フィゲイレードとモレノはグラウンドの質が違う
――もう1試合、デイブソン・フィゲイレードvs.ブランドン・モレノのフライ級タイトルマッチ。こちらは2020年12月の『UFC256』で引き分けを受けてのダイレクトリマッチになりますが、どう見ていますか?
「前回はフィゲイレードが、試合前夜に胃の感染症で病院に運ばれるなど完全な状態でなかったと言ってましたよね。そのエクスキューズありきで試合を見直すと、たしかに3R目から動きが鈍くなっていた。それが、体調不良によりパフォーマンスに影響が出たことでの失速であったのなら、今回は全然違った試合になるでしょうね」
――具体的にはどう変わってきそうですか?
「体調不良がそこまで影響しなかったと仮定すると、モレノの勝機はやはり、テイクダウンからのグラウンドですよね。モレノは打撃も強いですけど、寝かせてからのコントロールが、いちばん心地いい状態だと思うんですよ。それに対しフィゲイレードの寝技は、トップコントロールというより、いろいろ仕掛けて、最終的に自分がいい形になるというもの。同じように寝技をやっているように見えて、両者はグラウンドの質が違うんですよね」
――フィゲイレードはアタックする寝技で、モレノはコントロールする寝技だと。
「動けば動くほど、グラウンドはフィゲイレードの方が有利になるんですよ。だからモレノはフィゲイレードの仕掛けに付き合わず、一個一個の動きを潰してコントロールして、削っていくという戦い方になると思いますね」
――そうして体力を削れば、スタンドに戻った場合も、フィゲイレードの猛攻が弱まるという。
「そうです。また打撃に関しても、フィゲイレードはプレッシャーをかけていって、相手が手を出してきたところでカウンターを当てるのがうまいし、強いんですよ。あとはボディを強く打って、相手の足を止めて、距離を詰めて顔面を打ちにいくとか。接近戦での打ち合いに強い。だからモレノも長いリーチを伸ばしていくストレートとかいいものを持っているんですけど、打ち合いになったら分が悪いので、そこに付き合わないことも大事になると思います」
――グラウンドでもスタンドでもやり合ったら、モレノは厳しくなるわけですね。
「打ち合いになりそうなところで離れて、空振りさせたりとか。グラウンドでも、フィゲイレードが切り替えそうとしてきたら、スタンドに戻るとか。そうやって気勢を削いでいくのも大事になってくるんじゃないかと思うんですよね」
――打っても響かない感じでイラつかせて、徐々にスタンド、グラウンドの両面で削っていけば勝機も見えてくると。
「そうですね。根本的なところで、フィゲイレードはものすごく強いし能力が高い選手。フィジカル、テクニック、スピード、すべてのレベルが高くて気持ちも強いチャンピオンだからこそ、それを空回りさせる必要がある。だからこの試合は、体調万全で出てくるであろうフィゲイレードの力を、モレノがどう封じるかがポイントになると思いますね」(取材/文・堀江ガンツ)
◆WOWOW『UFC -究極格闘技-』放送・配信スケジュール
『UFC263 in アリゾナ ダブルタイトルマッチ!ミドル級アデサニヤ&フライ級再戦』
6月13日(日)午前11時[WOWOWプライム]※生中継
(WOWOWオンデマンドで同時配信)
6月15日(火)夜10:45[WOWOWライブ]※リピート
(WOWOWオンデマンドで同時配信)
【メインカード】
▼UFC世界ミドル級選手権試合 5分5R
イスラエル・アデサニヤ(ナイジェリア)王者 20勝1敗(UFC9勝1敗)
マービン・ヴェットーリ(イタリア)挑戦者 17勝4敗(UFC7勝2敗)
▼UFC世界フライ級選手権試合 5分5R
デイブソン・フィゲイレード(ブラジル)王者 20勝1敗(UFC9勝1敗)
ブランドン・モレノ(メキシコ)挑戦者 18勝5敗(UFC6勝2敗)
▼ウェルター級 5分5R
レオン・エドワーズ(英国)8勝3敗(UFC10勝2敗)
ネイト・ディアス(米国)20勝12敗(UFC15勝10敗)
▼ウェルター級 5分3R
デミアン・マイア(ブラジル)28勝10敗(UFC22勝10敗)
ベラル・ムハマッド(パレスチナ)18勝3敗(UFC9勝3敗)
▼ライトヘビー級 5分3R
ポール・クレイグ(スコットランド)14勝4敗(UFC6勝4敗)
ジャマール・ヒル(米国)8勝0敗(UFC2勝0敗)
【出演】
解説:高阪 剛、堀江ガンツ
実況:高柳謙一
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