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【RIZIN】サトシもAJに判定負け、クレベル連勝が「7」でストップ、パトリシオ、堀口、アーチュレッタ、ラバダノフが判定勝ちでBellatorが5連勝! 女子GP決勝・伊澤がパク・シウとの接戦制しGP優勝、井上が瀧澤に完勝、平本は梅野からダウン奪うドロー

2022/12/31 13:12
 2022年12月31日(土)さいたまスーパーアリーナにて『湘南美容クリニック presents RIZIN.40』が開催された。 『湘南美容クリニック presents RIZIN.40』速報 ▼第15試合 大将戦 ライト級 5分3R×ホベルト・サトシ・ソウザ(ボンサイ柔術)現RIZINライト級王者=70.85kg[判定0-3]〇AJ・マッキー(米国)前Bellator世界フェザー級王者=70.20kg  MMA14勝1敗のホベルト・サトシ・ソウザは、2021年6月の「RIZIN初代ライト級王座決定戦」で、RIZINライト級ワールドGP王者のトフィック・ムサエフと対戦。1Rに三角絞めによる一本勝ちで王座戴冠。その後も、矢地祐介に2R一本勝ちで初防衛に成功すると、2022年4月の前戦では、ジョニー・ケースを1R 腕ひしぎ三角固めで極めてリベンジを果たすとともに2度目の王座防衛に成功した。Bellatorのスコット・コーカー代表から、2023年開催予定のBellatorライト級ワールドGP参戦を熱望されているRIZIN王者だ。 MMA19勝1敗のマッキーは、2021年8月のBellatorフェザー級ワールドGP決勝兼タイトルマッチで、パトリシオ・ピットブル・フレイレを1R ギロチンチョークで極め、デビュー以来負けなしの18連勝でGP優勝と共に新王者に輝いた。しかし、2022年4月のリマッチで判定負けで初黒星、王座陥落した。2022年10月には1階級上のライト級に転向し、4月のRIZINで武田光司に一本勝ちしたスパイク・カーライルに判定勝ちで再起。2023年開催予定のBellatorライト級ワールドGPに名乗りを挙げていた。  対するサトシは際だって強い寝技を武器に、近年ではスタンドでの成長も著しい。ムサエフ戦の一本勝ち後のケース戦では立ち会う場面も見せており、マッキー戦でいかに得意の組みに持っていく展開を作れるか。カーライルの寝技をことごとく切り返したマッキーはまだ一本負けもKO・TKO負けも無く、黒星はパトリシオ戦の判定負けのみ。果たしてサトシは難攻不落のマッキーに競り勝つ、あるいは一本を極めることができるか。  花道で日本の鎧兜を直用し、日本刀を抜いて見せるマッキー。金の雨を振らして入場する。セコンドにはかつて同じさいたまスーパーアリーナで戦った父・アントニオ・マッキーがつく。  続けてサトシが登場。兄ダイ、マルキーニョス、鈴木博昭、そして試合を終えたばかりのクレベルも駆け付ける。  1R、オーソドックス構えのサトシ、サウスポー構えのマッキー。中央を取るマッキー。左の蹴りに右を狙うのはサトシ。サイドキックのマッキー。  ダブルレッグからロールしてクローズドガードにいれるサトシ。足を手繰るサトシにパウンドするマッキーはサトシをコーナーに持ち込み、スペースを無くす。右足を手繰るが、潰すマッキー。シングルレッグに入るが、切るマッキーに、オープンガードから三角絞めを狙うサトシ!  頭を下げないマッキーは上体を起こして足を解かせると、コーナーに押し込み、潰しに行く。ストップドントムーブで中央で再開。両手を広げるマッキー。体を離してフットスタンプで飛び込むが、ゴング。  2R、サウスポー構えから左ミドルハイはマッキー。右ローを返すサトシ、後ろ廻しを見せるマッキーの左ストレートはかわし、右ハイ、右ストレートで前に! しかしマッキーも跳びヒザ! かわすサトシはワンツーで前に。右ハイをガード上に当てると、左ミドルを効かせたマッキー!  離れて立つサトシがシングルレッグからバックテイク! 4の字ロック。背後からパウンドを入れて左手、右手を交互に巻く。たすきはまだ組めないサトシ。頭の位置が少し高い。残り1分30秒。正対を試みるマッキーにバックからいつものように三角絞めを狙うサトシだが、上体を放したマッキーは踏みつけ。足を手繰るサトシだがゴング。  3R、両者ハグ。大きな拍手のなか2022年の最終ラウンド。立ち会うサトシ。シングルレッグにニンジャチョークを極めに行くマッキー!   首を抜いたサトシはボディロックから大内刈テイクダウン! マッキーの立ちにギロチンチョークを合わせるも首を抜くマッキー。  左を伸ばすマッキーに右を狙うサトシ。ダブルレッグに入ると、そこにサトシはギロチンチョーク。ほどなく首を抜くサトシは担ぎパス狙い。ハーフからサイドに出て肩固め狙い、ブリツジで返してきたマッキーのバックにつくと立ち上がるマッキーにスタンドで4の字ロック。  しかし首を守るマッキーは前転もついていくサトシはパームトゥパームで絞めようとするが、極めきれず。ジャッジで「ニアフィニッシュ」とまでは行かないか。  判定は3-0でマッキーが勝利。右目を腫らしたサトシは首を振り、マットに正座。マッキーは兜をかぶり、勝利の記念撮影をした。  試合後、マッキーは「私を漢にしてくれたすべての人たちに感謝したいです。またぜひここに戻ってきて、今度はもっと大きなものを賭けて戦いたいと思います。コーチ、父、練習仲間、柔術を見せてくれた人達にも感謝したいです。Bellator、RIZINのみんなにも」とコメント。  5連勝で完全勝利したBellator陣営のスコット・コーカー代表は勝利トロフィーを受け取った。  榊原CEOは、「今日は完敗です。もっともっと精進してぶっ飛ばせる日が来るように」と語り、最後に高田延彦キャプテンによるアントニオ猪木の「1、2、3ダァーッ」で合唱し、大会を締めた。 [nextpage] ▼第14試合 副将戦 フェザー級 5分3R×クレベル・コイケ(ボンサイ柔術)現RIZINフェザー級王者=65.90kg[判定0-3]〇パトリシオ・“ピットブル”・フレイレ(ブラジル)現Bellator世界フェザー級王者=65.80kg  MMA31勝5敗クレベルは、27の一本勝ちを誇るボンサイ柔術の鬼神。