと対戦する佐藤天「毎日試合のことを想像して、あとは勝つだけ」

(C)Zuffa LLC

 2022年3月19日(日本時間20日)、英国ロンドンのO2アリーナで開催される「UFC Fight Night: Volkov vs. Aspinal」のメインカード(朝5時開始予定)に、ウェルター級で佐藤天(サンフォードMMA)が出場。グンナー・ネルソン(アイスランド)と対戦する。

 日本人として稀有なウェルター級で、世界最高峰の舞台で戦ってきた佐藤だが、UFC4戦目の契約最終試合となる2020年11月のミゲール・バエザ戦で2R 一本負けで2勝2敗に。2022年1月に契約更新が決まり、今回ブラジルのクラウディオ・シウバの負傷欠場により、約2週間前の緊急オファーを受けてグンナー・ネルソンと対戦する。強豪ばかりが揃うサンフォードMMAで鎬を削ってきた佐藤は、結果を出すことに意味がある、と語った。

 同大会のプレリムは日本時間3月19日(土)深夜2時にスタート。メインカードは20日(日)朝5時開始予定で、全試合がUFC FIGHT PASSにてライブ配信される。

リーチは自分の方が遠いし、四つでも勝負できる

――日本時間の20日(日)にグンナー・ネルソンと対戦する佐藤天選手です。米国フロリダから英国ロンドンに移動して、新型コロナウイルスの検査などはどのような形でしたでしょうか。

「アメリカでワクチンを打った証明書があれば、イギリス入りするときはPCR検査は必要ないようで、普通に飛行機に乗って来ました。僕は米国で去年の11月にジョンソン・エンド・ジョンソンという1回接種型のワクチンを打っていて、それでOKでした」

――ロンドン入りする前で体重はどのくらいでしたか。

「体重はずっとキープしていたので、82kgとか82.5kgくらいです」

――最後は水抜きだと。いつもの座って包まれるサウナスーツと異なり、今回は寝たまま着込むようなサウナスーツが用意されていたようですね。

「はい。あれ試してみようと思います(※無事、170ポンド/77.11kgで計量をパス)」

――今回のコーナーマンにヘンリー・フーフトコーチはつくことが可能なのでしょうか。

「今回はヘンリーはちょっと来れないんですけど、打撃コーチのジェイソンと、ONEのオングがついてくれます」

――アウンラ・ンサンがコーナーマンに! それはよくあることなんですか?

「今回初めてなんですけど、特によくコミュニケーションを取っているチームメイトですし、練習もともにしていますで、ついてくれることになりました」

――なるほど。2020年11月の前戦が、MMA9戦無敗でUFC2連勝中のミゲール・バエザが相手で非常に強豪でした。あの試合以降、佐藤選手が課題として取り組んできたことは何でしょうか。

「思考しながらも動くこと、それに地力も底上げしないといけないというのがあったので、それを毎日こつこつと積み重ねてきたという感じです」

――試合がなかった1年4カ月間、PFLとの契約の話もあるなか、UFCのオファーを待つという厳しい状況のなか、練習を続け、いつでも試合のオファーに応えられるようにコンディションを保ち続けてきたそうですね。

「マネージャーのシュウさんから、去年の今、2021年の5月くらいに『試合があると思います』って言われたので、それくらいからある程度、体重もキープしておいて、しかも2、3週間前のオファーもありうるということで、ほんとうに毎回体重をキープして、ウェルター級で自分の試合がもしかしたら誰かが欠場するかもしれない場合に備えて、もし誰も体重ミスしなければ、その週末に好きなもの食べて、みたいなことを繰り返していました」

――それは辛いですね。それを1年あまり続けてきた。身体のダメージは大丈夫なのですか?

「そこはコーチたちとも相談して、ファイトキャンプみたいに途中でちょっと疲れを抜く週とかを作ったりして、試合に向かう身体を作ることに麻痺して慣れていたのか分からないですけど、身体の動き自体はすごい良かったですね」

――常に戦う状態になっているって大変なことですね。

「逆に良かったかもしれないと考えています。試合に近い体重で練習できたことが。ずっと準備していくことで、メンタル的にもすごい鍛えられたと思うので、結果プラスなのかなと思っています」

――1年4カ月ぶりの試合ということであっても、その練習の状況をうかがうと久しぶりの試合というよりは、ようやく試合が出来ると待ち構えた状態のようですね。

「そうですね。試合で見せないといけないんですけど、問題なく成長している感覚はあります」

――今回もサンフォードMMAの選手の試合が連続していることで、濃密な練習内容だったんじゃないかなと想像します。

「特に今月はすごかったです。9人くらい試合があって、PFLだったり、Bellator、あとイーグルFCも。同じ階級の選手もみんな試合だったのでいい練習が出来ました」

