ムエタイ
レポート

【BOM】吉成名高が連続KO記録は途絶えるも初の55kgで圧勝して11連勝。柿沼慶、MIKE JOE、レンタ・ウォーワンチャイが新王者に

2021/12/05 21:12
BOM WAVE07- Get Over The COVID-19<第2部>2021年12月5日(日)東京・ニューピアホール ▼第7試合 メインイベント WBCムエタイ・ナイカムノトム・スーパーバンタム級(55.35kg)王座決定戦 3分5R○名高・エイワスポーツジム(=吉成名高/エイワスポーツジム)判定3-0 ※50-46×2、50-47×クン・ナムイサン・ショウブカイ(タイ/尚武会) “ハマの神童”名高は2018年12月、ラジャダムナンスタジアム認定ミニフライ級王座を奪取し、日本人として7人目の同スタジアム王者になり、2019年4月15日にはルンピニースタジアム認定同級王座も獲得。日本人初のルンピニー王者になると同時に、ムエタイの2大殿堂であるルンピニーとラジャダムナンの王座を同時に保持した史上2人目の外国人(タイ人以外)選手となった。  また、2017年4月にWMC世界ピン級王座、2018年4月には日本人4人目の快挙となるWBCムエタイ世界タイトル(ミニフライ級)を獲得。さらに同年9月にはIBFムエタイ世界ミニフライ級王座もKOで獲得し、日本人初のIBFムエタイ世界王者となっている。2019年12月のBOMではBOMフライ級初代王座決定トーナメントを圧倒的な強さで制した。これまで獲得したタイトルは実に7冠。RIZINでも4連続KO勝ち中で、前戦はRIZINで初の53.5kg契約に挑み石川直樹を初回KOしている。  今回、名高はフライ級(-50.80kg以下)からバンタム級(-53.52kg以下)で3分5Rのムエタイルールでの対戦相手を探していたが難航し、今回は名高にとってこれまでで最も重いスーパーバンタム級(55.0kg)での試合になった。6月の『RIZIN』で52.0kg、9月の『BOM』でスーパーフライ級(-52.16kg)、10月の『RIZIN』で53.5kg契約と徐々に試合体重を上げている名高だが、今回は一気に約2kg上の試合体重。対戦相手が見つからないとはいえ、大きな挑戦となった。  クン・ナムイサンは元MAX MUAYTHAI 55kg王者で、1月の『ジャパンキック』で馬渡亮太に判定負け。左右フックで前に出て、首相撲になるとヒジを狙った。6月の『BOM』では渡辺優太と3分5Rを戦うも判定負け、10月の『SUK WAN KINGTHONG』ではカイト・ウォーワンチャイ(=福田海斗)に判定負けと連敗しているが、55.35kg~56.50kg近辺で試合を行っており、体重ハンディのある名高にとっては厳しい相手となる。  また、この試合にはWBCムエタイ・ナイカノムトムのベルトが懸けられた。  1R、前蹴りとローで様子を見る名高は、前蹴りをフェイントしての左ストレートも打つ。相手の蹴り足をキャッチしてのコカしや強い左ミドルも蹴るが、まずは様子見。クンは左ミドルを蹴り、名高は腕で受ける。  2R、名高はスピードのギアを上げて左右フックからのテンカオを突き刺す。このコンビネーションが何度も決まる。さらに左ミドル、左ローと強い攻撃を繰り出す。クンが組みに来ても組ませず、クンが前に出てくるとサイドへ素早く回り込む。  3R、名高は左ストレートからのヒザ、回り込んで左ボディストレート、左ロー。ほとんど相手に攻撃を出す隙を与えず、ほぼ一方的に攻撃を当てていく。攻撃を当てると素早く回り込んでその場には止まらない。  4R、セコンドから「このラウンドは行け」との指示が飛び、名高はトップギアに。パンチのコンビネーションから左ロー、ヒザと強くて速い攻撃を次々とヒットさせ、場内からはそのスピードにどよめきが起こる。前蹴り、ヒザ蹴り、左ストレートと攻撃を当てていく名高だが、倒すことは出来ずラウンドが終わると苦笑いを浮かべた。  そして最終5R、名高はジャブと前蹴りで距離を取って流しにかかり、30秒も経たないうちにクンも逆転は無理と諦めて流す。両者とも対面シャドーのように形だけパンチと蹴りを出し、そのまま終わった。  判定は相手に1ポイントも与えず名高の圧勝。11連勝を飾ったが、連続KO記録は「7」でストップした。マイクを持った名高は「今日55kgでやらせてもらったんですが、相手がいない中で試合をしてくれたクン・ナムイサン選手ありがとうございます。