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インタビュー

【RIZIN】関根“シュレック”秀樹「同じ病気の人にも元気になってもらいたい」&サトシ「疲れていても彼がジムにいると分かってるから、強くなれる」

2022/01/03 11:01
【RIZIN】関根“シュレック”秀樹「同じ病気の人にも元気になってもらいたい」&サトシ「疲れていても彼がジムにいると分かってるから、強くなれる」

(C)RIZIN FF

 2021年12月31日(金)さいたまスーパーアリーナにて「Yogibo presents RIZIN.33」が開催され、ヘビー級(120.0kg)で関根“シュレック”秀樹(ボンサイブルテリア・48歳)が、シビサイ頌真(パラエストラ東京/巌流島・30歳)と対戦。関根が、2R 2分09秒、逆転のTKOでRIZIN初勝利を挙げた。

 試合後、関根はあらためて巨人症と言われる「下垂体腺腫」との闘病を告白。現在も通院していることを明かし、「病を持つ人に元気を与えたい」と語った。

 関根は、山梨学院柔道部出身。卒業後、静岡県警で機動隊や暴力団担当の刑事を務め、ボンサイブルテリアジムでブラジリアン柔術を習得。2009年にMMAデビュー後、7連勝で2016年12月に『ONE Championship』に参戦。世界ヘビー級王者ブランドン・ベラとの試合に向け、43歳にして警察官という安定した職を捨て、プロ格闘家に転向した。

 柔術、グラップリングでも実績を残しながら、プロレスのリングでも人気を博している。2020年2月にはRIZINのリングにも上がるも現UFCのロッキー・マルティネスにTKO負け。現在、DEEPで2連勝中で、RIZIN初勝利を目指す。今回の試合前に自身のSNSで、一般的に巨人症と言われる下垂体腺腫の病と闘ってきたことを告白している。

 対するシビサイ頌真は、MMA7勝2敗。ラオスと日本のハーフで柔道&柔術がバックボーン。190cm超えの恵まれた体格を武器に、2011年にKrushでキックボクシングプロデビューを果たすと、2012年からHEATに参戦し、DEEP、ZST、GRACHAN、巌流島と様々なリングで戦ってきた。RIZINには2018年7月から参戦し、初戦は敗れたものの、その後はキム・チャンヒ、セルゲイ・シュメトフ、そして6月にはスダリオ剛と連続一本勝ちを奪っている。

 試合は、激闘だった。

 選手コールにハグし、両拳を合わせたシビサイと関根。関根は遠間からシングルレッグ(片足タックル)も、切るシビサイ。クローズドガードの中に入れる関根はスイープ狙い。そこに三角絞めを合わせるシビサイだが、柔術家の関根はそこは極めさせず。

 関根の立ち上がりにヒザ蹴りを突くシビサイ。下になる関根は下から蹴り上げ。さらにシングルレッグから立ち上がる関根は、脇を潜りバックに回り投げを狙うが、シビサイはコーナーに頭をつけて、アームロック狙い。

 腕を戻す関根は、なおもスタンドバックにつき、ジャーマンスープレックス! そのままにならず際で上を取る関根は声を挙げて鉄槌を突く。

 2R、「よし来い!」と叫び、得意の右を突く関根。さらに足を手繰りに行くが、切るシビサイ。そこで立ち上がる関根は声を出して右を振るも大振りに。それをかわして前に出るシビサイは首相撲へ。クリンチアッパーで対抗する関根。

 ここで右で脇を差して、左で腕を巻き込んで、柔道の支え釣り込み足で投げた関根。捨て身気味になり、バックを奪おうとするシビサイだが、右一本、差していた関根は際(きわ)で上に! サイドから鉄槌を連打するとシビサイはスタミナ切れたか動けず。レフェリーが間に入った。

 左目を大きく腫らし劇的な勝利を飾った関根は、試合後、リング上で「BELLWWOD FIGHT TEAMのシュレックだよ。勝って言いたかったことは3つある。ひとつはUWF、プロレス、最強! 2つ目は大晦日も明日も働いている警察官、最強! あと30代、40代、50代、60代も、まだまだ平成生まれに負けないね。昭和生まれ最強! 俺みたいなね、アラフィフのオヤジでも日本最強(相手)にね、諦めなきゃ、根性あれば勝てるんだよ。病気や困難があっても、諦めずに生きてればいいことあるから。何か悩みがあったら俺に言ってきてや!」と、魂のマイクを語った。

 小学校のときの夢が“超人”になることだったという関根。

 高校、大学の柔道部では60kg以下級、食べても66kgまでしか増えなかったが、30歳過ぎから年々、5kgほど体重が「異様に増えた」という。それは、アクロメガリー「下垂体腺腫」の症状で、成長ホルモンが過剰に分泌することによって額やあご、手足などの体の先端が肥大する病気だった。一時は、超人への「等価交換」と考え、手術を先延ばしにしていた関根だったが、糖尿病などの病気も併発したため、手術を行い、現在は成長ホルモン等が抑えられるため、薬をのまないと1日寝たきりの日もあるという。

 試合前に、「もう1回、この病気になるかならないかと言ったら、いまこうして格闘技の世界に身を置けて大晦日に出られたら、また(病気を)選ぶんじゃないかなって。ハンサムと引き換えに悲しみの怪物として生きて(笑)。悪いこともあるけどいいこともある」と語っていた関根。

 試合直前には、ボンサイ柔術の盟友マルキーニョスこと、セコンドのマルコス・ヨシオ・ソウザから「絶対に自信を持て。俺はヒデキと練習していて一番、よく分かってる。すごく強い。世界チャンピオンたちとも練習してきたけど、ヒデキが一番力が強くて、体力もある。だから、あなたが負けるときは、あなたが自信を失ってあなたが諦めたとき。これが最高の舞台だったら、絶対に諦めるな、死ぬまで諦めるな」と、ゲキを受けたという。

 試合後、同門のRIZINライト級王者ホベルト・サトシは、自身のRIINライト級王座防衛も関根から力をもらったと語る。

「すごいリスペクトある。練習のとき私は疲れたけど彼が行くとか、みんな、“彼は大きい、彼は重い”と言って忘れがちだけど、彼は48歳。大晦日のRIZINで48歳がMMAなんて、少ないでしょ。彼が勝ってほんとうに嬉しい。彼は本当に私のモチベーション。“今日は練習やれない”と思っても、彼がジムにいると分かってるから、もっと本当に強くなる。自分が優勝したのも彼のおかげ」

 幼少時の大怪我を克服するために始めた柔道、日系ブラジリアンたちとの接点を持つために始めた柔術、そしてUWFに憧れたプロレス、その全ての技を出し尽くしてもぎ取った勝利。関根は試合直後、何を語ったか。シビサイのコメントとともに一問一答全文を紹介する。

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