――2月にンサン、ローガン・ストーレー、4月にギルバート・バーンズ、ヴィセンチ・ルケ、ジャレッド・ゴードン、イアン・ゲリー、5月にマイケル・ジョンソン、ジェイソン・ジャクソン、アンドレ・フィアリョ、マーティン・ニューエン、インパ・カサンガネイ、タイラー・レイ、カイオ・ウルグアイと錚々たる面子が試合に向けた練習を積んでいたと。

「そうですね。階級は違いますけどオングとは特に練習してますし、あとは、ウェルター級の選手は、UFCとか出ている選手は、特によくみんなで一緒に回しながら練習していますね」

――3月12日のBellatorでマッズ・バーネルに勝ったアダム・ボリッチもサンフォードで練習しているそうですね。

「僕より前にサンフォードに所属していますね。同じくらいのときに初めてサンフォードを知って。すごい練習の取り組みを見てきました。ほかにも、UFCからの試合オファーや契約を待つ選手もいて、みんな同じような環境でずっと準備してるので、あんまり自分だけキツいみたいな感じではないです。1週間前でも試合に行けるように準備してる。UFCと契約するためにずっと待ってるみたいな選手もいますし」

――タフでハイレベルな練習環境が通常になることで、またさらにレベルが上がると。そういう中で、今回グンナー・ネルソンとの試合が決まりました。沖縄剛柔流空手とヘンゾ・グレイシーの柔術を持つ強豪です。グンナーはバーンズと試合をしていますが、アドバイスとかも得たりもしたのでしょうか。

「そうですね。決まった時点でいろいろアドバイスくれて、映像とかも送ってくれたりとかして。ギルバートの試合も決まってる(4月9日にカムザット・チマエフと対戦)んですけど、練習後とかに細かくいろいろ教えてくれて、すごく良くしてもらっています」

――ネルソンは、飛び込む打撃で左にもスイッチしてキックもあって、グラウンドも当然のことながらポジショニングが強いとい感じます。

「とにかくグラウンドが強い選手ですよね。打撃も前手の構えから、遠い間合いを作って、飛び込んできたと思ったら組みに来てという、どこでも勝負できる選手だと思います。強いですよね」

――あの遠い間合いで佐藤選手がジャブをどう当てるか注目しています。

「リーチ(185cm)では自分の方が遠いと思うので、ジャブに関しては届くのかなと。間合いは遠いんですけど、打撃の長さ、飛び込むときの、打つときの距離はそんなに長くないので、組みと打撃の距離を見極められたら、自分の打撃でいけるのかなと思っています」

――対ネルソンで考えると、ケージレスリングでは、佐藤選手の上の組みの強さも活かせるのではと。

「そうですね。四つ組みは勝負できるところだと思うので、引かないで自分の形を作れたら、自分もテイクダウンを狙っていけるだろうなと思っています」

――ネルソンのようなタイプは珍しいかと。サンフォードで仮想ネルソンというわけにはいかなかったでしょうか。

「いなくはないですね。ネイサン・マーコートとかはちょっと似てるんですよ。グラウンドが強くて柔術もやっている。けっこうグンナーに似せて練習してくれて。対戦相手決定からちょっと期間は短かったですけど、協力してくれるチームメイトもたくさんいるので、イメージはできているかなと思います」

――なるほど。ちょうど今月3月26日にはサンフォードMMAで合宿したTRIBEの盟友・若松佑弥選手がONEで王座戦に臨みます。SNS上でもエールをかわしていましたが。

「そうですね。連絡を取っていて、こっちも負けられないですね」

――SNSで公開されていた大量のUFCポスターへのサインの最中にも、シュウさんから話題が振られていたパートナーは米国での応援ですね。

「ハハハ、あの動画はシュウさんが悪いです(笑)」

──しかし、薔薇一輪の告白からの花束というのは、ちょっと感動しました。カッコイイ男だなって。

「頑張ったんですよ(笑)」

――今回の試合に向けて、佐藤選手はどんな試合を見せたいと?

「やることはやって、ずっと毎日試合のことを想像して、イメージしてやってきて、あとは勝つだけ、結果を出すだけだと思っているので、その成長の姿を見せつつ、とにかく勝てればと思っています」

――いまUFCで戦う唯一の日本人男子選手として、そしてウェルター級という日本人とって厳しい階級で、世界最高峰の舞台で戦うために、米国で練習を続ける佐藤選手にとって、その成果を見せる日になりますね。

「アメリカで自分が練習している理由というのは、そこで戦えることを証明するためです。勝って結果を残すことに意味ある世界です。ぜひ見てください」

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