Rebel FCフェザー級王者、KSW同級王者を経て、2020年大晦日にRIZIN初参戦。カイル・アグォン、摩嶋一整、朝倉未来、佐々木憂流迦、萩原京平にすべて一本勝ちで、2022年10月23日に牛久絢太郎が持つフェザー級王座に挑戦。2R 三角絞めで一本勝ちし、念願のRIZIN王者に輝いた。  Bellatorで兄弟王者のピットブルブラザーズの弟パトリシオ・“ピットブル”・フレイレは、MMA34勝5敗。11KO・TKOと12の一本勝ちを記録する現フェザー級王者だ。Bellator史上2人目の二階級同時王者として君臨すると、2021年7月のBellatorフェザー級ワールドGP決勝でAJ・マッキーに敗れ、フェザー級王座陥落。ライト級王座を返上後、2022年4月のマッキーとの再戦で5R判定勝ちでフェザー級王座奪還に成功。2022年10月に2位のアダム・ボリッチに5R判定勝ちし、初防衛に成功している。  身長165cmのパトリシオに対し、178cmと長身のクレベル。リーチも短いパトリシオだが、それを補って余りある鋭い踏み込みを持つ。これまで対峙したことがない瞬発力と爆発力を持つパトリシオに対し、クレベルはそのリーチを柔術に活かせるか。  Bellator(兵士)のロゴと同じような甲冑をかぶり、ブラジル国歌で先に入場のパトリシオ。続けてクレベルが、いつもの日本とブラジル国旗のハチマキに道衣姿で花道を進む。グローブタッチ。  1R、ともにオーソドックス構え。細かくステップするパトリシオに、中央にどっしり構えるパトリシオ。クレベルはダブルレッグから引き込み、デラヒーバ狙いも突き放すパトリシオ。  圧力をかけるパトリシオは左から右。コーナーに詰まるクレベルは左前蹴り。2度組み付くが切るパトリシオ。下のクレベルには付き合わずブレーク。  左のミドル、ハイを打つクレベル。パトリシオの右ボデイに右を返す。コーナーに詰まるクレベル。パトリシオは左を突き、慎重に詰める。  クレベルの左インローにワンツーのパトリシオ。首後ろに腕を巻くが、簡単には引き込めない。右ローを当てて首投げでテイクダウンはクレベル! しかしその勢いを利して離れたパトリシオはすぐに立ち上がる。  2R、またも中央を取るのはパトリシオ。オーソから左の蹴りで牽制もその打ち終わりに、パトリシオは右ローを当てる。ガードを固めるクレベルはワンツーから右ロー。しかし、パトリシオは強い右ローを返す。  左インローのクレベルは左右で不規則に前に。それをさばくピットブル。圧力をかけて右ロー。クレベルは左ローを返すが、すぐに蹴り返すパトリシオ。右アッパーも打つ。ロープを背にクレベルは高い打点の左前蹴り! 顔面に当てる。  ガードを固めるクレベルは右、カウンターの右を当てるパトリシオ。左目尻から出血のクレベルは前蹴りもかわすパトリシオは左ボディストレート。ともに手が出ずゴング。  3R、グローブタッチ。右ロー、左ジャブのクレベルにコンパクトに打つパトリシオ。クレベルはダブルレッグから引き込むも、すぐに体を離すクレベル。パトリシオは上から下のクレベルの足に蹴り。ブレークもかけられず、立ち上がれないクレベル。  ブレーク。残り2分45秒。左ハイを打つクレベルが前に。右を振って左で差してテイクダウンもハーフからしっかり足を戻すパトリシオは立ち上がり! 左前蹴りを当てて左右連打で組みに行くクレベルは引き込み、下から鉄槌を打つクレベルにパトリシオもパウンドから離れる。  そこに足をからめるクレベルだが、パトリシオは足を抜くと、上から蹴り。残り10秒。クレベルが左ハイを打ったところでゴング。  判定は3-0でアウトキックボクシングでクレベルの寝技もカットしたパトリシオが勝利。ハグをかわした両者。パトリシオはクレベルの手を挙げて健闘を讃えた。  クレベルは2019年9月からのMMAの連勝が「7」でストップ。RIZIN6連勝から初黒星を喫した。 [nextpage] ▼第13試合 中堅戦 フライ級 5分3R×扇久保博正(パラエストラ松戸)RIZINバンタム級JAPAN GP 2021優勝=56.90kg[判定0-3]〇堀口恭司(アメリカントップチーム)現RIZN&元Bellator世界バンタム級王者=56.65kg※Bellator軍が3連勝で勝ち越しを決める  堀口は、現RIZINバンタム級王者&第7代Bellator世界バンタム級王者。2020年大晦日に朝倉海を1R TKOに下し、RIZIN王座を奪還すると、Bellatorで現王者のセルジオ・ペティス、GP1回戦でパトリック・ミックスに敗れて連敗。2022年9月に金太郎を2R 肩固めで極め、再起を遂げている。対抗戦では、Bellatorの契約下にあるため、Bellator陣営として出場する。  対する扇久保は、RIZINバンタム級JAPAN GRAND-PRIX 2021で、春日井“寒天”たけし、大塚隆史、井上直樹、朝倉海を下して優勝。GP前の瀧澤謙太戦から5連勝をマークも、2022年9月にROAD FC王者のキム・スーチョルに判定負けを喫した。  両者は、2013年の修斗と2018年のRIZINで過去2度、60kgで戦っており、いずれも堀口が勝利。これまでフライ級で両者が戦うことは無かった。  ともに、今回はフライ級(56.7kg)に落としての3度目の対戦に臨む。かつて、UFC登竜門「TUF」で現UFCフライ級2位のアレッシャンドリ・パントージャらを下し準優勝となった扇久保と、デメトリアス・ジョンソンとのUFC世界フライ級王座戦を争った堀口が、フライ級に戻してどんなパフォーマンスを見せるか。扇久保が悲願の堀口撃破なるか、堀口が3度目も跳ね返すか。  1R、ともにオーソドックス構え。中央を取る扇久保に、堀口は右ローも外受けする扇久保。しかしなおも右カーフの堀口は組みに、扇久保は体を入れ変えると突き放す。  堀口の右カーフの打ち終わりに組み付いた扇久保。ボディロックは出来ず。コーナー背に左肩を内側に入れると、再び体を入れ変え、ボディロック、こつこつとヒザを蹴る。  体を入れ変える扇久保。堀口は離れるとワンツーの入り。右ローを当てる堀口は2発! 受ける扇久保に右で差して押し込む堀口は右ヒザ! 扇久保は前足が腫れる。  さらに右カーフに扇久保はダウン! すぐに立ち上がる扇久保に堀口は下に意識を散らしておいいて詰めての左から右でダウンを奪い、パウンド! 