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インタビュー

【UFC】2大王座戦、ミドル級「弱点を露呈したアデサニヤはヴェットーリの急所を突けるか」、フライ級は「フィゲイレードの力をモレノがどう封じるか」(高阪剛)=6.12『UFC 263』

2021/06/10 12:06

アデサニヤが敗れたブラホヴィッチと今回のヴェットーリはタイプ的に似通っている

――『UFC263』のメインイベントは、イズラエル・アデサニヤvsマーヴィン・ヴェットーリのミドル級タイトルマッチ。王者アデサニヤは前回、2階級制覇を狙いライトヘビー級王座に挑戦したもののヤン・ブラホヴィッチに判定負け。1階級上とはいえ、初黒星を喫した再起戦でもありますが、この試合どう見ていますか?

「王者アデサニヤにとっては、ここは正念場だと思いますね。というのも、ヴェットーリとブラホヴィッチは、タイプ的にけっこう似通っているんですよ。前回、ブラホヴィッチはスタンドでプレッシャーをかけていって、途中でテイクダウンを奪い、グラウンドで体力を削ってアデサニヤに判定勝ちしましたけど、まさにそういう戦い方を得意としているのがヴェットーリなんです」

――圧力をかけ、テイクダウンを奪い、グラウンドで削ると。

「いわゆるグラウンド&パウンドを得意とするタイプですよね。約3年前の前回は1~2Rはヴェットーリが組みにいってもなかなかテイクダウンが奪えなくて、3Rにようやく寝かせることができたんです。でもその後、スタンドに戻ったとき、アデサニヤ本来の動きができてなかった。だから、そこがお互いにとってのキーポイントなんだろうなと」

――ヴェットーリがアデサニヤを寝かせられるかどうか。

「しかも、今度はタイトル戦で5R制なので、前回と同じようにヴェットーリが3R目でテイクダウンに成功して、べったり寝かせることができたら、4~5Rも続けることも可能だと思うんですよ。そうなると、アデサニヤの判定負けという結果も考えられますよね」

――前回も3Rはヴェットーリが取って、テイクダウンを奪われて以降、アデサニヤの動きが悪くなっていたわけですしね。

「だからアデサニヤとしては、早めに打撃で仕留めたいところですけど、ヴェットーリはタフで体が頑丈。打たれてもあまり気にせずにガンガン前に出てくるし、サウスポーの構えから左ストレートをしっかり延ばしてくるので、そこで下がってしまったら、ケージに押し込まれて、テイクダウンを奪われてしまうかもしれない」

――アデサニヤのような驚異的なストライカー相手だと、なかなか前に出られないものですけど、ヴェットーリは前回も打たれながら前に出ていました。

「そうなんですよ。ヴェットーリの前回の試合(2021年4月10日のケビン・ホランド戦)も、途中からテイクダウンが面白いように決まって、終始グラウンド&パウンドで大差の判定勝ちでしたから。ヴェットーリはあの戦い方を変えないと思うので、アデサニヤがそれをどう処理するかが、この試合の肝になる気がしますね」

――アデサニヤにとっては、前回のヴェットーリ戦がスプリットの判定勝ちで、ブラホヴィッチ戦が判定負け。どんどん前に出てきて、テイクダウンを奪ってくる相手というのは苦手かもしれません。ブラホヴィッチ戦での結果を受けて、そこが克服できたかどうかが問われそうですね。

「だからブラホヴィッチ戦が、アデサニヤにとってどちらに作用するかでしょうね。幸か不幸か、同じようなタイプの選手なので。いい方で考えると、前回の敗戦から学ぶものがあって対策がしっかりできたとも言えるだろうし。悪い方で考えると、苦手意識がより強まった可能性もある」

――ブラホヴィッチに、アデサニヤ攻略法が見つけられてしまった、ということにもなりかねないわけですね。

「だからヴェットーリは、自信をもって前に出てくると思います。それに対しアデサニヤは、ステップでかわしながらカウンターを入れてくるでしょうし、そういうところは天才的ですから。いくら打たれ強いヴェットーリとはいえ、アゴの先端やテンプルといった急所を打たれたら倒れますからね。アデサニヤはピンポイントで意識を刈りにくるんじゃないかな」

――闘牛士のように、突進をかわしながらエストック(刀剣)を急所に突き刺す、と。

「急所に刺さないと、何度でも向かってくると思うんですよね。だから、アデサニヤがしっかりピンポイントで仕留められるかどうかにかかってくると思います」

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