ライト級でパトリシオと再戦も
現実的には、放送・配信の問題もあり、現代のクロスプロモーションには難問が待ち構えている。次なる目標としてマッキーは、試合前にも語った通り、155ポンド(ライト級)の王座も視野に入れている。
「18勝無敗になって、もうこのフェザー級に何も残るものはない。じゃあ、これ以上自分に何ができるだろうか? 155のタイトルも制したいよね。コナー(マクレガー)がそれをやる前から、自分はそう言い続けてきた。誰も達成していない頃から、“チャンプ・チャンプ”になるって言い続けてきたんだ。俺ががずっと言ってきたことを、今はみんなが信じてくれているんだ。自分の目標に突き進める時がきた」
現在のBellatorライト級王者は、奇しくも今回対戦した相手パトリシオ・“ピットブル”・フレイレだ。マッキーは言う。
「フェザー級で試合を続けるなら誰が相手になるかによる。健康が重要なんだ。歳を重ねるごとに、身体が大きくなり、力がつき男らしくなってくると、(体重をキープするのが)難しくなってくる。俺は上を目指したい。新型コロナウイルスなど、いろいろなことが重なって、予想以上に長くここ(フェザー級)にいることになったけど、神のタイミングは完璧だ」
マッキーの言葉を受けたスコット・コーカー代表は、「AJはライト級に上げるべきなんじゃないかと思うけど、彼と彼の父と相談していく。いまはまだその判断をするには早いと思う」と、ライト級転向と、階級を変えてのパトリシオとの再戦の可能性を示唆しながらも、早急に判断することはないとしている。
試合前の会見で「無敗であることっていうのは特別な“0”で、戦っているのは領収書の6(ケタ)のためだけではない。その特別な0の記録によってレガシーを築き、またチャンピオンとして、父(アントニオ・マッキー)のレガシーを刻み続ける。毎日、父さんのチャンピオンのポスターを見てきた」と語っていたAJ。念願の王者になっても慢心はないようだ。
ベルトを手にしたAJ・マッキーJrは語る。
「父がいなければここまで来れなかったのは事実だ。ただ父は僕の側にいて、いつも寄り添っていてくれる。僕自身の進みたい方へと導いてくれる。“ああしなさい、こうしなさい”と押し付けることはしなかった。というのも、このスポーツがいかに大変か、父は分かっていたから。とはいえ、いまやミリオンダラーを手にすることが出来て、そういったことがあるのも、このスポーツの醍醐味のひとつだ。父は『お前は別格だけど、分かっていなければならないのは、ちゃんと才能を伸ばさないと、それを無駄にすることになる』と言ってくれた。『鍛錬が才能を上回る』──まさにその通りなんだよ」