扇久保はかなり被弾するが、ゴングに救われる。  2R、スイッチして前足を入れ替える扇久保。しかし、堀口の打撃を浴びてダウン! 立ち上がる扇久保にボディロックして投げて尻を着かせるとバックテイク。  堀口はシングルバックでたすきに組み、首を狙う。さらに正対狙う扇久保にマウント。しかしいったん背中を見せながら足首を掴んだ扇久保は正対!  残り1分で上になりクローズドガードの堀口は足を開きオープンに。足を越えさせない堀口は下から細かくパウンド。扇久保も鉄槌を狙いゴング。  3R、詰めてきた扇久保にいきなり前手の左フックを当ててダウンを奪った堀口! 右で脇差しパスガード、マウントから肩固めを狙うが、抜けた扇久保が上に。上体を放して踏みつけ、ギロチンチョーク! ここは察知していた堀口がすぐに首を抜き、上から強いパウンド!  オープンガードの扇久保に左足はパスした堀口はハーフに。上から細かいパウンド。左肩をアゴに当ててしっかり押さえ込む堀口に、腰を切り足を戻して立った扇久保。しかし、踏ん張りが効かない扇久保はサウスポー構えも手打ちに。バランスを崩したところを堀口がバックでコントロールしゴング。  判定は3-0で堀口が危なげなく勝利。フライ級で復活の勝利を挙げて、Bellator軍が3連勝で勝ち越しを決めた。  試合後、堀口は「無事、勝つことが出来ました。扇久保選手がタフでなかなかKO出来ませんでした。次は盛り上げるんでまた応援よろしくお願いします」と語ると、勝利の記念撮影で「マイク・ブラウン!」と盟友をリング上に呼び込んだ。 [nextpage] ▼第12試合 次鋒戦 バンタム級 5分3R×キム・スーチョル(韓国)現ROAD FCフェザー級王者=60.70kg[判定1-2]〇フアン・アーチュレッタ(米国)元Bellator世界バンタム級王者=60.80kg  キム・スーチョルは、元ONE世界バンタム級王者、元ROAD FCバンタム級王者、現ROAD FCフェザー級王者。2015年大晦日にRIZINに初参戦し、マイケ・リニャーレスに判定勝ち。2017年4月に、強豪キム・ミンウに判定勝ちでROAD FCバンタム級王座獲得。2017年12月に一度、引退を表明するが、2021年9月に復帰。フェザー級でパク・ヘジンと対戦も、約4年5カ月振りの実戦で本調子とならず、1Rにギロチンチョークによる一本負けで王座獲得ならず。2022年5月の再戦で、2Rにハイキックを効かてのパンチ連打で2R KO勝ち。ROAD FCフェザー級王座を獲得した。2022年9月25日には、約6年9カ月振りにRIZINに出場。RIZINバンタム級JAPAN GP王者の扇久保博正をテイクダウン&パウンドで削り判定勝ちを収めている。  対するアーチュレッタは、元Bellatorバンタム級王者。『King of the Cage』で四階級制覇すると、2018年にBellator参戦。2020年9月のバンタム級王座決定戦で、日本の元谷友貴、後に堀口恭司も下すパトリック・ミックスに判定勝ちで王座を獲得した。2021年9月にセルジオ・ペティスに判定負けで王座陥落し、2022年に開幕したバンタム級トーナメント1回戦でもラフェオン・ストッツに3R KO負けと連敗したが、10月に元UFCのエンリケ・バルソラに判定勝ちし再起を遂げている。 【写真】自身のルーツのひとつであるアステカのジャガー戦士の装束で入場したアーチュレッタ。 アーチュレッタはレスリングをベースに、その組みの圧力を活かした鋭い打撃も併せ持つ。前進のみならず巧みなスイッチ、ステップでのアウトボクシングも可能で、テイクダウンとの融合で相手をドミネートする。  1R、ともにオーソドックス構え。右が交錯し、左も。先に組むスーチョルをオーバーフックで投げるアーチュレッタ! がぶりから首を抜くスーチョル。なおも詰めるをアーチュレッタのダブルレッグにギロチンチョークへ!  クローズドガードに入れているが、いったん抱えてから下に落としたアーチュレッタは首を抜く。トップからパウンド、ヒジのアーチュレッタに、腰に足を当てて蹴り上げて離れるスーチョル。しかしすぐについていくアーチュレッタがコーナーに押し込み、左で差してシングルレッグも、足を抜くスーチョル!  スタンド。前足を細かく上げるスーチョルに、アーチュレッタはショートの左! スーチョルの打ち返しに巧みに組んでバック狙い。コーナー背にスーチョルは正対すると両脇を差してヒザ。アーチュレッタは右カーフキックを効かせるとスーチョルも右ローを返す。  2R、左で飛び込みはアーチュレッタ。左右で前に出るスーチョルだが、ダブルステップで飛び込むアーチュレッタ。両足を入れ替えるスーチョルにシングルレッグテイクダウン! スーチョルも切ろうとするが下に。背中を着いてクローズドガードに。下から脳天にヒジを突き、足を抜くが、スタンドで右を振ったスーチョルにカウンターのダブルレッグテイクダウンはアーチュレッタ!  バックから対角の腕を掴むアーチュレッタ。スーチョルは外して右カーフ! さらに左ボディを当てるが、距離が近くなると前足を掴んだアーチュレッタが回してテイクダウン!  コーナーに詰まるも立ち上がるスーチョル。その際で尻下にクラッチするアーチュレッタ。スーチョルは足を広げて切ると、アーチュレッタのシングルを切ってゴング。  3R、ハグした両者。すぐに向かい合う。アーチュレッタのジャブを被弾しながらも左を返すスーチョル。アーチュレッタのバックフィストを潰したスーチョルがノーアームギロチンから上に! ハーフで上になるも膠着ブレーク。  詰めるスーチョル。足を細かく上げながら右ハイも空振り。回るアーチュレッタの接近にローブローも続行。アーチュレッタの右を被弾しても両手を広げるスーチョルは左ボディ。しかし、すぐにサイドに回るアーチュレッタ。  スーチョルの詰めに跳びヒザを狙うアーチュレッタがサイドに回りシングルレッグへ。片足を着いて戻したスーチョルだが、なおもシングルレッグへ。そこにニンジャチョークを合わせたスーチョルに、正対して寝ることで逃れたアーチュレッタ!  この終盤でハーフガードからスクランブルでシングルレッグから立ち上がり押し込むのはアーチュレッタ! ゴング後、コーナーで両者は互いの健闘を讃えた。  