今日もKOで勝ちたかったんですが倒せなくて判定になりましたが、55kgで勝ててホッとしています。反省点がたくさん見つかったので、より一層練習して強くなります」と語った。 [nextpage] ▼第6試合 セミファイナル WPMFインターナショナル・スーパーミドル級(76.20kg)王者決定戦 3分5R〇柿沼 慶(ポゴナクラブ)KO 1R 2分51秒 ※右フック×プーパンレック(タイ)※柿沼が新王座に就く。  柿沼はスーパーウェルター級らしい強打を武器とする選手で、2018年12月に王座決定戦でWMC日本同級王座を獲得すると、翌2019年4月には王座決定戦で同インターコンチネンタル王座も獲得。同年12月には王座決定戦でBOMスーパーウェルター級初代王座に就き、2020年2月に念願のIBFムエタイ世界スーパーウェルター級王座決定戦に臨んだが、古豪レック・エイワスポーツジムにTKOで敗れ世界王座奪取ならず。10月のBOMではムエサイアムミドル級王座決定戦をプーパンレックと争ったがドロー、12月のIMCインターコンチネンタル・ミドル級王座決定戦ではクリスチャン・ジョセにTKO負けを喫した。前戦は9月に緑川創にKO負け。  プーパンレックとは2020年10月のムエサイアムミドル級王座決定戦でドローになって以来の再戦。  1R、体格で大きく上回る柿沼は圧力をかけて前へ出るとまずはボディ、そしてローで攻めていく。プーパンレックはジャブ、左ミドルを出しながらロープを背負って回り込むが、柿沼が左右フックで畳み込んでダウンを奪い、プーパンレックは痙攣して立てず、柿沼が豪快なKO勝ちで王座に就いた。  柿沼はマイクを持つと「今日僕調子よかったですか? 正直、僕は今回で絶対に引退しようと決めていて。ベルトを3本獲って、中川会長に強い人とやらせろと言っていてその後は連敗で。格闘家は強い人とやりたいので負けて引退でもいいからあと1回だけやるかは考えて。多分、やらないと思うんですけれど(笑)。僕はとりあえず休憩するのでポゴナクラブの応援をよろしくお願いします」と、引退かもう1試合やるか微妙な気持ちを吐露した。 [nextpage] ▼第5試合 WMCインターコンチネンタルミドル級(72.57kg)王者決定戦 3分5R×クリスチャン・ジョセフ(尚武会)KO 5R 2分19秒 ※左ボディブロー〇MIKE JOE(BATTLE FIELD・TEAM J.S.A)※JOEが新王座に就く。  ジョセフはアメリカ人で、現在日本の米軍基地に勤務。アメリカ、韓国で試合経験があるという。2020年12月のBOMに初参戦すると、柿沼を4RでTKOに破り、IMCインターコンチネンタル・ミドル級王座に就いた。  JOEはアマチュアボクシングからキックボクシングに転向し、MMAにも挑戦した184cmの長身選手。2020年8月のKrushに初参戦すると、藤村大輔を相手に独特な柔らかい動きでパンチをかわし、右のストレート&フックをヒットさせての判定勝ち。12月の『スーパービッグバン』では神保克哉に判定で敗れたが、今年3月のK-1では木村“フィリップ”ミノルの代替選手として出場したEITOを2Rに右フックでKOするも、9月のBOMでは松島勲也に延長戦の末に判定負け。第4代Bigbangスーパー・ウェルター級王者であり、2階級制覇を目指す。  1R、いきなり右フックを叩きつけてくるジョセフに、JOEはフェイントを多用して前蹴り、ロー、ジャブを打っていく。足払いでコカす、首相撲でしっかり組むなどJOEはムエタイをしっかり見せる。  2R、JOEはジャブ、前蹴り、右ストレートをしっかり当てつつ、相手の蹴り足をキャッチしての攻撃やミドルキックをしっかりスネでカットするなど上手いムエタイを見せる。  3R、ジョセフは左ミドルを蹴り、右フックを叩きつけるが、パンチのテクニックはJOEの方が上。いきなり繰り出されるパンチをもらう。JOEは組むとヒジも繰り出す。  4Rは首相撲の展開。しっかり組むJOEがヒジ、ヒザ。離れるとボディ、顔面へのパンチ。JOEのヒジでジョセフは流血。ドクターチェック後、ジョセフは笑いながら組みに行ってヒジ、パンチの打ち合いを挑むがJOEの右ヒジが強烈にヒット。その後も首相撲とヒジの戦いに。  5R、JOEは蹴り足をキャッチしての攻撃、足払いなどを駆使し、ジョセフは何やら話しかけて打ち合いを要求。