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【VTJ】平良達郎がチリ王者ムアイアドに一本勝ち「UFC王者目指す!」、宇野薫が敗れる、西川大和が一本勝ちで青木真也に対戦要求! 青木も受託。佐藤将光が圧勝、宇佐美が連勝

2021/11/06 17:11
 2021年11月6日(土)東京新木場のUSEN STUDIO COASTにて「VTJ2021」が開催された。 VTJ 2021 試合リポート 2021年11月6日(土)USEN STUDIO COAST16:30 ▼第6試合 58.5kg契約 5分3R○平良達郎(THEパラエストラ沖縄)58.5kg[1R 4分12秒 リアネイキドチョーク]×アルフレド・ムアイアド(チリ・BLACKHOUSE SANTIAGO)58.1kg ◆平良「打撃で競り勝つ試合もしていきたい」 「パラエストラ沖縄から来ました平良達郎です。コロナ禍のなか外国人選手を呼んでいただいてありがとうございます。そして、このそうそうたる面子のなか、VTJのメインを任されているなか、プレッシャーとワクワクを楽しんで戦いたいと思います。しっかり倒し切って勝ちたいと思います。よろしくお願いします。  対戦相手のムアイアド選手は打撃が強いストライカーという印象で、でも見た感じ打撃でも全然、戦えますし、そこ(打撃)で競り勝つ試合もしていきたいなと思っています」 ◆ムアイアド「ディフェンス面を重要視したい」 「まずは、今回のイベントを開催していただき、私を招待してくれたオーガナイザーの皆さんに、感謝したいと思います。何よりも明日は素晴らしい私のショーをお見せしたいと思います。すべてを皆さんにお見せしたいと思います。母国に勝利を持ち帰って、ほかの選手たち同様に、このイベントが成功しますように願います  スタッフ、チームとともに平良選手のことを研究してきました。とても強いファイターだと認識しています。私の方がストライカーで打撃が強いので、ディフェンス面を重要視したいと思っています。平良選手にとても敬意を払っていますので、いいファイトをしたいと思います」  デビュー以来9連勝のパーフェクトレコード。修斗世界フライ級王者“スーパーノヴァ”平良達郎がいよいよ世界に挑む。その平良に用意されたのは南米チリのMMA王者は「Mono Con Navaja(カミソリ猿)」の異名を持つアルフレド・ムアイアドだ。  MMA6勝2敗のムアイアドは、チリで開催されているMMAプロモーション「LFN(Live Fight Night)」を主戦場に同団体のエースとして活躍。ムエタイの技術をベース 80%を超える高いKO率を誇り、デビューから8戦で同団体のフライ級王者に輝いている。  グランドの攻防にはほとんどつきあわず打撃でプレッシャーをかける典型的なストライカータイプ。コンプリートファイターの平良の方があらゆる展開に対応出来て選択肢は広いが、立ち上がりで乱打線に持ち込まれと殺傷能力の高いムアイアドのパンチは相当厄介だ。  平良にとっては世界へ打って出る為の資金石となる重要な一戦となり、ここでつまずくようなら世界などと口に出来る筈もない。  今回の国際戦の決定に、平良は来日した対戦相手への感謝とともに、フィニッシュ決着を宣言している。  1年9カ月、来日出来ずにいた外国人選手がいよいよVTJに来襲となる。“スーパーノヴァ”vs“カミソリ猿”──瞬き厳禁のスーパーファイトに注目だ。  1R、ともにオーソドックス構え。右ロー、さらに左ローを見せる平良。平良の右ローにムアイアドも大きな左を振るが平良はブロック。ムアイアドはブラジリアンキック。しかし平良の右ローにバランスを崩す。  平良の右ミドルを掴んで組んで左を差すムアイアドだが、放す平良。ムアイアドの右フックが空を斬るが、平良は左右ロー! さらに右カーフキック! 近くなると首相撲からヒザも。  徐々にムアイアドを手詰まりにさせた平良は、右ハイからの打ち下ろしの右ストレート! 左を同時に振っていたムアイアドはカウンターでもらいヒザを落とすとシングルレッグへ。、そこに平良はバックに回り、すぐにバックマウントで足をかけてリアネイキドチョークへ! ムアイアドがタップした。  