判定は2-1に割れてアーチュレッタが勝利。15分の激闘を制し、先鋒戦に続き、連勝を飾った。  試合後、アーチュレッタはスーチョルに「なんて男だ」と語ると「サイターマー、大晦日、心から夢だった。ここに来れて光栄だ。この1週間、どう戦おうか考えてここに来た。サイタマ、スーパーアリーナ、サンキュー! 夢がかなったよ。ミルコ・クロコップとヒョードルの試合もここだった。桜庭も。両団体の代表もありがとう」と語った。 [nextpage] ▼第11試合 先鋒戦 ライト級 5分3R×武田光司(BRAVE)元DEEPライト級王者=70.85kg[判定0-3]〇ガジ・ラバダノフ(ロシア)元Eagle FCライト級王者=70.75kg  武田は、DEEPで大原樹理に2連勝後、RIZINで川名雄生、久米鷹介に勝利も、矢地祐介に判定負け。“ブラックパンサー”ベイノアには一本勝ちも、2022年4月カーライルに2R ギロチンチョークを極められ、試合後に海外修行を経験。  ハワイのユナイテッドMMAで、元ONE同級王者のクリスチャン・リーらと練習を積んで7月のジョニー・ケース戦で金星の判定勝ち。10月のザック・セイン戦でも1R 腕十字で一本勝ちし、自ら対抗戦の先鋒戦に志願した。  ラバダノフは元UFC世界ライト級王者で、世界を席巻するダゲスタンレスラーの総帥ハビブ・ヌルマゴメドフの“最後のスパーリングパートナー”を務めていたという元Eagle FCライト級王者。Eagle FCからBellatorに参戦し、初戦を1R TKO勝利すると、2022年2月にジェイジェイ・ウィルソンに判定勝ち。7月の前戦でボビー・キングにも判定勝ちでBellator3連勝を飾っている。  米国SHOWTIMEでも放送される対抗戦は、後半戦でも入場式を行い、「PRIDE」のテーマ曲を使用、10選手が登場し、榊原信行CEOとスコット・コーカー代表もリングに上がり開会した。  先鋒戦、ハビブ・ヌルマゴメドフがリングサイドに座り、ラバダノフのセコンドにはザイード・イザガクマエフと、シャミール・ザブロフ(40勝7敗1分)らがつく。レフェリーはジェイソン・ハーゾクが裁く。  1R、サウスポー構えの武田に、オーソドックス構えのラバダノフ。左ジャブを見せるラバダノフは右ロー。武田も左ストレートで飛び込む。ラバダノフは右ミドル! インロー。それを武田は左で押し戻す。右ストレートを突くラバダノフに、武田も前手の右を返す。さらにアッパーから左ストレートも。  ラバダノフの右ストレートで後方にダウンした武田! すぐに立ち上がるも脳が揺れているか、足がもつれて再びダウン。そこに左右で詰めるラバダノフに、何とか持ち直し組む武田は右の前手から左ボディストレート。  詰めるラバダノフは右ハイ。右ストレート。武田の詰めに打ち終わりに中央を貫く右ストレートを当てる。さらに右のダブルで前に出るラバダノフもゴング。驚異的なリカバリーを見せた武田だが、中盤をどう戦うか。  2R、ラバダノフの右の蹴り足をつかもうとする武田。低いシングルレッグはラバダノフが切る。なおも詰める武田に体を入れ変えるラバダノフだが、三度入れ替える武田がコーナーに押し込む。  グレコローマンレスリングの強みである上で組む武田。右で差して押し込むも、ラバダノフはヒザをスペースに入れて突き放す。  スタンド再開。喧嘩四つの前手争いでラバダノフの右を返した武田が前に。しかし、この組みも切るラバダノフ。武田はインロー。右のダブルで詰めるが組むことは出来ず。  武田はステップが戻る。しかしラバダノフのワンツーを浴びる武田。右を返す。ラバダノフの組みを切る武田が左を突いて前に。ラバダノフの組みを小手に巻いて凌ぐ武田が前に! コーナーで体を入れ替えた武田。ラバダノフの崩しから抜けて前に。ラバダノフが右ハイをガード上に当ててゴング。ラバダノフに疲労が見える2R。  3R、ラバダノフの右をブロッキングの武田。しかし近づくと組むラバダノフはハイクロッチからテイクダウン! すぐに立つ武田だがそこに詰めるラバダノフはバックテイク。アームロックの武田を潰すが、前転して抜けた武田がハーフネルソン狙い。しかし押し込むラバダノフを、スプロールする武田はヒザ!  ラバダノフのシングルレッグを切る武田は押し込みヒジ! しかし手首を掴むラバダノフがボディロック! ここもスイッチを狙う武田。スタンドバックのラバダノフにコーナーで正面を向くと、武田はスイッチで立ち上がり!   しかしスタンドで武田の左ミドルにラバダノフのヒザ蹴りが金的に入り武田がスリップ。ガードでローブローをアピールするがゴング。  判定は3-0でラバダノフが勝利。目を腫らしながらも最後は握手と言葉をかわし。ハビビもコーナーに。泣きじゃくる武田の左手を挙げた。  判定は3-0でラバダノフが勝利。目を腫らしながらも最後は握手と言葉をかわし。ハビビもコーナーに。泣きじゃくる武田の左手を挙げた。  先鋒戦を制したラバダノフは、「昨日、『ガジ・ラバダノフを見せる』と言いました。世界のMMAファン、日本のファン、ありがとう。決して忘れないものになったでしょう。アブドゥル・マナプスクールのみんな、コーチ、練習仲間ありがとう。そして家族、愛してる。日本のMMAファンは世界で最高です!」と語った。 [nextpage] ▼第10試合 スーパーアトム級(49kg)5分3R〇伊澤星花(フリー)RIZIN女子スーパーアトム級&DEEP JEWELSストロー級王者48.70kg[判定2-1]×パク・シウ(韓国/KRAZY BEE)48.80kg※伊澤がGP優勝  2022年7月に開幕した同級GPでは、1回戦でラーラ・フォントーラをギロチンチョーク、準決勝でアナスタシア・スヴェッキスカを腕十字に仕留めた伊澤に対し、パク・シウは浅倉カンナと浜崎朱加を相手にいずれもダウンを奪う判定勝ちで決勝進出を決めている。  両者は、2021年10月の「DEEP 104 IMPACT」以来の再戦。そのときは、試合前にヒザを傷めた伊澤がテイクダウンに苦しみ、パク・シウの反則の蹴り(減点2)も受けながらも、組みとコントロールで3Rを凌ぎ、判定で辛勝している。  1R、ともにオーソドックス構え。右カーフから入る伊澤。サウスポー構えにスッチするパク・シウに、ダブルレッグで右で差してコーナーに押し込むが、突き放すパク・シウ。  