2022年3月26日(土)にシンガポール・インドアスタジアムで開催される、ONE Championship10周年記念大会『ONE X』にて青木真也vs.秋山成勲が決定した。
大会の模様は「無料」と「有料」の2つの形で配信される。同日17時より「ABEMA」の格闘チャンネルおよびABEMA SPECIALチャンネルにて、プロ5戦無敗の平田樹も出場するカードなどを無料で独占生中継。
青木vs.秋山は、21時(夜9時)からの「ABEMA PPV ONLINE LIVE」にて、『ONE X“AOKI VS AKIYAMA" 日本格闘界最凶の2人、まさかの激突』として、ほか注目カードとともに有料独占生中継される。契約体重はONEライト級(※水抜き禁止の77.1kg)となる。ONEから発表されたコメントは以下の通り。
◆青木真也「おれたちは消耗品じゃない」
「ONE10周年大会開催おめでとうございます。2011年9月3日の旗揚げ大会を現地で、生で感じ、ONEの可能性に身を投じた者としては感慨深いものがあります。青木真也がONEで試合をします。日本格闘技が失いつつある物語と文脈の格闘技を存分に発揮する所存です。今大会はPPV放送とのことで1月8日のノア新日本プロレスの対抗戦の遥か上をいくPPV件数を叩き出し、青木真也ここにありを示せるように1ヶ月必死で取り組みます。旗揚げ大会のメインを務めONEの歴史を創ってきたエドゥアルド・フォラヤンの試合が組み込まれていることに文脈や物語のある格闘技がある安心感を感じています。おれたちは消耗品じゃない。芸事をして文化を創っているんだ。あれから10年も この先10年も 振り向かない 急がない 立ちどまらない」
◆秋山成勲「減量して階級を落とす事はとてもリスクが高いけど」
「記念大会に出場できる事に、何より感謝しています。減量して階級を落とす事は私にとってとてもリスクが高く、大変ですが、しっかり体調を整え試合に臨みたいと思います。今年47歳。まだまだ若い選手と同じ動きそれ以上の動きが出来ることと信じて練習をしておりますので、試合を楽しみにしていて下さい。青木選手はこの階級ではトップの選手なので、そんな素晴らしい選手と試合ができる事に感謝しかありません。この試合に携わっていただいた全ての方に感謝の気持ちでいっぱいです」
青木は、DREAM時代に秋山に対戦要求したことがある。
2008年7月に「DREAMライト級(70kg)GP」で準優勝となった青木は、同年9月にトッド・ムーアをわずか70秒、フェイスロックでのリアネイキドチョークでタップを奪い一本勝ち。リング上で「秋山“マイケル・ジャクソン”成勲先輩、この大黒柱と試合をしませんか?」と対戦を呼びかけ、翌日の一夜明け会見でも「やらせてもらえるんであれば、僕は正々堂々と戦います」と対戦をアピールした。
当時の秋山は、8連勝で迎えた2006年の大晦日の桜庭和志戦のノーコンテスト後、デニス・カーンを1R KOに降し、2007年大晦日の「やれんのか!」で三崎和雄と対戦。サッカーキックで敗れたものの、後に反則の体勢だったことからノーコンテストとなり、その後、柴田勝頼を袖車絞め、青木がムーアを降した同日にもミドル級(84kg)で外岡真徳を腕十字で極めていた。
一夜明けてのあらためての青木の対戦要求に、会見に同席していた秋山は、「正直に言わせてもらうと、興味ないです。今は吉田(秀彦)先輩にしか目は行ってないので、そっちのほうに集中したい。(吉田戦を)やることに意味があると思っているんで」と眼中にないと返答。
“DREAMの大黒柱”を自負していた青木は、「今、青木真也は正直、悔しい気持ちで一杯です。DREAMが3月からスタートして、僕は一生懸命やってきた自負があります。でもそこで他団体の選手の名前を出されたり、DREAMでやりたいと言ってもらえないのは悔しい。自分はこの気持ちを持って、世界を見て魅力的な選手になります」と、秋山の対応に失望の表情を見せていた。その後、秋山は戦場をUFCに移し、夢のカードは実現不可能となっていた。
しかし、止まっていた因縁の時計は、再び動き出す。
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オメエに覚悟あるんだったらなやってみろよ(青木)
2021年10月の「Road to ONE: 5th Sexyama Edition」でグラップリングマッチを戦った青木は、試合後、マット上で、「9月6日に俺にオファーが届きました。オイ、お前(放送席の秋山に)何で(試合を)断ったんだよ。笑いごとじゃないんだよ、何とか言えよ! 嘘を付くんじゃねぇよ」と秋山に直接問いかけたのだ。
解説席にいた秋山は、「断った理由として筋肉を断裂して……」と言うと即座に青木は「関係ねえよ」と否定。
秋山は「先生の判断など色んな選択肢がありましたが、私も断るのが億劫で、やはり試合でリングに立つのが格闘家としての在り方だと私は思います。苦渋の選択として、そういう判断をせざるを得ない状況で、色んな検査を受け、もちろん周りの人に迷惑をかけたことは十分に分かっております」と続けると、青木は「だから何だよ。2カ月あればやればいいじゃないか。お前の言うことは正論だろ。お前がやる気あるならやれよ、『格闘技を盛り上げる』なんて綺麗事で、ONEと一緒だよ。オメエに覚悟あるんだったらなやってみろよ」とバッサリ。