試合後、平良は「こんばんは、パラエストラ沖縄の平良達郎です。こんなときに来てくれたアルフレッド選手ありがとうございました。チリの打撃の選手に自分の打撃も試せてよかったです。自分はフライ級でUFCでベルトを目指します。修斗のベルトだけを目指してきて、本気で格闘技を仕事にしていきたい、これで生活していきたいと思います。これからももっともっと強くなって、日本を代表して、たくさん強い外国人を倒していくので、応援、よろしくお願いします」と挨拶した。 [nextpage] ▼第5試合 65.8kg契約 5分3R×宇野 薫(UNO DOJO)65.8kg[判定0-3] ※27-30×3○原口 央(BRAVE)65.5kg “グレイシー一族最強の男”と言われたヒクソン・グレイシーの初来日、中井祐樹とジェラルド・ゴルドーの伝説の一戦など、1994年から2回に渡る無差別級トーナメント「VALE TUDO JAPAN オープン」を経て“世界の強豪を迎え撃つ”という新たなコンセプトで行われた「VALE TUDO JAPAN」。 その最初の大会となったのが1996年に行われた「VALE TUDO JAPAN'96」だったが日本勢が惨敗を喫し、専門誌の表紙に「日本最弱」というショッキングなコピーが踊ることとなった。  しかし、その歴史的敗戦から僅か21日後に行われた全日本アマチュア修斗選手権の決勝に勝ち上がった二人の若者が、後に世界を舞台に戦うことになる。  その一人が桜井マッハ速人。そして、もう一人の若者が宇野薫だった。1996年10月にプロデビューを果たした両者は「修斗 LET'S GET LOST ~失地回復~」で対戦。その2年後の「VALE TUDO JAPAN '98」で宇野は、ヒカルド・“リッキー”・ボテーリョに3R パウンドでTKO勝ちしている。  翌年の1999年5月には「修斗プロ化10周年記念大会」で“修斗のカリスマ”佐藤ルミナにリアネイキドチョークで一本勝ち。世界王座に就くと、1999年に行われた「VALE TUDO JAPAN '99」では、“日本vsブラジル”7対7で副将を務め、アンドレ・ペデネイラスとフルラウンドの死闘の末ドロー。2000年12月にはルミナとの再戦をKO勝ちで勝利、修斗王座を返上した。  そこから宇野は海を渡り、ジェンス・パルバー、BJペンとUFCのタイトルを掛けて激闘を繰り広げ、DREAM、修斗後には2度目のUFC参戦。2013年6月には、VTJ 2ndからVTJ6thまで4大会に出場している。  そして5年ぶりの「VTJ」再開。今回のコンセプトの一つとして“世界で戦ってきた男”たちと、“これから世界で戦うファイター”たちの激突が掲げられており、宇野薫(UNO DOJO)はまさにそのコンセプトに相応しいファイターだといえるだろう。2021年5月の前戦では内藤太尊に2R KO負けを喫しているだけに、新世代を相手に再起を遂げることが出来るか。  その宇野に用意された“これから世界で戦うファイター”はGRADIATORフェザー級王者の原口央(BRAVE)だ。  近年、各団体のベルトを総なめにし、格闘技界を席巻している宮田和幸代表率いるヘラクレス軍団「BRAVE」の一員である原口は、9月26日に大阪で行われた「GRADIATOR 15」でMIKEが保持するフェザー級タイトルに挑戦。前回ロープローによるノーコンテストとなった試合の再戦を、今回は全局面で圧倒して完勝。GRADIATOR新王者に就いたばかりだ。  今後が注目される日本MMA界のホープを相手に、宇野はいかに戦うか。  2021年でデビューから25周年を迎え、46歳になり、対戦相手は最前線を走るトップランナーでなくとも良いのではないか? との周囲の声を他所に、年齢を一切言い訳にせず、ひたすら自らのMMA道に挑み続ける宇野薫。  我々はどの時代にも、何度も見せられた奇跡の大逆転を目にすることになるのか。それとも新星・原口が残酷な現実を突きつけるのか? 第1弾の発表からVTJらしい残酷すぎるマッチメイクが決定した。  1R、サウスポー構えの宇野。前足を上げて近づき、ダブルレッグからクラッチし、リフトしてテイクダウンは原口! 下からスイッチで立ち上がる宇野。