伊澤のローにサウスポーから左ストレートを当てるパク・シウ。伊澤は右を突きながらコーナーに詰めてダブルレッグから脇潜り、スタンドバックに!  両足をかけてたすきがけも。上の手の右手を掴むパクシウ。スタンドで4の字ロックの伊澤は左手で背後からパンチ。パク・シウはなおも右手は外さず。伊澤はオタツロックを外して着地し、スタンドバックに。  すぐに再び背中に飛び乗り、4の字ロック。背後からパウンドし、残り10秒を切って着地し、首相撲からヒジを突き、パク・シウも右を返してゴング。  2R、サウスポー構えから右、左を伸ばすパク・シウ。下がる伊澤はシウの右の蹴りを掴んで組みへ。足を引いて切ったパク・シウはがぶり、ヒザ蹴りもその組みの中でなおもシングルレッグに行く伊澤。そこでアナコンダチョークを狙うパク・シウ。  極めさせないが首をつかまれたままの伊澤は小外がけテイクダウンで首を抜くと、なおもシングルレッグへ。コーナーを背にその頭に鉄槌を突くパク・シウ。ブレーク。  スタンド。ともに右ロー。互いに右が交錯するなかパク・シウの右ストレートがヒット!  コーナーに詰まり、伊澤はダブルレッグへ。コーナーを巧みに使うパク・シウはコーナーを背に凌ぎ、ブレーク。パク・シウの左右に伊澤も左を振って応戦!  3R、組みで下になる伊澤。消耗があるか。シッティングガードではなく、サッカーキックを防ぐために伊澤はエビを切りながら近づいていく。ブレーク。  右のダブルで前に出る伊澤だが、前ががりになり手を着くと、パク・シウはすぐにバックへ。背後からパウンドも。正対した伊澤は前に。パク・シウの首を抱えてジャンピングガードで4の字ロックに。  コーナーに押し込み首を立てたままのパク・シウは右手を掴んでおり、前に伊澤を落とすとすぐに踏みつけのシウは鉄槌連打!  効かされたか、伊澤はオープンフィンガーグローブの小指が外れかけながらも、下からストレートフットロック狙いも抜いたパク・シウはジャンプしてのフットスタンプでゴング。  判定は割れ、1人目はパク・シウ、2人目は伊澤、3人目も伊澤を支持し、一瞬驚きの表情を見せた伊澤だが、右手を挙げられた。ラウンドマストではなくトータルジャッジのRIZIN判定。コントロールをどうとらえ、3Rのダメージはどう取られたか。パク・シウにとっては厳しい判定となった。  1年2カ月ぶりの再戦を制した伊澤は、「パク・シウ選手、ほんとうに強くて、すごく怖かったです」と語ると、声をあげて号泣。続けて「ほんとうに強くなれるように頑張ります。弟の風我、練習につきあってくれたK-Crannのみんなありがとうございます。あと横田(一則)さん、来年BreaknigDownのオーディションに出ます」と、最後は笑顔で語った。  接戦を落としたパク・シウは、「皆さん、こんにちは、パク・シウです」と、涙を流しながら日本語で話すと、続けて母国の言葉で、思いを語るも通訳はされなかった(※「今日は韓国語で話します。今日のために応援してくれた皆さんありがとうございます。努力しましたが、何も見せることが出来なくて申し訳ありません。また頑張って戻ってきます。ありがとうございました」と語っていた)。 [nextpage] ▼第9試合 バンタム級(61.0kg)5分3R〇井上直樹(セラ・ロンゴ・ファイトチーム)60.85kg[2R 3分53秒 ストレートアームバー]×瀧澤謙太(フリー)60.85kg 井上は、元UFCファイター。UFCで1勝1敗もUFCフライ級戦線縮小の余波を受け、日本に主戦場を移すとDEEPを経て、2020年2月にRIZIN初参戦。トレント・ガーダムに判定勝ち後、渡部修斗、 元谷友貴を相手にいずれもリアネイキドチョークで1R 一本勝ち。2021年6月のバンタム級日本GP一回戦で石渡伸太郎を右フックでダウンを奪ってのサッカーキックで1R TKOに下すと、同年9月のGP2回戦で金太郎に判定勝ち。大晦日の準決勝で扇久保博正に敗れ、今回が1年ぶりの復帰戦。  瀧澤は、PANCRASEで活躍後、2020年9月にRIZIN初参戦。金太郎に判定勝ちを収めると、11月大会で扇久保に判定負け。大晦日には佐々木憂流迦にも判定負けでキャリア初の2連敗を喫するが、2021年6月の大阪大会でのバンタム級日本GP一回戦で足関十段・今成正和に空手仕込みの蹴りを多用し判定勝ち。9月の二回戦で元谷友貴に1R、左フックでダウンを奪っての連打でTKO勝ち。大晦日の準決勝で朝倉海に敗れ、今回はそれ以来の試合となる。 両者の対戦は7月に一度組まれたが、井上の負傷欠場で中止となっていた。  コールに両者ともに空手の十字を切って中央へ。  1R、ともにオーソドックス構え。いきなり後ろ廻し蹴りを見せた瀧澤。井上は右カーフキック。瀧澤も左下段。しかし井上は出入りで右カーフを当てる。さらに左インロー。飛び込んでの右を当てる。瀧澤は左前蹴り。しかし井上はステップインからワンツーの右を当てる。ステップワークが光る井上が間合いをコントロール。  左インローのダブルから出入りの井上。瀧澤の前蹴りをかす。右ミドルは瀧澤。井上は打撃の入りから右足を小外がけでダブルレッグテイクダウン!  右で差して背中を着かせると、左でパウンド。ハーフガードの瀧澤。右で差して左肩でアゴにプレッシャーをかけてパスを狙う井上。  うかつにバックを見せられない瀧澤。井上が右で差したまま左肩パンチを打ち込むとさらにヒジ! 瀧澤が出血! 腰を切ろうとする瀧澤だが、井上は脇を差したまま。内側を向く瀧澤の腕をオーバーフックで極めながら、あえてハーフでコントロールして削り、立ち際に右のサッカーキックを2発当てる。  2R、瀧澤の下段蹴りに右を当てる井上。瀧澤の組みをさばいてテイクダウンを奪うと、サイドから横四方。瀧澤の向き直りにバックへ。正対する瀧澤に腕十字も狙う。ヒジを抜いた瀧澤は下からニンジャチョーク狙いも頭を外した井上はポジションは譲らず。左で差して背中を着かせるとハーフから瀧澤の右手を脇に挟んで右の鉄槌連打! 井上の出血が多くなる。  サイドを奪うとヒザ蹴りを入れながら、アメリカーナのグリップからストレートアームバーに。自身の腿を掴んで防ごうとした瀧澤だが、最後は井上が足をかけて腕を伸ばしタップを奪った。圧勝。  