JOEもこれに応えて両者足を止めてパンチとヒジを打ち合う。JOEの右がクリーンヒットし、そこからJOEが一方的に右ストレート、左ボディを当ててジョセフを後退させていく。最後は左ボディの連打、右フックをフォローするとジョセフがしゃがみ込むように倒れ、レフェリーがここでストップした。 [nextpage] ▼第4試合 WPMFインターナショナル・ライト級(61.23kg)王者決定戦 3分5R〇レンタ・ウォーワンチャイ(ウォーワンチャイプロモーション)判定3-0 ※49-46×2、49-47×リク・シッソー(トースームエタイシンジム)※レンタが新王座に就く。  レンタは福田海斗や石井一成が所属するウォーワンチャイプロモーション所属で、ムエタイの本場ラジャダムナンスタジアムにも上がっている和製ムエタイの注目株。アマチュアで約70戦を経験し、9月にはWMCインターコンチネンタル・ライト級王座決定戦で晃希に初回KO勝ちして王座に就いた。  リクは2018年9月に高校3年生でWMC日本スーパーフェザー級王座に就いたが、2020年12月の初防衛戦で敗れて王座を失った。その後は2021年10月にロムイーサンをTKOに破り、スック・ワンキントーン・ライト級王座を獲得した。  1R、両者様子見かと思われたが、レンタは組み付くとヒジを連打。離れてもヒジを打ちに行き、リクもヒジで応戦。レンタが左縦ヒジでダウンを奪うが、その直後にリクが右ヒジで逆襲。レンタはバランスを崩してヒジをもらう。  2R序盤も激しいヒジの打ち合い。両者いったん離れるとレンタは左三日月蹴りを多用、リクは前蹴り。両者とも機を見てヒジを打ち合う。  3R、レンタはリクの蹴り足をキャッチすると足払いで大きくコカす。その後も蹴り足をキャッチしての攻撃、崩しを多用。さらに左三日月蹴り。終盤はミドルの蹴り合いとムエタイの試合らしいt展開に。  4R、リクは右ロー&左インローに狙いを絞り、徹底して蹴っていく。レンタはステップを踏みながら回り込み、左ミドルを蹴り、ヒジを狙うがローをかなり蹴られた。  5Rもローを蹴っていくリクにレンタがヒジを放つとリクも負けじとヒジを繰り出す。何度もヒジの相打ちが見られ、ヒジとヒジが激しく交錯。その間にもレンタは左ミドルを蹴る。ステップを使って流し気味のレンタへリクはロー、ヒジで仕掛けていくが、決定打を奪うことが出来ずダウンを奪ったレンタが判定勝ちで王座に就いた。 [nextpage] ▼第2試合 BOM 54.00kg級契約 3分3R延長1R〇佐藤九里虎(FAITH)判定2-0 ※29-28×2、29-29×高坂侑弥(エイワスポーツジム)  1R、圧を掛ける佐藤は右ローと左インローを高坂の前足へ。高坂は左ミドル中心。その左ミドルを佐藤の右に合わせに行く。  2Rも圧を掛けるのは佐藤。右ミドル&ローを蹴りつつ、右ストレートを狙う。高坂は左ミドルを蹴り続けるが、コーナーを背負う場面が増える。  3R、高坂はうってかわってこのラウンドはパンチで勝負。すると左右フック、右ストレートが佐藤を捉える。佐藤は右ミドルで対抗し、組みを多用してコカしにいく。最後はパンチで攻勢に出た高坂だったが、1Rと2Rを支配した佐藤が判定2-0で勝利した。 [nextpage] ▼第1試合 WMC日本フェザー級(57.15kg)3分3R×TAKAYOSHI(東京町田金子ジム)KO 1R 0分21秒 ※右ストレート〇山元剣心(FAITH)  1Rが始まってすぐ、山元が繰り出したワンツーが奇麗にヒット。ガクッと腰を落としたが持ちこたえたTAKAYOSHIだったが山元が狙いすました右ストレートを打ち抜き、豪快にダウン。  身体を痙攣させたTAKAYOSHIを見てレフェリーが即座にストップ。山元の戦慄のKO劇となった。 [nextpage] ▼オープニングマッチ BOMアマチュア女子-46kg王者決定戦 2分3R○押川香菜(ウォーワンチャイプロモーション)判定3-0 ※30-27、30-28×2×AZU(DANGER GYM)※押川が王座に就く。  押川が左右の前蹴り、ワンツー、ミドルを駆使してアグレッシブに攻め、技が決まると笑顔を見せて楽しそうに試合をして判定勝ち。スピード、テクニック共にハイレベルでプロになるのが楽しみな存在だ。
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