詰める原口は右で差してダブルレッグに切り替えテイクダウン!  金網まで這う宇野は上体は金網に立て、クオィーターネルソンで左脇を差し上げるが、足をまたぐ原口はサイドに。しかし、宇野はケージウォークから亀に。背後についていく原口に宇野はアームロックを狙い、正対したところでブザー。  2R、跳びヒザでアプローチする原口はダブルレッグテイクダウン! 金網で座る宇野にネルソンから首を狙う原口。背中に乗せて上になる宇野だが、クラッチを解かない原口。宇野が金網背に立とうとしても、原口は引き出してテイクダウン! サイドバックに以降し、ドミネートする原口。バックからコントローする。背後の原口にヒジを突く宇野はスイッチから正対を試みるが、させない原口ががぶり。正対した宇野だがブザー。  3R、左の蹴りからダブルレッグも押し戻される原口。宇野の立ち際に、すぐに距離を潰す原口はスタンドバックにつく。アームロック狙いの宇野をコントロールし、離し際に左右を振る原口。宇野の打ち返しにすぐに組んで、また離しては左右連打。そしてダブルレッグに切り替えテイクダウン。宇野の立ち際にバックにつくと、宇野は前に落とそうとするが、落ちない原口はバックから4の字ロック。リアネイキドチョークも、後ろ手を剥がす宇野。正対から立ち上がろうとするが、原口はパウンドラッシュ! 足を効かせようとする宇野だがブザー。  判定は3-0(30-27×3)で3Rを通してコントロールした原口が勝利。  レジェンド超えを果たした原口だが、「憧れの宇野選手と対戦できたことは嬉しいですけど、練習してきたことが出せず、ただ勝ちに行くだけの試合になってしまって、まだまだだなと思います。もっと練習してまだまだ上を目指します」と厳しい表情で語った。 [nextpage] ▼第4試合 70.3kg契約 5分3R○西川大和(西川道場)69.9kg[1R 3分40秒 リアネイキドチョーク]×菅原和政(マスタージャパン福岡)70.1kg  2021年9月、修斗いやMMA史上最年少世界王者に輝いた西川大和(西川道場)。  この18歳の世界王者はベルトを巻いたケージの上から世界進出を宣言。それならばと“vs世界”を掲げ、発進したVTJ実行委員会は、一部で報道された通り、超本物、北米の世界王者アンドレ・ハリソンを西川に用意した。チームアルファメールの強豪ランス・パーマーに1勝1敗の“ヤバいやつ”が初来日する予定だった。  しかし、コロナ禍の中、海外から選手を招聘することは容易ではなく、VTJ実行委員会総動員で西川の国際戦を実現するべく、スポーツ庁、外務省、厚生労働省をはじめ各省庁に全ての書類を提出し、ようやく入国許可が下りることになった。  契約も済ませた最中、来日直前に対戦相手が新型コロナウィルスに感染していることが判明。ここで西川の国際戦が消滅し、万事休すと思われたこのピンチをチャンスにするべく立ち上がった男がいる。  マスタージャパン福岡の菅原和政だ。菅原はMMA6勝7敗1分け。近年は2019年6月の修斗「闘裸男24」で久保昌弘にリアネイキドチョークで一本勝ち後、同年11月にリトアニア「King of Kings 80」で2R TKO負け。2021年3月に宮路智之に2R TKO勝ちで再起を果たすと、10月17日に名古屋で行われた「HEAT」で岡野裕城とHEATライト級次期挑戦者決定戦に臨み、判定で敗れたばかり。  スクランブルでの連続参戦となるが、またとないチャンスに僅か20日で再び戦うことを選択した。修斗では実現が難しいであろう世界王者とノーランカーのマッチアップがVTJで決定したことになる。  厳しい戦いになるのは百も承知のなか、連戦の試合勘のなか、菅原は少ないであろうチャンスに齧り付いてでも戦うしかない。師匠ゆずりのチョーク、そして得意のヘッドキックでのフィニッシュもある菅原はチャンスをものにすることが出来るか。しかし、相手は史上最年少世界王者“MMAのマイク・タイソン”西川大和だ。  試合ごとに進化した一面を見せ続けている“野生児”は対戦相手にあわせて戦略を変えることが出来るスキルも持ち合わせている。カメレオン型のオールラウンダーに進化した西川は、菅原相手にどんな試合運びを見せるか。