試合後、井上は「こんばんは、大晦日まで来ていただいてありがとうございます。ほんとうは今日用意していたんですけど、忘れちゃって。またRIZINで勝ってお披露目したいので、またよろしくお願いします」と、フリップとは別の何かを次回も勝って披露したいとした。 [nextpage] ▼第8試合 ヘビー級(120.0kg)5分3R×スダリオ剛(HI ROLLERS ENTERTAINMENT / PUREBRED)117.95kg[1R 1分38秒 TKO]〇ジュニア・タファ(豪州)108.75kg 大相撲での最高位は西十両5枚目、元貴ノ富士 三造ことスダリオ剛は、エンセン井上の指導のもと、2020年9月にMMAデビュー。フィリピンと日本のハーフとして高い身体能力を誇り、MMA転向後は、プロレスラーのディラン・ジェイムス、宮本和志をTKOに下すと、ミノワマンにもカーフキックを効かせてTKO勝ち。しかし、2021年6月にシビサイ頌真に3Rにリアネイキドチョークを極められ初黒星を喫した。  米国修行も経て、10月の横浜大会では米兵のSAINTを相手に1Rに左ボディからの右フックでKO勝ち。その後、練習中に怪我を負い、手術とリハビリで暫く試合から遠ざかっていたが、さらなる米国修行も敢行し、約9カ月ぶりの参戦となった2022年7月のRIZIN.37で4連勝中の関根“シュレック”秀樹をカウンターの左ストレートでマットに沈め、復帰戦をTKO勝利で飾ると、10月にはヤノス・チューカスをTKOに仕留めた。  タファは祖父、叔父がボクシングのチャンピオン、そして兄はUFCで活躍するジャスティン・タファという格闘一家の三男。マーク・ハントにスカウトされて2017年10月にGLORYへ参戦。2022年7月にMMAデビューを果たし、11月のBRAVE CFでも1R TKO勝ち。現在3連勝中だ。今年9月にはボクシングの試合でもTKO勝利しているという。  1R、サウスポー構えのスダリオに、オーソのタファは右ミドル。スダリオも左ミドル、しかし、タファは前手の左フックをカウンターで当ててダウンを奪うと、ガードから立ち上がったスダリオに連打!  回るスダリオを追って右を放ったスダリオにカウンターで右のクロスを当てて、2度目のダウンを奪取! なおも立ち上がったスダリオに左右の連打を当てると、スダリオはコーナーに崩れ落ち、レフェリーが間に入った。  会場に向かって『ありがとうございます!』と日本語で語ったタファに、セコンドのマーク・ハントは「新しいチャピオンだ。もっと目に焼きつけてくれ」と語った。 [nextpage] ▼第7試合 フライ級(57.0kg)5分3R〇ジョン・ドッドソン(米国)56.90kg[1R 1分43秒 TKO] ※左ストレート→パウンド×所 英男(リバーサルジム武蔵小杉 所プラス)56.70kg 45歳の所は、2020年大晦日に61kg契約でリオ五輪銀メダリストの太田忍に2R 腕十字で一本勝ち。7月にフライ級に落とし、21歳の神龍誠と対戦。熱闘の末、判定で敗れている。  38歳のドッドソンは、元UFCフライ級コンテンダー。2011年「TUF14」バンタム級で優勝し、2013年と2015年にフライ級王者のデメトリアス・ジョンソンに2度挑戦も判定負け。2016年にバンタム級に転向し、2022年8月には素手のボクシング「BKFC 28」で1RKO勝ちを収めている。  1R、いきなり蹴りで飛び込んだ所、しかし、それがローブローとなり、いきなり中断。互いに苦笑も再開。オーソの所に、サウスポー構えのドッドソは左を伸ばして組みに。離れた所はドッドソンの蹴りを掴んで引き込むが、付き合わないドッドソン。  飛び込んで左ボディを当てるドッドソン。回転の速い左右で詰めるも所は回る。しかし、再び所をコーナーに詰めて左ボディを当てたドッドソンに、効かされた所は対角のコーナーまで半身で走るが、追って詰めたドッドソンが左ストレート!  ダウンした所にドッドソンはパウンド連打。レフェリーが間に入った。  凄まじいプレッシャーで試合を決めたドッドソンはリング上でバック宙を見せると、「トコロは僕のアイドルなんだ。もう一度拍手を。この大きなスタジアムに来れて嬉しいよ。夢がかなった。チャピオンになるのが待ち切れないよ。応援ありがとう」と語った。 [nextpage] ▼第6試合 RIZINスタンディングバウト特別ルール(ボクシングルール)△平本 蓮(剛毅會)69.70kg[時間切れ ドロー]△梅野源治(PHOENIX)※平本がゴングと同時に左フックで梅野からダウン奪取 空手の剛毅會所属となった平本は、12歳で全国U-15ジュニアボクシング大会優勝、高校1年生でK-1甲子園優勝、高校3年生でK-1ライト級世界トーナメント準優勝というストライカー。MMAでは2020年の大晦日にRIZINフェザー級でデビューし、萩原京平、鈴木千裕に敗れるも、2022年7月に鈴木博昭、11月6日に弥益ドミネーター聡志にいずれも判定勝ちで2連勝をマークしている。弥益戦前に左足の人差し指を骨折。試合でも傷めたため、次戦は2023年となる予定だったがパンチのみのスタンディングバウトルールでエキシビションを行うことに。  試合直前に、平本の対戦相手「X」は梅野源治と発表される。  元ラジャダムナンスタジアム王者の梅野は、RIZIN初参戦となった2021年6月の大阪大会で偶発的なバッティングにより皇治との試合がノーコンテストに。2022年3月のRIZIN.34で再び皇治と対戦すると判定負け。2022年10月のRIZIN.39でトレント・ガーダムとキックルールで対戦し、開始21秒でトレントの足を破壊しTKO勝利、RIZIN初勝利を飾った。蹴り技が武器の梅野にとって、初のボクシングルール。  梅野のセコンドには久保優太。平本のセコンドにはシバターがつき、コールに平本のかわりに中指を立てる。中央で久保と「今でもいいぞ」と挑発する。ともにボクシングシューズを着用。  1R、ムエタイとは異なりワイドスタンスで高いガードの梅野は左ジャブ、右が大きい。詰める平本に左ストレートを当てるが、構わず圧力をかける平本はジャブから右の相打ち! 平本の右に右を返す梅野だが左は大きく空振りに。  2R、詰めて右から左フックを当てる平本。梅野の左フックの空振りが多くなる。ともにジャブの刺し合いからワンツーで前に出る平本。