瞼のカットはバッティングだった。再開後にサミングも
「バレなきゃ反則じゃないみたいな、確信犯。それもテクニックのひとつだと思いますけど、明らかなロープ掴みとかは違う。悪意があるか無いか」という斎藤は、1R終盤、ロープ際での攻防でレフェリーにサミングの反則を訴えている。
「指とかが入って、1Rの終わりくらいかな、上に乗られて叩かれて叩いた後にやったり……してきてた。傷口だったらいいんですけど、目とか(指を)ぐりぐりやられるのはヤバいじゃないですか。だからすぐに言いました。『目に指を入れてる!』って。外国人選手、見えないところでそういうのをやることはあるんですよ」
さらに1Rには場外転落、カットのアクシデントもあった。
【写真】偶発的なバッティング後、斎藤の右瞼が切れていることが分かる。
スタンドで斎藤は左ミドルを脇腹にヒット。続く右オーバーハンドと、ケラモフの右が交錯。ここで斎藤は頭を左下に傾けて打っているため、頭同士が当たっているようには見えない。公式動画とは異なる本誌カメラで確認したところ、その直後の首相撲の攻防で、ケラモフの頭が斎藤の顔に当たり、その後、瞼に切り傷が確認できる。
続けて左で差す斎藤にケラモフは右で小手に巻き、ロープに向けて払い腰! 5本ロープの3本目と4本目の間から転落する斎藤。その際に、3本目のロープにも顔を擦りつけた斎藤は、広いエプロンに尻を着いてからリング下に転落。立ち上がると、右瞼をカットしており、大きく出血した。
「場所が悪かった。ロープに向かって投げられたら、そりゃ、行きます。ロープに引っ掛かってもちゃもちゃっと落ちたからダメージとかは無いですけど、でもあの時、落ちる前の接触でたぶん切れたと思うんですけどね。頭で切れたのか拳で切れたのか、スローで見たい。(リングに)戻る前には切れてたんで、アレと」
その後のダブルレッグで下になった斎藤は、ケラモフの傷口狙いの鉄槌後に、サミングを受けた。
会見では、「(血を)拭いているとき、ドクターチェックのときに『(有効打かバッティングか)どっちですか』と聞いていたんですが、僕の感じでは、拳じゃないような硬い感じがしたのですが、そのときは『拳じゃないか』というようなことは言われましたけど、ギリギリまで、止められるまでは、どっちにしてもやろうと思っていました。出血が結構あったので止まってくれて良かった。もう少しずっと出続けてていたら厳しかった。できれば(バッティングか拳か)明確にしてほしかったとは個人的には思います」とも語っている。
ケラモフのテイクダウンに苦しんだ斎藤だが、尻は着いてもパスガードはされず、蹴り上げで立ち上がり、2R後半には左フックのダブルでフラッシュダウンを奪うと、直後にサッカーキックもヒットさせている。
「後半にチャンスは来るとは思っていた。パワーは強いから、早く失速してくんないかな、と思ったけど、思いのほか体力もあった。強い選手ですよね。日本人で誰が相手をしたらいいんだという感じになりますよ。大変だなと思います」と、ケラモフの実力を認める斎藤は、試合後に、ケラモフに声をかけたことを会見で明かしている。
「僕も判定2-1で負けたことがあるんですけど、今回2-1で勝って。本当に大変ななか、アゼルバイジャンから日本に来て試合をすることを選んでくれたので、そういう感謝の気持ちというか。いろいろ隔離とかも大変だったと思うのですが、無事に試合できて良かったなと。伝わってなかったかもしれないけど、その思いを伝えました」