対する菅原は史上最大の下剋上を見せ“ロッキー・バルボア”になれるか?  1R、ともにサウスポー構え。いきなりイマナリロールを仕掛けて足関節を仕掛けた西川。菅原は足を抜き、上からパウンド! 深追いしない菅原。左右を振りシングルレッグに入る西川。右手を差し込み耐える菅原に、シングルで崩し、バックテイクから跳びつく西川はよじ登って上に!  両足を4の字ロックで組むも、右目を腫らし鼻から出血する西川だが、背中に乗ったまま、たすきがけからリアネイキドチョークへ! 背後に倒れた菅原がタップした。  試合後、西川は「外国人ともともとやると言われていて、ほぼ1週間前のオファーで、対策もほとんど出来ず、負傷するんだなという前提でした。緊急オファーでも普段から穴埋めをしていきなくてはいけないなと。100点中0点かなと自分では。こんな顔になってなんですけど、解説に来ている青木真也さん、もっと強くなって来年、MMAを教えてくださいよ、試合で。僕がやっていることがMMAじゃないと言うのなら」と、なんと青木真也に対戦をアピール。  放送席から走って、ケージインした青木は、西川になんとヒジ打ちを2発打ち込み、北森リングアナに分けられると、「お前、誰の名前出してんのか分かってんのか。オイ、簡単に出していい名前じゃねえんだよ。ふざけんじゃねえよ。こんなインディーなところでやってやんねえよ。ちゃんと場所作っとけよ、お前ら」と対戦を受託。  西川は「必ず準備して挑みたいと思います。皆さん、若い選手に名前出すなとか言いますけど、気持ち的にはわかります。でも若い選手とは必ず当たる壁なんですよ。僕もUFC行きたい、と言いましたけど、まだ見直さなくちゃいけない。川名選手とやったのだって同じなんですよ。川名選手は絶対言うと思うんですよ、“若くて調子に乗るな“と。どんな業界でも若い選手の世代交代はある。青木さんが怒って乱入されましたけど、青木さんが怒らないような、満足するような試合ができるように、磨き上げたいと思いますので」と語った。 [nextpage] ▼第3試合 63kg契約5分3R○佐藤将光(坂口道場一族)62.8kg[1R 2分38秒 TKO] ※パウンド×河村泰博(和術慧舟會AKZA)62.7kg  世界で戦うジャパニーズMMAファイターの中からONE Championshipを主戦場にバンタム級トップ戦線で戦う元修斗世界王者・佐藤将光の参戦が電撃決定した。  日本での試合は、2019年10月12日に行われた「ONE:CENTURY」で行われた「修斗vs.パンクラス対抗戦」でハファエル・シウバに勝利して以来。  約2年振りの国内復帰戦となる佐藤は、2021年2月にONEでファブリシオ・アンドラージに判定負けするまで6連勝を飾り、現在でもONE Championshipのタイトルに手が届く位置にいる数少ない日本人の一人だ。  日本で再起戦に臨む佐藤将光の前に立ちはだかるのは、FighingNEXUSの新エース、現バンタム級王者の河村泰博だ。  河村はPANCRASE 、ZST等、数々の国内プロモーション渡り歩いてきた苦労人で、FightingNEXUSを主戦場にするとその才能を開花。2021年7月に渡部修斗が返上したバンタム級の王座決定戦で、福島啓太を得意の寝技地獄に引き込み、2R 三角絞めで一本勝ち。見事にタイトルを獲得した。  ケージの中でベルトを巻いた河村は、「いま大きな団体でバンタム級王者を集めていますが、日本人にももっと面白いベルト持ってるやつやる人いるよ、という意味でベルトを獲りました。NEXUSから出た渡部修斗選手のように僕もRIZINは出たいんですけど、いろんな団体のチャンピオンがいて、あまり強くないチャンピオンもいるんで、片っ端から倒していこうと思います」と、王者狩りを宣言している。  今回、河村を迎え撃つ佐藤は、2020年11月30日付けで修斗世界バンタム級王座を返上したが、2018年7月以降、国内では負けなしのままだ。その最後の日本での黒星は、ケージレスリング&スクランブルでガードも厭わない齊藤曜との試合だったが、10カ月後にはリヴェンジを果たしている。  日本における最激戦区バンタム級に新たに誕生したNEXUS王者・河村泰博と、“世界と戦い・世界を知る男”佐藤将光の下剋上マッチは、VTJでどんな試合になるか。  