秋山は「もちろんやらないという選択肢はない。当たり前のようにやるつもりでいるし」と答えると、青木は「はっきり言ってやるよ。オマエにそんな時間ないんだよ」と一刀両断。「俺は何があろうと、目の前にあることを一生懸命にやってやります。青木真也を貫いて、一生懸命生きていきます」と語り、ケージを後にした。
俺のことが相当好きなんでしょう(秋山)
放送席で秋山は、「最高のパフォーマンスを見せるために準備をしてきたつもりが、いろんな結果を生みました。青木選手が言ったように、私が断ったのは事実であり、そこは申し訳ない気持ちでいっぱいですが、人に対して“テメエ”だの、失礼なことを言うこと自体、格闘家以前に、人として良くないと思うのでそこは改めた方がいい。私は彼よりも年上で、彼に対してちゃんと敬語を使っています。格闘家はそういう言葉を出すから、野蛮だと言われる。相手をリスペクトをして、自分の仕事、練習をしっかりして試合に臨めばいいというのが私のスタンス」と、あらためて青木とのやりとりを語った。
その上で「まあ、『待ってろよ』と。10年近く俺とやろうと言っていて、俺のことが相当好きなんでしょう。だから変なストーカーに目を付けられたなと。ストーカーを倒す、その時間はもうすぐ来るんじゃないんですか」と、怪我を治しての青木との対戦に前向きなコメントを残していた。
現在はともにONE Championshipを主戦場としており、階級が異なる両者だが、ONEの水抜き禁止の独自の階級システムにより、同じライト級(※77.1kg)で対戦の可能性が出てきた。
MMA47勝9敗1NCの青木真也は、 2015年に78kg契約で桜庭和志に一本勝ち。ONEでも2021年1月に元LFAウェルター級(※水抜きあり前日計量の77.1kg)王者のジェームズ・ナカシマとONEライト級で戦い、1R、ネッククランクで一本勝ちするなど、階級上の選手から勝利を挙げている。2021年4月の前戦では、エドゥアルド・フォラヤンとの3度目対戦で1R 腕十字による一本勝ち。38歳にして4連勝をマークしてる。
一方の秋山は46歳でMMA15勝7敗2NC。2015年11月のUFCでアルベルト・ミナにスプリット判定で敗れた後、2019年6月に3年7カ月ぶりにMMA復帰。ONEデビュー戦でアギラン・ターニに判定負けしたものの、2020年2月の前戦でシェリフ・モハメドに1R、右フックでKO勝ちしている。
RIZINでのホベルト・サトシ・ソウザ戦の交渉もあったとされる青木だが、秋山へのアピールから13年ごしの対戦が決まったことになる。
「秋山を忌み嫌っている」と激白する青木と、「10個下に喧嘩を売られて買わないわけないでしょ」と凄みを見せる秋山。これまで“口喧嘩”で対立してきた2人が、ついにONEのケージの中で直接対決となる。格闘技界の歴史に爪痕を残すことが約束された一戦は、果たしてどうなるか。
同大会では、ほかにも注目のカードが並ぶ。ONE日本人の若手エース、若松佑弥が王者・アドリアーノ・モラエスに挑戦するフライ級世界タイトルマッチや、元UFC世界フライ級王者でONEフライ級ワールドGP王者のデメトリアス・ジョンソンと、ONEフライ級ムエタイ世界王者のロッタン・ジットムアンノンが3分4RのMMAとムエタイのミックスルールで戦うドリームマッチなどが決定している。
ONE X
2022年3月26日(土)シンガポール・インドアスタジアム
▼ONE女子アトム級世界選手権試合 5分5Rアンジェラ・リー(シンガポール)王者スタンプ・フェアテックス(タイ)挑戦者/1位/同級世界GP優勝
▼ONEフライ級世界選手権試合 5分5Rアドリアーノ・モラエス(ブラジル)王者若松佑弥(TRIBE TOKYO M.M.A)挑戦者/2位
▼ONEバンタム級ムエタイ世界選手権試合 3分5Rノンオー・ガイヤーンハーダオ(タイ)王者アラヴァディ・ラマザノフ(ロシア)挑戦者
▼ONEバンタム級キックボクシング世界選手権試合 3分5Rカピタン・ペッティンディーアカデミー(タイ)王者秋元皓貴(EVOLVE)挑戦者
▼ONEキックボクシング フェザー級世界選手権試合 3分5Rスーパーボン(タイ)王者マラット・グレゴリアン(アルメニア)挑戦者
▼ONEフェザー級キックボクシング ワールドGP決勝 3分3Rチンギス・アラゾフ(ベラルーシ)シッティチャイ・シッソンピーノン(タイ)
▼ONEフライ級 ミックスルール 3分4R(1R&3RはONEムエタイルール、2R&4R MMAルール)ロッタン・ジットムアンノン(タイ)デメトリアス・ジョンソン(米国)
▼ONE女子アトム級 5分3Rハム・ソヒ(韓国)デニス・ザンボアンガ(フィリピン)
▼ONEライト級キックボクシング 3分3Rニキー・ホルツケン(オランダ)イスラム・ムルタザフ(ロシア)
▼ONEストロー級 5分3Rジェレミー・ミアド(フィリピン)リト・アディワン(フィリピン)
▼ONEフェザー級 5分3Rアミール・カーン(シンガポール)高橋遼伍(KRAZY BEE)
【出場決定選手】平田 樹(フリー)
なお、チャトリ・シットヨートンCEO兼会長は、「ONE X」にさらなる日本人選手の投入を予告しており、今後のカード発表、さらにリードカード、メインカードにどんな試合が組まれるか、注目だ。