前傾姿勢の梅野の頭が当たる。左ジャブを当てる梅野。  しかしジャブ、右、左ボディを当てる平本が前に。平本はスイッチして右から左。オーソに戻して梅野の左をかわし、左ストレート、左フックをガード上に当てると、右を振って梅野の左フックの打ち返しを待ってかわしてカウンターの左フックをゴングと同時に当ててダウンを奪う。  ゴングと同時のダウンで裁定は「時間切れドロー」となった。  リングサイドには朝倉未来の姿。  試合後、平本は「皆さん。こんにちは、MMAファイターの平本蓮です。今日は体重も違うし、梅野選手、しょうがないことだと思います。ありがとうございます」と階級差のあるボクシングマッチの結果を振り返った。  続けて、「社長、来年の1発目の試合を発表したいです」と榊原信行CEOに呼びかけ。 榊原CEOは「平本選手から早いタイミングで試合をしたいと聞いていた。リクエストのあった選手から一番、ゴツい選手を用意しました」とリング上に呼び込んだのは、元フェザー級王者の斎藤裕。  榊原CEOは「この場で、斎藤裕vs.平本蓮を発表します。2023年春、4月くらいにやります」と宣言。  リングに上がった斎藤は、「久しぶりです。この24歳の若者に戦いで伝えることがあると思います。認めていますので、全力で臨みます。春の試合まで楽しみにしていてください」と挨拶。  最後にマイクを渡された平本は、「朝倉未来を見かけたんですけど、バファリンを忘れずに飲んでください。2023年春、楽しみにしてください」とリングサイドの朝倉にメッセージ。朝倉は中指を立てて応じた。 [nextpage] ▼第5試合 バンタム級(61.0kg)5分3R〇元谷友貴(フリー)61.00kg[2R 2分56秒 TKO] ※右ヒザ→パウンド×ホジェリオ・ボントリン(ブラジル)60.00kg 元谷は11月6日の『RIZIN LANDMARK 4 in NAGOYA』にて、大会ベストバウトと言えるフルラウンドの大激闘を倉本一真と演じたばかり。試合間隔が短い中でしかも強敵との対戦となる。金太郎、ヤマニハ、太田忍、倉本を相手に4連勝中で、MMA42戦32勝のキャリアを誇る実力者。  ボントリンはアマチュア時代にボクシングとムエタイで州王者となり、2013年4月にMMAでプロデビュー。2017年10月に田中路教に初黒星を喫している。2019年2月からはUFCに参戦し、2勝3敗1無効試合の戦績を残した。最後は2022年1月にブランドン・ロイバルに判定2-1で惜敗している。  1R、ともにオーソドックス構え。先に右カーフを当てる元谷。詰めるボントリンはサウスポー構えから左ストレートを伸ばす。その距離で組む元谷にコーナーに詰めるボントリンだが、元谷は首狙い。ブレーク。  対サウスポーとして右の蹴りをブロック上に当てる元谷。左右で詰めるボントリンは右で差してコーナーに押し込む。コーナーに背にする元谷は首相撲からヒザ、縦ヒジも見せる。左差しで押し込むボントリンだが膠着ブレーク。  右の蹴りはボントリン。左ストレートのボントリンに元谷は左右を当てて首相撲ヒザ。しかしボントリンは右で差して押し込みもブレーク。左右で前に出るボントリンに右を当てて前に出る元谷。ボントリンはボディロックから投げを狙うが元谷が凌ぎゴング。  2R、サウスポー構えのボントリンに右インローは元谷。さらに右ミドルを当てて足を戻してそのまま右ストレート! ボントリンの左に左回りで三日月蹴りも、そこに組んだボントリンがシングルレッグで押し込むも、コーナー背に元谷がボディロック&小外がけテイクダウン狙い。崩されながらフィジカルで残すボントリンが押し込みブレーク。  サウスポー構えで左を伸ばすボントリンに、誘う元谷は右ストレート、右ヒザ、さらに右三日月蹴りを効かせて、ボントリンくの字になったところにテイクダウン狙いのボントリンに右ヒザ! ボントリンが糸の切れた人形のように後方にダウン! 元谷が5連勝をマーク。セコンドの春日井寒天たけしと抱きあった。  バンタム級の門番から再びトップ戦線へ。元谷は「元UFCのランカーですごく強かったですけど、ひとつのチャンスをモノにできてよかったです。来年、バンタム級の上位で誰でもいいのでよろしくお願いします」と語った。 [nextpage] ▼第4試合 RIZIN MMAルール(71.0kg)5分3R〇ジョニー・ケース(米国/MMA LAB)70.95kg[1R 0分36秒 TKO] ※右ストレート→パウンド×大尊伸光(野田ボディビル同好会)70.90kg  レスリングとボクシングのバックボーンを持ち手足の長いケースは、現在静岡県磐田市のボンサイ柔術でサトシとともに練習中で、自身のグスタボ戦の練習とともにサトシのAJ・マッキー戦の対策も練っている。 当初、ケースはルイス・グスタボ(ブラジル)との対戦が決まっていたがグスタボが負傷欠場のため、大尊がスクランブル参戦で対戦することになった。  大尊は、小学生時代に空手を始め、中学でレスリング、2010年の全日本アマチュア修斗選手権ミドル級で優勝。翌11年2月にプロデビューすると同年の修斗新人王トーナメントウェルター級で準優勝。4年に修斗環太平洋ウェルター級王者に。15年の「Road to UFC JAPAN」に参加後、18年大晦日のRIZIN.14でトフィック・ムサエフに2R TKO負け。その後はマックス・ザ・ボディを1R KO。西川大和に三角絞めで敗れるも、2022年4月の前戦で宇佐美正パトリックに判定勝ちしている。  ケースのセコンドには鈴木博昭、カイル・アグオンがつく。緊急参戦の大尊はコールにマッスルポーズ。  1R、ともにオーソドックス構え。先に中央を取る大尊。左ジャブを刺すケース。右アッパーから左で前に。さらに大尊の左の打ち終わりに右を打ち込むと、テンプルに受けた大尊はヒザから崩れダウン。ケースは中腰のままパウンドを連打し、レフェリーを呼び込んだ。  3連敗から脱出勝利のケースは「こうして勝利は出来たのは皆さんの愛・支援のおかげです。負けられないという思いでした。KO出来て良かったです。RIZIN、続いて行こう!」と語った。 [nextpage] ▼第3試合 RIZINフェザー級(66.0kg)5分3R×中原由貴(マッハ道場)65.90kg[1R 4分44秒 TKO] ※右ストレート〇鈴木千裕(クロスポイント吉祥寺)65.85kg 元GLADIATORフェザー級王者でONE Championshipでも活躍した中原は、2022年7月にRIZIN初参戦。関鉄矢との打撃戦を制しRIZIN初白星を挙げると、同年10月のRIZIN.39では原口央にTKO勝利し、RIZIN2連勝をマークしている。  対する鈴木は、初代KNOCK OUT-BLACKスーパーライト級王者。ペルー人の父と日本人の母を持つハーフで、3歳から伝統派空手を始め、中学生でMMAに挑戦。2018年のPANCRASEネオブラッド・トーナメントフライ級で優勝を果たした。キックとMMAの二刀流で戦い、MMA戦績9勝3敗。2021年9月にRIZINに初参戦し、昇侍に敗れたものの、山本空良、平本蓮、萩原京平、2022年11月の前戦では今成正和も判定で下し、4連勝中。  1R、サウスポー構えの中原。オーソドックス構えの鈴木。先に中央を取るのは中原。鈴木は遠間から右ハイで牽制。続く右ハイは空振りに。中原はワンツーの左を届かせる。さらに左ミドル!  ブロック上に受けた鈴木はワンツーの右もかわして組む中原は右で差して組み。鈴木はロープを背にす右手を押すが、中原はコーナーで四つに。鈴木は右ヒザを突いたところで崩しに。しかし凌ぐ鈴木に左で小手に巻き投げ!  すぐに立つ鈴木にワンツーの左を当てる中原! さらにボディストレート。コーナーに詰めてのワンツーを当てる。組みのみならず打撃でも攻勢に立つ中原。しかし鈴木は、中原の左に右を合わせに行く。中原が詰めてその間合いで応戦することで、さらに乱打戦に持ち込み、打撃の回転を上げて強打を活かした右から左フックで中原が後退!  前に出た鈴木は左を当てて右、打ち返す中原に詰めて左から最後は右で中原を前のめりにダウンさせた。  勝負所を逃さなかった鈴木は、リング上で「大晦日、言ったぞ、KOするって、有言実行! やっぱり格闘技は勝たなきゃけない。2022年、いろいろあったけど信じる・信じないも。榊原さん、自分、来年、タイトルマッチをやりたいです。もしまだなら相応しい相手をお願いします。絶対俺ならKOします。お母さん、ありがとう。来年チャピオンになるぞ」と語った。 [nextpage] ▼第2試合 ライト級(71.0kg)5分3Rדブラックパンサー”ベイノア(極真会館)71.00kg[1R 0分45秒 KO] ※左フック〇宇佐美正パトリック(フリー)70.90kg  ボクシング高校6冠からMMAに転向し、5勝1敗の宇佐美正パトリックが、極真会館の“ブラックパンサー”ベイノアと対戦する打撃対決。  極真空手の経験も持つ宇佐美は2022年10月の前戦で佐々木信治に3R TKO勝ち。第2代RISEウェルター級王者のベイノアは、2021年大晦日に武田光司に腕十字で一本負けして以来の試合となる。  フーディーにラップで入場の宇佐美に、空手衣を脱ぎ捨て入場のベイノア。  1R、ともにオーソドックス構え。先に圧力をかける宇佐美は右ローを当てて、右を振る。かわしたベイノアは左ミドル、宇佐美は右の蹴りのフェイント。近い間合いに持ち込む。  ベイノアの左ジャブ、左ローに、宇佐美はベイノアの右手を左手で払って、カウンターの左フックで飛び込み、衝撃の45秒KO! ベイノアは後方にうつ伏せとなり失神した。  22歳の宇佐美は、リング上で「どうですか、今日の試合? みんな盛り上がってますか!? 皆さんのサポートのおかげです。SNSも頑張るんで、よろしくお願いします」と語った。 [nextpage] ▼第1試合 RIZIN MMA特別ルール(62.0kg)3分3R〇YUSHI(HI ROLLERS ENTERTAINMENT)61.65kg[判定3-0]×中澤達也(益荒男・本宮塾)61.95kg  YUSHIはアマチュアキック8戦7勝1敗。最強ホストを決める地下格闘技『宴』の元軽量級王者で、2021年RIZIN大晦日での三浦孝太戦がMMAデビュー戦となった。その試合では1R3分ちょうど、三浦のサッカーキックでTKO負けを喫したが、そのアグレッシブなファイトスタイルと入場シーンで一躍話題に。BRAVE GYMや朝倉未来との練習を積んで臨んだ2戦目では、ZENKIに2RでTKO勝ち。今年9月には同じく宴王者の覇留樹にリアネイキドチョークで勝利した。  中澤は地元・八王子で暴走族の総長を務め、2009年8月からTHE OUTSIDERに参戦。2015・2016年には超人クラブ認定over35age MMA王座決定戦で勝利し、2年連続で王者に輝いた。2018年9月の『巌流島』では全日本武術選手権 in MAIHAMAの一回戦で実戦空手の原翔太と対戦し、グラウンドパンチによるTKO負けでトーナメント敗退。現在は地下格闘技の益荒男と宴の代表として、また俳優業ではこれまでに7本の主役を務めた他、人気シリーズの「日本統一」にはレギュラー出演するなど、多岐にわたって活躍している。  ダンサー2人と入場のYUHIと『日本統一』軍団で入場の中澤。「3分3R」の特別ルール。  1R、ともにオーソドックス構え。右の後ろ蹴りはYUSHI。YUSHIのローに合わせて右ハイで先にダウンを奪う中澤! 立つYUSHIは四つに組んで右で差してテイクダウン。亀からの立ち際にバックを奪い、両足をかけて背後からパウンド。ヒジ。中澤は亀のまま凌ぐ。  2R、右から左を振ってそのまま組んでテイクダウンを奪うYUSHI。あっさり下になる中澤は下からラバーガード狙い。しかし、左で差して片足パスでハーフ、マウントに移行すると、中澤は1R同様に亀に。右手を巻き込む中澤は一瞬立つが、すぐに組むyUSHIがテイクダウンし、ゴング。  3R、右を振る中澤に、距離を取るYUSHI。詰めた中澤に左で差すYUSHIは四つから小外がけテイクダウン。「喧嘩師だろう?」と煽るYUSHI。背中を着く中澤。マウントを宇あばう中澤がパウンド、ヒジ。脇を開けさせたYUSHIは残り10秒を切ったところで腕十字へ。中澤が凌ぎ、ゴング。  判定は3-0でYUSHIが勝利。フィニッシュには至らなかったYUSHIは、両手を合わせてごめんなさい、のポーズを見せた。
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