日本マット復帰戦となる佐藤は、「お待たせしましたというか 待ちくたびれてた! やっと(試合が)できる喜びと感謝を込めて思いきり戦う。佐藤将光の試合をする」と、9カ月ぶりの試合の意気込みをツイート。  対する河村は「『RIZIN余裕!』とか言ってたら、マジな人出て来ちゃった」と汗笑いのマークで投稿。しかし「ぶっちゃけ オレ、メインじゃね?」と強心臓ぶりも発揮している。YouTubeでは、「日本でトップになりたいので、こういうレベルの相手には勝っていかないと当然、上は目指せない。ほんとうに強い相手で、ここで終わってもいいぐらいの気持ちでやる」と本音を語っている。  以前は強さにムラがあったが、MMAに打ち込み、覚醒した河村泰博は、斎藤相手にも極めの強さを見せるか。しかし、独特の距離感のスタンドとトップが強い佐藤には、中腰からの強いパウンドもある。  MMA31勝14敗2分けの“達人”佐藤が、キャリアと格の違いを見せるつけるか。それとも12勝6敗1分けの河村がアップセットを起こせるか。  1R、ジャブ、右ボディストレートと上下に打撃を散らして圧力をかける佐藤。河村は左ジャブからイマナリロールも潰した佐藤はそのままサイドに。バックを奪い、両足をかけて4の字ロックから、強いパウンド連打! 頭を内側に折り込む河村だが、佐藤の足は外れず。バックマウントからパウンドを受け続ける河村。レフェリーが間に入った。  試合後、佐藤は「なかなか試合が組まれないなかで、ようやく試合を組んでもらって単純に楽しかった。この時代、やりたい事やっているといろいろ言われることもありますけど、自分の人生なんで、何言われても自分のやりたいことをやって生きていきたいですね、と試合に向けて思いました。ということで明日からも好き勝手にやっていきます」と笑顔で語った。 [nextpage] ▼第2試合 70.3kg契約 5分2R-岡澤弘太(佐山道場)70.3kg[1R 2分23秒 ノーコンテスト]-原口 伸(BRAVE)70.2kg※偶発的なアクシデント(バッティング)により試合の続行が不可能になった為  宮田和幸代表率いるBRAVEヘラクレス軍団から、レスリング全日本王者の原口伸がVTJに参戦。佐山道場の“寝技マスター”岡澤弘太と対戦する。  父が作ったレスリング道場=串良クラブで小3からレスリングを始めた原口は、強豪・国士舘大学に進学。2019年の全日本選手権でフリースタイル70kg級を制し、2020年の世界選手権出場資格も得ていたが、新型コロナウイルス感染拡大の影響で大会が中止に。MMA(総合格闘技)ファイターになるために、シドニー五輪代表でBRAVEジム主宰の宮田和幸代表のもとで内弟子となり、MMAの修行を積むことを選択。  今大会で宇野薫と対戦する兄の原口央の後を追うように、プロMMAへの転身を決め、9月5日に行われた『GRACHAN 50』では、天理大柔道部出身の大搗汰晟を相手にテイクダウンからのパウンドで1R TKO勝ち。鮮烈なデビュー戦を飾っている。  対するは、佐山道場の寝技マスター岡澤弘太。柔道二段、柔術黒帯で、2009年の全日本柔術選手権では紫帯時代にレーヴィ級でクレベル・コイケに勝利し優勝(無差別級ではクレベルが勝利)も果たしている。  MMAは14勝11敗5分け。これまでにPANCRASEやZSTなどの国内プロモーションで30戦のキャリアを誇り、シュートボクシングでアンディ・サワーとも対戦(1R KO負け)している。  グランドスラムで組み技を磨き、MMAの父、修斗の産みの親である佐山聡創始が主宰する佐山道場に移籍。2021年7月にプロ修斗に初参戦した際には、エドモンド金子の打撃に苦戦も、グラウンドではポジションを制し腕十字でキャッチするなど、判定勝ちしている。岡澤は、今回のVTJ参戦発表、BRAVE勢連続撃破に向け、「新しい岡澤弘太を見せます」と意気込みを記している。  キャリアでは岡澤が原口を大きく上回るが、今大会に原口兄弟、野村駿太と3名の選手を送り出すBRAVE軍団の勢いも侮れない。  レスリング全日本王者で若さと勢いのある22歳の原口か? 実績と経験、卓越したグランドコントロールとサブミッションを誇る34歳の岡澤か? ともに種類の異なるグラップラーの対戦は、スタンドから見逃せない。  1R、原口はサウスポー構え。岡澤はオーソドックス構え。岡澤は右ロー。さらに原口の左に合わせてシングルレッグに入るも切る原口。  スタンド。右ハイを見せる岡澤。左ストレート、左ジャブ振る岡澤に、詰める原口は右フックを当てて右の返しも! しかし、バッティングか? 岡澤は前のめりに倒れ、そのままパウンドを浴びて、レフェリーが間に入った(※試合後、「※偶発的なアクシデントにより試合の続行が不可能になった為」ノーコンテストに裁定が変更)。  試合後、原口は「僕のことを知らない人に憧れていた舞台で試合を見せることがfできて、感謝しきれないです。夢の舞台で全力で戦えていいフィニッシュ出来てよかったです」と語った。 しかし大会終了後、この試合を審判したジャッジ一名の意見及び試合終了後に確認した映像記録からも「偶発的なバッティング」があったと判断され、裁定結果はノーコンテストに変更となった。 [nextpage] ▼第1試合 70.3kg契約 5分2R○宇佐美 正 パトリック(EXFIGHT・LDH martial arts)70.2kg[判定3-0] ※20-18, 20-17×2×野村駿太(BRAVE)70.1kg  LDHとABEMAがタッグを組んだ『LDH FIGHTER BATTLE AUDITION』の模様が放送された格闘オーディション番組『格闘DREAMERS』で中村倫也とともに勝ち上がった“ボクシング高校6冠”の宇佐美正パトリック(EXFIGHT/LDH martIal arts)が参戦。  2020年第48回全日本空手道選手権大会(全日本空手道連盟)男子組手個人戦で5位、現在はBRAVEに所属する野村駿太と対戦する。  宇佐美は、2021年9月の修斗でプロデビュー。新人王のヨシ・イノウエを相手に、MMAでは珍しい左ボディ一発で1R 4分14秒、KO勝ちを決めている。ボクシングだけでなく組み強さも披露し、戦慄のデビュー戦を飾った。  対する野村駿太は、レスリングオリンピアンである宮田和幸率いるBRAVEの中で、伝統派空手をベースにする変わり種。  2021年9月5日のGRACHANでのプロデビュー戦では、DEEPフューチャーキングトーナメント2020ウェルター級準優勝の前田啓伍を相手に、独特の間合いから相手の隙間を縫う右の縦拳とそこから左右の連打を叩き込んで勝利。伝統派空手独特の突きをMMA用にアレンジしてニュースタイルを作りつつあるGRACHANのホープだ。  ボクシングと伝統派空手。同じ打撃でもベースの違うパトリックと野村が魂と魂をぶつけ合う。5年振りに開催されるVTJ2021は、第1試合からMMAニュージェネレーションマッチで幕を開ける。  1R、ともにオーソドックス構え。伝統派空手の低い構えで跳び込む野村。左右を返し金網際で右ヒジを当てる宇佐美! 野村も右ローを返すと、宇佐美からシングルレッグへ。ここは固執せず上で組んでヒザを突く宇佐美は、得意の左ボディを効かせると、首相撲&ヒザ! 強い体幹から宇佐美が野村を崩すも深追いせず。  2R、野村は出入りから組んで左ヒザ! 左で差して組む宇佐美。頭が下がると野村がギロチンチョークを狙う。首を抜きガード固める宇佐美に野村は速いワンツースリーをガード上に。その打ち終わりに左アッパーを宇佐美は狙う。  飛び込んでの左は野村! 押し込む宇佐美に首相撲ヒザを突く野村に宇佐美もボディ打ち! 野村は遠間から飛び込むさらに左フックでダウンを奪うと、立ち上がった野村に右ストレートも! 最後は崩した宇佐美が上からパウンドでブザー。  判定は3-0(20-18, 20-17×2)で宇佐美が勝利。  ダウンを奪っての勝利ながら、宇佐美は「試合盛り上げると言ってた僕が、こんな泥臭い試合をしてすみませんでした。デビュー戦から1カ月半で、こんなレジェンドに囲まれて、VTJという大会に出られて、こんな試合で申し訳ないですけど、次いつになるかわかりませんが、次は豪快にKOできるように頑張ります」と謙虚に語った。
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